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【納期約7〜10日】SR-C20A [YAMAHA ヤマハ] サウンドバー ブラック SRC20A
2023.09.02
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今年はほとんどメジャー系大作を見ていません、悪しからず。 2017年洋画辛口ベスト10 第一位 私の大好きなフランスの映画監督ジャック・ドゥミや、往年のミュージカル映画をリスペクトした秀作だ。 2017年洋画ベスト10 2位移行はコチラ 2017年邦画辛口ベスト10 未だ公開したばかりですが、凄まじい破壊力を持った秀作です。まだ未見の方は是非劇場へ。 2017年邦画辛口ベスト10 2位以降はコチラ
2017.12.30
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年末恒例の「辛口洋画ベストテン」の発表です。諸事情がありブログにレビューを書いて無い作品があります。 第一位 突っ込みどころは多々ある物の、壮大なスケールと圧倒的な世界観と映像描写は圧巻だ。レビューはコチラ 第二位 ナチスの行った悪事をスクリーンを通して疑似体験する様な悪夢のような作品だ。 第三位 視点の置き方でまるっきり違う世界に見える、映画ならではのマジックが優れた秀作だ。 4位~10位はこちらをクリック
2016.12.30
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年末恒例の辛口ベストテンの発表です。諸事情がありブログにレビュー書いていない作品が多数あります。 第一位 60年以上続く人気シリーズ「ゴジラ」。そんな先人の手あかがついたコンテンツを、大人の鑑賞に堪えうる新次元の作品に構築させた作家たちの心意気に感服した。レビューはコチラ 第二位 実在の事件をモチーフに、犯人と思われる人物と関係を持った3組の人々のドラマを衝撃的に描いた作品だ。レビューはコチラ 第三位 親子のドラマで始まる物語が、やがて寄り合い所帯の疑似家族へと変貌する物語が見事で、伏線の回収も上手い。監督、キャストが一体となり良い作品を作ろうとする意気込みが、そのまま作品に反映された秀作だ。 4~10位はこちらをクリック
2016.12.29
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昨日、ブログで報告したとおりにドルビーアトモス搭載したAVアンプを購入したので、ドルビーアトモス音声が収録したブルーレイソフトを調べてみました。 その前にドルビーアトモスとは、映画館の標準設定となっているL、R、センターのフロント3ch、リア2chのサラウンド音声に加えて、低音域を再生するウーバーが0.1chのドルビーデジタル5.1chサラウンドに対して、ドルビーアトモスはそこに更に、客席頭上にもサウンドchを加えたサラウンド方式である。 この頭上のサラウンドスピーカーが加わる事により、サラウンド音声の中抜けを防ぎ、画面からリアに向かう戦闘機が観客の頭上を突き抜ける音響設計や、観客の頭上に雨音を配置する事が出来るようになったのだ。 さて、前置きが長くなったので、ドルビーアトモス収録ブルーレイを紹介します。今回は「トランスフォーマー ロスエイジ」です。 この作品はTOHOシネマズ日本橋で見たが、試写会のために席が選べなく、客席後方の端で見た為にドルビーアトモスの効果はほとんど確認できず。残念な結果だったので機会があったらレンタルして見てみます。 作品はキャストも一新された仕切り直しがされて、マイケル・ベイ作品ならではのガチャガチャした印象が強く、後半はスポンサーとなった中国人観客向け演出があからさまで、イマイチ感が否めない作品である。
2016.12.22
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今年、5月に長年使用してきたパイオニアのAVアンプVSA-920が昇天してしまった。 ショックで動揺しながら、購入日を調べようとビックカメラCOMのマイページで確認した所、2011年12月11日購入した事が判明した。購入して約5年。あきらめかけた所、よく見ると購入時に購入価格+5%を支払った5年間保証が付けられていた。(昔の自分偉いぞ!) 早速、ビックカメラのアフターサービスに電話をして修理を依頼した。しばらくしてパイオニアからサービスマンの方が自宅に来て、アンプを分解してチェックした所、電源部の故障で修理金額が保証範囲を超えてしまう為に、代替え品との交換=新品交換との判断となった。 新品交換の条件は購入価格(私の場合は29800円)以内か、差額分を足して購入価格以上の商品で、メーカーと機種は自由に選択できるという。購入期限は特になく、ビックカメラCOMの商品か、リアル店舗のビックカメラ、ビックカメラアウトレット、コジマで購入できる。私は選択肢が多いリアル店舗での購入を選択した。 そして、月日は流れて12月。5年間保証期限切れが迫っていたので、重い腰を上げて、店舗に在庫のある新宿ビックロへ。 購入機種は決めていた。ドルビーアトモス&ハイレゾ音源対応で7.1chサラウンドが実現できて値段も手ごろなヤマハRX-V581だ。 【送料無料】 ヤマハ 【ハイレゾ音源対応】AVアンプ RX-V581B【Dolby Atmos対応】[RXV581B]価格:44744円(税込、送料無料) (2016/12/21時点) 機種も決まっているのであとは値段交渉のみだ。店頭表示価格は51800+8%の税金にビックカメラポイントがつくみたいだ。 価格コムの相場は安い時で40270円前後だ。流石これは無理と判断して、コジマ楽天市場店のセール価格40677円をぶつけるが無理との事で、ビックカメラcomの特価より安い、ビックカメラ楽天市場店の44744円で価格交渉が成立した。 私の支払いは 44744-29800=14944 であった。ポイントは修理品扱で1%の150Pが付いた。保証は1年間との事だ。とりあえず予想よりいささか高い出費となったが、一旦は故障で全滅状態のAVアンプが、14944円の出費で最新版にバージョンアップしたのだから申し分ない、というより大満足である。 皆さんも高額機種や精密機種をご購入の際は延長保険を付ける事を忘れずに。
2016.12.21
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あけましておめでとうございます。 コチラのブログは旧作ばかりになっていますが、新作映画レビューは引き続き「新・辛口映画館」で掲載しております。 「2015辛口洋画ベストテン」 「2015辛口邦画ベストテン」 を発表しております。 本年も「masalaの辛口映画館」をよろしくお願いします。
2016.01.07
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#rakuss 【楽天スーパーSALE半額車両】【台数3台限定】新車 SUZUKI(スズキ)レッツ/Let's 国内現行モデル【SEPエンジン搭載モデル】【カラー選べます】【50cc】
2015.12.05
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「masalaの辛口映画館」の引っ越し先、映画レビューブログ「新・辛口映画館」で毎年恒例の、その年公開作品のベスト10を発表しました。 「2014年辛口邦画ベスト10」 第一位 第二位 第三位 第四位~第十位はコチラ 「2014年辛口洋画ベスト10」 第一位 第二位 第三位 第四位~第十位はコチラ
2014.12.30
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超久々の更新です。皆さんは「楽天市場」トップページの右下にある「ラッキーくじ」をご存じですか? 【ご利用方法】・本キャンペーンは楽天会員に登録すれば、どなたでもご利用できます。・ひとつの会員登録に対し、くじを引くことができるのは1日に1回のみとなっております。この場合の1日とは、00:00:00~23:59:59とし、本キャンペーンのページを開いた時点が参加した日となります。・楽天ラッキーくじの当選本数は1日に合計24,800本です。内訳:楽天スーパーポイント 10,000ポイント1本楽天スーパーポイント 1ポイント24,799本 と言う物です。 私も半信半疑で思い出したように週2~3回参加していた「ラッキーくじ」。 当たっても1ポイントが週一回当たればよい方で、まるっきり当たらないくじと認識していた。 それが、昨日なんとなく参加したら「当たり」が出た。 いつも通りに1ポイントが当たったと思ったら「10.000ポイントあたり」と表示されていた。 「当選したポイントは翌日に反映される」との事で、早速本日確認した所10000ポイント増えていました。 今年は良いことが無かっただけに、最高のクリスマスプレゼントとなった。 楽天さんありがとうございます。有効にポイント使わせていただきます。 皆様、良いお年を!
2014.12.26
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4月に引っ越したウェブリブログ「新・辛口映画館」にて書いたレビューが貯まったので、旧ブログを使ってお知らせします。トラックバックは各作品ページで受付中です。 「エンジェルウォーズ」 「奇跡」 「マイ・バック・ページ」 「星守る犬」 「ラスト・ターゲット」 「ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える」 「小川の辺」 「コクリコ坂から」 「ハリー・ポッターと死の秘宝PART1」 「ハリー・ポッターと死の秘宝PART2」 「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」 「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」 「シャンハイ」 「世界侵略:ロサンゼルス決戦」 「こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE 勝どき橋を封鎖せよ!」
2011.07.31
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先日、ブログ引越しの件で触れたとおりに、本日4月19日より楽天ブログ様の暴挙によりトラックバックの受付が終了したと共に、過去に皆様から頂いた大切なトラックバックも全て消去されてしまいました。過去受付分のトラックバック消去は私の想定外でもあり、楽天ブログユーザーをバカにした行動です。 映画ブログユーザーとしてトラックバック機能は、他のブロガーさんとの交流できるパイプラインであり、情報を供用する不可欠なツールでもあっただけに、今回の楽天ブログ様の判断は大きな間違いであり、ブログと言うツールをまったく理解していない事が露呈してしまった。 2006年に開設し、足掛け6年間に沢山のトラックバックを皆様から頂いたのに、こんな形で消滅してしまい皆様には申し訳無い気持ちで一杯です。先日のブログ引越し時にレビューと共にコメントは引き継ぐ事が出来たのですが、トラックバックデータまでは引き継げなかったのが無念でした。 バックアップツールも作らず、自分達の都合で強引に機能を廃止した楽天ブログ様は酷すぎる。これからブログを開設しようと考えてる方は楽天ブログ開設だけは止めましょう。 尚、「masalaの辛口映画館」は、4月9日にウェブリブログにて「masalaの辛口名画座」と統合して「新・辛口映画館」として新装開設しました、よろしくお願いします。
2011.04.19
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2006年9月9日に開設した「masalaの辛口映画館」は、4月9日をもってウェブリブログに開設していた「masalaの辛口名画座」と合併統合して、「新・辛口映画館」として生まれ変わりました。 3月のブログ休館宣言をして、昨日アップした「八日目の蝉」でブログ活動再開宣言したばかりですが、楽天ブログ様がトラックバック受信機能を4月11日をもって廃止という、突然のブログユーザーを無視した荒行に出た事で、ブログの運営に支障きたすと判断しての引越しとなります。尚、ブログ自体はそのまま残しますのでコメントは引き続き受け付けしております。 長い間ご愛読ありがとうございます、「新・辛口映画館」でお待ちしております。
2011.04.09
