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書評/藻谷浩介「デフレの正体」
5点/5点
恒常的とすら思える不景気状態。(いざなぎ景気超えの時もほとんどの人が豊かさを実感できませんでしたよね? )
失われた10年が20年となり、もはやエンドレスとなっていって失われているのが通常であるのではないのかとすら思える日本経済。
この本では日本における不況の恒常化の理由を「人口の変動」に求めています。
世間で言うところの少子高齢化ということになるのでしょうが、著者によると違うそうです。
大事なのは「生産年齢人口の変動」。
しかしながら生産年齢人口という言い方もあまり良くないとのこと。
キチンと言えば「生産年齢人口」ではなく、「 消費年齢人口 」と言った方が良いとのこと。
生産という供給視点で見るのではく、消費という需要側に視点をシフトする。
経済専門家には当たり前なのかもしれませんが、経済ド素人人間は「名称」に引きずられてしまう面がありますので(少なくとも私はそう)、この指摘はまさにコペルニクス的大転換でした。
つまるところデフレの正体はこうなる。
働いて賃金を得て、得た賃金で消費をしてくれる人たち(=消費年齢人口)がどんどん減っている。よって内需が活気づかずデフレになる。
本来は高齢者がお金を使って欲しい所なのだが、病気などを(過度に?)心配して全く使ってくれない。
よってお金を使ってくれる人たちがどんどん減っているので日本はデフレから脱却できない。
経済ど素人の私にはかなり納得できる理論です。
勿論、色々な物の見方があるし、経済を一面的に見れば解決できない事も承知しています。
この本では消費への影響として「賃金」を重視している訳ですが、株式価格などの金融資産を重視する考え方もあり得ますし。(「資産効果」というやつですね)
それでもこの本の論理はかなりの説得力があると思います。
少なくとも経済ど素人の私には説得力がありました。
amazonのレビューやコメントでは喧々諤々(けんけんがくがく)の議論が行われているようです。
個々の議論については私にはレベルが高すぎてついていけません。
しかしながら従来の経済学からこの本を批判するのであれば、従来の経済学が失われた20年を放置したままの結果になり、これからの日本の経済に大きな希望を与えてくれない現実をどうにかしてほしいと、経済関係に身を置かない人間としては切に思います。
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