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「ポトスライムの舟」を読んだとき、ああ、この人の本はこの先読まないだろうなぁ、と思った。この「水車小屋のネネ」は谷崎潤一郎賞を受賞し、本屋大賞2位となった。「第4回 みんなのつぶやき文学賞」国内編 第1位! 「本の雑誌」が選ぶ2023年上半期ベスト 第1位! 「キノベス!2024」第3位!とアマゾンにあった。手に取ってみるとなかなか分厚い本。著者・津村記久子の最長の本とのこと。 第一話 1981年 第二話 1991年 第三話 2001年 第四話 2011年 エピローグ 2021年から成る物語。それぞれの話は長く、その一年、そのひと時を描いている。もとは新聞小説とのこと。1年かけての掲載である。四季ごとに年代がかわっていったかどうか知らないが、およそ三か月で一話を綴っているのであろう。最後のエピローグはこの単行本のための書き下ろしである。よって、想像だが、2011年を終章として構想し書いたものがと思える。2011年は東日本大震災があった。この本の中でも地震にあい、そのときの状況、その後の人々が描かれている。ここに帰結するためにそれまでの物語は綴られ、いろいろな人との交流がある。第一話を読んだだけで悲惨な状況に陥った姉妹が出てくるのだけれど、なんか素敵な本に思え、この「水車小屋のネネ」好きだなあ、と思えた。読み進むうちに、ますますその思いは強くなり、読み終えるのがとても切なく惜しく思えた。いつまでも読んでいたい。いつまでも律やネネを見ていたい。そう思えた。この本でヨウムという鳥がいることを初めて知った。オウムより一段、賢そうである。寿命も50年と長い。家族というものではないけれど、家族のように感じる登場人物たち。袖振り合うも多生の縁とでいうように出会いを大切に、他人のことに踏み込みすぎない程度に大いにかかわって、その関係性が心地よい距離間のままである安堵感、安心感。読んでいてほっこりする感じがとても良かった。とても素敵な本である。水車小屋のネネ [ 津村 記久子 ]
2024.06.24
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(C)I.T.PLANNING,INC. (C)2022 THE FIRST SLAM DUNK Film Partners昨年、驚異的な観客数をあげ、超ロングランヒットした「THE FIRST SLAM DUNK」。見て見たところ、聖地巡礼となった湘南の踏切などは一切映っていない。たぶんテレビアニメか原作によるものなのだろう。スラムダンクについては何一つしらない者なので、初見で見て内容についていけるかと不安があったが概ね理解は出来た。いろいろと経歴があるのだろうけれど、時系列があちこちにとんでもわかるよううまくまとめていたと思う。映像としての映し方も工夫されていて、人物の下書きから始まるオープニング。スローになったり、無音になったり、劇画的に描かれたりと手が込んでいた。登場人物たちのバックボーンを知らない初めて見る者にとっては目の前にある事象を理解するのが精一杯でそれぞれの人間関係など知る由もなく、そのためか深い感動を味わうところまでいかなかった。初見者に大きな感動を与えるとしたクラアイマックスのゲームセットまえのボールの軌跡はやや長かったかもしれない。とはいえ、ファンにとっては大感動、大感激、大感傷に浸れる名勝負であったと思われる。映画館で見ていれば観客の熱気でもっと集中し、もっと感激していたかもしれないと思えた。Netflixにて2022年/日本/124分/G監督:井上雄彦原作:井上雄彦脚本:井上雄彦声の出演:仲村宗悟、笠間淳、神尾晋一郎、木村昴、三宅健太、奈良徹、長谷川芳明、武内駿輔、鶴岡聡、かぬか光明、梶原岳人、島袋美由利、久野美咲、園崎未恵、岩崎諒太、阿座上洋平、櫻井トオル、遠藤大智、村田太志、堀井茶渡、星野佑典、瀬戸麻沙美、宝亀克寿、岩城泰司、江越彬紀、田所陽向、峰晃弘、金光宣明、武田太一、山本祥太、真木駿一、坂本真綾お薦め度「THE FIRST SLAM DUNK」★★★★(80%)
2024.06.23
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同じ作家の上間陽子氏の本「海をあげる」。その本の内容は忘却の彼方だ。何を書いていたか思い出すには、もう一度読み直すしかない。本著読んで「海をあげる」の記憶は上書きされたように思う。それほどこの「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」の内容は凄まじかった。十代で夜キャバで働くシングルマザーたちにインタビューしてきた内容を書いた本である。ここでは十代、しかも中学生で妊娠してしまった女の子たちが登場する。中学生で妊娠し、誰の助けも得られず遁走してしまう女の子たち。一人で立ち向かうしかない状況が悲惨な状況を生む。 読み終えて、沖縄の現状を憂いだ。読み終えて、国会議員に読んでほしい。国会議員が読むべき本だと思えた。沖縄の基地の現状を大なり小なり知ってはいても、沖縄で生活するシングルマザーの状況を知っている人はほとんどいないのではないだろうか。著者・上間陽子氏はこの本の売り上げの一部をシングルマザーたちを助ける活動に提供したと聞く。また、彼女たちを手助けする運動を始めたとも聞く。良いことだと思うけれど、沖縄に住む十代シングルマザーを援助するのは行政の責務であるとも思う。支払い義務はないのに…「思いやり予算」1年で1974億円 子どもの貧困対策152年分相当 78年からの累計は7兆円超える - 琉球新報デジタル (ryukyushimpo.jp)琉球新報の記事を見た時に、この「思いやり予算」の0.1%でもあれば十代シングルマザーはどれだけ救えるか。(0.1%でも1億9千万円)また、この本を読んで日本全国の労働者が寄付ではないが寄付の気持ちで一人千円支払えば良いのではないかと考えた。労働人口が約6000万人なので1,000円×60,000,000人=60,000,000,000円。600億円にもなってしまう。驚いた。ならば、一人100円にかえて60億円。強力な支援ができると思う。まもなく終戦から80年。沖縄で生まれた時から米軍基地があるという人がほとんどだろう。基地がある暮らしが騒音や犯罪を生んでいるのだから、沖縄住民は国からの手厚い補助を受けて悲惨な目に合っている10代シングルマザーを保護すべきではないだろうか。何をすべきか、何ができるのか。そのことを考える前提として、この本をぜひとも国会議員に読んでほしい。いや、読むべきだ。そのための図書費は国負担で良い。衆議院465人、参議院248人で合計713人。一冊1,870円(税込)なので1,870円×713人=1,333,310円。読書後、感想もいいが、10代シングルマザーたちに何ができるか、提案してもらいたい。この本を読んでとてつもない衝撃を受けて、最後の章「さがさないよ さようなら」を読み、筆者の思いの深さを大きく大きく感じた。裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち [ 上間 陽子 ]
2024.06.22
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金曜ドラマ『9ボーダー』|TBSテレビ「9ボーダー」最終話はとても良かった。これまでの物語を集約して上出来な結末であった。キャストたちのうまさ、特に向かい合った七苗(川口春奈)に意見されていた時に、セリフを食い気味にかぶせていく六月(木南晴夏)は絶妙。木南晴夏の上手さに驚く。松嶋(井之脇海)の退職日、ダンボールを持って事務所を去るのは、アメリカ映画やドラマを意識してのありえない図柄であったので、笑えた。その彼が去ったあとの六月(木南晴夏)と盛岡(内田慈)の”ピーク”の更新のかけあい。アドリブなのだろうか。とても微笑ましく、心温まる。アドリブでも最高だが、もしセリフとして書かれていたなら、書く人も演ずる人も最高である。かけあいというよりはつつき合いのようになったほほえましいシーンが柴田悠斗(松下洸平)に会いに行った後、高木陽太(木戸大聖)が大庭湯の外で八海(畑芽育)との会話があり、お土産を渡し、看板を持って去っていくシーン。陽太の言葉の真意を確かめようとする八海(畑芽育)がかわいく愛おしかった。これまたアドリブのように思えるが、絶妙。YOUの声音はYOU特有で、その言葉を聞くときに安堵したり思い直したりできて、最適キャストと思えた。終盤に登場の大政絢は難しくも思える役柄であったが、その美しさを前面に出しながら、柴田悠斗への想いとともに自らの気持ちを大切にするがゆえに別れを切り出すシーンを演じ、みごとであった。これまでもそうであったと思うがファッションの素敵さに気づいた。一人闊歩する七苗(川口春奈)のモスグリーンというよりはグレイ一色のモノトーンの衣装。街中では誰も着そうにないファッショナブルないで立ちに目を奪われた。海外に旅立つ松嶋を見送りに行った時の六月(木南晴夏)の紅白ファッション。艶やか!!あっぱれ!である。「9ボーダー」最終話ではほぼ誰も泣かないのに、見ている私は涙ぐみ、そして涙をこぼしていた。共感というかとてもとても感じ入ったからである。これまでのことがありながら回想シーンで処理するわけではなく、それぞれ大庭湯についての打ち合わせなどでさりげなく(?)登場人物を振り返れるのが素敵。30歳の誕生日を祝ってもらえて、一年を振り返っての七苗(川口春奈)の言葉はドラマの物語を復習(思い起こ)させて、思いを深く強くした。そして人と人が別れ、悲しみながらも前へ進もうとするときに、1(イチ)か0(ゼロ)ではない選択。アリかナシではない選択があり、それぞれがそれぞれありのままの自分でいて。何かになろうとするわけではなく、何者かになろうとするわけではなく。ありのままで認めあう生き方を模索していこう。といった内容が強く胸に響いた。子供だったらそうはいかない、自己というものが確立していないから。でも大人なら自分を自分らしく生きるために、折れないということではなくて歩み寄れる道を探していこう。とても現在(いま)のドラマに感じた。とても感動できた、素晴らしい最終話であった。脚本家は金子ありさ である。
2024.06.22
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366日 - フジテレビ (fujitv.co.jp)ドラマレビュー 「366日」なんという結末。終わってみれば散々なドラマだったなぁ。HYの楽曲「366日」をフィーチャーした作品だと思い見たのだけれど。フィーチャーとは特徴づけること、という意味があるので楽曲「366日」の歌詞を下敷きに物語を紡いだのだと思った。といっても歌詞を良く知らないので、今一度見直す。HY 366日 歌詞 - 歌ネット (uta-net.com)歌詞を読み直してみてわかった。交際していたかどうかはともかく、交流があって今は別れてしまった。その彼の匂いやしぐさを恐いくらい覚えている女性が主人公。で、もう二度と戻れなくても彼のことばかり思っている。このことを鑑みてドラマを振り返ると、歌詞通りではなかったと思える。ちょっとした事故で記憶喪失になる設定はお粗末に感じた。その後、意識が戻ったにもかかわらず記憶喪失とは、どういうこと?と思えた。記憶はなかなか戻らず、この先どうなっていくのか不思議にも思える展開の中、最終盤の最終回で記憶が戻っていることが判明する。えっ⁉である。記憶が戻ったそぶりも何もなく、視聴者は伏線すら感じなかった記憶が戻っている展開。とてもお粗末な展開であった。後半になって別れ、最終回で彼への思いの深さに気付く。歌詞で歌われているのはほぼこの最終回の主人公・明日香の気持ちだ。あまりに短く少ない時間だ。歌詞の内容をドラマ化しようとすれば、明日香と遥斗(はると)が序盤で別れて、過去の思い出と今の想いに悶々と苦悩する明日香を描き切ることではなかったのかと思える。それでもこのドラマを見てしまった。視聴完走してしまった。それは、キャストの魅力なのではと思える。脚本は主役たち5人についていろいろなことを書いていて、小川智也の実業団野球部選手の葛藤や下田莉子の不倫の精算と吉幡和樹の明日香への思いを断ち切れない女々しさがあった。