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先月半ばに休館宣言をしてから約一月、やっと当ブログも活動再開です、引き続きよろしくお願いします。 試写会の客入りは95%くらい、主権は読売新聞さんだ。 映画の話 子どもを身ごもるも、相手が結婚していたために出産をあきらめるしかない希和子(永作博美)は、ちょうど同じころに生まれた男の妻の赤ん坊を誘拐して逃亡する。しかし、二人の母娘としての幸せな暮らしは4年で終わる。さらに数年後、本当の両親にわだかまりを感じながら成長した恵理菜(井上真央)は大学生になり、家庭を持つ男の子どもを妊娠してしまう。 映画の感想 いくつか気になる点があるものの、役者の演技と相成り総体的に見てよく出来た力作である。「孤高のメス」で高い評価を受けた成島出監督の勢いがそのまま作品に反映されたのだろう。映画の構成も一癖あり、誘拐事件の判決を物語冒頭に配し「何故本件の誘拐事件が起こったか?」を辿るメインパートと並行して、赤ん坊の時に誘拐され大学生となった恵理菜(薫)の現在が並行して描かれる時間軸をばらした複雑な構成がとられているが、丁寧に作られている為に戸惑う事は無い。wikiによると原作では第一部と第二部に分けられた物語を映画版は一部と二部を並行して描いている、映画らしい大胆な脚色に醍醐味を感じ取れる。 以下ネタばれ注意 まず気になるところを揚げると、希和子が愛人の自宅から赤ちゃんを連れ去った事で警察事件となり、赤ちゃんが顔写真入りのマスコミ報道がされているのに、希和子はその赤ん坊を隠そうともしないのに違和感を持った。通常であれば赤ん坊に帽子をかぶせる、性別を偽るために男児の服を着せるなど変装させるくらいすると思う。そして、事件当初のみ報道がされるものの、その後は警察や報道が動いている気配がまったく描かれていないのにも違和感を持った。その為に誘拐事件を描いているのに緊迫感が感じられないのは難点である。張り出された捜索願のポスター、パトカー、交番など小道具&大道具を使えば容易に誘拐犯の焦りや恐怖が演出出来たと思う。まぁ私は原作を未読の為に不明であるが、2時間27分と言う上映時間に収めるために警察やマスコミは割愛されたのかもしれない。 そこで本作は「どこに焦点を絞るか?」と見てみると、明らかに血の繋がらない擬似親子の親子愛と、大人になった恵理菜が辿った生い立ちに焦点が絞られている。それにしても本作に登場する男は情けない。誘拐事件のきっかけを作った張本人である恵理菜の父は、妻がいながら不倫相手の希和子を妊娠させ堕胎させた駄目男だ。そして現在の恵理菜の交際相手の岸田も妻がいながら悪ぶる気配も見せずに不倫をし恵理菜を妊娠させてしまう。まぁ、そんな相手と交際してしまう恵理菜も駄目である。彼女が父親から受け継いだ遺伝子がそうさせてしまうのだろう。 逆に本作に登場する女性は強い。メインキャストの喜和子と恵理菜しかり、行き場を失った希和子と薫を受け入れるエンジェルホームは女性だけのコミュニティだ。代表のエンジェルを演じる余貴美子は若干演技を作りこみ過ぎている感はあるものの、時代設定となる80年代末期~90年代初頭を象徴するカルト教団オウム真理教辺りを誇張しモチーフにしているのかもしれない。居場所を見つけたはずの希和子と薫であったが、思わぬ事態にホームを抜け出し、ホームで知り合った女性の伝を辿り小豆島に逃避行する。 現在のパートで重要な鍵を握るのが恵理菜誘拐事件を追うフリーライター千草だ。岸田の事を“ストーカー”と勘違いするが、彼女こそが恵理菜のストーカーの様に彼女の生活に踏み込み恵理菜の道先案内人を勤める。千草を演じる小池栄子がいい。普段は図々しく押してくるが、実は男性コンプレックスを抱えオドオドとした態度の女性像を上手く好演している。彼女の素性も意表を付かれた。そして恵理菜の失われた過去の記憶を繋ぐ重要人物となる小豆島の写真館主を演じる田中泯がいい。台詞も少なく存在感だけであの役を演じられるのは彼だけであろう。 そして本作の最大の功労者は希和子を演じた永作博美である。私は正直、彼女は苦手な女優であるが、希和子役の熱演は認めないわけにはいかない。映画冒頭に泣き止まない赤ん坊をなだめる為に、出るはずの無い母乳を与えるシーンがあるがおっぱいが見えないのが難点で、このシーンで惜しげもなく「ハングオーバー!」のヘザー・グラハムの授乳シーンの時のように、普通におっぱいを出していれば女優魂を感じ取れたのが惜しい。まぁ、それを差し引いても彼女の熱演は今後の映画賞をにぎわす事になるであろう。それにしても永作博美と井上真央って二人別々に見ると似ていないのだが、二人がつながったカットで登場すると「?」と一瞬、永作か井上かが判別出来なくなる瞬間が何度かあった。擬似親子を題材にした作品だけに作り手が仕掛けたキャスティングの妙なのだろう。あと一点難点を書くとスコアとBGMの音がでか過ぎて台詞が聞き取れないシーンがあった。近年だらだらとした幕引きが多い邦画であるが、本作は言いたい事を言ってスパッと上手く幕を引く、早くも今年ベスト作品候補確定作品である。 映画「八日目の蝉」へのトラックバックは「新・辛口映画館」にて受付中です。 映画「八日目の蝉」関連商品 【送料無料】八日目の蝉 【送料無料】八日目の蝉 【25%OFF】[DVD] 八日目の蝉 DVD-BOX
2011.04.07
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東日本大震災により被害を受けられたみなさまに謹んでお見舞いを申し上げます。 上記の3作品は今週予定していた試写会だったのですが、震災の影響で全て中止になってしまいました。したがってレビューを書くネタも無くなり「masalaの辛口映画館」もしばらくの間、休館とさせて頂きます。コメント&TBは随時受け付けております。
2011.03.16
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平日の昼間、客入りは407席のチネ11に2割弱くらい。 ★アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップ共演★■先行告知Ver■ [映画ポスター] ツーリスト (THE TOURIST) [ADV-DS] 映画の話 傷心を癒やすためイタリアを訪れたアメリカ人のフランク(ジョニー・デップ)は、ベニスに向かう車中で上流階級の美女エリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)に声を掛けられる。魅力あふれるエリーズに誘われるがまま、アバンチュールに酔いしれるフランク。しかし、それはすべて仕組まれたわなだった……。 映画の感想 アンジェリーナ・ジョリー&ジョニー・デップという二大ビッグスターのネームバリューにおんぶに抱っこし、作り手が面白い映画を作ろうとする事を放棄してしまったような非常につまらない作品である。まず、本作が始まり直ぐに妙に軽快に細かく動き回るスコアが鳴り始めて「これはヤバイかも?」と言う不安な気持ちが湧き上がる。宣伝媒体には“ロマンティックミステリー”となっていたが、蓋を開ければ“ロマンティックコメディ”に近いノリに映画を見ていて違和感を持つ。 物語前半は謎の美女と列車内で彼女に声を掛けられた旅人と言う設定は興味を引くが、なにか緊張感に欠けた作風に見ている私も本腰が入らない。列車からホテルまでは何とか無難な演出で乗り切るが、ホテルにフランクを狙う殺し屋が押し入り、フランクがパジャマ姿で屋根づたいを逃げ回るシーンも緊張感もないゆるい演出を見ていて私は確信した「これはダメだ」。その後の殺し屋とのボートチェイスまでは「まぁ、こんなものだろう」と自分を落ち着かせたが、エリーズの素性が判ってからは「なぁ~んだ」と急に私のテンションも下がり、「そういえば、007を演じたティモシー・ダルトンも出てたしなぁ・・・」なんて、完全に映画から心が離れてしまった。 まぁ、本作はアンジーとジョニーと美しいロケ地を見る映画なのかもしれないが、あまりにも映画としてお粗末である。役者の演技もアンジーはいつもあんな感じなので別にいいが、ジョニーは悲惨だ。役の設定上ああいう演技なのは判るが、こんなに魅力のないジョニーははじめてだ。私の推測であるが本作はアンジーとジョニーの出演料で製作費の大半を持っていかれ、いいスタッフも集まらなかったか、アンジーとジョニーに注文を付けられないYESマン的なスタッフが集まってしまったのだろう。私は本作の監督フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルクの監督作品を見るのは初めてであるが、彼はきっとこの手の作品を得意な監督ではないのだろう。 それにしても「何故こんなダメ映画が出来上がったか?」を調べてみると色々判った。まず本作は宣伝媒体ではあまり謳っていないが、ソフィー・マルソー主演のフランス映画「アントニー・ジマー [DVD]」のリメイク作品で、企画段階から出演者や監督の降板したいわく付きの作品らしい。どうも本作を配給したソニーピクチャーズも宣伝が及び腰と言うか、これだけのスター映画なのに試写会も東京ではジャパンプレミアと他にも数回?しかやらないなど、今思えば不安な要素がいっぱいあったわけだが、まんまと私も気づかず地雷を踏んでしまった。レンタルDVDで十分の作品である。 映画「ツーリスト」関連商品 【送料無料】オリジナル・サウンドトラック 『ツーリスト』/ジェームズ・ニュートン・ハワード[CD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 【23%OFF!】善き人のためのソナタ 【Blu-ray disc 専用】 <もっとブルーレイを楽しもう! GET MORE BLU! キャンペーン>
2011.03.08
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客入りはほぼ満席、ディズニー作品らしくチビッ子たちも多数来場している。今回は日本語吹き替え版を鑑賞しました。 【送料無料】塔の上のラプンツェル オリジナル・サウンドトラック/サントラ[CD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 映画の話 深い森に囲まれた高い塔の上から18年間一度も外に出たことがないラプンツェルは、母親以外の人間に会ったこともなかった。ある日、お尋ね者の大泥棒フリンが、追手を逃れて塔に侵入してくるが、ラプンツェルの魔法の髪に捕らえられてしまう。しかし、この偶然の出会いはラプンツェルの秘密を解き明かす冒険の始まりのきっかけとなり……。 映画の感想 本作は主人公が赤ちゃんの時に魔女に連れ去られ、18年間塔の中に幽閉されると言う、洒落にならないネガティブな設定であるが、そんな事を微塵も感じさせないディズニーのマジックに満ち溢れた楽しい作品だ。原作となったグリム童話もあらすじを読むとかなりネガティブあるが、本作を見ると「塔の中から出た事の無い“髪長姫”」と言う設定だけベースに、ディズニーは新たに物語を作り出したようだ。主人公ラプンツェルは外の世界に憧れるポジティブな少女となり、原作では王子だった彼女の相手役もエイドリアン・ブロディ似の大泥棒となり、ラプンツェルの初めての冒険のお供となると言う設定であるが、お姫様と大泥棒の組み合わせだと、日本人観客の多くは宮崎駿監督「ルパン三世 カリオストロの城」のルパンとクラリスの関係思い出してしまうだろう。 以下ネタばれ注意 作品は明らかにディズニーアニメーションなのだが、キャラクターの設定や動きに所々、宮崎駿監督の影響が感じられる。特に大泥棒フリンのキャラクター設定や、コミカルな体の動きは明らかに宮崎駿版ルパンに似ている。まぁ、製作総指揮が宮崎駿をリスペクトするジョン・ラセターなのだから仕方が無い。そんな野暮な愚痴を差し引いても作品のクオリティは非常に高い。前作「プリンセスと魔法のキス」がディズニー初の黒人ヒロインだったのに比べると、本作ラプンツェルは前作の反動なのか非常に可愛いく描かれている。美しいブロンドヘアに愛らしい顔立ちはまるで人形のようであり、3DCGアニメが作り出したヒロインは、バービー人形やリカちゃん人形と同様なソフトビニール人形タイプの造形だ。 物語の展開もディズニーらしい王道な展開で安心して楽しめる。ディズニー作品ならではの動物キャラも健在で、本作では王室に従える白馬マクシマスと、ラプンツェルのペットのカメレオン・パスカルが要所要所で大事な仕事をしてくれる。“髪長姫”と言う設定もディズニーはアクションシーンに上手く使っている。ラプンツェルの長い髪の毛が「インディ・ジョーンズ」のムチのような役目をしたり、髪の毛を物に巻きつけて「ターザン」のように移動したり、作り手のアイディアは底知れぬ。ダムのシーンでの一大スペクタクルは鳥肌が立つくらいにスリリングで緻密なアクションが構築されている。 CGアニメーションも非常に美しく、今まで見てきた3DCGアニメ作品の中でも最高の色使いで、3Dメガネを掛けていても色の美しさとグラデーションを感じる事が出来る。3D技術も美しく、クライマックス前のラプンツェルの為に空に上げられる小さな灯篭の様な気球が舞い上がるシーンでは、目の前まで気球が迫り楽しい。そして音楽は「リトル・マーメイド」「美女と野獣」「アラジン」など、数多くのディズニー作品の音楽を書いてきたアラン・メンケンが担当している。劇中に何度かミュージカルシーンも用意され、メンケンらしい美しい楽曲には思わず聞き惚れてしまった。ここ数年のディズニー作品の中でも群を抜くクオリティに仕上がり、お子さんから大人まで万人が楽しめるディズニーならではの作品である。 映画「塔の上のラプンツェル」関連商品 【送料無料】塔の上のラプンツェル ジグソーパズル:108ピース ディズニー/その他「塔の上のラプンツェル」【楽ギフ_包装】【楽ギフ_のし】 【送料無料】塔の上のラプンツェル ★ディズニー長編アニメ第50作記念作品★■先行告知Ver■ [映画ポスター] 塔の上のラプンツェル (TANGLED) [ADV-DS] TREview『洋画』ブログランキング
2011.02.18
