まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.04.07
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カテゴリ: ドラマレビュー!
NHK大河「光る君へ」。

毎週欠かさず見てます!
だいたい4分の1が終わった感じ?



正直、
大石静には何の期待もしてなかったのだけど、
想像を超える面白さにびっくりしてます。

簡単にいったら、
オジサンたちが権謀術数に明け暮れるかたわらで、
女子たちが「ウフフ、オホホ」とお喋りしたり恋したり、
…ってだけの話なんだけどw

なんでこんなに面白いんでしょうね。



柄本佑と吉高由里子は、
けっして現代的な「美男美女」ではないけれど、
2人とも目が切れ長で和風顔だから、
あれこそ平安時代の「美男美女」だと信じたくなるし、
いまさらながら絶妙な配役だと感心します。

そして音楽の冬野ユミは、
黒島結菜の「アシガール」のときにも、
甘くてファンタジックな曲をつけてましたが、
今回もまた、かなり自由自在に、
平安ファンタジーっぽい甘美なテーマ音楽と、
ジャズもまじえた現代的な劇伴をつけてるのが良い。



若手のキャストたちが、
毛筆草書を吹き替えなしでやってるのも凄いけど…

馬を乗りこなして「打毬」をやってたのも凄かった。

あの「打毬」という競技は、
ハリポタの「クィディッチ」に似てましたが、
紀元前6世紀ごろのペルシャの発祥で、
日本の「打毬」のほうが英国の「ポロ」より古いのだと。

たぶんハリポタの「クィディッチ」は、
英国の「ポロ」をもとにしてるのだと思います。




さて、
前回の大河も「ファンタジーだ!」と叩かれましたが、
今回はそれをも凌ぐ超絶ファンタジーw

いちおう考証担当者は7人くらいいるらしいけど、
資料が少なくて分からないことが多いのか、
事実関係を考証してるのは倉本一宏ひとりだけ。


そのほかの担当者は、
建築とか、芸能とか、和歌とか、料理とか、
おもに社会風俗の考証をおこなってるようです。

まあ、
平安時代の社会風俗をドラマで再現するだけでも、
歴史研究をうながす意義は十分にあると思う。

そのほか、
「下っ端の藤原氏より後ろ盾のある源氏のほうが身分が上」
みたいな当時の事情を知れるのも面白い。



ちなみに、
ただひとり事実関係の考証を担う倉本一宏でさえ、
「紫式部と道長が幼馴染みなんてことはありえない!!」
と断言してますw

ここ最近は毎年3人くらいで分担している時代考証ですが、今年はどうも私1人しかいないらしい。
紫式部と道長が幼なじみだという設定から出発しているのですが、実はそもそもこの設定自体が史実に反します。NHKが制作発表の段階で発表してしまったため変えられないので妥協することにしましたが、実際には、2人が幼なじみだったということも恋仲だったということもあり得ません。

https://www.todaishimbun.org/drkuramoto_20231228/

その前提からしてファンタジーだとしたら、
「道長の兄が紫式部の母を道ばたで刺し殺した」
なんて事実もありえないわけで…

逆にいったら、
ほんとうの史実はどこにあるの??って話。



わたしが思うに、
ここまでの4分の1の内容は、
おもに《藤原兼家の権力闘争》の史実を中心に、
フィクションをまじえて作ったのだと思います。

とくに、
花山天皇の退位 (寛和の変) とか、
そのあとの高御座「生首」事件とかは、
それなりの資料にもとづいていたはずです。

もちろん、
当時の資料それ自体が捏造だったら、
それすら史実じゃない可能性もありますがw



前回の大河が「ファンタジーだ!」と叩かれたわりに、
今回の大河にその類の批判が少ないのは、

もともと大部分の視聴者が、
過去の少女漫画や少女文学をとおして、
いわゆる「王朝ファンタジー」に慣れてたからでしょう。

大和和紀『あさきゆめみし』1979
山岸凉子『日出処の天子』1980
氷室冴子『ざ・ちぇんじ!』1983
氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』1984


逆にいうと、
そういう「王朝ファンタジー」に慣れてない人たちは、
そもそも今回のドラマを観てないよね。

なので、視聴率は低いけど、
そのぶんバッシングも相対的に少ないってこと。
それをもって作品の優劣を論じても意味がありません。



結局のところ、視聴者の多くは、
慣れ親しんだイメージに近ければ納得するし、
そうでなければ「史実と違う!」といって騒ぎ出す。

たとえば司馬遼太郎を愛読してきた人たちは、
それが「史実だ」と思い込んでるし、
かたや大和和紀の漫画などを読んできた人は、
そこに「歴史の実態がある」と思い込んでいる。

そういう素人の視聴者が、
ネットなどで繰り広げてる「史実論争」ってのは、
ほとんどの場合、
クソほどの価値もないバカ論争ではあるのだけど、

かりにファンタジーであったとしても、
凝り固まった歴史のイメージが変わっていくことは、
それなりに意味のあることだと思います。

すくなくとも、これまでのような、
男性小説的な《戦国武将劇》への偏重から脱して、
少女漫画的な《平安貴族劇》が増えることも、
中世史への関心を高めるためには必要なことだし、
今後は《江戸町人劇》なんかも増えたらいいと思う。



なお、
今作が「平安ファンタジー」であることは、
安倍晴明の祈祷から始まったことに象徴されてますが、

じつは、このドラマの中で、
藤原兼家と道長の2人にかぎっては、
陰陽術をぜんぜん信じてないという設定になってます。
とくに藤原兼家は、
安倍晴明のインチキを見破ったうえで利用してますね。

実際、
高御座「生首」事件が史実だったとすれば、
兼家は《穢れ》に対する迷信をあざ笑いながら、
血で汚れた高御座のうえに、
平然と自分の孫を座らせたことになります。



たしかに現代人から見ると、
安倍晴明の陰陽術はインチキに見えるけれど、

近代医学がまだ存在しなかった時代、
つまり細菌やウィルスの知識がなかった時代に、
不可解な伝染病で人がバタバタ死んだりすれば、

たとえ荒唐無稽な迷信だとしても、
《穢れ》や《清め》や《禁忌》などの概念には、
たんに宗教的な意味合いだけでなく、
おそらく衛生上の合理性があったはずなのよね。

現代人でさえ、
目に見えないコロナウィルスにおののき、
デマを信じたり、差別的になったりするのだから、
中世の人々が迷信に頼るのも至極当然の話。

そう考えると、
迷信を無視することはきわめて困難だったと思う。



そんな怖れを知らぬ藤原兼家も、
そろそろ死期が迫ってるっぽいので…

今後の焦点は、やはり主人公の結婚?!
(お相手はネタバレになるので触れません)


そして、序盤にくらべれば、
だいぶ史実に則した内容になるはずですが、
倫子さん or 彰子さん付きの女房になるのでしょうね。
(誰の女房だったかについて諸説あるようです)



たとえ「紫式部と道長が幼馴染み」ってのがファンタジーとしても、
その2人が藤原氏だったのは間違いないし、
年齢が近かったのも事実だし、
(道長が4才上との説や12才上との説あり)
倫子さんと親しい間柄ってのも、それなりに根拠はあるようです。



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最終更新日  2024.04.18 17:02:03


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