他にも音楽教室に通う静原吾朗の自分本位な恋患いなどもあった。本筋と関係ないところでいろいろと詰め込んだので前段の話が長くなり、本来、きめ細やかに描かなければならない歌詞に重なる部分が最終回で駆け足で描かれることになる。プロデューサーはどういう思いでこのドラマを作り上げたかったのかなぁ。脚本家は清水友佳子という実績のある人で、ディレクターも平川雄一朗という実績のある人。ただ、どちらも私には縁のない人たちでどちらの作品もほぼ見たことがない。 最終回を見て思う。役者がうまい。披露宴でのスピーチ。新郎の智也の一説。まるで本物の披露宴のビデオを見ているような感じにとらわれるほど、あまりにリアルな新郎のスピーチに感嘆した。一緒にドラマを見ていた家族も「うまいと思う」と感心していた。思えばこの智也、5人グループの中でムードメーカーの役割をしていてひょうきんなこともマジなこともありのままで、演じていた坂東龍汰のリアルな演技に演技巧者を感じさせないうまさがあった。莉子役の長濱ねるも自然に見えてうまかった。高校生の時も社会人の時もお店の中で明日香を待っている時も自然だった。元カレに対峙する姿もそのままに見えた。和樹役の綱啓永については演じることが単純でない役柄なので良し悪しはよくわからない。音信不通だったなぞの元同級生の時が一番良かったかも(笑)。遥斗役は演じにくかったと思う。不可思議な遥斗の言動を眞栄田郷敦は消化しきれていないままお芝居をしていたのではないだろうか。遥斗のことは私も消化しきれていない。この人物の行動の裏にある思考が理路整然となっていないためであろう。でもまあ理路整然となっていなくても、そのなっていない様が納得できるものがあれば混沌としていても良かったと思うけれど、納得できるものもないので不明な人物となってしまった。反面、明日香はわかりやすかった。遥斗一途でまわりに気を遣う女性ということなので。ただ、一途さ、心底好きだという感情が表現できていなかったのかな、とも思える。このあたりが見ていて感情移入できなかったところなのか、とも思える。ゆえに最終回、遥斗に手を取られ、教会前に連れ出された明日香が滂沱のごとく泣きじゃくっていても、私は白けていた。しかし、これほど泣く状況でもないと思えるのにあれだけ泣けるとはと広瀬アリスの演技力にある意味感心もした。おっと、最終回の演出は平川雄一朗でなく片山雄一です。だからか、というわけでもないけれど、最終回の披露宴を見ていて、智也のスピーチで感じ入ったけれど、役者・坂東龍汰の演技によっていいシーンになっているけれど演出としては何もしていないと感じた。そして、最終盤、終わったかに見えたドラマは一年後の遥斗と明日香の生活をしばし映し出し、その後、さらに三年後(だったかな)子供を抱いた遥斗の姿が映る。川べりで明日香と落ち合う。ここって大阪?東京?明日香も大阪行ったの?なんて思いつつわけわからんシーンをつぎはぎだったのはどうなのかと思えた。余談として宮辺紗衣役の夏子は話題になるほど注目されてよかったね。で、この宮辺紗衣が遥斗の記憶が戻っていることに気付いた理由が“アベノハルカス”とか言ってて、まったく理由にならないと思えた。記憶喪失のままの人間が大阪転勤を考え、大阪がどういうところでどこで働くのかと調べれば“アベノハルカス”なんて容易に把握できるし、“アベノハルカス”に土地勘があるなんて言うのは脚本の後付けにしか聞こえなかった。脚本家が伏線として仕掛けていたのなら伏線としての引っ掛かりを視聴者に与える演出をしなかったせいなの?とも思えた。余談ついでに、遥斗の最終回のファッション。あれはないのでは、と思えた。オレンジのTシャツ。オレンジって遥斗のカラーだっけ?
2024.06.21
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(C)Carole BETHUEL (C)DHARAMSALA & DARIUS FILMS比重をどちらにかけるかで違ったドラマになったと思う。家族がいても宇宙に飛び立つ夢を叶えるべく邁進する姿を期待した私にはなんとも見どころのない映画となってしまった。クライマックスが搭乗前に隔離される直前の家族との面談・交流会だと思う。シングルマザーと娘の心を描かんとした作品は母子の思いのたけは理解できるが、その行動に私は鼻白んでしまった。つまり、興ざめしたのである。なんともつまらない作品を見たものだ。エバ・グリーンが主演だというのに、と思った。しかし、話が終わりエンド・クレジットになったときに、これまでの宇宙に飛んだ母でもある宇宙飛行士が子供とともに映る写真が、何人も何人も映し出された。その写真の数々、何度も宇宙に飛んだ人もいるママ宇宙飛行士たちの子供と写る画像を見た時。作者は、監督は、この親子愛を宇宙にかける夢の現実とともに映画化したかったのだと気づいた。そう思うとなかなかの作品なのかもしれない、私にはピンとこなかったけれど。U-NEXTにて2019年/フランス/107分/G監督:アリス・ウィンクール脚本:アリス・ウィンクール、ジャン・ステファンヌ・ブロン出演:エバ・グリーン、ゼリー・ブーラン=レメル、マット・ディロン、ラース・アイディンガー、サンドラ・ヒュラー、アレクセイ・ファティーフ原題:Proxima(「プロキシマ・ケンタウリb(太陽に最も近い恒星)」)お薦め度「約束の宇宙(そら)」★★★(60%)
2024.06.20
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新PR動画解禁!!「花咲舞が黙ってない」【日テレドラマ公式】 (youtube.com)「花咲舞が黙ってない」視聴完走!!最終回見ました。面白く、見ました。また半沢直樹が登場。劇団ひとりが演じていたけれど、欲を言わず、納得するしかないのだけれど、堺雅人だったらなぁと思ってしまう。これまたあ、なんとなくだけれど昇仙峡玲子も菊地凛子じゃなくて、と思うのは贔屓の俳優じゃないだからだろうか。ちょいと出の塚地武雅はどうして、カメオ出演なのか、と思ったり、キャスティングになにかと思ってしまうが、花咲舞演じる今田美桜の怒りモードをほほえましく見て、まずまず面白いドラマだったなぁと満足している。
2024.06.16
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14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還 (集英社新書) | 澤地 久枝 |本 | 通販 | Amazon(14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還 – 集英社新書 (shueisha.co.jp)より”わらしは軍国少女だった。満州での敗北、難民生活と壮絶な引き揚げ体験。自身の「戦争」を、いますべて綴る。「昭和」を見つめ、一貫して戦争や国家を問うてきた著者の原点となったのは、一九四五年、十四歳での敗戦体験だった。家族と渡った満州・吉林。敗戦後の難民生活は一年に及ぶ。「棄民」ともいうべき壮絶な日々、そして一家での日本への引き揚げ……。 十四歳という多感な少女が軍国少女となり、日に日に戦争に巻き込まれていく様を、自身の記憶と膨大な資料から丁寧に回顧し綴る。[著者情報]澤地久枝(さわち ひさえ)ノンフィクション作家。一九三〇年東京生まれ。四九年中央公論社に入社。六三年「婦人公論」編集部次長を最後に退社。著書に『妻たちの二・二六事件』(中公文庫)、『昭和史のおんな』『滄海よ眠れ ミッドウェー海戦の生と死』(ともに文春文庫)、『火はわが胸中にあり 忘れられた近衛兵士の叛乱 竹橋事件』(岩波現代文庫)など。八六年菊池寛賞、二〇〇八年朝日賞。”(以上、集英社文庫WEB より)澤地久枝氏が記憶だけを頼りに書いた終戦前後の満州にいた少女の見聞きしたこと。ありのままを書いたのだと思う。そこに悲惨さや悲愴というものはなく、あたりまえとも受け取れる当時のそのところの日常がある。新聞もラジオも手紙もなく、世の中がどう変わったのか、自分たちの置かれている状況がどういうものか、全く分からない情報のない暮らしの寂莫とした感じを感じながら読んだ。14歳〈フォーティーン〉 満州開拓村からの帰還 (集英社新書) [ 澤地 久枝 ]
2024.06.16
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Sous la Seine (Film, 2024) - MovieMeter.nl鮫映画だとは思わなかった。冒頭から中盤まではありそうなことと興味を持って見っていたが、事件が起こってからの市長の態度・姿勢と勝手な行動にでる主役含むPOLICEたちの行動が腑に落ちず、終わってみれば終わりのない映画となっていて、落胆を感じた。映画を見ているその間スリルで楽しめればいいというのなら、それだけでいいなら、最高な作品かもしれない。しかし、そこに道理や顛末を望むのであれば、納得できない作品となってしまう。恐怖に慄き、見入ってしまった。しかし、評価はできない作品なのだろう、と思う。Netflixにて2024年/フランス/104分/監督:ザビエ・ジャン原案:エドゥアール・デュプレ、セバスチャン・オーシャー脚本:ヤニック・ダアン、モード・ハイバン、ザビエ・ジャン、ヤエル・ラングマン、オリビア・トレスブレット・ヘイリー出演:ベレニス・ベジョ、ナシム・リエス、レア・レビアン、アンヌ・マリビン、森本渚、サンドラ・パルフェ、アクセル・ユストゥン、オレリア・プティ、マルビン・デュバル、ダウダ・ケイタ、イブラヒム・バ原題:Sous la Seine(「セーヌ川の下に」)お薦め度「セーヌ川の水面の下に」★★★(60%)
2024.06.16
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アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームス - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画楽曲”I'll See You in My Dreams”が演奏される。退職者用居住地で暮らす70代の女性、一人暮らし。一人娘がいるが娘はニューヨーク暮らし。14年連れ添った犬との暮らしが突然終わる。備え付けのプールの清掃員はたびたびかわる。新しく来た清掃員と交流を持つ。ゴルフクラブで見かけた老人とも交流を持つ。仲良し4人組の老女たち。そんなこんなの日々に突然、別れはやってくる…。映画の幕切れは、なんかいい。Netflixにて2015年/アメリカ/96分/監督:ブレット・ヘイリー脚本:ブレット・ヘイリー、マーク・バッシュ出演:ブライス・ダナー、マーティン・スター、ジューン スクイブレア・パールマン、メアリー ケイ プレイス、マリン・オーカーマン、サム・エリオット原題:I'll See You in My Dreams(「私の夢であなたに逢いましょう」)お薦め度「アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリームス」★★★☆(70%)
2024.06.15
