まいかのあーだこーだ

まいかのあーだこーだ

2024.05.13
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迎え梅雨紙端に滲む友の文字 虹の下クレヨンの箱踊り出す 天王山黒ずむ袖に薄暑光 薫風や隣の君と教科書を 消しゴムが白き水面にボウフラを 密やかに鉛筆昇てんと虫 初夏の光のインク硝子ペン
5月9日のプレバト俳句。
お題は「文房具」。



雲丹うに。
天王山 黒ずむ袖に薄暑光
鉛筆に黒ずむ袖や 夏休み
(添削後a)
鉛筆に黒ずむ袖や 晩夏光 (添削後b)

原句は、
受験生の句ではなく、
品評会に挑む職人の句にも見えるし、
柔道などのスポーツの句にも見えます。

先生の(添削後b)は良い出来だと思います。



山本里菜。
迎え梅雨 紙端 したん に滲む友の文字
迎え梅雨 借りたノートに滲む文字
(添削後)

作者の説明を聞いても、
あえて「紙端」の語を選んだ理由がわからない。
紙の端に書き添えられた文字は、
友人からの意味ありげなメッセージに見えます。

先生の添削に異論はないけど、
個人的には 「借りたノートの字の滲む」 としたい。




清水アナ。
カンペ握りしめる初ロケは立夏
初ロケは立夏 カンペを握りしむ
(添削後)

原句の「握りしめる」は、
連体形と読めば一句一章、
終止形と読めば対比的な二句一章です。

添削句のほうがリズムに定型感があり、
意味も明瞭だし、語順的にも正解だと思う。

ちなみに助詞「は」を避けるなら、
「立夏の初ロケ」 とも書けますが、
この場合は「初ロケの日 立夏だった」という感動を、
強調して書くだけの必然性があるでしょうね。

なお、
季語の「立夏」には日付の意味と期間の意味があるけど、
清水アナの句は「立夏日」という印象を受けます。




河野純喜。
薫風や 隣の君と教科書を
教科書を忘れた君と 風薫る
(添削後)

これも先生の添削でいいと思うけど…

強いて言うなら、
中七で切って下五に季語を置く形式なのに、
助詞「と」で繋がって見えるのが難点。

実際のところ、
「君と風」 が薫る…という解釈も不可能じゃない。
その場合は助詞「と」の意味が変わって、
「You & Me」の距離感を描いた句ではなく、
「You & Wind」の香りを描いた改作になる。

かりに 「君と風を嗅ぐ」 と他動詞にすれば、
中七は切れずに繋がるけど、季語になりません。

ちなみに、最近の日本語では、
「香ってみますか?」
みたいな他動詞的な用法もあるけれど、
https://salon.mainichi-kotoba.jp/archives/123130

さすがに「風薫る」は他動詞じゃないので、
「君とともに風を薫る」という解釈は不可能です。

季語を名詞にすれば、
教科書を忘れた君と夏の風

のような切れのない一句一章にできますが、
やっぱり「You & Wind」の意味になってしまう。
原句のように「You & Me」の意味にするなら、
教科書を忘れた君とゐる五月

とでも書くしかないでしょうね。



内藤剛志。
虹の下 クレヨンの箱踊り出す


季語は「虹」で夏。

だいぶファンタジックな作品で、
それを許容できるかが評価の分かれ目になる。



上五「虹の下」の是非。
虹と子供がどちらも遠くに見えてるなら、
この写生にはリアリティがあるけれど、
実際は、子供が近くにいて虹は遠いのだから、
子供たちが虹の下にいる…というのは虚構でしょう。

もちろん、幻想を書くのが悪いわけじゃないし、

端から端まで見える巨大な虹を目の当たりにして、
「自分たちが虹の下にいる」
みたいな感覚に襲われることもあるだろうから、
まったく現実味のない描写とも言いきれない。



下五の擬人化の是非。
子供たちが箱をガチャガチャしはじめて、
箱の中のクレヨンが動き出したことの比喩でしょうが、
「クレヨンが踊り出す」ではなく、
「箱が踊り出す」との表現が妥当かどうか。
まあ、これも幻想句としてなら許容範囲かな。

とはいえ、
前回の「本職」の句は合点がいかなかったし、
たった2回の査定で特待生との判断は不可解です。



ゆりやんレトリィバァ。
消しゴムが白き水面 みなも にボウフラを
消しかすはボウフラみたい 子どもの日
(添削後)
消しかすはボウフラみたい 夏休み (添削後)

季語は「孑孑/孑々 ぼうふら 」で夏。

作者によると、
「消しカスがノートに (散らばると) ボウフラを (思わせる)

という内容を直喩で書いたようですが、
それを 「消しカスがノートにボウフラを」 と省略するのは、
文法的に不可能。読み手からすれば意味不明。

かりに子供の俳句だったら、
「消しカスがボウフラみたい!」
という発想や観察眼は褒めたい気もするけど、

大人の俳句としては珍奇な詩情としか思えず、
関西大文学部卒という学歴を考え合わせても、
ウケ狙いなのか本気なのかいまいち判別がつかない。

季語が比喩なので、
先生の添削では「ボウフラ」の片仮名表記を直さず、
もうひとつ別の季語を置いて解決してます。

それはそうと…

作者が最後に提示した推敲案、
消しかすはボウフラみたい 初鰹

は、ビート文学みたいで激烈に面白いw
マイナス100点満点で一発特待生にしたいです。



千原ジュニア。
密やかに鉛筆登るてんと虫


季語は「天道虫」で夏。

形容動詞「密やかに」の是非が問われます。
掲載決定でしたが、わたしならボツ!
天道虫がひそやかに登るのは当たり前!
音を立てて昇る天道虫がいるんなら持ってこい!!

なお、先生によれば、
A: 天道虫が密やかに登る
B: わたしが密やかに見る

という2つの読みが可能とのこと。

たしかに、
「密やかに登るてんと虫 (を見る) 」の省略と読めば、
どちらの動詞に掛かるとも解釈できる。

でも、実際にそう読ませたいのなら、
芭蕉の「閑さや」と同じように、
上五を「密やかや」と切るんじゃないかしら?



梅沢富美男。
初夏 はつなつ の光のインク 硝子ペン
初夏のひかりのインク 硝子ペン
(添削後)

倒置法の比喩で、
「硝子ペンのインクは初夏の光のようだ」
と読める形なのだけど、
作者がそれを明確に意図したかどうか怪しいw

おおかた17音に収めてみた結果、
たまたまそういう形になっただけじゃなかしら?
内容的には、
比喩を使って硝子ペンの特徴を説明しただけとも言える。

なお、添削句は平仮名で透明感を表現してます。


▽過去の記事はこちら
https://plaza.rakuten.co.jp/maika888/diary/ctgylist/?ctgy=12




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最終更新日  2024.05.23 23:21:02


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