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客入りは7割くらい。試写会の主権はラジオ日本「イエスタデイポップス・ウィズ・シネマダイヤリー」さんだ。映画上映前に横山明日香さんのMCでスポンサー様からの商品案内と抽選会が行われた。 ★クリント・イーストウッドの新作★■両面印刷Ver■ [映画ポスター] ヒア アフター (HEREAFTER) [DS] 映画の話 霊能力者としての才能にふたをして生きているアメリカ人のジョージ(マット・デイモン)、津波での臨死体験で不思議な光景を見たフランス人のマリー(セシル・ドゥ・フランス)、亡くなった双子の兄と再会したいイギリスの少年マーカス。ある日のロンドンで、死に取りつかれた3人の人生が交錯する。 映画の感想 私の中でここ数年“イーストウッド監督作品にハズレなし”と自負していたが、ついに御大もやっちまった!と言うか製作総指揮を務めたスピルバーグが監督のチョイスを間違ってしまったのだろう。現在81歳のクリント・イーストウッドは08年の「グラントリノ」で自身の死生観をドラマに盛り込み大傑作を生み出したが、09年の「インビクタス/負けざる者たち」では主演のモーガン・フリーマンに監督依頼され、作家性を打ち消した雇われ監督のようなそつない仕事をこなした辺りで、私の中でイーストウッド監督作品への不安を感じていたのだが、本作は監督のジャンル外のスピリチャルドラマに初挑戦した訳で、吉と出るか凶と出るかとなると完全に凶である。 以下ネタばれ注意 本作は「グラントリノ」で描かれた監督の死生観から一歩踏み込んだ、現世と来世を描いた物語である。バリ島の津波で生死を彷徨ったパリで活躍するジャーナリスのマリーと、サンフランシスコで霊媒師として活躍したジョージと、事故で双子の兄を亡くしたロンドンのマーカスという、3人の主人公の物語が並行して描かれる訳だが、本作は構成に難がある。まず、物語冒頭にマリーが巻き込まれるバリ島の津波襲来が凄まじいド迫力映像でダイナミックに描かれる。 このパターンはスピルバーグが大好きな掴みのシークエンスパターンで、スピルバーグ監督「JAWS」や「インディ・ジョーンズ」シリーズ、彼がプロデュースした「ツイスター」など、冒頭にド派手なシークエンスを用意して観客の心を鷲づかみにする。本作は正にこのパターンで幕を開けるのだが、物語冒頭が本作の最大のピークとなり、その後は淡々としたドラマが続き面白味が無くなってしまう。 観客と言うものは現金な者で、オープニングに凄まじい映像を見せられると、それ以上の物を求めてしまうものだ。先に書いたスピルバーグ監督一連の作品は見事に観客の望む映像を打出し満足させてくれた。しかし、本作はオープニングでハードルを思いっきり揚げたのはいいが、後が続かない。近年のイーストウッド映画の特徴とも言える、淡々とした贅肉をそぎ落とした枯れた音楽が流れる中、物語は3人の主人公を交互に映し出すが、どれも先の展開が読め観客が思ったとおりに物語が進行してまう。特にマーカスの兄ジェイソンの事故死のシーンや、地下鉄のシーンはありふれた展開であり、マーカスの被っていた帽子が彼の運命を左右するギミックは、まるで「ファイナル・ディスティネーション」シリーズにソックリな演出で脱力してしまった。 似ていると言えば、元霊媒師ジョージが相手の手を触ると死者と対話できる仕組みも、デヴィッド・クローネンバーグ監督「デッドゾーン」の中で、主人公が相手の手に触るとその人物の未来が見えるギミックと似ていたり、来世の映像表現が「パッセンジャーズ」と似ているようだったし、なんか手垢の付いた演出が多く、改めて監督のビジョンの古さとセンスの悪さを痛感してしまった。 クライマックスのブックフェアもあまりにも都合良く、パリやサンフランシスコに住む主人公がロンドンに集まるのも不自然であり、ラストの幕引きもイメージ先行で漠然と終わってしまうのもイマイチだ。まぁ、このラストの解釈も頑なに誰とも握手をしなかったジョージが進んでマリーと握手したのを見ると、一度死の淵を彷徨った者同士心が繋がったと解釈すればいいのだろうか?もっとスピリチュアル物や、ファンタジー物に精通している監督が演出すればもう少しマシなドラマが描けたはずだ。なんかイーストウッド監督作品という事で、期待し過ぎた自分が駄目だったのか拍子抜けしてしまった作品であった。 映画「ヒア アフター」関連商品 【送料無料】グラン・トリノ/クリント・イーストウッド[Blu-ray]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 【62%OFF!】インビクタス 負けざる者たち ブルーレイ&DVDセット 【初回限定生産】
2011.02.11
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客入りはスクリーン前方3列以外満席、試写会の主権はTOHOシネマズさんだ。 【送料無料】「ナルニア国物語 第3章アスラン王と魔法の島」オリジナル・サウンドトラック 映画の話 ペべンシー兄妹は大嫌いな従兄のユースチスの家に預けられるが、壁に掛かった帆船ドーン・トレダー号の絵の中に吸い込まれ、再びナルニアの国へ。兄妹は、親友のカスピアン王子(ベン・バーンズ)とネズミ戦士のリープチープと再会を果たし、ナルニアの東の果てへと再び冒険の旅に出ることになるが、行く手にはさまざまな困難が待ち受けていた。 映画の感想 前2作と監督も変わり、より人間ドラマに厚みが出てラストは不覚にも涙が溢れてしまった。監督は「アガサ/愛の失踪事件」(78年)から「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(99年)など、あらゆるジャンルをオールマイティに演出するイギリス出身の監督マイケル・アプテッドだ。音楽も「007」繋がりでイギリス出身の作曲家デイヴィッド・アーノルドに変更されている。配給、製作もディズニーから20世紀フォックスに変更されていて驚いた。上映時間も1作目が140分、2作目が150分に対して本作は113分と前2作と比べるとコンパクトになっている。物語は当然だが前作と繋がっているので未見の方は予習は必至である。 今回はペベンシー兄弟の長男ピーターと長女スーザンはアメリカ滞在中という設定の為に顔見せ程度の脇役となり、次男エドマンドと次女ルーシーが物語を牽引し、二人が預けられている家のいとこユースチスがサブキャラとなり活躍する。本作は児童文学が原作の為に前2作は割と優等生的な仕上がっていたが、今回はエドマンドもルーシーも成長し人間の内面に焦点があてられ、いとこのユースチスのひねくれぶりが物語のアクセントになっていて面白い。彼の言動はちょっと日本テレビ「コレってアリですか?」の中で、オードリー若林が演じる“モンスターヒラタ”と共通するひねくれ者で意地悪な少年と言うのが本作のポイントで、優等生的な作品世界に彼の存在が際立つ。 以下ネタばれ注意 物語の導入はサラリとしたものであるが、ペベンシー兄弟が暮らす壁に飾られた船の絵から水が溢れ出し、ナルニアの海に導かれる導入部は非常に上手い。あっという間にナルニアの海に辿りついたペベンシー兄弟は、前作で活躍したカスピアン王に救われ彼と共に帆船“朝ぴらき丸”に乗船し、光を奪われたナルニアを救う為に、アスランのテーブルに並べる剣を求めて島々を航海に出ると言うファンタジー小説の王道を行く設定だ。前作で王子だったカスピアンも王となり、髭まで蓄え男臭いイメチェンを図っている。 本作のポイントは人間の持つ様々な欲が主人公達の冒険を妨げる。ルーシーは美しい姉に対する劣等感や妬みであったり、エドマンドは出世欲と言うのか、いつも2番手と言う自分の存在が気に入らない。兄のピーターに対してもそうだし、カスピアンとは対立関係になってしまったり、白い魔女に操られそうになったりで、ぐらぐらと揺れるエドマンドの内面心理は思わず共感してしまう。ユースチスに至っては強欲に駆られてドラゴンになってしまう。本作はユースチスがドラゴンに変身した以降が作品のピークとなり、大迫力のクライマックスを迎える。 人間の恐怖心理を現実化する霧のシーンは「ゴーストバスターズ」の“マシュマロマン”や、「NECK【ネック】」に登場する“ネック・マシーン”が生み出す妄想の産物と同じ発想だ。本作の妄想の産物は巨大な海蛇の姿となり、主人公達の乗船する朝びらき丸に襲い掛かる。巨大海蛇のデザインは、どこかスティーブン・ソマーズ監督「ザ・グリード」に登場するモンスターに似ている。巨大海蛇とドラゴンのバトルや、帆船と巨大海蛇とのバトルは、今は亡きストップモーションアニメの神様レイ・ハリーハウゼンが手がけた数々のモンスターと人間の対決を思い出し、私のテンションもあがる。 数々の冒険を終え、最終地点で主人公達を迎えるのがライオンの姿をしたアスランだ。CGのクオリティの進歩でアスランの毛並みは素晴らしい。主人公とアスランとの別れは、王道だがスピルバーグ監督「E.T.」と共通するもので、アブネッド監督のストレートな演出で素直に涙が溢れてしまった。05年に始まったシリーズも制作会社や監督が変わったが、ハイクオリティなファンタジー作品として健在だ、良質な作品だけに是非お子さんにも見せてあげたい。 映画「ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島」関連商品 ★『ナルニア』シリーズ第3弾★■先行告知Ver■ [映画ポスター] ナルニア国物語 第3章 アスラン王と魔法の島 [ADV-DS] 【23%OFF!】ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女 【Blu-ray disc 専用】 【23%OFF!】ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛 【Blu-ray disc 専用】
2011.02.05
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客入りは7割ほど、試写会の主権はAXNさんだ。 ★ベン・アフレック監督、最新作★[初版・映画ポスター] ザ・タウン (THE TOWN) [DS] 映画の話 綿密な計画を立て、ある銀行を襲撃したプロの銀行強盗一味のリーダー、ダグ(ベン・アフレック)は、思わぬ事態から支店長のクレア(レベッカ・ホール)を人質に。その後クレアは無事解放されるが、強盗たちの影におびえる日々を過ごす。そんな中、彼女は魅力的な男性に出会うが、その男性こそが自分を人質にしたダグだった。 映画の感想 私はベン・アフレック監督作品を見るのは初めてであるが中々骨太な力作に仕上がっている。しかし、監督、脚本、主演を努めたアフレックが結局は美味しい所を持っていってしまった印象で、甘さを残した幕切れに若干不満が残る作品である。その結果、アフレックの相棒役を演じ徹底的に悪に徹したジェレミー・レナーの非情ぶりが際立ちアカデミー助演男優賞にノミネートされるのも納得であり、アフレックにとっては誤算だったかもしれない。 物語は強盗が家業とされるボストンの町で暮らす男達が、完璧にこなした銀行強盗で人質を取った事が誤算で思わぬ事態に陥ってゆく過程が描かれる訳で、映画は始まって直ぐに銀行強盗シーンからの幕開けとなる。彼らには自分達のポリシーがあり、強盗の際に誰一人傷つけることを避けている。かなり手の込んだ妖怪の様なマスクを被り、時間式の金庫からまんまと現金を奪うが、この日に限って女性支店長クレアを人質にとってしまう。強盗たちは逃走後に支店長を解放されるが、彼女が同じ街に住む住民だと知り強盗を行ったダグたちは、彼女の言動が気になり監視を始める。 まぁ、本作は一時の快進撃が嘘の様に寂しい状態になってしまった、ベン・アフレックにとっては再起を掛けた作品になるのだろう。アフレックと言えば友人のマット・デイモンがいる訳で、デイモンの方は役者として頭角を現しまくりで主演作が次々と公開されている。そんなデイモンの快進撃をアフレックが気にしていないはずが無い。そこで本作でアフレックは監督、脚本、主演と言う特権を生かし一番美味しい役をチョイスしたはずた。そんな意地悪な目線で本作を見るとアフレックの演じるダグは八方美人と言うのか、仲間には崇高な理念を掲げながらも、ちゃっかり本人は女支店長とはヨロシクやっている優柔不断男になってしまっているが、本人は結構この役を楽しんでいるふしを感じてしまった。 以下ネタばれ注意 本作のダグを見ると結構詰めが甘いのが気になる。彼女の前ではただの工事作業員のはずが、やたら犯罪の知識があり、知らないはずの彼女の愛車の車種まで知っていたり、まったくダメダメな男で、彼女のデート中も相方ジェムに見つかりシドロモドロになってしまったりで見ている観客が冷や冷やしてしまう始末である。この彼女とカフェデートシーンで一瞬ダグが空を飛ぶ飛行機を見つめるシーンと、映画冒頭で人質になったクレアが開放された後に頭上に飛行機が通過するショットがあったが、これは飛行機が彼らにとって逃避願望の象徴なのだろう。“タウン”と呼ばれる行き場の無い街で暮らす二人は、早くこの現実から抜け出したいと思っている心理を端的に上手く描いたシーンである。 本作はアクションシーンも見所だ。冒頭の銀行強盗、中盤の現金輸送車襲撃~カーアクション、クライマックスの野球場からの現金強奪、どれを取っても超一級なアクションに仕上がっている。中でもクライマックスに警察に包囲された後、FBIとの銃撃戦で仲間を失い、ダグとジェムが地元警察官に変装してFBIの包囲網を逃れるシーンで、FBI捜査官フローリーに逃亡中のジェムが発見され、銃撃戦にもつれ込み、その銃撃戦をダグが傍観者となるシーンが出てくるが、このシーンが不思議な事に私の大好きな日本映画「新幹線大爆破」の構図とそっくりなのには驚いた。「新幹線大爆破」では、警察に見つかった犯人が建物を包囲され爆弾で応戦するが、逃げ切れず事件現場で傍観者となった主犯格の高倉健の目の前で爆死する、と言った構成が本作とそっくりで不思議なデジャヴを味わってしまった。まさかアフレックも海外公開版の「新幹線大爆破」が見ていたのかな? 本作はクライムアクションとしてよく出来ている。しかし先にも書いたが物語の締め方が甘い。結局ダグが所属していた強盗組織は全滅するが、ちゃっかりダグだけが生き残り、別天地で余生を送る甘いラストには私は不満である。私の希望では最終的にダグは彼女が手入れする庭に大金を埋め、逃亡途中でFBIに見つかり死んでくれれば、クライムアクションとして傑作になったはずだが、原作どおりなのかもしれないが、ダグが生き残った事で作品がどこか綺麗事になってしまったのが惜しい。先ごろ亡くなったピート・ポスルスウエイトや、クリス・クーパーの好演も、ちゃっかり者のアフレックに美味しい所を持っていかれてしまったのが残念である。 映画「ザ・タウン」原作本 【送料無料】強盗こそ、われらが宿命(上) 【送料無料】強盗こそ、われらが宿命(下) 【23%OFF!】ゴーン・ベイビー・ゴーン 【MIRAMAX FILMS COLLECTION】(DVD)