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(C)2004 The Scion Films Phantom Production Partnership2005年2月26日「オペラ座の怪人」を見に行った。大感激、号泣した思い出がある。19年ぶりに見る4Kデジタルリマスターで感動できるか。そんなことを思いながら見に行った。観客は客席の半分強くらい。女子高生(制服姿)が一人で見に来た。高校生男女4人組が入ってきた、と思ったら二手に分かれてのダブルデートの模様。今の若い人がこの作品を見に来ることを嬉しく思う。TOHOシネマズの大音響大画面で見る。筋書きはわかっていて、内容を知っているはずなのに、過去に見た記憶はすっかり抜け落ちている。女性ソリストをミニー・ドライバーが出演していて驚いた。「ビューティフル」の主演で輝いていたことを覚えている、当時、活躍した女優である。「アクアマン 失われた王国」のパトリック・ウィルソンも出演していたのだと知る。怪人に思いを寄せられるクリスティーヌを演じるエミー・ロッサムに惹かれて、このあとスターになってほしいと思ったものだった。出演作は続くものの、この作品ほど注目を集めたものはないように思う。主役怪人ファントムを演じたのはジェラルド・バトラー。この時はバトラーの存在を知らず、「タイムライン」「P.S.アイラブユー」と見るけれど、彼の存在を認識させたのは「エンド・オブ・ホワイトハウス」であろう。彼の出演作としては「ジオストーム」をイチオシしたい。一度は見た作品なのに記憶から抜け推してしまっていて、ストーリーを知っている作品を見るような感じで見た。昔の感動の記憶から、今回また感動できるかどうか不安であった。よく見ていると突っ込みどころもある気がした。しかし、しかし、クライマックスで思いもよらぬセリフで、グワッと感動してしまった。涙してしまった。素晴らしく素敵な映画であった。音楽も歌もドラマも良かった。感動をありがとう。2004年/アメリカ/141分/G監督:ジョエル・シュマッカー原作:ガストン・ルルー作曲:アンドリュー・ロイド・ウェーバー脚本:アンドリュー・ロイド・ウェーバー、ジョエル・シュマッカー出演:ジェラルド・バトラー。エミー・ロッサム、パトリック・ウィルソン、ミランダ・リチャードソン、ミニー・ドライバー、キアラン・ハインズ、サイモン・キャロウ、ジェニファー・エリソン原題:The Phantom of the Opera(「オペラ座の怪人」)お薦め度「オペラ座の怪人」★★★★☆(90%)字幕翻訳:戸田奈津子
2024.06.15
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(アマゾンより)“日本史上最大の危機である元寇に、没落御家人が御家復興のために立つ。かつては源頼朝から「源、北条に次ぐ」と言われた伊予の名門・河野家。しかし、一族の内紛により、いまは見る影もなく没落していた。現在の当主・河野通有も一族の惣領の地位を巡り、伯父と争うことを余儀なくされていた。しかしそんな折、海の向こうから元が侵攻してくるという知らせがもたらされる。いまは一族で骨肉の争いに明け暮れている場合ではない。通有は、ばらばらになった河野家をまとめあげ、元を迎え撃つべく九州に向かうが……アジア大陸最強の帝国の侵略を退けた立役者・河野通有が対峙する一族相克の葛藤と活躍を描く歴史大河小説。“内紛による没落。御家復興のために河野家当主・河野通有は村に市をたて、通航する人々、物を寄せ集める。その中に奴隷というか金の髪・青い瞳の女がいた。また、日本人に似て異なる男もいた。男は高麗人、女はキウイから来たというのでロシア人かウクライナ人(なのだろうか)。ウクライナとロシアが戦争中であるがゆえに興味が掻き立てられる。そんな者たちを買い求め、引取った。これら外の国の者との交流、お家騒動の行方、読んでいて惹き込まれた。おっしてクライマックスが元寇。二度目の元寇、九州への出兵である。表題である「海を破る者」の章がクライマックスなのか、その後の戦いは熾烈であり、神風と呼ばれた野分(台風)の後の処理は、河野通有の気持ちはわかる反面、お家や領地・領民のことをないがしろにしているので疑問も感じた。終章を読んでも、河野通有の境地には達しなかった。この終わり方、どうとるか。どう感じるか。海を破る者 [ 今村 翔吾 ]
2024.06.15
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大英博物館の修復士ということで芸術に関するもので書かれているので、興味深く読んだ。北斎の浮世絵が贋作なのか複製画なのか本物なのかと試行錯誤、真贋見極めるところなど、なかなかおもしろく、惹き込まれてしまう。一度保管したものは手放さないという大英博物館の規則など、知らないことがちりばめられっていて面白かった。(Amazonより)”世界最古で最大の大英博物館。その膨大なコレクションを管理する修復士、ケント・スギモトのもとには、日々謎めいた美術品が持ち込まれる。すり替えられたパルテノン神殿の石板。なぜか動かない和時計。札束が詰めこまれたミイラの木棺。天才的な審美眼と修復技術を持つ主人公が実在の美術品にまつわる謎を解く、豊潤なるアート・ミステリー。”コンサバター 大英博物館の天才修復士 (幻冬舎文庫) [ 一色 さゆり ]
2024.06.13
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壱人前企画vol.17「メアリーの怪物 The same mistake should never be repeated.」公演に御出演の皆様、お疲れ様でした。久々に見た舞台ゆえ、驚きを持ってみました。ブログ 観劇 壱人前企画主宰「メアリーの怪物」さて、公演が終了したので物語について書いてみる。この劇は息子の死と妻の死を嘆き悲しんだ研究者が妻の再生を願い研究を重ね数々の創造物を作り出した話である。当初、クローンの話が出てきたので、亡き妻の細胞をどこかに保存してあって、核を取り除き、遺伝子を注入してクローンを作り出す展開になるのかと思った。ところが、人間にチップを埋め込み命令に従わせる従順な者に変えてしまうことやロボットなるものが登場する。人造人間であるフランケンシュタインはまったく出てこない。息子の身代わりとしたクローン人間が失敗作としてルーカスという名の得体のしれない巨体が存在する。意思表示のできない怪物のように思える。見た目にはフランケンシュタインのようでもある。しかし、話によるとクローンの失敗作であり、生まれた時から巨体という。おかしい!?クローンとは細胞から核を取り除き、培養して生成されるもので誕生した時は赤ん坊なのである。ゆえに誕生の時から巨体というのはあり得ない。この点において、(今のところ)真実ではない。クライマックスで明かされる娘ローズがクローンだったというところ、ローズは幼少期から育ったように思える。ゆえにルーカスとローズの生成に齟齬が生じている。次にチップを埋め込んだ人間が登場するが、なにゆえに指令に従順な人間を作るのか、意味不明。人間であったものにチップを埋め込んでも息子にも妻にもなりえない。さらに、ロボットも登場する。ロボット、これまた研究者の研究施設を維持継続するために必要としたサイボーグなのだろうか?このサイボーグも息子にも妻にもなりえない。警備や統制や管理という点においてはチップを埋め込んだ人間や同じ道を突き進むカイのような人間がいれば十分なので、ロボットを作り出した意味がわからない。クローンだけでなくチップ人間、ロボット(サイボーグ)と三種の者を提示することにより混とんとした世界に観客を迷い込ませようとしたのか、舞台に厚みを持たせようとしたのか。その根拠は何なのだろう。死者を生きかえさせるフランケンシュタインは一体も出てこない。映画「メアリーの総て」や「哀れなるものたち」のおどろおどろしさはなく、別の奇妙さを感じることになる。この物語、“風が吹いて桶屋が儲かる”以上に支離滅裂であり混とんとしている。混とんとしているが見入ってしまったのは舞台で演じきった役者たちの熱量であり、物語を疑わない素直さと一途さなのだろうか。物語に破綻を感じても違和感をもっても圧倒された。私は何を言いたいのか。この芝居の物語は正しくない、と言いたい。 ところで興味を持った役者を二人書いておこう。まず、ミアを演じた金子雅(かねこみやび)。金子雅 - 株式会社エッグスター (eggstar.info)口跡がはっきりとしていて、とてもいい。セリフが歯切れよく聞こえるし、はつらつとした若さに魅力を感じた。ただ、棒立ちに見える立ち姿があったのでもっと舞台になれることが必要なのかもしれない。伊達メガネをかけて演じていたのでよりキュートに見えたかもしれない。いいね。次に、アンナを演じた依里(えり)。低音を利かせた声は極妻(極道の妻たち)を演じたら面白いなぁと思えるほどであった。怒鳴ってばかりの芝居ではあったがジン(島津見(しまづけん))との絡みもあり注目した。『秘密のケンミンSHOW 極』でケンミン刑事にて出演しているとのことなので見てみようかと思う。
2024.06.12
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金曜ドラマ『9ボーダー』|TBSテレビそもそもこのドラマは「ゆりあ先生の赤い糸」を見て、気になった木戸大聖が出演しているので見始めた。木戸大聖は川口春奈演じる主人公、銭湯おおば湯の次女・七苗の幼なじみであり、七苗に密かな想いを寄せる酒屋の息子である。毎回登場するが重要な役どころでありそうでなさそうな感じ。演技のしどころもあまりないような気がする。このクール流行りの記憶喪失ネタでどう違いを見せるか注目していた。記憶喪失者コウタロウ(松下洸平)は記憶が戻らないまま、地元商店街で生活を始める。コウタロウが気になった七苗と恋仲にもなる。主人公・七苗はキャリアウーマンとしてバリバリに仕事をこなしていたが、お人よしが祟りオーバーワークに音を上げ、思い立って退職する。姉の長女・六月は会計事務所経営者であるが離婚する。となかなかの人生決断の時を経て前半と中盤でメリハリがあり、終盤、ここにきて記憶喪失者コウタロウの身元が判明する。そして、弟がコウタロウに会いに来る、というのが今回第八話であった。コウタロウの記憶が戻らないままコウタロウの肉親と会うという、その時、会いに来たのは実弟ではなく、コウタロウのフィアンセと名乗る女。このフィアンセを演じるのが大政絢。え? 大政絢なのって思うほど、きれいすぎるバッチリメイク。驚き……。弟が来れない時点で連絡があるとか、両親が来るとかになると思うのにフィアンセだけという違和感。他にも突っ込みどころはあれど突っ込むとキリがないのでやめよう。コウタロウの記憶喪失の犯人や原因がわかったり、なにかとすったもんだの展開であった。なぜか前半、七苗とコウタロウで陶磁器作ってるシーンあり。七苗は下手でうまく成型できない。コウタロウはみごとなカップを作り、七苗はそっちがいいなと言ったりした。一度身内に会いに行くというコウタロウは七苗と会いたがったが、七苗は拒否。帰宅した七苗のもとに宅配便が届く。七苗がそそくさと宅配便を開けると出てきたのはコウタロウと二人で焼いた陶磁器。出来の悪い七苗のカップの底には七苗の「な」の文字。コウタロウのカップにはコウタロウの「こ」の字があるはずだった。そこに「な」の文字。七苗を大切に思うコウタロウの想いがわかる。私は涙した。感動していた。このドラマで感動するなんて。突然父が出奔し、音信不通。記憶喪失の若者が転がり込んでくる。離婚や退職と人生の岐路が交錯。「なんてドラマだ!」と思っていたのに、不覚にも泣いてしまった。いいドラマになるかも。いい結末を期待する。
2024.06.09
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すごい!すごい!すごい!!見どころ満載、見ごたえ十二分。圧倒的スペクタクル!豪華なステージ!久久に見た劇団四季、初めて見たミュージカル「アナと雪の女王」。予測をはるかに超え、とても舞台と思えない情景。劇的に映し出されるプロジェクションマップ(だと思う)背景の絵図。効果的に出される大道具、小道具。飛んでいく小物、突き出される氷。パペットを用いたオラフの面白さ。特筆すべくはアナを演じた三平果歩の演技の多様性。表情、行動。台詞、歌、ダンスとどれをとっても縦横無尽に素晴らしい感情を表現してくれる。対してエルサの三井莉穂は表現にやや物足りなさを感じたけれど、第一幕のクライマックスは圧巻。雪山の塔の中で輝く氷のドレスに身を包み絶唱したシーンは圧巻だった。割れんばかりの大拍手にて休憩。振り返ればヤングエルサ、ヤングアナの名子役ぶりは素晴らしかった。ヤングアナは2幕で森の子供も演じていて素晴らしかった。第一部で圧倒された感激で第二部は不安と期待でいっぱいだった。第二部は第一部と違った見せどころがあった。いくつもあるが特筆すべくはアナが凍り付いてしまうシーンであろう。人々とともに氷の塊となってしまったアナ。しかし、真の愛情がアナを助け出す。アニメーションという映像に特化した映画をみて大感激したので、その映画を越える感動が舞台で味わえるのかと危惧していたが、第一部の素晴らしさ、第二部の素晴らしさ、カーテンコールの感動は自然とスタンディングオベーションとなり最高の気分だった。素晴らしい!素晴らしい!素晴らしい!!また、見たい!!
