2003/09/08
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カテゴリ: 海外小説感想
 自転車に乗った袈裟姿のお坊さんが信号無視して全速力で走ってた。 
 短編集。『マドモアゼル・クロード』『頭蓋骨が洗濯板のアル中の退役軍人』『ディエップ=ニューヘイヴン経由』『占星料理の盛合わせ』『初恋』。 
 吉行淳之介の文章は粘っこくて苦手。ヘンリー・ミラーの小説はただでさえ読みにくい。二人が重なればそれはもう・・・と、思ったほどではなく。ミラーの書き方も南北回帰線の時とは全く違い、優しい目で登場人物を描いている。病気をもらってきた女をヒモ男が悲しい目で見る『マドモアゼル・クロード』、以前一読して肌に合わないと放り出した時とは違い、男の悲しみが本当に迫ってきた。友人の死の報せを聞いて「借金が帳消しになった!」と喜ぶ、自身がモデルの男を描いたミラー。それが本当に喜んでいると見えたように。




『頭蓋骨が洗濯板のアル中の退役軍人』より


『ディエップ=ニューヘイヴン経由』の中で、大した理由もなく勾留されたミラーが親切な看守と本の話をしている時、『北回帰線』について「しかし、あれは人間の本なのです」というくだりがある。あの、下品で、喧しくて、無遠慮な作品について。しかしそう言われてみれば、だからこそ人間的だとも思える。綺麗にまとめようとした自分が少し気にくわない。
 退屈な人間を描写することだけを目的にしたかのような『占星料理の盛合わせ』も中盤可笑しい場面があり、どうにか読めた。
 いつの間にか吉行淳之介のことは気にならなくなっていた。


1987年 福武文庫





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Last updated  2004/10/29 01:40:07 AM
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