発表年/1984年 プロデューサー/ヒューイ・ルイス&ザ・ニュース 【ヒューイ・ルイスの近況】
ヒューイ・ルイスは'80年代中盤を中心に活躍した、サンフランシスコを拠点としていたロックバンドだ。私も大好きで来日公演を後楽園球場(懐かしいね、今の東京ドーム)と日本武道館でと二度観ましたよ。 全盛時代のライヴは最高だったが、その彼らの新譜は何とライヴ盤です。既に輸入盤では店頭に並んでいるが、日本盤も間もなく発売になります。ライヴが得意だったバンドとしては、何故かフルライヴ盤は初めて。今まではシングルの裏面や、ボーナストラックなどには収録されていたので今回のアルバム発売は嬉しいです。早速買いました。 【このアルバムについて】
'80年代を代表するアルバムの一枚と言っても過言ではないこの一枚からは、多くのシングルヒットも誕生した。 1曲目の The Heart Of Rock And Roll
はイントロの心臓の鼓動から始まり一気に弾けるロックナンバーでライヴ向きだ。1999年に発売された盤ではボーナス・トラックとしてこの曲の初期のバージョンが収録されている。 2曲目の Heart And soul
にもHeartというタイトルが入るが、こちらはキーボードの音色の後の「オ~オ」という掛け声はライヴでは観衆が担当する。1999年盤にはボーナス・トラックとしてシスコでのライヴ・バージョンが収録された。 3曲目の Bad Is Bad
はバンドのルーツであるドゥ・ワップを見事に披露する。黒っぽさが一番全面に出ているナンバーで、ヒューイ・ルイスのハーモニカも曲に彩を添えている。 4曲目の 「I Want A New Drug」
はライヴでも度々演奏されるが、ボーナス・トラックとして'84年のシスコでのライヴが収録されている。この曲は映画「ゴーストバスターズ」のタイトル曲を作り歌ったレイ・パーカーが盗作で訴えられた。4曲目のこの曲と確かに似ているし、実際に裁判で敗訴しレイも認めたようだ。 5曲目の Walking On A Thin Line
は歌詞がベトナム戦争の帰還兵を連想させる内容。これもボーナス・トラックとして初期のデモ・バージョンが収録されている。 6曲目の Finally Found A Home
、8曲目の You Crack Me Up
、9曲目の Honky Tonk Blues
らでもノリの良さと、彼らのルーツ音楽の黒人サウンドも披露している。 7曲目は私がこのアルバム収録曲では一番好きなナンバーの If This Is It
である。この曲は彼らの音楽のもう一つの特徴である、夏の爽やかさを感じさせるサウンドだ。決してサウンド的には幅広いとは言えないが、こうした曲があるのでホッと出来るのだ。この曲のPVは当時MTVでも何度も放送していたが、夏のビーチでの出来事をユーモアとパロディ精神を織り交ぜて作っていた。これもボーナス・トラックとして2曲目と同じ日に収録されたライヴ・バージョンが収録されている。 【ヒット・チャート】
このアルバムからは5曲がシングル・カットされてヒット・チャートを賑わせた。 1曲目が6位、2曲目が8位、4曲目が6位、5曲目が18位、7曲目が6位
と1位こそ無いがバンドのシングルが1年間に渡ってチャートに居座っていた。 一方アルバム・チャートでは 1位を獲得し、1984年の年間チャートで2位(1位は「スリラー」)、1985年でも14位
と大健闘したのが分かると思う。 是非、このアルバムは折角だから1999年発売の拡大バージョンを購入することをお薦めします。でもこの拡大盤はもしかしたら米国独自の企画かも知れないが、大手CDショップでは売っていますよ。 【バック・ナンバー】
1.リー・リトナー「RIT」(1981) 2.ボズ・スキャッグス「MIDDLE MAN」(1980) 3.ジェイ.P.モーガン『JAYE.P.MORGAN』(1976) 4.クインシー・ジョーンズ「THE DUDE」(愛のコリーダ)(1980) 5.サントラ盤「FOOTLOOSE」(1984)