2024.06.09
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(C)2022 LOTTE ENTERTAINMENT & BIGSTONE PICTURES CO.,LTD.ALL RIGHTS RESERVED.「バトル・オーシャン 海上決戦」続編、三部作の第二作。名将、イ・スイシン将軍が前作のチェ・ミンシクからかわってパク・ヘイルとなり若返っているので、続けて見ると違和感がある。さて、監督・脚本が同じキム・ハンミンのせいか、前作同様、朝鮮軍に与(くみ)する日本人がいたり、情報を伝える女性が登場する。決戦前夜における日本陣地内での仲違い、豊臣秀吉の名を受け単独行動となる武将には違和感を感じるが朝鮮側が勝った道理の一因ともなるので、この設定なのか。朝鮮、日本の両軍とも大将指揮官の命令に順じず、勝手な行動をする武将がいる。そのことで戦況に与える悪影響。双方、万全な戦い方でないのが、戦況の変化とともに知略を講じなければならない状況に見ていて手に汗握るほどだ。結果は予想外の援軍に力を得た方の勝利であった。大砲、火砲、弓矢、鉄砲といった飛び道具だけでなく、体当たりまでしてしまう海上戦に注目。なかなかのスペクタクルであった。U-NEXTにて2022年/韓国/130分/R+15監督:キム・ハンミン脚本:キム・ハンミン、ユン・ホンギ、イ・ナラ出演:パク・ヘイル、ピョン・ヨハン、アン・ソンギ、ソン・ヒョンジュ、キム・ソンギュ、キム・ソンギュン、キム・ヒャンギ、オク・テギョン、コンミョン原題:한산: 용의 출현(「ハンサン:龍の来臨」)英語題名:Hansan: Rising Dragon(「ハンサン:昇り龍」)お薦め度「ハンサン 龍の出現」★★★★(80%)
2024.06.09
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豊臣秀吉の朝鮮出兵を描いた映画作品は邦画ではないように思う。この作品は続く「ハンサン 龍の出現」と三部作の三作目となる「ノリャン―死の海―」に先立つ第一作目である。最終章となる「ノリャン―死の海―」は2024年8月9日より劇場公開されるとのこと。ヒットはしたけれど評価は高くないようなので、なるべく期待せずに見たけれど、なんともすごい迫力のある作品であった。肉弾戦とも思えるほどの血なまぐさくパワフルな戦いも、それに先立つ大砲、弓矢での攻防も見ごたえがあった。さんざん無茶苦茶な海戦を決死で戦い抜いた大将船に爆弾船が突っ込むシーンは圧巻だった。イ・スンシン将軍が乗る大将船は砲弾を撃ち尽くし爆弾船を撃沈することができない。その爆弾船を他の朝鮮軍船に知らせるために想い人を見殺しにしてスカートを旗代わりに扇ぎ振り回す女性の心持を思うと感極まり泣けてきた。330隻の日本水軍に対峙する朝鮮水軍はわずか12隻。イ・スンシン将軍の決死の背水の陣は武将達には同調されず、大将船一隻で日本一の水軍と戦うことになる。御身を捨てての戦いは熾烈を極め、まわりを取り囲まれて捕縛、討ち死にするかに思えた時、奇策の一点集中砲火により窮地を脱する。この集中砲火によって大将船の砲弾は打ち尽くしてしまうこととなる。我々の恐怖は相手の恐怖とイ・スンシン将軍の必勝法はうまく機能するのか。激戦に次ぐ激戦、クライマックスは見どころである。多くの韓国俳優が日本人を演じて日本人見えないのだけれど、日本語を話すことで日本人とわかる。あと、戦闘服でも日本とわかる。そんな中、大谷亮平が密偵として日本側に潜入していた朝鮮兵士を演じていたのに気づき、驚いた。そして、敵武将(日本)に「お前は日本人なのか、朝鮮人なのか」と言われたところが胸に詰まった。監督が「神弓 KAMIYUMI」のキム・ハンミンで大谷亮平も出演していたので、この作品にも登場したのであろう。いやはやすごい映画であった。U-NEXTにて2014年/韓国/110分/監督:キム・ハンミン脚本:キム・ハンミン出演:チェ・ミンシク、リュ・スンリョン、パク・ボゴム、クォン・ユル、キム・ミョンゴン、チョ・ジヌン、大谷亮平原題:명량 회오리바다(「鳴梁(ミョンリャン)渦巻」)英語題名:Roaring Currents(「唸りたてる潮流」)お薦め度「バトル・オーシャン 海上決戦」★★★★(80%)
2024.06.08
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刑事物語でありながらリケジョ(理系女)が出てくる。読みどころ、読み応えがあり、スリルもサスペンスも味わえる、なかなかの小説である。デビュー作である前作「北緯43度のコールドケース」も読みごたえのある骨太ともいえそうな刑事小説であったが本作もまた傑作である。爆破爆死事件という非情な出来事で始まり、その捜査に警察と公安の確執があり、警察内部の問題や捜査現場の軋轢や捜査員の感情をないまぜにしながら事件解決へと悪戦苦闘する主人公。女性ながらジェンダーバイアスで見誤ったと気づくことで事件の真相にたどり着く。読みだしたら先を知りたくなるいい小説だと思える。Amazon.co.jp: 数学の女王 電子書籍: 伏尾美紀: Kindleストアより”かっこいいのに等身大、警察小説の新ヒロインふたたび。第67回江戸川乱歩賞受賞作『北緯43度のコールドケース』のシリーズ2作目!博士号を持つ異色の警察官・沢村依理子は、中南署から本部の警務部に異動となる。とある出来事で監察官室に目をつけられている沢村は、これは報復人事ではないかと疑う。そんな中、新札幌に新設されたばかりの北日本科学大学で爆破事件が発生。これを機に沢村は突然捜査一課に異動となるが、ただし警務部付ーー果たしてこの人事の意味は何なのか。一方、爆破事件はいつまで経っても進展がない。まさか北海道でテロ事件が起こったのか。公安との駆け引きの中で進めていく捜査、しかも沢村は突然班長を任されることに。新天地でまだぎこちない沢村は、新参者の班長に対して心中複雑な班員たちをどうまとめていくのか。そしてなかなか実態がつかめない爆破事件の犯人は、いったいどんな人物で、どんな目的があったのか。事件の謎を解く鍵は「数学」「研究者」「ジェンダーバイアス」そして「名声への飽くなき執着」ーー。女性研究者として博士課程まで進み、アカハラによって恋人を亡くすという経験をした沢村だからこそたどり着ける真相が、そこにはあった。”以上、Amazon.co.jp: 数学の女王 電子書籍: 伏尾美紀: Kindleストアより数学の女王 [ 伏尾 美紀 ]
2024.06.08
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著者・柴門ふみが2013年に出版した本の文庫本(2018年)。文庫本後書きに50代を過ぎ、60代となった著者の言葉が書かれている。やりたいように生きた50代は最高だったようだ。私も60代になってしまっているので、今更50代を自由気ままに生きられるわけもない。人生において子育てに縛られる(?)時期があるので、若くして子を持った人ならば40代を謳歌でき、やや遅く子を持ったならば50代を謳歌できると思える。私のように遅くに子を持った人は60代を謳歌するとなろう。とはいえ、40代が初老と言われるように、老化は始まっていて50代最後の年にシニアグラス、いわゆる老眼鏡をかけるようになり、チラホラみられた白髪が普通に混じって生えてくるようになった。ショートスリーパーとなり朝の目覚めがいいというよりも気がつくと起きてしまっている。そのくせ昼は居眠り。やはり体力に不安を感じない50代くらいまでに元気に飛び歩けばよかったのだろう。さて、本書はエッセイなのだろうか。柴門ふみが感じたものを過去のことを書いている。記憶に残っているものを上げると、気に入った服と着て似合う服は違うということ。私もずいぶんと前、若い時にオレンジのロングコートが映えてマネキンが来ていた。いいと思い試着したところオレンジの輝きが浮いて見える。試しに茶系のコートを着てみるとしっくりと似合った。というか違和感がない。オレンジのコートは美しいが、私には似合わず購入を諦めた。その記憶がよみがえった。「東京ラブストーリー」の原作者として崇める柴門ふみの著書を読めたことを嬉しく思う。そうだ、やっぱり愛なんだ 50歳からの幸福論(1) (角川文庫) [ 柴門 ふみ ]
2024.06.08
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フランス文学の現代作品を読みたくて、ググってはみたものの適切なものがわからず、166pと手軽そうなので読んで見た。読んで見たが、理解するにはなかなかの私小説、純文学(?)だった。10歳年下の異国の男性と逢瀬を重ねながら、音沙汰がなくなり別れを実感していく日々が書かれてある。彼を思い出しては、昔を思い出して胸詰まる思いにとらわれる。その気持ちを書いている。過去の事件も書いている。そして、本文もさることながら、あとがき、そして解説を訳者が長文掲載している。恐れ入ってしまった。どのように捉えていいのかわからず、ググってみると、ノーベル文学賞のアニー・エルノー「シンプルな情熱」 担当編集者が語る、今読むべき理由とは?|まいどなニュース (maidonanews.jp)に行き当たった。このまいどなニュースを読んでようやく少しわかった気がした。なかでもオートフィクション(自伝的なフィクション)という言葉を見つけて、そういうことなのかと了解した。最近の映画もそうだが20世紀では現実ネタを“true story”として描いていたが、今では“inspired by the true story”実話に基づく話としてフィクションであるとしている。この本は実話をネタに小説として書いた話なのである。衝撃的な内容も含まれているけれど、だからなんなのだ、とも思えてしまい。私の理解や共感が足りないと思えた。また、驚いたことに作家・アニー・エルノーはノーベル文学賞受賞者だった。(以下、まいどなニュースより)“アニー・エルノーは以前からフランス語圏では人気作家として知られていましたが、「Les années(歳月)」の英訳が2019年にブッカー国際賞の最終候補になったことから、英語圏での人気に一気に火が付きました。また、数年前から必ずノーベル文学賞の発表前は受賞候補として名前があがっていたため、いつか受賞するのではないかと早川書房内でも期待がありました。2022年6月に、アメリカ合衆国の最高裁で、1973年に認められた人工妊娠中絶の権利が破棄されたことや、女性の中絶の権利が危うくなってきている世界情勢の中で、エルノー自身の中絶体験が色濃く反映された「事件」がふたたび注目を集めたことなども少しは影響しているのかもしれません。“(以上、まいどなニュースより)そしてまた驚いたのは第78回ベネチア国際映画祭にて金獅子賞を受賞したフランス映画「あのこと」の原作「事件」がアニー・エルノーの本であることだった。映画「あのこと」を見てもなんだかなぁ、としか感じられなかったけれど、映画の舞台となる1960年代フランスでは中絶が犯罪であった。映画は「望まぬ妊娠をした大学生の12週間にわたる日々」を描いたものである。その時代の閉そく感、妊娠・中絶の当事者となった絶望感、悲壮感を十分に感じられなかった私であった。原作者アニー・エルノーは主人公同様、あの時代に中絶を体験している。そして、それを小説に書いた。小説に書けたのは中絶が犯罪でなくなり、憲法で中絶を容認するようになったからであろう。とはいえ、フィクションにしたが実体験を書き公表したことは驚くばかりである。シンプルな情熱 (ハヤカワepi文庫) [ アニー・エルノー ]シンプルな情熱 [ レティシア・ドッシュ ](DVD)
2024.06.07