2011.02.03
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客入りは1階席は満席、2階席は7~8割くらい。アニメ版の影響なのかチビッ子達がチラホラ来場している。 映画の話 二人の子育てに仕事にと忙しい日々を、持ち前のたくましさで乗り切る漫画家のサイバラ(小泉今日子)。元戦場カメラマンの夫(永瀬正敏)は戦場でのトラウマのせいでアルコールにおぼれ、二人は離婚することになる。大切な家族を失い、アルコール依存症と闘う夫だったが、今度はガンが見つかり……。 映画の感想 中々良い作品だ。本作は漫画家の西原理恵子の漫画を原作にした作品であるが、彼女の元夫で戦場カメラマンの鴨志田穣が書いた自伝的小説を映画化した東陽一監督作品「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」とはコインの表の裏のような関係な作品であり、2本共に鑑賞する事で映画の面白さは2倍になるはずだ。時間軸で言うと「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」(以降「酔いがさめたら」と表記する)より、本作の方が物語の始まりが早く、終わり方が若干長い。本作は当然だが西原理恵子目線で綴られている。 演じる俳優で比較すると本作で西原理恵子(サイバラ)を小泉今日子、「酔いがさめたら」では永作博美が演じ、鴨志田穣(カモシダ)を本作では永瀬正敏、「酔いがさめたら」が浅野忠信が演じている。西原理恵子を演じた二人に関しては肝の座り具合が小泉今日子に軍配が上がり、鴨志田穣に関してはエキセントリックな永瀬と、ひょうひょうとした浅野と両者共に甲乙付けがたく、二人共それぞれ良い仕事をしている。夫婦の組み合わせを見ても、元夫婦だった小泉&永瀬の二人の気兼ね無いが、ちょっと微妙な雰囲気が作品内容にマッチしていた。 私は本作の原作を読んだ事は無いが、テレビのトーク番組で西原理恵子が語っていたエピソードが色々と映像化されていて感心した。特に長男・ぶんじがやらかすエピソードは西原が話していた出来事の中でもソフトバージョンの方で、実際はもっと凄いことを色々やらかしている。長女・ふみは父親を両作品共に「おとしゃん」と呼んでいたので原作通りなのだろう。 漫画家と二人の子持ち主婦と言う二束のわらじ状態のサイバラと、元戦場カメラマンで現在はアルコール中毒症でプー太郎状態の夫と言う、かなり特殊な夫婦なので日常に様々な出来事が生まれる。順調に子育てと仕事をこなす西原に対して、夫は戦場カメラマン時代の悲惨な光景が頭に焼きつきアルコールで現実逃避をする日々を過ごす。突然、戦場の記憶が蘇り放心してしまったり、暴れだしたりで手が付けらない状態になってしまう。本作のカモシダはかなりトリッキーな行動を起こし、最終的にはリハビリ施設に入所する事に・・・。こっちの描写は「酔いがさめたら」の方でじっくりと描かれているので、やっぱり本作は「酔いがさめたら」と対な作品なのである。本作で面白かったのはサイバラとカモシダの出会いが舞台劇風に描かれ、書き割りを使った背景演出は作品のアクセントとなって面白い。 以下ネタばれ注意 本作の主役はサイバラを演じた小泉今日子になるが、裏の主役はカモシダを演じた永瀬正敏であろう。やさしい父親の顔、アル中で手の付けられない男、後半はガンに侵され痩せ細り精気のないがん患者といく通りもの顔を演じている。特に後半はがん患者を演じるために永瀬は、短期間で体重を減量し、頭髪をそり上げ、眉毛も抜いたらしい。凄まじい役者魂を見せ付けられた。近年見た永瀬出演作では本作が一番良い作品のように感じた。それから重くなるエピソードもある中、二人の子供を演じた子役の好演も記しておこう。 映画「毎日かあさん」関連商品 【送料無料】酔いがさめたら、うちに帰ろう。 【送料無料】小説毎日かあさん 【送料無料】毎日かあさん(1) 【送料無料】毎日かあさん(2) 【送料無料】毎日かあさん(3) 【送料無料】毎日かあさん(4) 【送料無料】毎日かあさん(6(うろうろドサ編)) 【送料無料】毎日かあさん(7(ぐるぐるマニ車編))
2011.01.28
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客入りは8割くらい。ここ数年、試写会に行くと映画上映前にあらすじを話す主権者に困っていたが、今回は前半の核心まで触れるあらすじをアナウンスされて、私はテンション下がりまくりで映画を見ることに・・・。主権者はテレビ東京さんだ。 映画の話 警察の爆弾処理班に所属する夫と4歳の息子と共に、ロンドンで平凡に暮らす若い母親(ミシェル・ウィリアムズ)。ある日、新聞記者のジャスパー(ユアン・マクレガー)に声を掛けられた彼女は、欲望のままに関係を持ってしまう。その後、二人は再び密会するが・・・。 映画の感想 本作はミシェル・ウィリアムズ&ユアン・マクレガー主演作なのに、いきなり銀座の一等地に立地するマイナー劇場「銀座シネパトス」公開に一抹の不安を感じていたが、見事予感は的中して面白くない作品に仕上がってしまった。まず、作り手達は良くこの脚本を読んで企画を通し、更に力量の無い監督をチョイスしてしまったものだ。なんとなく、やりたい事や言いたい事は判るが、何もかもが中途半端で投げっぱなしな演出がダメダメである。 以下ネタばれ注意 映画の出足は中々良い。子持ちの主婦がイイ男のスポーツ新聞記者ジャスパーになびき、あっという間に男女の関係になってしまい、ミシェル・ウィリアムズの脱ぎっぷりの良いトップレス姿を披露した濃密な演出を見て、「おっ、これは見っけ物かも?」と期待をさせる。そして情事の最中に彼女の夫と息子が見に行ったサッカー場で爆破テロ事件が起こるという、アメとムチのような演出がさえている。テレビ中継画面と時差で爆発の衝撃がアパートに到達する演出が上手い。 そして主婦とジャスパーは、彼女の夫と息子の安否を求めて騒然とする爆破テロがあったサッカー場に向かうという展開になり、さしずめ「ファイナル・デッドサーキット」の様なデザスター演出も用意され「お~っ!」と、私の期待度はMAXになるが、ここから先が本作が描きたい事となる訳であるが「なんでそうなるの?」という展開になってしまう。 サッカー場爆破テロ事件で多くの死傷者を出したロンドンは、街をあげて被害者への追悼ムードとなり、空には犠牲者を追悼する飛行船が沢山浮かび、街中には行方不明者を探すメッセージボードが作られるなど、映画の状況設定は抜群である。しかし、主人公が子供を亡くした事でノイローゼとなり、テロ実行犯と思われるイスラム系容疑者の息子に執着したり、オサマ・ビンラディンに架空の手紙を書いたりと支離滅裂な行動となり、最終的には亡き息子の幻影と対峙するという抽象的な領域にまで入り込んでしまう。 映画はジャスパーがテロ実行犯を暴き出すサイドストーリーを用意して、サスペンスとして膨らみを持たせようとしているが掘り下げが浅く、主婦の夫が何故か爆弾処理班という設定なのも訳ありと思ってみていたが、胡散臭い夫の同僚の真実など、添え物程度なサスペンスで面白味がまったく無い。ジャスパーも事件解決後は物語からフェードアウトしてしまい、彼がその後どうなったかも不明である。 本作は現在のテロがはびこる社会情勢を物語に上手く取り入れたのは良いが、子供を亡くした主婦の苦しみと、事件を追う新聞記者の話を欲を出して2本立てで描くので、どっちも中途半端になってしまったのも否めない。題材をどちらか一本に絞れば、よりディープな物語が描けたと思うとなんとも勿体無い。映画の締め方も、新しい生命の誕生で誤魔化す幕切れも極めて安易である。早くも今年ワースト作品候補である。 映画「ブローン・アパート」関連商品 52%OFF!![新品]彼が二度愛したS[DVD]【おまかせ可】 ミシェル・ウィリアムズ、ユアン・マクレガー共演作品 【22%OFF!】ブリジット・ジョーンズの日記 ブルーレイ&DVDセット 【期間限定生産】 シャロン・マグアイア監督作品
2011.01.20
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試写会の主権はぴあ映画生活さんだ。今回の試写会はぴあ映画生活さんが前回開催した「タイタンの戦い」に続きワーナー試写室で行われる男性限定試写会である。前回は若干女性が混ざってしまう失態を犯してしまった反省か、試写状にしっかりと「同伴者も男性に限る」と注意書き付きの為、今回は見事に100%男性ばかりになった、客入りは8割くらいだ。 映画の話 初ベビーの誕生を5日後に控えるピーター。仕事先のアトランタからあわててロス行きの飛行機に飛び乗った彼だが、たまたま出くわした俳優志望のイーサンのせいで搭乗拒否に遭い、車で向かうハメに。だが、彼は次々とトラブルを引き寄せる最悪の疫病神で……。 映画の感想 本作は「ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」の大ヒットにあやかり、トッド・フィリップス監督にとってご褒美映画と思われる作品だ。今回は豪華一点主義に突っ走りロバート・ダウニーJr.を投入して、相手役には「ハングオーバー!」でお馴染みのザック・ガリフィアナキスと組み合わせた前作同様に下ネタ、薬物、障害者ネタなど下品極まりない、まったく笑えないコメディ作品に仕上がってしまった。改めてアメリカコメディ作品の難しさを感じる作品であり、ダウニーjr.が出演していなかったら、間違いなくビデオスルーになってしまう作品であろう。 まず、私はこのブログで何度か書いているが「映画と言うものはサジ加減が大事」なのだ。本作を見ると何もかもサジ加減が大盛過ぎてドン引きしてしまう。キャラクターを見てゆくと、ダウニーJr.演じるピーターが常にガリフィアナキス演じるイーサンにイライラしているように、観客もピーターと一緒にイライラが同調してしまい、主演二人共にまったく感情移入が出来ないのは映画として致命傷であり、ダウニーjr.とガリフィアナスキのコンビバランスも非常に悪い。二人の出会いもかなり強引で「そんなことありえないだろう」と言う不自然な設定で、冒頭から映画にまったく乗れないのと、イーサンの行動が天然なのか?計算づくなのかも不明で、彼の本当の気持ちがまったく読めないのは致命傷であろう。 以下ネタばれ注意 ピーターとイーサンの出会いは空港前の路上で車同士の物損事故に始まり、飛行機内でのピーターのテロリスト騒動で二人とも空港会社から搭乗拒否になり、ピーターの財布などモロモロが飛行機と共に飛んでいってしまい、あえなくピーターはイーサンがチャーターしたレンタカーに同乗してアメリカ横断をする、と言う設定で物語は進行する。 ここから先は所持金を所有し、レンタカーのチャーター主であるイーサンが主導権を得て、はじめに向かうのが薬物売買する家に向かうわけだが、そこで搭乗するのがジュリエット・ルイスだ。個人的に久々に見た彼女の姿は無残に変貌してしまい驚いてしまった。まぁ、この薬物購入でイーサンの所持金は残りわずかとなり、ピーターが激怒してイーサンを説教する話は、プライベートで薬物依存症だったダウニーJr.への自虐的ギャグであり、彼が言うからこそ言葉に重みを感じた。 その後、金のないピーターが奥さんに電話でイーサン宛に送金する話は、アメリカ文化なので良く判らないが金の受け取りは窓口業務らしい。その窓口の男とひともんちゃくになるエピソードは退役軍人と障害者ネタとなり、窓口男の過剰暴力でピーターは大怪我すると言う展開もまったく笑えないし、あれははっきり言って傷害事件で立件できる案件であろう。あんなに酷い暴行を受けながらも泣き寝入りしてしまうピーターの人間性も見えてこない。 それから車中でピーターの眠るの横で、イーサンと愛犬がやらかすオ○ニーネタはドン引きするは、無駄にジェイミー・フォックスが登場するは、イーサンの父親の遺灰で間違って作ったコーヒーなど笑えないネタのオンパレードに私は凍り付いてしまった。その後、薬物でバットトリップしてメキシコにまで行き、警察のトレーラーハウスごとパトカーに連結にして逃亡とか、ありえない展開で呆れながら見ていたが一点だけ面白い話があった。 それはピーターと奥さんの間に生まれる赤ちゃんの父親疑惑だけは面白く、ラストの病院でのピーターと悪い予感が現実となる赤ちゃんとのご対面シーンだけは良い。まぁ、本作は「ハングオーバー!」が面白かった人にはお勧めするが、その他の方はDVD待ちでOKだと思う作品である。「ハングオーバー!」に続き、私は本作を見て改めてトッド・フィリップス監督作品と相性の悪さ痛感した。 映画「デュー・デート~出産までの5日間!史上最悪のアメリカ横断~」関連商品 【25%OFF】[DVD] ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産)
2011.01.13
