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October 31, 2007

ブラックペアン1988　海堂尊

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91833)

カテゴリ：本

「チーム・バチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙・メモ」（宝島社）　「螺鈿迷宮・メモ」（角川書店）　「ジェネラル・ルージュの凱旋・メモ」（宝島社）
他社でスピンオフ企画第2弾？
今回は講談社。
1988年の東城大学医学部付属病院が舞台。
既刊シリーズの主役らはまだ学生。ゲスト出演あり。

外科研修医・世良雅志が飛び込んだのは、"神の手"をもつ教授・佐伯(外科)が君臨する大学。
新しい病棟の建設計画、分科計画が進む中、次期病院長選直前でもあり、策謀が渦巻いていた。
そこに新しい医療機器導入を打ち出す講師・高階が帝華大学から派遣されてくる。
彼の打ち出した方針は技術編重の医局員などの反撥を買う。
そして―

その後の世良、渡海がどうなったか気になる所。
研修医なりたての頃は、まだ国家試験の発表前で、その結果次第で消える人(不合格者)もいるというのは驚きだった。
現在、"狸"の病院長・高階が若い頃は、はねっかえりのチャレンジャーだったというのは面白い。
さりげなく抜け道を使ったりするのは田口に通ず？だから(田口は)気に入られちゃったのか？
技術ばかり追い求め、医療の本道を見失う…心なき医療では患者の心のケアをどうするかなど、問題は多い。
一方、技術が伴わない医療は質が低いのも事実。
"外科医は手術ができてなんぼ"の考えから、論文重視に移行するはしりの頃、らしい。

～ネタバレあり～

佐伯～神の手を持つ外科医。専門分野は腹部外科。
　　　　　唯一の外科学教室の教授だったが、自ら分裂を推進。
　　　　　3年前に脳外科、2年前に肺外科、昨年は小児外科が独立している。
　　　　　病院長を目指す。
渡海～ヒラで最年長(10年)の医局員。昇進を避けているのは技術偏重ゆえか？
　　　　　手術の腕は確かだが、その他のことはサボリがち。医療メーカーとの癒着(接待)多し。
　　　　　ロックと共に、水落冴子の｢ラプソディ｣も聴いている。
　　　　　父親が佐伯と同じ外科医。
　　　　　父親は佐伯の手術した患者の体内にペアン(医療鋏)が残されていたことを巡り、
　　　　　大学を追われてしまう。(行き違いあり)その患者の再手術(ペアン摘出)を目論み、実行。
　　　　　だが、ペアンは出血を止めるためのやむを得ぬ措置だったことを知る。
　　　　　佐伯は再び出血を止めるため、レントゲンに写らぬ特性の"ブラックペアン"を用意しており、事なきを得る。
　　　　　職を辞そうとする佐伯を止め、辞職。
関川～医師。5年目の中堅
垣谷～助手。世良の8年先輩
北島～世良の同期
世良～主人公。新人研修医。高階が指導教官に、曲者医師・渡海にも気にいられてしまった？
　　　　　挑まれると挑戦してしまう度胸のよさと無謀さを併せ持つ。

高階～元・帝華大学第一外科教室助手。専門は消化器外科。下部消化器に造詣が深い。
　　　　　2年ほど、米国マサチューセッツ医科大に留学経験アリ。
　　　　　赴任直後から抜け道を使って緊急手術したりし、藤原婦長ににらまれたり。
　　　　　外科手術を変える器具｢スナイプAZ1988｣(食道自動吻合器)の開発に参加。
　　　　　国内導入に意欲的。
　　　　　だが、アクシデントがあった時にリカバーするためには技術も必要だと思い知る。
　　　　　紆余曲折後、病院長選挙のため、佐伯の参謀となる。
　　　　　小天狗、ビックマウスなどと呼ばれるが、嫌なのは名前(権太)をもじったもの。
　　　　　厚生省の室長・坂田と知り合い。(白鳥の上司だった気がする)

黒崎～助教授。大血管手術のエキスパート。心臓血管外科の分離・独立を目論んでいる？

藤原～婦長。権威でも意思表明はきっちりと
猫田～看護師。主任。渡海と同じく居眠り出来る場所を求めて放浪中。
花房～看護師。器械出しデビューしたばかり。
　　　　　アクシデントのあった手術で猫田に助けられる。
　　　　　(術前、猫田が危機を察し、後のサポートに廻るため、器械出しを美和に譲ったのだが)
　　　　　世良といい感じ。(でも、20年後はジェネラルと…)

田口～医学部2年生(＝4年生)。夏休み中、レポート提出のため、佐伯外科病棟へ(5日間見学に)。
　　　　　手術を見学。出血を見て卒倒。外科は向かないと改めて感じる。
　　　　　「患者への説明(ムンテラ)は、患者や家族に真実を突きつけ、覚悟を決めさせる踏絵である」
　　　　　とする技術偏重の渡海に対し、患者の言葉に耳を傾けたいと思う。
　　　　　彼らが活躍するのは20年後。
速水～同。既に外科系を志望している。
島津～同。柔道部所属。

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