FFいれぶんのへたれな小説とか

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January 30, 2005
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カテゴリ: 七番目の魔法塔
 既視感。
 いや、これは違う。間違いなく、自分は過去にこれと似たような光景を見ている。
 遺跡の最後に待ち受けた部屋に踏み込んだ時、トコは必死に自分の記憶を探った。
 まとわりつくような不快感。そして、呼吸が苦しくなるほどの、禍々しい存在感。
 不気味な仄暗い輝きに満ちた球状の部屋は、何かの施設のようだった。低く唸りを上げる―――おそらくは魔導機なのだろう装置が乱雑に部屋のあちこちに置かれている。そして、その中心に鎮座するのは―――
「・・・魔晶石?」
 そう、それは魔晶石に似ていた。過去幾つもの悲劇を生み出した、巨大な魔力の結晶体。
 だが、何か違和感がある。今まで見てきた魔晶石とは何かが違う。魔晶石はまるで意思を持っているかのようにこちらを圧倒してきたが、この石はどこか無機質だ。そして、魔晶石とはまた違う何かを感じるような―――
「おい、あれは・・・」
 驚いたようなツィンの声が響き、そこで思考は途切れた。導かれるように、その声の指し示す方に視線を送る。
「な―――」
 ヒトが声にならない声をあげる。そこには、冷たい床に横たわる何人もの冒険者の姿があった。意識が無いのか、それとも既に事切れているのか、遠目では判断できないが、ぴくりとも動かない。
 格好からして熟練の冒険者なのだろう彼らの中には、知り合いの黒魔道士の姿もあった。その他にも召還士、赤魔道士、白魔道士らの姿も見える。いずれもそう易々とやられるはずがない面々だ。
「おい!あんたら大丈夫―――」
 彼らに駆け寄ろうとしたときだった。ルーツの言葉をさえぎるように、重い扉の開く音が部屋に木霊する。
「・・・誰ダ?」
 闇の中から、無機質な声がこちらに語りかけてくる。
 やがてゆっくりと姿を現したそれは、ガーディアンと呼ばれる一体の魔法人形だった。





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Last updated  January 30, 2005 12:37:29 PM
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