FFいれぶんのへたれな小説とか

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January 7, 2005
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カテゴリ: 七番目の魔法塔
 サルタバルタの平原を、チョコボとそれにまたがるタルタルが、元気に駆け抜けていく。
 荒涼とした大地は、しかし新たな芽吹きが始まっていた。まだ小さなそれらも、やがていつかは緑豊かなウィンダスの膝元に相応しい緑の大地へと生まれ変わるだろう。
 春の香りを乗せた風が、どこからか吹き、彼女の髪を撫でていく。
 見上げる空には、規則正しく運行する飛空挺の姿が小さく浮かんでいた。
 LPからは、相変わらず口論を続けるヒュームとエルヴァーンの声が聞こえる。どこかでそれを聞いているであろうガルカも、多分苦笑していることだろう。
 再び、優しい風が吹き抜ける。その風に、静かに歌を乗せて。
 それは、一人の少女の詩。
 やがて記憶は風化して、詩も旋律も少しずつ変わっていくだろう。偉大な召還士が、小さな少女が、それぞれに守りたいと願った未来と同じく。
 だが、今はこれでいい。
 詩も未来も、変わっていく。移ろいやすく、分からないからこそ、この世界は楽しい。
 あの日掘り当てた、黒いクリスタル。何故あれを見つけたのが自分だったのか。そもそも何故あんな所に埋まっていたのだろうか。
 それを知る術はもうない。ある口の悪い大黒魔道士が言うには、同じ歌の下手なタルタルだったからだろうとか、散々なことを言われたけれど。
 そして随分と寄り道をした後、地図には何もない、ただの平原の一部分へと辿り着く。チョコボは陽気にその地面を掘り出した。
 その様子を見て微笑むと、彼女は再び空を見上げた。今日も、ウィンダスは快晴。
 そして愛用のフルートを取り出し、詩の続きを奏でる。
 地図に無い、七番目の魔法塔に思いを馳せながら―――・・・。


完。





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Last updated  January 31, 2005 05:26:16 PM
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