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「メアリーの怪物」と見て、映画「メアリーの総て」を舞台化したものかと思った。メアリーとはフランケンシュタインの原作者の名である。そうではなくてもフランケンシュタインのように死者再生の映画「哀れなるものたち」のような作品になるのか、とも思った。実は全く異なる物語であり、フランケンシュタインみたいなものは出てこない。出て来るのは人間、ロボット、クローンである。そして、死者再生を試みた研究の結果は……。ネタバレについては、後日書こうと思う。さて、出演者には若者が多く、今どきの若者らしく、スレンダーで小顔な人たちが散見された。舞台よりも映像で映える、見られるに適した容姿である。久々に見る演劇はかぶりつきの最前列で見たせいか、大きすぎる声とにぎやかすぎるほどの動作に圧倒された。まだ、本番になれていないせいかセリフを度忘れしたり、セリフを噛む演者がいた。ちょっとしたミスを除けば熱量を持ったいい舞台であった。ブログ 6月12日 感想「メアリーの怪物」
2024.06.06
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小池百合子 - Wikipedia小池百合子氏の大学卒業詐称問題はもはやどうでもいい。彼女の大学卒業の真偽はともかく、すでに2期東京都知事を務めている。この2期の功績はどうだったかを考えるべきである。とはいえ、もちろん大学卒業が詐称であったならば辞職するなり陳謝すべきである。都民に対して嘘偽りを騙っているならば。嘘偽りかどうかは小池氏自身が知っている。私が知るうえで小池百合子氏の都知事としての功績は何もないと感じる。もしなにかしら多大な功績があるならば文句なしに三期目もゆだねる。ところが二期目さえ躊躇した。公約はほぼ何もなしえていないからである。しかし、小池氏は二期目続投となった。ひとえに対抗馬がいなかったからといえる。また、知名度とマスコミ、マスメディアの対応の的確さが彼女の無策を覆い隠したともいえる。結果として判断ミスもあった。オリンピックでのマラソンを北海道へ変更したこと(北海道は暑かった)。豊洲移転は延期しただけなど。そして、神宮外苑再開発におけるイチョウ並木の伐採である。都庁のプロジェクションマップの無駄遣いも非難の的である。ただ、コロナ禍の中での都政の運営は未曽有(みぞう)の出来事でもあったので小池知事の旗振りで対応が進んだところもあったかと思える。あの時の獅子奮迅ぶりは称えていいのかもしれない。話はかわるが、政治の世界において長期政権は良くない。これは歴史が証明している。ゆえにアメリカは大統領を三選禁止とした。(禁止としたが、大統領引退後は政治の場から引退したとしても元大領領として外交をはじめ各種業務を行わなければならない。また、終生ボディガードが付き、手当も支払われる。日本の元総理は引退後、ただの人なのだろうか)長期政権となったロシアも中国もよろしくない。三選禁止としたアメリカも負けを認めないトランプ氏によって混乱している。自分の辞書に勝利しかない人は困ったものだ。アメリカ大統領選で実質勝っていたかもしれないのに潔く敗北を認めたゴア氏の爪の垢を煎じて飲ませてほしい。話を小池百合子氏に戻すと、三選はない。新しい都知事を望む。
2024.06.05
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ミッドナイト・キラー : ポスター画像主演はミーガン・フォックスなのだろうが、ブルース・ウィルスとエミール・ハーシュの存在によって行くわからなくなっている。犯人の思考、行動が理解できず動機もわからない。これでは物語に感情を移入することは難しく、途中でいなくなったブルース・ウィルスばかりが気になった。恐怖感だけを残した、意味不明な作品であった。amazon prime video にて2021年/アメリカ/99分/監督:ランドール・エメット脚本:アラン。ホースネイル出演:ミーガン・フォックス、ブルース・ウィリス、エミール・ハーシュ、ルーカス・ハース、コルソン・ベイカー、リディア・ハル原題:Midnight in the Switchgrass(「アメリカクサキビの中の真夜中」)お薦め度「ミッドナイト・キラー」★★★(60%)
2024.06.02
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(C)2021 VVZ Production – Pathe Films – Constantin Film Produktion – M6 Filmsなかなか見どころのあるラブ・ストーリーが描かれていたが、これは全くの創作なのだろうか。だとしたらちょっといただけない。実在した人物ゆえに、全く架空の人が登場ということを私は感心しない。とても素敵な恋物語だけに残念な気がする。また、エッフェル塔製造の艱難辛苦も少し描かれている。私としては壮大なスケールでエッフェル塔構築の壮絶さを余すところなく微に入り細に入り描き、完成時には涙を流す成功物語として結実してほしかった。それにしても、エッフェルの相手となるアドリエンヌ・ブールジェを演じたエマ・マッキーは魅力的であった。大きな瞳大きな口。素敵だ。U-NEXTにて2021年/フランス・ベルギー・ドイツ/108分/R15+監督:マルタン・ブルブロン原案:カロリーヌ・ボングラン脚本:トーマス・ビデガン、マルタン・ブルブロン、マーティン・ブロソレット出演:ロマン・デュリス、エマ・マッキー、ピエール・ドゥラドンシャン、アルマンド・ブーランジェ、アレクサンドル・ステイガー、ブルーノ・ラファエリ、オンドラニック・マネ原題:Eiffel(「エッフェル」)お薦め度「エッフェル塔 創造者の愛」★★★☆(70%)
2024.06.01
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Yahoo!オークション - 映画ポスター トロイのヘレン B2ポスター(ロバ...私のアフロディーテ(女神)といえるロッサナ・ポデスタ主演の超大作である。たぶん一生見ることはなかったなと思えるがU-NEXTで検索したらあったので見てみた。見てみてわかったが、トロイの戦争は、トロイにとって悲劇であった。悲しい結末で終わる作品だ、もちろん、トロイの木馬がクライマックスに登場する。ギリシア神話の大英雄アキレスも登場する。なかなか見ごたえのある作品である。この作品、当時の流行なのだろう、OVERTURE(オーバーチュア)、すなわち序曲で始まる。延々と続く序曲は5分くらいあろうか。史劇としてのスペクタクル巨編が始まる。東西の交易の要所にあったトロイ王国は堅牢な城壁で囲まれていて、攻め落とすことは困難であった。諸国を支配下に置くスパルタ王国はギリシア諸国と力を合わせトロイ攻略を狙っていた。それを察知したトロイであったが、平和外交を目指し、王子パリスを大使として送り込む。しかし、嵐のため難破し、漂流したパリスはスパルタ王妃ヘレンに助けられる。ヘレンを王妃と知らないパリスは恋におちたようだ。パリスは単身でトロイ攻略の軍議をしているスパルタ王宮に乗り込み、客人としてもてなされたが、軟禁されてしまう。パリスの命を助けるべくヘレンは従者たちを使いパリスを逃がす。しかし崖っぷちで追手に囲まれたパリスはヘレンともども身投げして脱出する。トロイに戻ったパリスは凱旋し、ヘレンを姫として遇する。スパルタはギリシャ諸国を引き連れてトロイせん滅に上陸し、大戦の激闘は始まった……。これを映画館で見ていたら、圧倒されたんだろうなと思える。68年前に公開だからなぁ。さて、ロッサナ・ポデスタについて記す。U-NEXTでは「トロイのヘレン」以外では「黄金の七人」「続黄金の七人 レインボー作戦」という作品が見られる。「黄金の七人」での彼女は「ルパン三世」の峰不二子のモデルとされ、羨望の的であった。私が彼女にぞっこんになったのは「黄金の矢」というダマスカスの都のお姫様強奪物語であった。1963年製作・公開の「黄金の矢」の時、彼女は28歳、とてもチャーミングだった。その彼女の姿を求めて映画雑誌を漁った。映画における最初の私のアイドルである。その「黄金の矢」との再会を期していろいろと探したが見ること能わずだったが2022.10.30にYouTubeで見ることが出来た。日本語字幕のない英語のみだったけれど、嬉しかった。今は見れないのか、検索できない。U-NEXTにて1955年/アメリカ/120分/監督:ロバート・ワイズ原作:ホメロス脚色:ジョン・ツウィスト出演:Helen_of_Troyロッサナ・ポデスタParisジャック・セルナスKing_Priamサー・セドリック・ハードウィックMenelausニオール・マッギニスAchillesスタンリー・ベイカーHectorハリー・アンドリュースPolydorusロバート・ブラウンAgamemnonロバート・ダグラスUlyssesトリン・サッチャーPatroclusテレンス・ロングドンAjaxマクスウェル・リード原題:Helen of Troy(「トロイのヘレン」)お薦め度「トロイのヘレン」★★★☆(70%)
2024.06.01
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(Amazon.co.jpより)”自分らしい生き方を見つけて輝いている60歳以上の女性51人をインタビュー。人生100年時代を生き抜くヒントが見つかります。【目次】PART1 60歳からは好きなことを仕事にするPART2 60歳からの新たな挑戦PART3 いくつになっても自分らしく働くPART4 60歳からの自分らしい暮らし【出版社からのコメント】60歳でモデルデビューをした女性、73歳で自分のお店を持った女性、62歳で人生のパートナーに出会った女性、60歳をすぎてから上京した女性…さまざまな女性が登場します。彼女たちの生い立ちや経歴、考え方などから、年齢を言い訳にせず、いくつになっても輝き続けられる生き方が見えてきます。”(以上、Amazon.co.jpより)60歳を過ぎて、ためになるというか面白そうな本だと思えて、読んで見た。ほとんどの人が息子、娘はいながらも独立したようで、夫とふたり、もしくは一人暮らしである。皆それぞれ自分自身がしたいことをやり、積極的に行動しているようである。中でも”77歳で周4日フルタイムで就労支援の相談員として勤務している”人には驚いた。77歳で現役である。定年のない東京都で働き続けているとのこと。5年更新らしいが”80歳まで働き続けることが目標”とあり、実現してもらいたい。
2024.06.01