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新春第一発目試写会だ、客入りは若干空席があるもののほぼ満席、主権は講談社さんだ。それにしても一ツ橋ホールは相変わらずピンポケ気味の非常に甘いフォーカスには絶句である。 輸入盤CD スペシャルプライスソーシャルネットワーク / Social Network 輸入盤 【CD】 映画の話 2003年、ハーバード大学の学生マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)は、学内で友人を増やすためのサイトを親友のエドゥアルド・サヴェリン(アンドリュー・ガーフィールド)と共に立ち上げる。サイトは瞬く間に学生たちの間に広がり、ナップスター創設者ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)との出会いを経て、社会現象を巻き起こすほど巨大に成長していくが……。 映画の感想 中々面白い作品であるが、インターネットをやらない人にはチンプンカンプンな内容であり、専門用語が入った会話劇の応酬が続く為に付いて行けない観客も出てくるであろう。その為にザッとでいいので「Facebook」について予備知識を備えたほうが良いだろう。 映画の構成は2003年秋にザッカーバーグが彼女にふられた腹いせにブログに彼女の悪口を書き、勢いに乗って立ち上げた女子学生ランキングサイトが大評判になる幕開けで、このまま時系列に物語が進むかと思って見ていると、フェイスブックを立ち上げに絡んだ学生達にザッカーバーグが訴えられ、彼と訴えた学生と弁護士が同席する示談の場が物語の案内役となり、現在と過去が交錯する複雑な構成をとっている。 映画はあくまでもフェイスブックに関わった人々のみが描かれ、Facebookを利用するユーザーの姿がほとんど描かれていないのが寂しい。私はてっきり「Facebookが及ばす社会影響力」も描かれると、勝手に思っていたので若干拍子抜けしてしまった。まぁ、それにしてもザッカーバーグと言う人物はコンピューターオタクな大学生なので、それほど魅力のある人物ではないので面白味は無い。かえってザッカーバーグに大学内SNS作りを依頼する双子のウィンクルボス兄弟(アーミー・ハマーが一人二役を演じたそうだ)や、ナップスターの創設者ショーン・パーカーの方が魅力的である。 本作をテヴィッド・フィンチャー監督作品と見ると、「ゾディアック」と同じ実話を基にした作品であるが、犯罪物でなく大学生のサクセスストーリーと言うのが興味深い。一連のフィンチャー作品から見ると本作は異色な作品であり、観客が気づかない隠し味程度のVFXをフィーチャーした人間ドラマと言うフィンチャーが次のステップを明示した作品になるだろう。そんなフィンチャーに新たな道を導いたのが製作総指揮にクレジットされているケヴィン・スペイシーなのかもしれない。彼はフィンチャーの「セブン」で犯人を演じた人物で、スペイシーが現在でもフィンチャーとパイプが繋がっていた事にファンとして嬉しい。 以下ネタバレ注意 本作の上映時間は丁度2時間だ。Facebookの誕生を通して一人の人物の一部分を大々的にスポットをあて、時間軸を前後させながら人物像を炙り出す。フィンチャーはザッカーバーグに対して皮肉たっぷりに1曲の曲をエンディングにフィーチャーしている。その曲が「ビートルズ/愛こそはすべて」のB面に収めら、現在「マジカル・ミステリー・ツアー」に収録されている「ベイビー・ユーア・リッチマン」だ。若い時にMTVの監督をしていたフィンチャーらしいブラックな選曲に、イントロが聞こえてきた瞬間に「おっ、そうきたか!」と思わず膝を叩いてしまった。本作を見ると“金の切れ目が縁の切れ目”とはよく言ったもので、仲間同士で同じ方向に進んでいた大学生達が金や名誉に目がくらみ、友情が崩壊してゆく過程は現代世の中の縮図のようであった。 映画「ソーシャル・ネットワーク」関連商品 ★アカデミー賞候補の話題作!★[初版・映画ポスター] ソーシャル・ネットワーク (THE SOCIAL NETWORK) [ADV-DS] 【送料無料】ビートルズ/マジカル・ミステリー・ツアー(初回生産限定盤)
2011.01.09
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あけましておめでとうございます、本年もmasalaの辛口映画館を宜しくお願いします。 新年第一発目は、ここ数年恒例となっているTOHOシネマズ川崎での映画始めです。 08年「エイリアンズVS.プレデター」、09年「地球が静止する日」、10年「アバター」と毎年SF作品を1発目をチョイスしてきて、今年もやっぱりSF作品の「トロン:レガシー」です。客入りは非常に悪く、元旦のサービスデー翌日の2日、この劇場で一番大きいスクリーン5には30名程で、日本語吹き替え版の為か小学生低学年位のお子さん連れのファミリー数組来場している。 【送料無料】トロン レガシー オリジナル・サウンドトラック 映画の話 デジタル業界のカリスマ、ケヴィン・フリン(ジェフ・ブリッジス)が謎の失踪(しっそう)を遂げてから20年たったある日、27歳に成長した息子サム(ギャレット・ヘドランド)に父ケヴィンからのメッセージが届く。サムは、父ケヴィンの消息を追って父のオフィスに足を踏み入れるが、そこには衝撃的な真実が待ち受けていた。 映画の感想 前作もそうだったが相変わらず話は良くわからない。まぁ、本作は革命的な映像を堪能する作品なので物語はオマケみたいと割り切り映像世界に浸ることが正しい鑑賞方法だろう。なにせ、私が82年製作の前作を見たのは試写会だったか、テレビ放送で見たのか記憶に無いくらいでストーリーなんか全然覚えていない。そう思ってレンタル店に前作を借りに行ってもDVDはレンタル中で借りられない。そんな状況で本作を見たので、前作に対して誤認があったら悪しからず。追記82年版「トロン」やっと見れました。レビューはコチラ 映画は主人公サムの幼少時代の1989年から幕を開け、サラリと前作の世界観をおさらい程度に説明して、サムの父親ケヴィンを演じるジェフ・ブリッジスが後姿から振り向くと、異様に若い顔のジェフ・ブリッジスに驚愕する。「ベンジャミン・バトン」のブラピ若い顔と同じ驚きを感じ、公式HPで調べた所、「ベンジャミン・バトン」と同じスタッフがVFXを担当し、代役の顔にCGで作った若いジェフ・ブリッジスの顔を貼り付けたそうだ。 そして現在に話が移り、現在のサムの状況と活躍が描かれ、ケヴィンの友人アランのポケベルにケヴィンから連絡が入り、サムがケヴィンが経営するゲーム店に向かう。ゲーム店で大音量で流れるBGMは前作繋がりで「ジャーニー/セパレイト・ウェイズ」だ。そのゲーム店でサムはあっという間に物質変換装置によってコンピューター内部の世界に入ると言うぶっ飛んだストーリーである。 本作はコンピューター内部の世界を擬人化して人間が演じると言うアイディアが凄い。まぁ、こういった擬人化する発想は古くからあり、ウディ・アレン監督のオムニバス作品「SEXのすべて」の中の一篇で、人間が男性器内の精子を演じる奇想天外なドラマが72年製作されていたので、82年製作「トロン」はそのコンピューター版みたいなものと割り切れば難しい話ではない。 それにしても革命的な映像世界は圧巻であり、ある意味、SFアドベンチャーの金字塔「スター・ウォーズ」を超えてしまったかもしれない。映画の色彩設計も独特のもので、暗闇に白黒の世界観を基調に、人々は発光する衣装を身に付け、衣装のカラーも善が青、悪が赤と色分けされ、バイクレースや円盤を使った試合で勝負する演出は実にエキサイティングで面白い。特に面白いのは、ただの棒みたいなアイテムがバイクになったり、飛行機になったりと作り手のアイディアは秀逸で絵作りも素晴らしい。 ところでSF映画の金字塔と言えば「2001年宇宙の旅」になる訳だが、本作でケヴィンが隠遁生活を送る部屋が「2001年宇宙の旅」の中で、最後にボーマン船長がたどり着く白く発光する部屋にそっくりである。これまた公式HPにその事が触れられていて、本作は「2001年宇宙の旅」に登場する部屋の美術デザインを参考にしたそうだ。更に本作は「2001年宇宙の旅」の美術デザインを真似ただけではなく、クルーと部下がケヴィンの部屋を急襲した際に、静寂の中に部下が誤って部屋のオブジェを倒してしまい、突然「ガシャン」と大きな音を出すギミックも「2001年宇宙の旅」へのオマージュである。作り手の芸の細かさには思わずニヤリとしてしまった。 擬人化された世界観は人間社会に良く似ている。オリジナルが作ったプログラムが勝手に暴走して、もうひとつの世界を作り上げ、オリジナルが作った世界を乗っ取ろうとする。丁度、人間社会で言うと韓国と北朝鮮の関係、もしくは会社や店舗の乗っ取り劇に置き換えると判りやすいかもしれない。新年早々とても刺激的な作品で面白かった。 音楽について 本作の音楽を担当したのはテクノユニットのダフト・パンクだ。私は彼らの事は良く知らないが、本作の音楽を聴くとアナログシンセ風の音を大胆にフィーチャーした音作りは、どことなく初期ジョン・カーペンター作品の音楽に似ていて、音を分散させたアルペジオでリズムを作り、その打ち込みアナログシンセサウンドの上にハンス・ジマーが担当した「ダークナイト」「インセプション」風のオーケストレーションを乗っけたサウンドが実に魅力的で新鮮だった。 映画「トロン:レガシー」関連商品 【新品】フィギュア SAM & BE@RBRICK SAM’S LIGHTCYCLE 2パックセット 「トロン:レガシー」キューブリック【画】 【新品】フィギュア トロン & サーク 2パックセット 「トロン:レガシー」キューブリック【画】 トロン:レガシー/アルティメット 12インチ アクションフィギュア/サム・フリン 【25%OFF】[DVD] トロン
2011.01.05
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第一位 告白 完全版【Blu-ray Disc Video】 衝撃的物語を中島哲也監督独特の映像美で描ききった凄い作品である。 第二位 【送料無料】十三人の刺客 オリジナル・サウンドトラック どんな作品もハイクオリティに仕上げてしまう三池崇史監督の到達点と言える作品だ。 第三位 被害者が加害者に対する終わり無き憎しみを濃密に描き圧倒された。 第四位 地方にラップと言うアンバランスな設定に面食らうが、主人公たちにとってままごと遊びだったラップが最後には魂の叫びへと変わる展開は見事だ。 第五位 【25%OFF】[Blu-ray] ゴールデンスランバー 改めて伊坂幸太郎原作×中村義洋監督の相性の良さを感じる作品である。 第六位 【送料無料】孤高のメス 医療に真摯に向き合う主人公の姿に胸打たれる作品でした。 第七位 【27%OFF】[DVD] 春との旅 名優・仲代達矢に対して一歩も引かない徳永えりの演技がすばらしい。 第八位 【送料無料】おにいちゃんのハナビ とてもシンプルなストーリーであるが、高良健吾と谷村美月のアンサンブルが良く素直に泣かされてしまった。 第九位 【送料無料】 BD/邦画/半分の月がのぼる空 (Blu-ray)/PCXP-50010 私が今一番注目する深川栄洋監督の作品だ。前半の青臭いドラマを我慢すると、後半あっと驚く真実には衝撃を覚えた。正に「深川マジック炸裂」した作品だ。 第十位 【送料無料】ケンタとジュンとカヨちゃんの国 社会の底辺で生きる若者たちのくすぶる苛立ちと内面が上手く描かれ、松田翔太、高良健吾、安藤サクラ、と言ったキャストの好演も良い。 次点 【25%OFF】[DVD] BOX 袴田事件 命とは “袴田事件”を改めて検証し、事件に対して一石を投じる内容に感銘を受けた。 「2010年辛口洋画ベスト10」はこちら 最後に今年一年「masalaの辛口映画館」をご愛読いただきありがとうございました。 2011年もよろしくお願いします。
2010.12.29
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第一位 新品DVD アリス・イン・ワンダーランド ブルーレイ+DVDセット 冒頭とお尻の現実世界は単調でつまらないが、アリスがアンダーランドに行ってからの独創的な映像美はティム・バートン監督ならではの世界観で大満足でした。 第二位 【62%OFF!】第9地区 ブルーレイ&DVDセット 【初回限定生産】 フェイクドキュメントとドラマを上手く融合させた語り口が絶品、グロい描写やクライマクッスに登場するマシンなど、とても私好みな作品です。 第三位 【新品】【DVD】ラブリーボーン(Blu-ray Disc)/マーク・ウォールバーグ ピーター・ジャクソン監督が持つ映像技術と語り口で、ヒッチコック風スリラーに挑んだ作品だ。台詞でごまかさず全て映像で語ろうとする監督の意欲を感じた。 第四位 【25%OFF】[Blu-ray] ハート・ロッカー 【Blu-ray】 キャスリン・ビグロー監督特有の乾きったドライで鋭い演出が作品と見事に融合した力作だ 第五位 2010年11月17日発売【新品DVD 27%OFF】プレデターズ ブルーレイ&DVDセット(初回生産限定)【DVD/Blu-ray・洋画アクション】 意表をついた導入部に始まり、「猿の惑星」に繋がるどんでん返しを中盤に用意して、後半は旧シリーズへのデジャヴの連続には「プレデター」ファンとして素直に楽しめた。 第六位 【27%OFF】[DVD] エクスペンダブルズ シルベスター・スタローン監督が往年の肉体アクションを復活させた肉弾祭がエキサイティングである。肉体スター勢ぞろいのキャスティングも実に楽しい。 第七位 【送料無料】特攻野郎Aチーム THE MOVIE<無敵バージョン>【Blu-ray Disc Video】 【初回生産限定】 オリジナルドラマはよく知らないが、登場人物のチームワークと考え抜かれたアクションシーンが良い。 第八位 【送料無料】トイ・ストーリー3 ブルーレイ+DVDセット(ブルーレイケース入り)【Blu-ray Disc Video】 【Disneyzone】 作品自体はとてもよく出来ていて感動したが、所ジョージの吹き替えが駄目だった。 第九位 【送料無料】シングルマン コレクターズ・エディション ファッションデザイナーのトム・フォード初監督長編作品だ。とても初監督と思えない映像感覚と語り口がよい、主人公の心理状態を絵と音で表現した描写がすばらしい。 第十位 作品自体は芳しくないが、今まで本作を越える色彩設計された3D作品に出会っていない為にランキングしました。 「2010年辛口邦画ベスト10」はこちら
2010.12.28
