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事故から 43 年後の現在地
尾松 亮
検証 TMI と福島
1979 ね n3 月にスリーマイル島( TMI )原発 2 号機の事故が起きて、今年 3 月で 43 年が経過した。しかし TMI 原発の廃炉はまだ始まってすらいない。「廃炉」とは通常「燃料抜き出し」後の施設解体や除染プロセスをさす。この意味で「廃炉未着手」なのである。
TMI 原発ではデブリを取り出した後、「原子炉解体」に着手せず、 93 年から無期限の「監視貯蔵」を続けてきた。「放射能の自然減衰を待ち、より進歩した廃炉技術を活用することで作業員被ばくを低減する」という先延ばし戦略だ。
TMI 原発では、事故から 41 年後の 2002 年にようやく廃炉計画の議論が始まった。同年 12 月に米国原子力規制委員会( NRC )が廃炉専門の事業者に同原発のライセンス移譲を始めた。同事業者は 17 年で廃炉を完了させる計画を描く。
廃炉完了には国が定める年間 0.25 ㍉シーベルト未満への除染基準などを満たす必要があり、計画通りに進む保証はない。
今年 3 月の時点で、廃炉事業の担当者は、まだごく初期の計画段階であることを認めている。昨年秋に行われる予定だった冷却塔の解体は延期され、この実施時期は見通せない。
長年、 TMI 原発 2 号機の安全性のチェックを実施してきた市民団体の代表者は、廃炉事業者の計画の甘さを指摘する。市民団体 TMI アラートのエプシュティン代表は、事業者が想定する以上に原子炉内部は汚染されていると考えている。
昨年、冷却塔解体が去れたおり、同氏は次のように懸念を述べている。
「われわれが懸念するのは、事故から 42 年が経過した今、この原発が最終的にクリーンアップされるのかの確証だ。 TMI 原発 2 号機の廃炉担当事業者が、原発敷地をクリーンアップできるだけの技術、経験、資源を持っているとは信じていません」
東京電力は今年デブリの取り出しを開始し、 2051 年末までに福島第一原発の廃炉を終えるという。「原発を完全にクリーンアップ」するために、どんな計画を見直すのか。国民が意見していかなければ、その確証は得られない。
(廃炉制度研究会代表)
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