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NHK BSシネマで放送される映画の中からおすすめ作品を紹介します。6月おすすめ作品は「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」「ゲッタウェイ」「パッチ・アダムス」「シックス・センス」「かもめ食堂」「沈黙ーサイレンスー」「大いなる西部」「マネーボール」「モンタナの風に抱かれて」「ミッドナイト・ラン」「E.T.」「カサブランカ」「特攻大作戦」の作品の中から選んだ5作品はこれら。紹介済みの「カサブランカ」を除外するとこうなった。(チラシ画像の下のリンクは画像の出展元を掲載)写真提供:アマナイメージズ「シックス・センス」2024年6月10日(月)午後1時00分~2時48分THE SIX SENSE 1999 アメリカ1999年10月30日劇場公開日、映画館にて鑑賞。予告もあらすじも知らずに見て正解。ミステリーの極致。M・ナイト・シャマラン監督の最高傑作。お薦め度★★★★☆(90%)映画.com ALL TIME BEST 「シックスセンス」大いなる西部 : 暗闇の中に世界がある ーこの映画を観ずして死ねるか!ー (livedoor.jp)「大いなる西部」2024年6月14日(金)午後1時00分~3時48分THE BIG COUNTRY 1958 アメリカ1984年4月29日テレビ放映にて鑑賞。東部男グレゴリー・ペックと西部男チャールトン・ヘストンの一騎打ち。殴り合うシーンは圧巻。ジーン・シモンズの美しさにときめいた。お薦め度★★★★☆(90%)マネーボール : ポスター画像「マネーボール」2024年6月17日(月)午後1時00分~3時14分MANEYBALL 2011 アメリカ2011年12月10日映画館にて鑑賞。MLBってこんなになっているんだ、と知り、「マネー・ボール理論」により常勝集団になっていく姿に感動。素晴らしい実話ネタ。お薦め度★★★★(80%)映画.com ALL TIME BEST 「マネーボール」ミッドナイト・ラン : ポスター画像「ミッドナイト・ラン」2024年6月20日(木)午後1時00分~3時07分MIDNIGHT RUN 1988 アメリカ1988年12月30日映画館にて鑑賞。掘り出し物を見つけた喜びを味わえた傑作。デ・ニーロとチャールズ・グローディンのコンビは最高だった。お薦め度★★★★(80%)映画.com ALL TIME BEST 「ミッドナイト・ラン」写真:AFLO「E.T.」2024年6月24日(月)午後1時00分~2時56分E.T. THE EXTRA-TERRESTRIAL 1982 アメリカ1982年12月28日映画館にて鑑賞。2002年4月28日映画館にて20周年記念作、鑑賞。E.T. 最高!!オリジナル作品の方が良い。お薦め度★★★★★(100%)映画.com ALL TIME BEST 「E.T.」
2024.06.01
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【虎に翼】これからが本番[裁判官編]スタート!見どころ動画【NHK朝ドラ公式】 - 虎に翼 - NHKたしかで「初の女性弁護士誕生へ」という新聞記事の切り抜き。寅子の父がスクラップにしていたその切り抜き記事の上に”たしかで”と鉛筆書きされていた。見てすぐ、左から読む”たしかで”ではなく右から読む(書いた)”でかした”ということを理解した。父にとって娘・寅子の弁護士就任は”でかした”ことであった。今回の朝ドラ「虎に翼」も”でかした”ドラマになったようだ。前段と思える裁判官になるまでが今週で終わり、次週からは「裁判官編」になるとのこと。見どころはこれからますます増えるであろう。戦争という悲劇によって、父(病死)、兄(戦死)、夫(戦病死)といった男手を亡くし、母、兄嫁、寅子たちはみな寡婦となってしまった。新たに制定された日本国憲法のもと弁護士の道へ進むと決めた寅子は勇ましく心強い。次週からも楽しみである。さて、伊藤沙莉について語ろう。彼女を知ったのはNHK朝ドラ「ひよっこ」の米屋の娘役である。米屋の店主役の斉藤暁の娘として似合いの小柄な向こうっ気の強い役であった。印象に残るが取り立ててどうとは思わなかった。その後もドラマに出続けていて、そのうち主役を演じるようになったので現場では注目されていたのであろう。ドラマ「シッコウ!!〜犬と私と執行官〜」で織田裕二が脇役で出演するというニュースをみて初めて彼女の演技力が注目されていることを知った。それより前に、映画「ファーストラヴ」を配信で見た時に、高校生役として廊下を歩く伊藤沙莉に気づいて驚いたものである。こんな昔から出ているのか、と思ったけれど、もっと前、子役から出演はしていて、2005年に「女王の教室」に出演している。この時に主演の”天海祐希から「あなたはカメラが自分に向いてないときでも、必ずしっかりお芝居をしている。いつか誰かが見つけてくれるから、手を抜いたり気を抜いたりしないで。あなたは素敵だから、ずっとそのままでいて」と言葉をかけられ、それをずっと守ってきたと話す。”(Wikipediaより)とあり、このことがあり、演技に精進してきた彼女だから成長できたのであろう。昔は子役は大人になったら成功しないと言われたものだが、それは子役をあくまで子役として扱っていたからであろうし、大人女優として大成した杉田かおるや安達祐実などの先達が実績を作ってきた結果、演技力重視の昨今、主役級を見れば子役、もしくは十代からやってきた者たちが席巻する今となっている気がする。(昔も高峰秀子とか子役から大成した女優はいる)注目の伊藤沙莉もこの5月で30歳となった。時がたつのは早いものである。裁判官編となり大人の女性、中年の女性を演じる彼女を注視していきたい。
2024.06.01
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高校の課題図書なのか。わからないでもない。読んでみて想起したのは映画「遠い空の向こうに」だ。さびれた炭鉱の町の高校生が宇宙の夢に魅せられて、やがて大学へ進み、NASAで働く者も出て来る実話ネタである。この「宙わたる教室」も定時制高校の生徒たちを中心にして、大学の研究員でもある理科教師のもと科学部で火星のクレーターの再現と検証を行い、研究発表の全国大会に出場し、発表をする。しっかりとした内容を感じるのはこちらも実話ネタだからである。小ネタやエピソードは作者の創作なのかもしれないが大筋は実話としてあるのだから肉付けをすればいい。とはいえ、これだけの濃密な内容のものに仕上げたのには骨が折れたであろう。参考文献はハンパない数あった。ミステリーやエンタメの作品とは違って骨太でリアルな感じがとてもいい。それゆえ課題図書にもなったのかも。科学にまつわる実のある話、読み応えあり。宙わたる教室 [ 伊与原 新 ]
2024.05.30
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お気に入り作家、新川帆立で未読だったので、読んでみた。一読、やはりおもしろい。視点も発想も多面的で読んでいてためになるというか、別の角度から見ることを知って、驚く。Amazonより”最良の離婚、請け負います!家族はもっと、いろんな形がある。前を向く元気をもらえる、新時代のリーガル・エンタメ!夫のモラハラと浮気に耐えられなくなった聡美は、子供を連れて実家のある北鎌倉に避難する。そこで出会ったのは、縁切寺として名高い「東衛寺」の娘で、離婚専門弁護士の松岡紬。勢い込んで紬に離婚相談をした聡美だったが、思いがけないことを言われ……。離婚したいと思ったらまずは何から? 財産分与と親権の争い方は? 熟年離婚、同性カップル、離婚前後の泥沼トラブル。切り抜け方は……? 知っておいて損なし! 上手な縁の切り方、教えます。可愛らしくも方向音痴で意外と天然(?)な紬先生をはじめ、個性豊かなキャラクターが織りなす、温かなヒューマン・ドラマにして、スカッと痛快なリーガル・エンタメ。”縁切り上等! 離婚弁護士 松岡紬の事件ファイル [ 新川 帆立 ]
2024.05.29
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小池百合子 - Wikipedia小池都政小池百合子都知事についてWikipediaを読んだ。 彼女の選挙歴の一覧である。一度も負けたことがない。厳密にいえば、自民党に逆風が吹いた「第45回衆議院議員選挙」では負けたのだけれど、比例にて復活当選している。議員としての空白期間はない。(国会議員を辞職して都知事選で当選するまでは空白ではある)この度の都知事選では蓮坊氏が立候補表明したことにより苦戦を強いられるが、伯仲する選挙戦となるであろう。小池氏はしたたかである。早々と立候補宣言すれば、ライバルの機先を制するということになるであろうが、自ら宣言すれば、支援を頼み、頭を下げねばならない。立候補宣言を留保していれば、小池氏に立ってほしい人たちは立候補をお願いしに来る。支援する側が小池氏に頭を下げることになる。小池氏が頭を下げて支援をお願いするよりも、頭を下げられて支援していただく方が小池氏にとっては有利でありなんでも(?)言うことを聞いてもらえる。したたかな戦略に思える。今回、手ごわいと思える蓮坊氏が出てきたことで都知事三選に黄色信号がともった。小池氏にとっては嫌な存在である。しかし、まったく嫌とは言えない。前回の都知事選のような圧勝は望めなくなったけれど、強敵・蓮坊氏に打ち勝って三選を果たせば都知事として盤石となり、虚偽だとされるカイロ大学卒業の真相も胡散霧消、立ち消えてしまうだろう。また、選挙が伯仲し、蓮坊氏に負けたとなっても、近々衆院が解散されて国政選挙に出馬し国政に復帰する可能性が強い。国政選挙も無所属としてたったとしても都知事選で支持をしてくれた政党などからは万全の支援を得られ、場合によっては当選後、自民党に入り、党三役、もしくは総理候補として担がれる可能性があると思われる。都知事選に勝っても負けても行く末に心配がなければ鷹揚に横綱相撲での選挙戦ができるのではないだろうか。
2024.05.29
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蓮舫 - Wikipedia蓮舫氏都知事選出馬会見に報道陣120人殺到 小池百合子氏の学歴詐称疑惑報道に「経歴には注目しています」(よろず~ニュース) - Yahoo!ニュース蓮坊氏が東京都知事選に立候補するという。小池都知事への対抗馬として誰が良いかと考えた時に、私の頭にも蓮坊氏が浮かんだ。しかし、現職の国会議員。2022年に4期目となる参議院議員である。6年ある任期のうちのまだ2年目。途中で職務を投げ出した感じは否めない。在職は20年に及ぶ。その間の功績は何をしたかわからないが2009年の事業仕分けでスパコンに関する質疑で「2位じゃダメなんですか」と問うたことくらいしか知らない。蓮坊氏の政治姿勢についても良く知らない。しかし、Wikipediaでちょっと見ると元総理の野田氏のシンパであるらしい。総理としての野田氏については自民党に政権禅譲したことしか知らない。いや、禅譲したかたちになってしまった。ゆえに野田氏の政治手腕に関しては懐疑的だ。手段がなくやむを得なかったのかもしれないけれど、残念な結果であった。さて、蓮坊氏に東京都知事が務まるのか。それは、わからない。わからないが小池都知事くらいはできるだろう。小池都知事は何もしないわりに発信力はある。それだけの政治家だ。自身の才に溺れ、失言してしまうことも多い。高圧的で強権を誇示し、誤りを認めない。初当選の時は状況から小池氏一択だったし、二期目は対抗馬がいなかった。三期目は経歴詐称の蒸し返し、神宮再開発の無謀さ、豊洲移転等々、問題が明るみに出るだけで実績と呼べるものは何もない。東京オリンピック・パラリンピックは一年の延期の上、観客を入れないということで成功したとは言い難い。また、汚職事件があり、その点において最悪である。この東京オリンピックは石原元都知事の遺産であり、石原元都知事の業績についてはディーゼル車の排ガス規制など、いろいろとあるらしい。さて、発信力のある小池都知事から発信力のある蓮坊氏へ、都知事がかわることは可能なのか。自分たちだけが良ければという選民思想が見受けられる小池都知事にはワンポイントリリーフとして大いに活躍していただいた、コロナ禍の救世主として退場していただいて、蓮坊氏か誰か新しい都知事を迎えたい。ちなみに蓮坊氏は小池都知事より15歳若い。小池都知事は70代となった。
2024.05.28