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客入りは7割くらい。青山ベルコモンズの顧客を集めた試写会だ。フラットなスペースに可動式の椅子が並べられ、フロント2chのスピーカーにスクリーンだけというかなり寂しい上映方法だ。 【送料無料】犬とあなたの物語 映画の話 翻訳家の一郎(大森南朋)は、小さいころに飼っていた柴犬が車にはねられたショックが原因で、犬が嫌いになってしまった。しかし妻の美里(松嶋菜々子)は、自分が世話をするとラブラドールレトリバーのラッキーを勝手に引き取ってしまう。一郎は、毎日静かに自分を見守ってくれるラッキーと、少しずつ心を通わせていくが……。 映画の感想 88分の上映時間に短編、中篇、ショートショートなど、様々なドラマを盛り込んだオムニバス映画だ。上映時間が短いだけに、もう一押し出来る余白を残して幕を閉じる作品もあるがなかなか良い作品だ。プロデュースは「リング」「呪怨」などジャパニーズホラーを牽引してきたプロデューサー一瀬隆重と言うのも驚きの作品だ。 以下、各ドラマの簡単な感想を若干ネタばれ気味に書いてゆきます。 「あきら!」 俳優の中尾彬をフィーチャーした楽しい作品だ。 「愛犬家をたずねて」 TBS青木裕子アナが、各地の愛犬家をたずねてレポートする4本のショートショートだ。AKB48の篠田麻里子、小倉智昭、生瀬勝久らがフィーチャーされた犬の飼い主の奇行振りを描いた楽しいコントドラマだ。 「DOGNAP」 愛犬誘拐事件を通した犬好き誘拐犯と刑事の爆笑必至のドラマだ。注目すべきは犬好き刑事を演じる内野聖陽の熱血ぶりだ。彼はこんな短編でもまったく手を抜かない、役者バカぶりが可笑しい、流石である。個人的にツボにはまった作品でした。 「お母さんは心配性」 息子の結婚式で留守宅に愛犬を残してきた母親が、愛犬にいらぬ心配をして結婚式を混乱させてしまうドラマだ。花婿の母親役の高畑淳子の顔芸が炸裂する。 「犬の名前」 本作で一番長い中篇で監督は「西の魔女が死んだ」の長崎俊一だ。主人公の少年時代と現在が綺麗にリンクする、悲しく美しい2部構成のドラマだ。前半は少年時代の主人公が犬との楽しい出会いから悲しい別れまでがつづられる。ここで終わりかと思ったら、現在の主人公につながる意表をついた構成である。少年時代からバトンを引き継ぐのは大森南朋と松島菜々子夫妻の物語になる。 少年時代に事故で愛犬を亡くした一郎は犬を飼うことを避けてきたが、妻・美里が強引にゴールデンリトリバーのラッキーを知り合いから貰ってくる。はじめはラッキーを疎ましく思っていた一郎であったが、ラッキーは一郎になつき、一郎もラッキーを愛するようになるが、一郎の病が発病してしまう・・・、と言った悲しいドラマであるが、改めて人間と犬との関係を考えさせられる良い物語である。 「バニラのかけら」 愛犬を亡くした北乃きいと、彼女が飼っていたそっくりな犬を散歩させる芦田愛菜と出会い、愛犬との思い出を噛みしめ一歩前進するまでがスナップ映像のようにつづられる作品だ。犬を飼っている方には涙なくして見れないドラマかも?しかし、先の作品「犬の名前」が重圧な重みを持った作品だっただけに、短すぎるドラマに物足りなさを感じてしまった。 総論 短いドラマを積み重ね、人間にとって欠かせぬ存在となった愛玩動物の犬を物語に大々的にフィーチャーし、笑いと涙をバランス良く配分した構成は実に心地よい。最後の幕引きは呆気ないが、親子で見るには丁度良い長さであろう。それにしても、この手の短いドラマで構成された日本映画って珍しく、私はなぜかジョン・ランディスが監督したオムニバスパロディ映画「ケンタッキー・フライド・ムービー」を思い出してしまった。流石、一瀬プロデューサーらしい柔軟な感覚を持った作品である。 映画「犬とあなたの物語 いぬのえいが」 【27%OFF】[DVD] いぬのえいが
2010.12.24
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客入りは8割くらい、客層は未就学の幼児から低学年くらいのチビッ子を中心に、その親御さんといったファミリー層で客席は埋め尽くされた。 【送料無料】ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国 オリジナル・サウンドトラック 映画の話 ウルトラマンの故郷、M78星雲を攻撃した敵を追い、宇宙空間へと旅立ったウルトラマンゼロ。巨大なロボット兵団と戦う青年ラン(小柳友)に共感したウルトラマンゼロは、ランと一体化。そして、かつてウルトラ戦士に倒されたウルトラマンベリアルが“銀河皇帝カイザーベリアル”として復活し、宇宙制覇をたくらんでいることを知る。 映画の感想 人間ドラマをバッサリ切捨て、ウルトラ兄弟と往年の人気怪獣が総出演し、カンフー&ワイヤーアクションを投入し、大人も大満足だった「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」の次の作品と期待をしたが、また子供向け怪獣映画に逆戻りしてしまい大味な作品に成り下がってしまった。前作がウルトラマンゼロ登場篇だったのに対して、本作は活躍篇といったところか? 物語は前作で初登場したウルトラセブンの息子ウルトラマンゼロを大々的にフィーチャーして、ウルトラ兄弟の生まれ故郷のM78星雲 光の国、及び全宇宙を乗っ取ろうとするウルトラマンベリアルが「銀河皇帝カイザーベリアル」と名前を変え、再びウルトラ兄弟の前に立ちふさがる、と言った文字にすると判りやすい話なのに、何だかガチャガチャした構成の為かテンションがあがらない。 物語の設定はハードだった前作の反省なのか、あえてウルトラシリーズの王道に立ち返り、事故により命を落とした青年ランの体にゼロが乗り移り、人間の体を借りながらピンチになるとウルトラマンゼロに変身すると言う設定だ。ただし、今回は変身できるのはウルトラセブンから貰ったブレスレットのエネルギー分の3回と言う制限が付けられている。 以下ネタばれ注意 前作はウルトラ兄弟と人気怪獣総出演だったのに対して、本作は往年の円谷特撮ヒーローをアレンジしてフィーチャーしている。エメラナ姫を守るミラーナイトは「ミラーマン」で、一度、敵との戦いに敗れ挫折から復活する時には「ミラーマン」のテーマ音楽が一瞬流れる。ウルトラマンゼロと喧嘩仲間の様なグレンファイヤーは「ファイヤーマン」にオマージュが捧げられているそうだが、顔は全然似ていないがボディはオリジナルに似ている。エメラナ姫が乗る宇宙船ジャンバードがクライマックスにトランスフォームして、巨大戦闘ロボットジャンボットに変身する辺りは「ジャンボーグA」へのオマージュだろう。このジャンバードがはじめに登場したときから「随分と厳ついデザインの宇宙船だなぁ」と思っていたら、最終的に変形マシーンだったと判り変に一人で納得してしまった。 まぁ、それにしても本作は随分と人間ドラマに変に力が入っていた。主人公ランを演じるのは小柳トムの息子・小柳友、ランの弟・ナオを演じるのは日本テレビ「怪物くん」でヒロシを演じた濱田龍臣、エメラナ姫には土屋太鳳なのだが、この3人の衣装を見ていると不思議に東映特撮映画「宇宙からのメッセージ」を思い出してしまった。ドラマシーンは何となく東映特撮っぽく、平泉征、きたろう、ベンガル演じる海賊も非常にチープで「宇宙からのメッセージ」みたいで笑ってしまう。それから、最近の「ウルトラ」シリーズ劇場版恒例となっていたハヤタ隊員役の黒部進、モロボシダン役の森次晃嗣が声のみ出演なのも寂しい。 そして、本作は悪役にも魅力を感じなかった。対戦怪獣は基本的に同じ形をした戦闘型ロボットと、それを操る大型宇宙人や、ウルトラマンゼロと同じ形をしたアンドロイドが登場するが、どいつもこいつも初期「ウルトラ」シリーズのデザインを担当した成田亨氏の思想とは遠いものになってしまったのが駄目である。ベリアルに至っては、前作でウルトラ兄弟相手に素晴らしいアクションを披露して大暴れしたキャラだったのに、本作では体が巨大化した怪獣に成り下がり、クライマックスでは口からビームを吐く荒業を見せる。カイザーベリアルの造形は、何処か「ゴジラVSデストロイヤー」のバーニングゴジラやデストロイヤーと永井豪作品のキャラクターデザインを足して作ったような造形になってしまい駄目である。 映画全体もウルトラ兄弟を大々的にフィーチャーして一本筋を通した前作と比べると、本作はゼロと仲間達なのでキャラクターに統一性が無く散漫に感じた。作り手も「低年齢の子供向け」と割り切り、作品のハードルを下げてしまったのが映画の致命傷になってしまったように感じる。子供は意外と難しい作品も感覚的に受け止めて真剣に作品に感情移入をすると思う。本作の試写会場でウルトラマンや怪獣が絡まないシーンになると、泣き出す子供や、ぐずる子供、しゃべり出す子供たちが多く居た事を考えると「映画に飽きちゃったのかな?」とかんぐってしまった。まぁ、とりあえず「ウルトラ」シリーズ&円谷特撮作品ファンにはお勧めな作品だ。 映画「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」関連商品 【送料無料】ウルトラマンゼロTHE MOVIE超決戦!ベリアル銀河帝国 メディコム・トイ PBM! ブラザーズマント『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦! ベリアル銀河帝国』 【予約/1月発売】 ULTRA-ACT ウルトラマンゼロ 『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』より[バンダイ]《発売済・在庫品》 【予約商品】【本州送料\390!!】ULTRA-ACT/ ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国: カイザーベリアル
2010.12.19
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試写会の主権はラジオNIKKEIさんと東京建物さんだ。映画上映前に篠崎菜穂子さんの司会で前説と、宿泊券、ウォークマン、クオカード、プレスシートが当たる抽選会が行われた。客入りは8~9割くらいだ。 【27%OFF】[Blu-ray] アンストッパブル ブルーレイ&DVDセット〔初回生産限定〕 映画の話 操車場に停車中の最新式貨物列車777号が、整備ミスによって走り出す。大量の化学薬品とディーゼル燃料を搭載した777号を止めるべく、鉄道会社と警察は手を尽くすが、列車はさらに加速していく。事態を察知したベテラン機関士フランク(デンゼル・ワシントン)は、この日初めてコンビを組んだウィル(クリス・パイン)と共に、決死の覚悟で暴走列車に立ち向かう。 映画の感想 まさかトニー・スコット監督作品を見て涙が出るとは思わなかった。映画は実話を元に脚色した再現映像番組「奇跡の生還者」系の超拡大バージョンと言ったところで、同じような作品にヴォルフガング・ペーターゼン監督「パーフェクトストーム」と同系列の作品だ。本作の元ネタは2001年5月15日アメリカ、オハイオ州で起こった無人暴走列車事件を題材にしているそうだが、だいぶ映画用に派手に脚色されたようだ。本作はトニー・スコット監督とデンゼン・ワシントン5度目のコラボ作品である。 映画は冒頭にサラリと人物紹介をして、何気ない運転手の人為的ミスで貨物列車が無人で走り出す経緯が描かれるが、私は電車の事は良く判らないが、映画のように勝手にギアみたいなレバーが動いてしまうのだろうか?まぁ、とにかく太った駄目運転手のせいで貨物列車は無人で走り出してしまう。はじめは運転手も同僚達も「何とかなるだろう」みたいな雰囲気で冗談交じりの笑いと共に列車を停めようとする。同じ頃、同じ線路の反対側からベテラン機関士フランクと新人車掌ウィルが貨物列車を走らせていた。 以下ネタばれ注意 本作は何処まで事実かは不明であるが、相当脚色をしているように私は推測する。同じ線路に社会科見学の子供達乗せた列車が走っていたり、ウィルの夫婦間トラブル、線路に立ち往生してしまった馬を運ぶトレーラー、別機関車を列車の前に走らせ別機関車のブレーキで停める、「エアポート75」みたいにヘリコプターから機関士を乗り移す、警察が射撃により外付けの列車停止ボタンを押す、ウィルの負傷など、色々と映画用に元ネタを脚色しているのだろう。実際の事件は2時間くらいで、映画の登場人物名で言うとフランクとウィル、溶接工ネッドの3人だけで列車を停めたそうだ。 映画は出足こそ、かったるい演出に、普通のシーンなのにドキュメントタッチを狙った小刻みなカメラのズームイン&アウトでイライラするが、暴走列車が加速しだして、馬を乗せたトレーラーに列車が激突するシーンをスタート合図となり画面に釘付けになる。スコット監督らしい早いカット割りをバンバンいれ、TV中継映像を旨くインサートさせて緊迫感を作り出したりで、スコット監督の職人技が冴えまくる。話が至ってシンプルなのも良かったのだろう。物語も旨く脚色され、まったくウマの合わないベテラン機関士と新人車掌が事件に遭遇して力を合わせて事件を乗り越えようとする姿を主軸に、ウィルの夫婦間トラブルが事件を通して再生する姿や、機関士と指令センターが2人3脚で大惨事を回避しようとする奮闘ぶりや、馬鹿な会社上層部なんかは「ダイ・ハード」シリーズを参考にしているようだ。 映画クライマックスは暴走列車を後ろ向きで追いかける機関車が追いつき、連結させるスリリングな演出や、溶接工ネッドの活躍など良い演出がガンガン決まりまくる。ネッドの車が暴走列車に追いつく寸前に無駄にパトカーが横転する演出には笑ってしまったが、最後には感動して不覚にも涙が出てしまった。映画は美談の様に締めくくられるが、物語中盤に機関車のブレーキで暴走列車を停めようとして命を落とした機関士に触れられなかったのが惜しい。まぁ、それでも実話を題材にした作品でも自分のカラーで押しまくったトニー・スコット監督の職人技が冴えまくった作品だ。 映画「アンストッパブル」関連商品 【25%OFF】[DVD] クリムゾン・タイド 特別版(期間限定) 【送料無料】マイ・ボディガード【Blu-rayDisc Video】 【23%OFF!】デジャヴ 【Blu-ray disc 専用】 Bungee Price Blu-ray 洋画サブウェイ123 激突 【BLU-RAY DISC】
