まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2021.10.28
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あらすじネタバレ感想です


自由奔放な文化人(ほとんど変人?)たちのパーティー。

原作からは想像もつかない世界です。
保守的なアヴォンリー村とも真逆の世界。



しかし、
アンは根っからの自由人なので、
このコミュニティにすぐに溶け込んだようです(笑)。

同性愛者であることに苦しみ、
ケガで右手が効かなくなって、
すっかり希望を失っていたコールも、
このパーティで自由と未来の光を見出したみたい。



逆に、
まったく馴染めないのはダイアナです。

自由すぎる変人たちに対しても、
同性愛者だった大叔母に対しても、
ひたすら嫌悪感ばかりが湧き上がってくるのですね。

たしかに大叔母のジョセフィンは、
甥にあたるダイアナの父とは価値観がまるで違うし、
まして、母とも住んでいる世界がまったく違います。

シャーロットタウンのパーティの世界と、
アヴォンリー村の保守的な世界とでは、
ほとんど天地がひっくり返っているようです。
そこでは、アンとダイアナの立場も逆転してしまう。

ふだんのアヴォンリー村では、
アンのほうがダイアナの美しさに憧れています。
しかし、シャーロットタウンでは、
髪を短く切ったアンのほうが美しく輝いてるし、
同性愛者のコールも創造的な少年に見えてくる。

逆に、
気後れしたダイアナは周囲から埋没しています。

実際、田舎の少女が、
あんなイカれた世界に溶け込めるはずないですよね…
現代のわたしですら、
アンよりもダイアナのほうに共感してしまいます…(^^;




それにしても、
当時のプリンスエドワード島に、
あんな進歩的な文化人のコミュニティがあったのかしら?

…と思うけど、

ジョセフィンとガートルードが、
「パリで出会った」という話を聞いて、
…ああ、
これには実際のモデルがあるのだな、と思いました。

当時のパリは、
いわゆるベルエポックの時代です。
芸術家たちが自由を追い求めて奔放な活動をしていました。

そこには、
シドニー=ガブリエル・コレットのような、
女性の同性愛者もいました。

しかし、
コレットより、もっと近いと思われるモデルがいます。
それは、ガートルード・スタインです。

彼女はアメリカの作家ですが、
20世紀の初めごろにパリで暮らしていて、
さかんに芸術家たちのサロンを開いていました。

さすがにプリンスエドワード島には住んでなかったと思うし、
彼女は1874年に生まれて、1946年に死んでますから、
ジョセフィンの恋人の「ガートルード」よりは、
だいぶ若いし、ちょっと時代がずれている気はします。

しかし、
脚本家が彼女をモデルしたのは間違いないでしょう。



当時のプリンスエドワード島に、
そんな進歩的な人が暮らしていたというのは、
かなり大胆すぎる解釈ではありますが、

すくなくとも、
19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパや北米に、
そのような自由な人達が生きていたのは事実なのです。



逆にいえば、
モンゴメリが描いた「赤毛のアン」の世界は、

当時の価値観から考えても、
よくいえば、牧歌的で懐古趣味的。
わるくいえば、保守的なのですよね。

このドラマは、
いちおうモンゴメリの原作を基礎にしてるけど、
じつは、さまざまな点で、
モンゴメリの原作をきびしく批判してもいます。

それはおもに、
教会の保守性の問題や、人種差別の問題なのですが、
さらにいえば、
性の自由、服装の自由、表現の自由、職業の自由…
などにかんする問題も含まれる。

今回は、
それがもっとも過激な形で表現されたと思います。



もちろん、
かならずしも自由は良いことばかりではありません。

たとえば、
ベルエポックの文化には、退廃的な側面もあります。
当時の自由な文化人たちは、
恋や、酒や、貧しさに身を滅ぼしていったからです。

それにくらべれば、
慎ましいアヴォンリー村の生活のほうが、
はるかに美しくて理想的に見えてしまうのも事実。

すくなくとも、
日本の従来の「赤毛のアン」の読者は、
そういう牧歌的な美しさにこそ憧れてきたのです。

だから、
今回のような奇天烈なパーティには、
正直、ちょっと面食らってしまうところもある。



第7話のサブタイトルは、
「気分が変わるように記憶も変わる」 となっています。
おそらく今回の自由人たちのパーティは、
登場人物の記憶を変えるための仕掛けなのでしょう。

マシューとマリラは、
アヴォンリー村での過去の記憶に苦しめられてきました。

アンや、コールや、ギルバートも、
いまだにさまざまな不遇と抑圧とに苦しんでいます。

しかし、彼らは、
新しい時代の思潮と未来を手に入れようとしている。
現在の価値観が変われば、
過去のとらえ方も変わっていくのかもしれません。

きっとマリラの病気も、それによって治っていくのでしょう。





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最終更新日  2021.10.28 18:35:20
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