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野村芳太郎 「張込み」 (1958) | It’s not about the ski 遅れて来た天才スキーヤー???、時々駄洒落(笑)、毎日ビール!(爆) (ameblo.jp)松本清張原作で野村芳太郎監督作品の傑作と知り、見てみた。1958年、昭和33年公開の映画である。白黒作品である。電車ではなく汽車、SLが走っている。社内の空調は扇風機である。大都会東京は喧騒の都市であるが、張り込む先となる佐賀は田舎で、町を離れると田畑や野原が広がっていて家など何もない。わずかに集落があるくらいか。そんな時代の話。質屋殺しの共犯者を追って、三年前の恋人で今は人妻となった女性宅を張り込むために佐賀までやって来た。ちょうど向かいに木賃宿があり捜査員二人は逗留し、見張ることに。捜査員の一人は勤続20年の刑事で家族持ちであり、若い方は結婚を前に心揺らぐ刑事である。若い捜査員には恋人がいるが、所帯を持ったとしても相手は働き続けてその給料を実家に仕送りをしなければならないという責を負っている。またコンビを組む刑事の妻からはお風呂屋の娘との縁談を持ち込まれ悩んでいた。張り込みを続けるも判で押したような共犯者の元恋人は家事作業はかわらず繰り返され、今日で張り込みを取りやめ引き上げようとしたところ元恋人が遠出した。追いかけたが見失う…。刑事ドラマでありながら描かれているのは貧乏人の不幸、情熱的な恋というものではないだろうか。しぶい作品ながら熱情を感じる作品であった。U-NEXTにて1958年/日本/116分/監督:野村芳太郎原作:松本清張脚本:橋本忍出演:大木実、宮口精二、高峰秀子、田村高廣、菅井きん、高千穂ひづる、竹本善彦、藤原釜足、文野朋子、松本克平、浦辺粂子、山本和子、川口のぶ、北林谷栄、内田良平、大友富右衛門、多々良純、芦田伸介、近衛敏明、末永功、草香田鶴子、小林十九二、大友純、松下猛夫、玉島愛造お薦め度「張込み」★★★☆(70%)
2024.05.26
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(C)2022 CHASE FILM NEVADA, LLC ALL RIGHTS RESERVEDジェラルド・バトラー主演の映画ゆえ、間違いないかと思って見たけれど、少々期待外れ。こういう作品もあるかなと思うしかない。大人の女性が誘拐されてしまうことに疑念を覚えるが、不可思議な事件には裏があった。一人躍起となって妻の行方を追う彼は異常に見える。しかし、この異常に見える、自分のことは自分で解決するということを自負とするアメリカ人ならではの思考であり行動である。ゆえに映画化されたものなのかもしれない。内容としての必然性や理路整然とした部分が構築されていれば、興味を持って見ることが出来た気がする。U-NEXTにて2022年/アメリカ/95分/監督:ブライアン・グッドマン脚本:マーク・フライドマン出演:ジェラルド・バトラー、ジェイミー・アレクサンダー、ラッセル・ホーンズビー、イーサン・エンブリー、マイケル・アービー、シンディ・ホーガン、ブルース・アルトマン原題:Last Seen Alive(「生存最終確認日時」)お薦め度「CHASE チェイス 猛追」★★★(60%)
2024.05.26
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こういう作品を何といえば良いのかと迷ったがノンフィクションなのだ。いつもフィクションばかり読んでいるので、とまどう。”深夜3時42分。母を殺した娘は、ツイッターに、「モンスターを倒した。これで一安心だ。」と投稿した。18文字の投稿は、その意味するところを誰にも悟られないまま、放置されていた。2018年3月10日、土曜日の昼下がり。滋賀県、琵琶湖の南側の野洲川南流河川敷で、両手、両足、頭部のない、体幹部だけの人の遺体が発見された。遺体は激しく腐敗して悪臭を放っており、多数のトンビが群がっているところを、通りかかった住民が目に止めたのである。滋賀県警守山署が身元の特定にあたったが、遺体の損傷が激しく、捜査は難航した。”母という呪縛 娘という牢獄 | 齊藤 彩 |本 | 通販 | Amazon より主人公・あかりの日記・手紙・LINEなどを基にして、裁判の記録も本人との交流(手紙など)を経て、完成した本である。10年に及ぶ受験勉強は熾烈で地獄だったのだ、と思えた。常軌を逸した犯罪行為であるが、抑うつされた境遇を思うとあかりに気持ちを寄せてしまう。母という呪縛 娘という牢獄 [ 齊藤 彩 ]
2024.05.26
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”ハンチバック”が”せむし”の事とは知らなかった。また、カバーデザインの絵が”せむし”を表しているとは気づかなかった。衝撃的な内容である。なんという世界。しかし、身体障害者の性について思うと映画「セッションズ」を思い出した。ヘレン・ハントがセックスパートナーの役を演じた作品だ。衝撃的な内容であった。さて、本書「ハンチバック」は生まれながらの障害女性が親の遺産でグループ・ホームを経営(?)。コタツ記事を書きながら暮らす、人工呼吸器と電動車いすを利用する40代の女性が性体験をしたいと……。圧倒されてしまった。ハンチバック [ 市川 沙央 ]
2024.05.26
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伊予原新「月まで三キロ」を読んだ時に「<対談 逢坂剛・伊与原新>馬力がある小説」という章が巻末にあり、馬力がある小説として逢坂剛を読みたくなり読んで見た。読書レビュー 「月まで三キロ」伊与原新:著 新潮文庫冒頭からなかなか惹きつける導入部で読みごたえもあった。内容は充実していて展開も早いので飽くことがない。悪徳刑事とまではいかないが、己の規範しか持ち合わせない短躯(たんく)<背の低い人>ながら異様に肩幅が広い最悪の刑事・禿富鷹秋が主人公。彼は腕っぷしが強く敏捷である。出て来る女たちは魅力的だ。血も涙もない非情な暗黒社会を単独で捜査する強面。読み始めて「新宿鮫」を想起したが、鮫島はよりステイリッシュで情がある。情け無用のハゲタカは強烈な本だった。ただあまりに強烈なので映像化されていないのかなぁ。映像化されている百舌シリーズを読むかなぁ。「カディスの赤い星」も読まねばなるまい。禿鷹の夜 (文春文庫) [ 逢坂 剛 ]
2024.05.26
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(C)Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023. All Rights Reserved.これは音の映画。暗く映るスクリーンを前に音が弾け聞こえる。聞こえる……。聞こえる……。風変わりな映画だ。これは劇映画と呼べるのだろうか。原作があり、それを表現したものであるようだが。不思議な映画だ。批判も意見もなく、ただそこにあるがごとく映し出している。それだけの映画。何たる作品。しかし、見ないことには評することはできない。やはり、音の映画だ。ああ、妻役は「落下の解剖学」のサンドラ・ヒュラーなのか。2023年/アメリカ・イギリス・ポーランド/105分/G監督:ジョナサン・グレイザー原作:マーティン・エイミス脚本:ジョナサン・グレイザー出演:クリスティアン・フリーデル、サンドラ・ヒュラー原題:The Zone of Interest(「関心ある範囲」)お薦め度「関心領域」★★★☆(70%)字幕翻訳:松浦美奈
2024.05.25
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本屋大賞を受賞の作品。大言壮語なことをいう成瀬。この題名「成瀬は天下を取りに行く」も大言壮語である。200歳まで生きる!誰も思わないそんなこと。しかし、言霊なのか、有言実行ではないが、言っているうちにかなうこともある。という。さて本書は、ありがとう西武大津店膳所(ぜぜ)かた来ました階段は走らない線がつながるレッツゴーミシガンときめき江州音頭(ごうしゅうおんど)の6つの章からなる。期待を寄せて読んだ「ありがとう西武大津店」は中学生14歳として、向こう意気の強さが出て良かったが、期待しすぎたのか、心躍るまではいかなかった。続く「膳所(ぜぜ)かた来ました」で漫才挑戦とは意表を突かれた。「階段は走らない」には郷愁が感じられて「線がつながる」とはそういうことかと感心した。この中で一番心に響いたのが「レッツゴーミシガン」であった。映画「ちはやふる」を見ていたこともあり、かるた鳥の場面が目に浮かんだ。ミシガンに私も乗船したい。ラストの「ときめき江州音頭(ごうしゅうおんど)」では成長して別れを意識するが、繋がっていることを再認識して心温まる。軽いタッチで描かれていながらいろいろと縦横無尽に展開され、いろいろな人の思いを知り、感じることが出来た。西武大津店はなくなった。そして、対比として登場した西武池袋本店であったが、この西武池袋本店も消えゆく運命である。時の流れの非情さを感じる。西武池袋本店が閉店するとき、成瀬は立ち会うのだろうか。成瀬は天下を取りにいく [ 宮島 未奈 ]
2024.05.24
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いま、驚いた。ググったら「平場の月」映画化、とあった。第32回山本周五郎賞受賞ということで気になり読んで見た。埼玉に育ち、上京し、埼玉に戻り、細々と暮らす。アラフィフ、男と女。ともに独身。寡婦だったり、バツイチだったり。中学生の時に男は女に告白した。勢いでか?病院で再会するというのは体にガタがきた中年ならではであろう。なんとなく飲みに行き……なんとなく飲みが続き……なんとなく……多くを語ることなく、なにかを構築することなく、老後があるものと……でも……愛って、あったのかなぁ。嫌いではないよな……。情熱はどうだろう……。読み終えて、感覚のない感覚を感じた。
2024.05.23
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恋するプリテンダー : ポスター画像プリテンダーって何?と思ってググると、「詐欺師」とあった。映画を見ると原題の”ANYONE BUT YOU”の意味の”あなた以外の誰か”の方が言いえて妙の気がする。ちょっとひねって邦題を考えたのだろうけれど、ちょっと違うというか本題からは、ずれていると思われる。さて、見たところ前半はB級コメディのようでどうなることかと心配した。しかし、”タイタニック”の後から、グッと良くなり、ラブ・ストーリーらしくてグッときてしまった。彼女の行方が気になるところだけれど、”人を見に行く”という言葉で彼同様、行き先がわかった。もう、キュンキュンものでした。感動が押し寄せてきて、泣きそう。いや、泣いたか……。終わってみればとても素敵な映画でした。2023年/アメリカ/103分/G監督:ウィル・グラック原案:イラナ。ウォルバート脚本:イラナ・ウォルバート、ウィル・グラック出演:シドニー・スウィーニー、グレン・パウエル、アレクサンドラ・シップ、ガタ、ハドリー・ロビンソン、ミシェル・ハード、ダーモット・マローニー、ダレン・バーネット、ブライアン・ブラウン、レイチェル・グリフィス、チャーリー・フレイザー、ジョー・デビッドソン原題:Anyone But You(「あなた以外の誰か」)お薦め度「恋するプリテンダー」★★★★☆(90%)字幕翻訳:永井歌子
2024.05.21