2010.12.17
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試写会の主権はムービープラスさんとカルピスさんだ。映画上映前にDJの藤本えみりさんの司会で前説があったが、無駄にこれから見る作品のあらすじを語ってしまいテンションが下がってしまった。客入りは大混雑の満席だ。 映画の話 ヨットで大学のスポーツ奨学金を得たチャーリー(ザック・エフロン)は、高校の卒業式の夜、運転中に追突事故に遭う。そのとき助手席に同乗していた弟サム(チャーリー・ターハン)は帰らぬ人となり、チャーリーは激しく自分を責める。それから5年後、彼は大学進学もヨットもあきらめ、弟が埋葬されている墓地の管理人として働いていた。 映画の感想 一見、兄弟愛を主軸に置いた青春ドラマのような作品であるが、蓋を開ければ強引な設定のスピリチュアルドラマだった。私はザック・エフロン主演と聞き、勝手に陽気な兄ちゃんの楽しいドラマと期待していたが、陽気な兄ちゃんは映画冒頭15分位で、ある重大事故が起こってからは5年間も自責の念から抜け出せられなくなり思い悩む兄ちゃんになってしまう。 以下ネタばれ注意 映画は冒頭に迫力のヨットレースを通してチャーリーとサム兄弟の絆&主人公の輝かしい人生の瞬間を描き出す。主人公兄弟の母親役はスクリーンで久々に拝見したキム・ベイシンガーだ。彼女の出演シーンは冒頭15分位で、あっという間に映画から消えてしまう、もったいない。そして、チャーリーが運転する車が事故に遭い、助手席に同乗していたサムは命を落としてしまう。交通事故でチャーリーも一度は命を落とすが、レイ・リオッタ演じる救命士の懸命な蘇生処置で蘇る。彼は予定していた進路を変更して弟が眠る墓の管理人となり5年が過ぎていた。まぁ、ここまではよくある物語であるが、映画はここから先が強引な設定に変貌する。 墓の奥にある森にチャーリーが入っていくと死んだサムが待っていた。サムの体は映像加工もされず、まったく生前とまったく同じ服装で登場する。この設定はM・ナイト・シャマラン監督「シックスセンス」で使った手法を流用して、チャーリーだけには成仏出来ずに現世をさまよう魂が見えるのだ。映画の中では彼が霊体が見える仕組みは説明されていなかったが、たぶん彼自身も一度死に、蘇生により蘇った事で霊体が見えるのだろう。ここまではスピリチュアルドラマとしてOKであるが、なんと彼は霊体の弟と生前約束していた「毎日、日没前にキャッチボールをすること」を普通に実行してしまう。非常に奇天烈な展開であるが、ここから先は観客も頭を柔らかくして作り手のルールに乗っかるしかない。 弟を亡くして以降、人と接する事を避け墓管理人として隠遁生活を送るチャーリーに転機が訪れる。ヨットレースのライバルで高校の同級生テスが、ヨット世界一周をする予行テストの為に地元に帰ってきていた。彼女と急接近するチャーリーが描かれ、観客も「やっと彼も前向きに歩き出すのかな」と思わせておいて、作り手は第2弾目のギミックを投入する。テスとラブラブになりSEXまでしてしまったチャーリーに信じられない言葉が告げられる。「テスが3日前にヨットで遭難して消息不明になっている」。観客は「え~っ!テスも死んだの?」と混乱するはずだ。傷の手当をしてSEXまでした相手が霊体なんて、もうこの映画は反則行為のレッドカードものであるが、映画は力ずくで観客をねじ伏せてぐいぐいと走り抜ける。 それにしても「レイ・リオッタは結局何だったんだ?」。彼の遺品となったペンダントもその後物語に絡んでこなかったし、作り手は投げたボールを投げっぱなしで回収しないのは腑に落ちない。まぁ、本作はザック・エフロン・ファンの為の映画なのだろう。クライマックスにはエフロンの鍛え上げられた裸体も披露されるので、女性ファンには目の保養になるのでは? 映画「きみがくれた未来」関連商品 【ポイント10倍】セブンティーン・アゲイン 特別版ザック・エフロン 【ポイント倍付1217】 【送料無料】ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー/ザック・エフロン[DVD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 【送料無料】ハイスクール・ミュージカル2 プレミアム・エディション/ザック・エフロン[DVD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】 ザック・エフロンとニュー・ジェネレーション・ボーイズ ザック・エフロン 2011年カレンダー/(DI)/RA11-511
2010.12.15
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客入りは7~8割くらい。 【27%OFF】[Blu-ray] GAMER ゲーマー 映画の話 天才クリエイター、キャッスル(マイケル・C・ホール)が開発したオンライン・ゲーム“スレイヤー”では、生身の人間が遠隔操作され、激しい戦闘を繰り広げていた。無実の罪で投獄され、スレイヤーの戦士となったケーブル(ジェラルド・バトラー)は、30回勝ち抜けば釈放という条件にあと1回と迫り、世界中の注目を集めていたが……。 映画の感想 私がイメージしていた作品とは随分違う乱暴な近未来SFアクション作品だ。絵と音は凄まじい迫力で騒々しく、アイディア先行で登場人物に感情移入出来なく映画として面白味が無い。映画の設定は死刑囚ケーブルが遠隔操作で戦闘ゲーム「スレイヤーズ」の駒としてプレイヤーに操られ戦闘をし続ける。ケーブルたちはスレイヤーと呼ばれ、30回戦闘を勝ち続ければ釈放と言う無茶苦茶なルールだ。死刑囚が強制的にゲームに参加させられる設定は「デス・レース」などでお馴染みなパターンだ。 主人公の分身が違う世界で大活躍という設定の作品は過去にも沢山あった。「トータル・リコール」「マトリックス」、最近だと「サロゲート」「アバター」なんかもこの手のSF作品になる。しかし、本作はスレイヤーとなった主人公が脳内のナノ細胞をコントロールされて、別人プレイヤーに遠隔操作されて戦うという新しい発想だ。彼をコントロールしているのが17歳の天才プレイヤーという設定だ。スレイヤーの操作方法も「マイノリティ・リポート」で登場して驚かせられた体の動きだけでPCをコントロールするパターンだ。今ではipadやゲームでも体の動きで動作するマシーンも普及して、当たり前の操作方法になってしまったが、本作のプレイヤーは寝っ転がって足で操作しているのには笑ってしまうと同時に、未来の日常風景を上手くさりげなく描いている。 以下ネタばれ注意 物語は無実の罪で死刑囚となった主人公が妻と子供を救い出す、と言った良くある設定だ。ちょっと「インセプション」の子供と会う為にミッションをこなす主人公とも共通する。ケーブルの妻も街ゲーム「ソサエティ」のスレイヤーとして収入得ている設定だ。彼女をコントロールするのは体から得体の知れない液体を噴出させている太った半裸の男と言うのも未来的だ。彼は太り過ぎて動きが取れないのか電動車椅子で移動している。この辺もピクサー作品「ウォーリー」で描かれた未来の人間の姿に似ている。 本作は色々な映画をリスペクトしているようだ。「ソサエティ」でスレイヤーとして働く妻の衣装替えのシーンで、一瞬「ブレードランナー」でダリル・ハンナが演じたレプリカントと同じメイクをしたキャラが登場したり、ラストは思いっきり「ブレードランナー」であるし、クラブで動くオブジェの中の女性は「時計じかけのオレンジ」だったり、ケーブルと「スレイヤーズ」の生みの親キャッスルとケーブルの一騎打ちで、キャッスルが腹に3本の傷が付くのは「燃えよドラゴン」だったりで作り手が先人クリエイターに向けたオマージュが色々入っている。 まぁ、映画全体はかなり騒々しい内容で、ケーブルと彼の妻が二人ともゲームの駒として生きている設定に無理がある。本作の場合、戦闘ゲームの駒として生きるケーブルだけをメインターゲットとして描き、妻は囚われの身位で良かった様に私は感じた。本作は欲張って主人公夫婦をバラバラのゲームの駒とした事で、映画全体のトーンに統一性を感じられず、観客が感情移入をし辛いものになってしまったのが惜しい。 映画「GAMER:ゲーマー」関連商品 ★戦闘シュミレーションゲームの世界を描く!★[初版・映画ポスター] GAMER ゲーマー (ジェラルド・バトラー) [DS sticker] 【25%OFF】[DVD] アドレナリン Bungee Price Blu-ray 洋画アドレナリン2 ハイ・ボルテージ 【BLU-RAY DISC】
2010.11.29
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プレミアスクリーンの客入りは3~4割ほど。「高校生¥1000」キャンペーンを行っているせいか客年齢は若い。一番後ろの席に陣取った女子高生と思われる若い女子集団が上映中に普通の声でしゃべってうるさい。何故彼女達は黙って映画を見れないのだろうか? 【送料無料】パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT【Blu-ray Disc Video】 映画の話 アメリカ旅行から戻って来たばかりの春花(青山倫子)は、弟の幸一(中村蒼)と父親の3人暮らし。ある朝春花が目覚めると、部屋の物が知らないうちに移動していることを察知する。彼女は弟の悪ふざけだと決めつけるが、幸一は自分はやっていないと言い張ったため、部屋にビデオカメラを設置して事の真相を確かめることにする。 映画の感想 フジテレビ深夜枠で不定期に放送するフェイクドキュメンタリー「放送禁止」の長江俊和監督作品という事で期待をして見たが、可もなく不可もなくと言ったところだ。作品の設定はほぼオリジナル版を踏まえた設定で、まるでデ・ジャヴのようであり長江監督も「パラノーマル・アクティビティ」と言う与えられた枠の中で個性を発揮出来ずに、無難なオリジナルの焼きまわし的な演出に終始してしまった。これから鑑賞される方は一応オリジナル版は見ておいた方が良いです。 以下ネタばれ注意 映画前半~中盤まで、まるっきりオリジナルの設定を東京に置き換え、カップルが姉弟になり、カメラの台数もオリジナル1台に対して本作は3台とバージョンアップしている。登場人物もオリジナルはたしか4人だったところが、本作では姉弟+父親、弟の友達3人、霊のお払いをする神主と助手、タクシーの運転手と病院の職員という10名になった。 物語は何故か一般家庭には不似合いなライト付きの立派なビデオカメラで自分撮りをする弟の姿で幕を開け、アメリカで事故に遭い両足を複雑骨折して車椅子生活になってしまった姉がタクシーで自宅に帰ってくる。姉の部屋は妙に鏡が多く、家族の食事風景もビデオカメラをテーブルの上に置き映像を収める不自然な設定がしばらく続き、姉・春花が「寝ている間に車椅子が勝手に移動した」と言う告白で、弟は姉の部屋に盛り塩を施してビデオカメラを勝手に仕掛ける。翌朝、盛り塩は不自然に崩れ広がっていた。 ここから先は正にオリジナルにそっくりな映像表現となる。姉の部屋を定点から撮影した青み掛かったビデオ映像にはタイムコードが右下に表示され無駄なシーンは早送り映像となる。そして、重要なシーンは標準スピードに戻り核心に迫る、と言ってもオリジナルと同じように重低音が鳴り響き、怪音がしたり、扉が勝手に開くといった怪現象が起こる。はじめは姉の部屋だけだった怪現象は食卓や弟の部屋でも起こり始め、弟の部屋にも定点カメラで撮影が始まり、姉と弟の部屋が左右対称に2画面表示になる。あまりの怪現象の酷さに弟がお祓いを依頼する辺りはいかにも日本人的な選択である。お祓い後、怪現象は収まったと思わせておいて数日の沈黙の後、怪現象は再び起こりだしてエスカレートしてしまう。 しかし、驚いた事に本作はちゃんとオリジナル版の続編になっているとは思わなかった。私はただオリジナルの設定を日本に置き換えたリメイクなのかと思っていただけに、物語後半に姉がアメリカで起こした交通事故の真実を告白した時に、私の頭の中のモヤモヤがパッと晴れ、点と線が結びつく感覚を味わった、この辺の脚本は実に上手い、思わず「その手があったか」とニヤリとしてしまった。 本作の見所はラスト10分位であろう。複雑骨折で歩けないはずの姉が異音と共に立ち上がり、極めて不自然な姿勢で歩き出す展開は正に“ジャパニーズホラー”的な展開になり始める。まぁ、本作はこの10分の為に我慢してきたと言えるだろう。「あっ」と驚く急展開と、これまた不自然な霊安室の定点カメラ映像はなかなかである。それにしても本作を見て素直に「怖い」と思える観客が羨ましい。あまりにも酷かったオリジナル版で免疫がついた私にしても、パターン化された恐怖演出には苦笑いするしかなかった。 映画「パラノーマル・アクティビティ第2章」関連商品 【23%OFF!】パラノーマル・アクティビティ 【WARNER THE BEST ¥1500】(DVD) 【発売日お届け!2010年12月22日発売】 【23%OFF!】パラノーマル・フェノミナン(DVD) 【23%OFF!】パラノーマル サイキック(DVD) 【23%OFF!】パラノーマル・エンティティ(DVD) パラノーマル・ビギニング 【DVD】 パラノーマル・エンティティ2 【DVD】
2010.11.28
