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2008.02.14
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カテゴリ: lovesick
あの日、私は悟が冴子さんに会いに行ってしまってからも、不安で仕方なくて、窯にも行けず、かといって、家にもいられず、いつもの川にいました。堤防から川を見ていると、少し気持ちが落ち着きました。でも、自分が何か大きなものに飲まれそうな不安がずっと胸で居座っていました。
そして、、、そう、あの時も謙吾が来たんだった。宗太郎と2人でランニングしてる途中に、2人の方が私を見つけました。
「お~い、楓~」
見ると、すぐ下の河川敷を走ってくる宗太郎と謙吾が手を振るのが見えました。私も手を挙げて応えました。2人は、少しスピードを緩めて走りながら、こちらに上ってきました。息を整えながら、宗太郎は私の横に座り、
「あれ?今日、デートじゃないの?謙吾が今日急にオフだっていうから、悟にも連絡したんだけど返事来なかったからさ、楓とデートだとばかり思ってたよ」
「なんだ、楓が暇だったんなら、宗太郎よりも先に楓に連絡するべきだったな」
と謙吾は笑っていいました。宗太郎は、謙吾に、
「おい、運動不足だから付き合ってくれっていったくせに」
と突っ込んでから、私に向き直り、
「悟は?」
私はすぐに答えられませんでした。宗太郎は初めて気づいたように、
「また、なんかあったのか?」
と声を落としました。その頃、私は、冴子さんのことでよく元気をなくしていたから、宗太郎はすぐにそれと分かったようでした。謙吾も少し聞いているのか、
「大変なんだってな。その女の人」
と言いました。私は気を取り直して、
「うん。。。今日は、悟、2人で話つけてくるって出かけたの」
宗太郎は驚いたように、
「ええ?2人で絶対会うなって言ったのに。何されるかわかんないぞ、冴子さんは、やばいって」
と言いました。
「私も、、すごく怖い」
と震える声で言うと、謙吾が、そっと私の腕を掴んでくれました。そして、、、私の携帯が鳴りました。悟からの着信音。私は慌てて電話に出ました。
「悟?」
でも、向こうから聞こえてきたのは、冴子さんの声でした。
「楓?私よ、冴子。」
「冴子、、さん?なんで、悟の携帯。。」
冴子さんからだと知った二人も耳をそばだてます。
「ふふ。私、悟と寝ちゃったわ。」
私は電話を落としそうになりました。
「寝たって。。。?何?どういうこと?」
「ちょーっと、お薬飲んでもらったら簡単だったわよ。あなたまだ、悟としてないんでしょう?馬鹿ね。これで悟は私のものだから。ね、あきらめてね」
私は、電話を落としてしまいました。倒れてしまいそうになる私を謙吾が支えてくれて、、、宗太郎が、電話を拾いあげて、
「おい、冴子さん、あんた、一体なに考えてるんだ?そんなことで悟があんたのものになるとでも?
悟はどうしたんだよ。かわれよ」
「あら、宗太郎くんね。悟は、まだ寝てるわ。よ~くクスリが効いてるみたい。じゃあ、あなたからも楓に、言い聞かせておいてね。さよなら」
一方的に電話を切られ、何度かかけなおしてみた宗太郎も、
「電源切りやがった」
と、あきらめ、私に向き直り言いました。
「信じるなよ、楓。悟があんな女と」
「ああ、そうだよ、楓、悟は、」
謙吾も私に言おうとするのをさえぎって、私は首を振りました。
「冴子さんは、そういう嘘はつかないと思うわ。たしかに、2人は、寝たんだと思う」
私は膝に頭をつけ、目を閉じました。これが、私の胸を覆っていた不安の・・・。

それが、悟が死んでしまう1ヶ月前のことでした。

思えば、その日から、、いえ、冴子さんが私に、悟を好きだといったあの日から、私の心は少しずつ、、でも、確実に弱っていきました。悟が生きていたって、謙吾と寝たかもしれないほどの、不安定な感情で過ごしていました。そして、それでも、悟とやっぱり離れたくないと、悟も、やっぱり私を離したくないと、思えた時に、悟が殺されてしまい、、、

悟が死んでしまって、謙吾と寝ることなど、なんの抵抗もなかった。。自暴自棄、、なんて言葉だけじゃ表せない。。過ち、、なんて軽い言葉でも表せない。。あの時、私は、謙吾を悟の身代わりにしました。ただ抱かれたいから抱かれました。ちゃんと確信を持って抱かれました。きっと、もう一度あの日に戻れても、私は同じように謙吾を誘い、優しい謙吾は、私を抱いてくれるでしょう、自分がどれだけ傷つくとしても、涼しい顔をして。彼は、そう、、、思えばずっと、そういう如才ない傷つき方をすることで、私を支え続けてくれていた人だから。

ん~、やっぱり、、話すと、悠斗の気持ちも冷めるだろうな、と思いました。。悠斗は、せっかく私を、悟の死にまつわるぬかるみから引きずり出してくれたけれど、その次に私が直面しなくてはいけない問題は、謙吾のことをひどく傷つけた、このことでした。謙吾にも、、ちゃんと謝らなくちゃいけない、、。悠斗には、、もっとちゃんとした、いい人がたくさんいるはずだよ。そう、きっと、、悠斗のためにも、私は。。

またネガティブに走り出した思考を、私には、とめるすべもなく、涙はとめどなく、頬を流れていました。

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最終更新日  2008.02.14 00:07:56
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