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短編集「惨者面談」「ヤリモク」「パンドラ」「三角奸計」「#拡散希望」と5作品。冒頭の「惨者面談」があまりに秀逸で想像を上をずいぶんと越えていく作品なので驚いた。超傑作といえそうなくらいの作品だ。この作品に打ちのめされて、あとの4作品は出来が良くても感動や意外性の極致を越えていかない。一作目のインパクトが強すぎて、そのあとの衝撃がわからない(苦笑)とはいえ、どれも驚きの展開が待っていた。#真相をお話しします [ 結城 真一郎 ]
2024.05.19
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(C)2024「碁盤斬り」製作委員会クライマックス、「碁盤斬り」の意味が分かった時に感動する。囲碁のことがわからないので盤上をみてもさっぱりわからないが、見ていて主人公・柳田格之進(草彅剛)が強いということだけはわかった。貧乏長屋に暮らしていながらもこざっぱりとしている浪人、そしてその娘(清原果耶)。置屋の女将を演じた小泉今日子の年齢を感じさせる風貌が役柄と相まってとてもよかった。囲碁大会の胴元親分の市村正親には貫禄があった。萬屋源兵衛の國村隼、跡取りの手代・弥吉の中川大志も良かったなぁ。貧乏長屋に住みながらも凛として小ぎれいな武士・柳田格之進(草彅剛)は清廉な正義漢であり、武士としての矜持を貫く剣士である。その娘・お絹(清原果耶)も清廉な娘であった。真っ当な生き方をしているにもかかわらず、ひょんなことから50両の窃盗を疑われてしまう。武士としてのメンツを気にするあまり、最悪な事態に。プライドのために命を懸け、娘の身まで……。仇討ちしなければならない状況にも追い込まれ、武士としての矜持にとらわれる不条理に見ているこちらはやむにやまれぬ気持ちになってくる。どうにここうにもならなくなってしまう時に情報が得られてギリギリの大晦日に仇討ちの相手と対峙する。クライマックスの大立ち回りは見物であり、その決着も大仰であった。ただ、本当のクライマックスはこのあと、「碁盤斬り」にある。”碁盤斬り”のシーンは見物である。感動ものである。素晴らしくすごい作品であった。ただこのあと、清廉潔白であった柳田格之進の言動にやや納得できないところが出て来るが、それも経験の上でのことなのかもしれない。見ごたえ見どころのある時代劇「碁盤斬り」をお勧めする。必見である。2024年/日本/129分/G監督:白石和彌脚本:加藤正人出演:草彅剛、清原果耶、中川大志、奥野瑛太、音尾琢真、市村正親、立川談慶、中村優子、斎藤工、小泉今日子、國村隼お薦め度「碁盤斬り」★★★★☆(90%)
2024.05.19
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(C)︎2024「missing」Film Partnersかわいい盛りの幼子。女児。愛くるしい、かわいい。かわいくて、かわいくて、かわいい。英語文字の題名”missing”。ビラを配る夫婦に密着するテレビ取材。女児失踪、そして、必死に情報提供を呼び掛ける親夫婦。娘の行方は知れず。娘を思う気持ちがあふれ出る母親、石原さとみ。冷静に状況をとらえて妻に寄り添う夫、青木崇高。失踪した姪と最後に一緒にいた母親の弟、森優作。そして、母親の母、美保純。新人テレビ記者、小野花梨。先輩テレビ記者、中村倫也。適材適所、みごとなキャスティングである。石原さとみ、森優作、美保純の親子で似ているのがいい。家族に思える。中村倫也は感情を激しく表に出すことなどほぼない役どころなので芝居のしどころは難しかったと思うが、その役柄に合わせてよく演じていたと思う。石原さとみの時に激昂する、躁鬱の激しい母親役は絶品なのかもしれない。妻を思う青木崇高も良かった。特筆すべきは森優作であろう。彼の存在が物語に深みと味わいを与えていたと思う。頼りなく幼少期のトラウマを抱えている青年。その居住まいだけで作品に風合いを与えていた。気になったのはカメラ。揺らぐカメラ。固定カメラで撮っていないのか、対象となる人物が座って動かなくてもカメラフレームがぼわぼわっと上下左右に揺らぐ。それが終始であった。舟にでも乗っているような揺れがあった。それは監督の意図として、娘が行方不明になった不安を、気持ちの落ち着きのなさを表現していたのだろうか。みごとな作品であると思うが、感動というものがない。ゆえに、その感動を抜きにして作り上げた作品なのかもしれない。2024年/日本/119分/G監督:吉田恵輔脚本:吉田恵輔出演:石原さとみ、青木崇高、森優作、有田麗未、小野花梨、小松和重、細川岳、カトウシンスケ、山本直寛、柳憂怜、美保純、中村倫也お薦め度「missing」★★★☆(70%)
2024.05.19
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ホット・シート | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品情報 - 映画ナタリー (natalie.mu)ちょっとひねった爆弾犯人映画。メル・ギブソンが出ているが、主役はケヴィン・ディロンだ。座った椅子に荷重式爆弾が仕掛けられていて、その椅子からの移動はできないという、動きのほとんどない対犯人とのやりとりはスリリングではあるが…。クライマックスの後の延長戦は犯人の動機に冗長さが感じられて、手に汗握るシーンなのに冷静に見てしまった。U-NEXTにて2022年/アメリカ/104分/監督:ジェームズ・カレン・ブレザック脚本:コリン・ワッツ、レオン・ラングフォード出演:ケビン・ディロン、メル・ギブソン、シャナン・ドハティ、マイケル・ウェルチ、サム・アスガリ、エディ・スティープレス、リディア・ハル、アンナ・ハー、ケイト・カッツマン原題:Hot Seat(「熱い席」)お薦め度「ホット・シート」★★★☆(70%)
2024.05.18
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(C)2022「夜明けまでバス停で」製作委員会2020年11月、東京・幡ヶ谷のバス停のベンチで座りながら眠っていた女性が、近隣の住民に殴打され、命をおとした。このホームレス女性の殺人事件は、とてもショッキングなニュースとなった。それを映画化したものだと思った。しかし、違った。この殺人事件をヒントにフィクションとして作られた作品である。2022年キネマ旬報ベストテンで第3位となった作品である。板谷由夏が主演で高橋伴明監督が撮る企画が動いていて、その脚本が梶原阿貴にオファーされた。脚本家の梶原阿貴は、このホームレス女性の殺人事件に衝撃をおぼえ、現場を訪れて突き動かされる感情を抱いた。梶原は、自らの発案で『夜明けまでバス停で』の脚本を手がけることになる。コロナ禍で起きた事件であり、梶原は「10年後、20年後、または50年後に『コロナ禍の東京はこうだった』と伝えたい。テーマは守りつつ、実録をやろうとは思いませんでした」と語る作品である。コロナ禍で居酒屋で住み込みで働く主人公は長年働いたにもかかわらずクビとなる。職も住居もなくしたことによりホームレスとなった女性がどのように生きていくのか、それを追い続けたものといえよう。皿洗いがルビーモレノとは気づかなかった。三浦貴大のマネージャー役は合わないと思えた。彼は良い人の役が適役なのでは。評価を得ている作品ではあるが、今この時に見ると切実な気持ちを共有できないのか、期待したほどの共感や感動は得られなかった。U-NEXTにて2022年/日本/91分/G監督:高橋伴明脚本:梶原阿貴出演:板谷由夏、大西礼芳、三浦貴大、松浦祐也、ルビー・モレノ、片岡礼子、土居志央梨、あめくみちこ、幕雄仁、鈴木秀人、長尾和宏、柄本佑、下元史朗、筒井真理子、根岸季衣、柄本明お薦め度「夜明けまでバス停で」★★★☆(70%)
2024.05.18
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不覚であった。この本、前に読んでるじゃないか。数十ページ読んで気づいた。振り返ると”感動も共感も特にはない”と書いた2022.11.30の読書レビュー「星のように離れて雨のように散った」島本理生:著 文藝春秋 であったが、今回読んだ文庫本では大いに共振していた。感ずるものがあった。文庫本では最後のところが改稿しているとのこと。作者のあとがきも、解説・柴崎由香の文も感心できる内容であった。2024.05.15の読書レビュー「白いしるし」西加奈子:著 新潮文庫とは違う恋愛小説だけれど、自分探し、自立する物語なのかも。主人公のその思いに共鳴し、今回は記憶に残る本になったともう。島本理生の本に出会った時に感じたことを改めて思う。彼女の本、好きだなぁ。星のように離れて雨のように散った (文春文庫) [ 島本 理生 ]
2024.05.18
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やっぱり、すごいな新川帆立。国会議員を描いて、事件物。唸ることしかできないほど、巧妙であり予想外の物語だった。幻冬舎の新刊案内から”文藝編集者人生ベスト3に入る小説です”この新刊案内の一文を転載しようかと思ったけれど、冒頭の事件の内容が書かれているので、断念した。筋書きはクライマックスだけわからなければよいというものではなく、この予想外の事件?事故?さえも予断が出来ないことが衝撃でありミステリー感が深まると思う。ゆえに、何も知らないまま読み進めてほしい。読書中も感じたが著者・新川帆立のストーリーテリングは絶妙である。先を読みたくなるストーリー、裏打ちされる現実感(リアリティ)。政治好きの者ならば、さらに快感を味わえる内容であった。あっぱれ!あっぱれである新川帆立。次の新作もぜひとも読みたい!!!!!女の国会 [ 新川 帆立 ]
2024.05.18
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ホテル・ニューハンプシャー : ポスター画像 - 映画.com (eiga.com)ジョディ・フォスターとロブ・ロウ、そしてナスターシャ・キンスキー。当時、若手ホープの三角関係の青春ドラマだと思っていた。見逃した思いが頭の隅にあって、いつか見られればと思ってもいたので、U-NEXTにあるのを見かけてつい見てしまった。若きマシュー・モディーンも重要な役どころで出演している。キャスト表を見て父親役がボー・ブリッジスとは気づかなかった。後年を含め主役級スターとなるキャストが5人もいることに驚く。原作もあり、しっかりとした作品かと思っていたけれど、内容では何かと確執やグローバルな問題や事件を含んでいるけれど、登場人物の気持ちはないと思えるほどに軽く描かれている。悩み事はあっても苦悩しないのだ。確執があっても突破していくのだ。事件があっても問題にならず、解決してしまう。あまりにも軽い、中身がないように感じてしまう。その意味で見るべき作品ではないと感じた。見るべき作品でないということを知る意味で見た価値はある(苦笑)U-NEXTにて1984年/アメリカ/109分/監督:トニー・リチャードソン原作:ジョン・アービング脚色:トニー・リチャードソン出演:ジョディ・フォスター、ロブ・ロウ、ボー・ブリッジス、ナスターシャ・キンスキー、ウィルフォード・ブリムリー、ポール・マクレーン、マシュー・モディーン、ジェニー・ダンダス、ウォーレス・ショーン、リサ・ベインズ、セス・グリーン原題:The Hotel New Hampshire(「ホテル・ニューハンプシャー」)お薦め度「ホテル・ニューハンプシャー」★★☆(50%)
2024.05.16
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