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2009/10/24

『魚舟・獣舟』上田早夕里

(8)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91887)

カテゴリ：カテゴリ未分類

『魚舟・獣舟』 上田早夕里　／光文社文庫

　いろんな雰囲気のお話が読めます

【あらすじ】
現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚舟、獣舟と呼ばれる異形の生物と人類との関わりを衝撃的に描き、各界で絶賛を浴びた表題作。寄生茸に体を食い尽くされる奇病が、日本全土を覆おうとしていた。しかも寄生された生物は、ただ死ぬだけではないのだ。戦慄の展開に息を呑む「くさびらの道」。書下ろし中編を含む全六編を収録する。

以前、ブログのお友達nanaco☆さんが紹介されていた本書。
本屋さんをうろうろしてたら目にとびこんできて即買ってしまいました。

だってなんて印象的な表紙なんでしょう…

見た瞬間は、終わりの世界でなんか偉大なモノ（なんかってなんだ）に向かって
叫ぶ、もしくは祈る、あるいはただ泣いてるのか…
そんな内容のファンタジーかと思ったんですが、SFだったんですね。

いままであまりSFって読んできてないので戸惑いましたが、
読みだしたらとにかく圧倒されました。

表題作 「魚舟・獣舟」 。
素晴らしいとか素敵とかじゃなく、もうスゴイとしか言えません。
わたしの語彙不足のせいで伝えられないのがもどかしいです。

最初は、
適度に発達した科学と適度に荒廃した世界がある「現代社会崩壊後の未来」って
なんだか安直な舞台設定だなぁと思ったんですが…
…ブっ飛びました。

体中にキノコが生える奇病が蔓延する街を描いた 「くさびらの道」
これがわたしは一番印象的でした。
ホラー色濃厚です。すごく濃いんですが…怖さよりも哀しさが残りました。

人間と妖怪が共存する街で妖怪にさらわれた子供を探す 「真朱の街」 。
これ、一番好きだわ～
ほのぼのするわけではないのに、なんとなく胸がじんわりするのは、
きっと百目のおかげでしょう。
もしくは単なる「人間＆妖怪」好きブームのせいか…

のちに殺人者になる男の、少年時代を描いた中編 「小鳥の墓」 。
正直、読むの辛かった！
少年たちの生々しい狂気にどうしても抵抗感がありました。
大人たちのあの陰湿な感じは結構好きなんですが…笑

この男がどんな風になったのか、
『火星ダーク・バラード』が気になります。。。

それにしても、どれもこれもが雰囲気が変わるのに驚きました
いったいどこからこんな発想が次々生まれるんでしょう？

短編集とは思えないほど1話1話の満足度がどれもとても高かったです～

収録作：魚舟・獣舟／くさびらの道／饗応／真朱の街／ブルーグラス／小鳥の墓

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