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客入りは若干空席がある位のほぼ満席。 映画の話 会計処理の専門家、御算用者として代々加賀藩の財政に携わってきた猪山家八代目の直之(堺雅人)。江戸時代後期、加賀百万石とうたわれた藩も財政状況は厳しく、加えて武家社会には身分が高くなるにつれ出費も増えるという構造的な問題があった。直之は、家財道具を処分し借金の返済にあてることを決断し、猪山家の人々は一丸となって倹約生活を実行していく。 映画の感想 個性的で癖のある演出が得意な森田芳光監督作品の中では実に正攻法であり、主人公となる猪山直之の生き様のように実直な作品である。映画は直之の息子・成之が語り部となり映画は進行して行く。作品のジャンルとしては時代劇となるがチャンバラは無く、“そろばん侍”or“そろばんバカ”と呼ばれる主人公の倹約生活にスポットが当てられ、現在の不景気世の中とリンクする作品だろう。 本作は加賀藩の御算用者(経理係)として働く直之が、家計の破綻に気づき倹約生活をする事で家計を立て直す物語であるが、ちゃんと仕事をしている武士の家計が破綻に陥るという展開がいまいちわかり辛い。確かに立派な屋敷に住んではいるものの、派手な暮らしをしている訳でもないのに、いきなり家計が財政難になった設定が私は突拍子無く感じた。その辺は試写会入場時に配られたチラシに解説としてフォローされていたが、ここは映画の中でちゃんと描くべき一番大事な描写だと思う。 家計が財政難に陥った猪山家の為に直之がとった行動は、家にある金目の物を売り払いお金に換え借金を減らす方法だ。今で言う“任意整理”と同じ方法を使い、債権者に残った債務をむこう10年間無金利で返済する方法に切り替えてピンチを乗り越える。任意整理は今ではわりとメジャーな借金返済方法であるが、当時の武士のプライドを考えると思い切った返済方法を使ったものだ。直之を演じるのは堺雅人なのだが、この手の神経細かそうな役柄は彼にピッタリであるが、彼ではいささか線が細すぎて債権者に対して大胆な提案をする神経の図太さが見えないのが難点かもしれない。他の猪山家のキャストもいかにも無難なキャスティングであり、直之の妻・お駒を演じる仲間由紀恵も彼女らしい個性が発揮できず無難に役を演じているようでもったいない。 本作は猪山家の三世代を描いた長き物語であるが意外とアッサリとした印象を持った。特に長い時代を描いているだけに家族の死が随所に挿入されるが、何か絵空事の様にサラリと描いてしまっているので心に引っかからない、この辺は森田監督不得意な表現描写なのかもしれない。そんな中「森田監督らしい」と思ったのは座敷で家族揃って食事をするシーンだ。家長を上座に置き、家族が左右対称に並んで座っている所を、横にカメラがスライドしながら家族の食事風景を撮影しているショットが、「家族ゲーム」(83年)の中の食卓を捉えたカットを思い出してしまった。 武士の倹約生活を描いた物語は並行して語り部となる息子・成之の成長物語でもある。財政難に陥った猪山家を目の当たりにしながら成長する成之は、子供の頃から家計簿を付けさせられ一銭たりとも誤差を生じない様に父からきつく教え込まれたおかげでそろばんの腕は上達し、青年となった暁には新政府軍から見初められ海軍主計大監となる。彼の青年時代ももう少し掘り下げれば物語に幅が出て面白かったかもしれない。本作はそろばんと共に時代を生きた武士を描いた作品なのだが、森田監督にとっても“そろばん”は縁のある小道具なのかもしれない。それは森田監督が86年に演出したとんねるず主演映画のタイトルも「そろばんずく」なのだから、これも何かの縁なのだろう。 映画「武士の家計簿」関連商品 武士の家計簿 映画『武士の家計簿』で巡る百万石の金沢 【25%OFF】[DVD] そろばんずく 中村雅俊と松坂慶子が共演した「坊ちゃん」 【ポイント10倍】送料無料!!坊っちゃん中村雅俊【smtb-u】【ポイント倍付1210】
2010.11.17
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毎月14日は入場料金が¥1000のTOHOシネマズデイだ、って事で3D料金プラス¥400払って「SAW」見てきました。客入りは6~7割くらい、客層は20~40代くらいの観客で男が多い。 【送料無料】ソウ ザ・ファイナル アンレイテッド・エディション【Blu-ray Disc Video】 映画の話 ジグソウ(トビン・ベル)の発案した殺人ゲームから奇跡的に生還した人々は心に深い傷を負い、救いを求めていた。彼らは自身もゲームの犠牲者であるとともに生存者でもある精神的指導者、ボビー(ショーン・パトリック・フラナリー)のもとに集まってくる。だが、次第にボビーの暗い過去が明らかになってくるにつれ、新たな恐怖が忍び寄る。 映画の感想 「油田が枯れるまで」と言う言葉があるが、本作は正に油田が枯れるまで古いネタを穿り返し無理やりこじつける。そんな作り手の強かさには舌を巻かれ、ここまできたら笑うしかない、実に楽しい作品だ。そんな中、苦言を言いたい。本編上映前の「ソウ」シリーズ恒例になった総集編が本作のネタばれになっているのが駄目だ。誰がどう見ても「この中に犯人が居る」と、言わんばかりの馬鹿丁寧なダイジェスト版を見せられて「まさか?」と思ったらそのまんまでした。総集編を作った配給会社の頭の悪さを露呈した親切行為には閉口してしまった。これから劇場で見る方は総集編2Dは見る必要が無いと思う、と言うか強制的に見せられてしまう。 以下ネタばれ注意 それにしても近年のジグソウって言うか、後継者は闇の仕置き人みたいになってしまい、ジクゾウ事件とはほぼ無関係な悪人たちに処刑ゲームをさせている。その事が顕著なのがオープニングに強制的に処刑ゲームをさせられる三角関係のカップルだ。どう見ても、ただの痴話喧嘩なのにあんな酷い目にあって気の毒である。それも、あんなどデカイ装置をどうやって街中に仕掛け置いたのかが気になってしまった。まぁ、これはオープニングの3Dデモンストレーション映像みたいなもので、暗い色調の多い「ソウ」シリーズの中でここまでカラフルな色使いは珍しい、だが本編とは特に関係ないと思われる。このシーンではあまりにも残酷な描写の為に画面の色彩が一瞬暗くなっていた。 本作のテーマは“サヴィヴァー”と“嘘”なのだろう。物語はジグソウ事件で生き残った人々がトラウマを抱え、そのトラウマを克服する為に“ジクソウ事件被害者の会”みたいなものが発足される。その中の象徴的人物が本作のいけにえとなるボビーだ。ジクゾウ事件の生存者として本を書き、メディアに登場して金儲けしているみたいだ。しかし、ボビーの真実は・・・、でジグソウの鉄拳を仲間共々と食らうことになる。この話と並行してジグソウの後継者として悪事を働き続けるホフマン刑事とジグソウの妻ジルとの因縁の対決が描かれるわけだが、「ソウ」シリーズは基本的にストーリーなんて有って無いようなもので、いかに痛い映像を作り出し観客を恐怖と痛みのどん底に落とすことが目的に映画が作られていると私は判断する。「ソウ」シリーズはハリウッド映画最強のサディスティック映画である。 サディスティック映画のルーツを辿ると、生きた人間を肉を引っ掛ける巨大フックに吊り下げる「悪魔のいけにえ」に辿り着き、人間の皮膚に鎖を突き刺し貫通させる荒業を見せた「ヘルレイザー」シリーズに辿り着く。「ソウ」シリーズの上手いところは先人の作り出した映像技術を旨く引用しながら、見ていて非常に痛い映像をクイック映像を混ぜた編集でスタイリッシュに描いていることだ。この映像を作り出したのが6作目と本作の監督で「ソウ」シリーズ1~5まで編集を担当したケヴィン・グルタートだ。流石にグルタート監督はシリーズ全てに参加しているだけに観客の見たい映像を熟知している。 今回も「良くネタが尽きないなぁ~」と感心させられる殺人装置が次々と登場する。オープニングの三角関係電動ノコギリ綱引きに始まり、ボビー一派の密室殺人ゲーム、車のシートに固定された人種差別者の皮はぎゲームとか、痛い映像の連続に脳が麻痺してしまい顔がニヤニヤしてしまう。個人的に好きなギミックは女性の目と口にパイプ状の突起物が突き刺さる仕掛けは、イタリア人映画監督で「サンゲリア」のルチオ・フルチや、「サスペリア」のダリオ・アルジェントが作り出しそうな映像を、最新技術で作り出した作り手達のセンスには感銘を受けた。そして痛い映像を盛り上げる効果音の付け方も実に旨い。 まぁ、本作最大ビッグゲストは何と言っても1作目以来の登場となる、「ダイ・ハード」などで知られるハリウッド大物プロデューサーと同じ名前を持つローレンス・ゴードン医師だろう。一作目で散々いたぶり続けられ死んだと思われた彼がなんと復活だ。なんかゴードン医師を演じるケアリー・エルウェズには大金が転がり込んだのか一作目より顔つやが良くなり太ったようだ。御大登場+総集編で提示されたとおりの結果には拍子抜けしたが、無理やりこじつけた1作目以降のゴードン医師の活躍を回想シーンで繋げたシリーズ恒例の答え合わせは不覚ながら鳥肌が立ち感動してしまった。よくもまぁ後付の嘘話を旨くつなぎ、1作目の舞台となった洗面所にもって行き“ゲームオーバー”とした着地点は抜群でファンも納得の着地をした。 04年に始まり年一本ペースで作られてきた「ソウ」シリーズもこれでゲームオーバーとなるのかは不明であり、シリーズによって出来不出来が激しい作品であった事は否めないが、痛さと恐怖を追求した作り手たちの努力は確実に実になった事は確かだ。 映画「ソウ ザ・ファイナル3D」関連商品 ソウザ・ファイナル ★「eye」版!★[初版・映画ポスター] ソウ ザ・ファイナル 3D (SAW 3D) [eye-DS]
2010.11.14
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客入りは7~8割くらい、客年齢は高い。 映画の話 忠臣蔵として有名な赤穂浪士の吉良邸討ち入りでは46人が主君に殉じ切腹するが、二人の男が生き残った。討ち入り前日に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)と、討ち入りを後世に伝えるため逃がされた寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。正反対の運命を背負う二人が16年ぶりに再会。瀬尾はなぜ討ち入りから逃げたのか、寺坂は元同志が抱えてきた秘密を知る。 映画の感想 かなり仰々しいタイトルで、私はてっきり忠臣蔵の新解釈バージョンかと思っていたが、ふたを開ければ忠臣蔵の“後日談”もしくは“外伝”と言ったところだ。これからご覧になる方は「忠臣蔵」についてザッと予習をした方が映画が楽しめると思う。本作は私の大胆な解釈であるが「スター・ウォーズ」シリーズと良く似ている。 【以下ネタばれ注意&「スター・ウォーズEP3」の核心に触れています】 「スター・ウォーズEP3」の最後、アナキン・スカイウォーカー(後のダース・ヴェイダー)と女王アミダラとの間に双子の子供が生まれる。ダークサイドに堕ちてしまったアナキンの手に子供達が渡らぬようにヨーダの策略により、女の子(後のレイア姫)はオーガナ卿の元で、男の子(後のルーク・スカイウォーカー)は、タトゥーインに暮らすアナキンの義兄弟オーエンの元で秘密裏に育てられる事になる。ジェダイ戦士のオビ=ワン・ケノービもタトゥーインで名前を変え、隠遁生活をしながらルークの成長を見守る事になる。 私が本作を見ていて「スター・ウォーズ」と結びつけたシーンがある。大石から密命を受けた孫左が雪降る山道で赤子を懐に抱き歩いている回想シーンを見ていて、「EP3」のラストシーンを思い出し、そこから後は邪道であるが「スター・ウォーズ」と対比しながら見てしまった。「スター・ウォーズ」シリーズで言うと、丁度「EP3」と「EP4」の真ん中を描いていると思うと面白い。本作の主人公で役所広司演じる瀬尾孫左衛門は正に「スター・ウォーズ」シリーズのオビ=ワン・ケノービと良く似ている。忠臣蔵討ち入り前に大石内蔵助直々に自身の愛人・可留(市川崑監督「四十七人の刺客」の中で宮沢りえが演じた人物)との間に生まれる赤子を秘密裏に育てあげる使命を与えられ隠遁生活に入る。そんな密命を知らない他の武士達からは、討入り前に逃げ出した孫左衛門を卑怯者としてなじる。 そんな孫左を16年ぶりに見つけるのが佐藤浩市演じる寺崎吉右衛門だ。彼も大石から生き証人という密命を受け、浪士遺族の援助をする為に日本中を旅している。彼と孫左の関係は設定が変わってしまうがオビ=ワンとアナキンみたいだ。自分の使命を明かすことの出来ない孫左と寺崎が刀による戦いを始める辺りは「EP3」でのクライマックス、オビ=ワンとアナキンのライトセーバーによる真剣勝負を見るようだ。 それにしても孫左を見ているとつくづく不憫である。自分の出生を知らない大石の隠し子・可音に振り回され、墓参りに行けば柴俊夫演じる元赤穂の武士に切り捨てられそうになり免れるが足蹴にされたり、家に帰れば後を付けてきた寺崎と斬り合いになってしまう。孫左の生き様を見ていると、47人の刺客として歴史に名を残すのと、可音と共に16年間慎ましく暮らすのと、どちらが良いのか判らなくなってしまう。まぁ、映画を見ると感動的なクライマックスの後に壮絶な武士としての最後が待っている訳で、忠臣蔵版「スター・ウォーズ」は日本人流の決着の付け方で、アメリカ映画と違うズシリと重い後味を残してしまう。 映画「最後の忠臣蔵」関連商品 最後の忠臣蔵 最後の忠臣蔵 オリジナル・サウンドトラック 【23%OFF!】NHK DVD 最後の忠臣蔵(DVD)
2010.11.05
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2010.10.31
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2010.10.28
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2010.10.28
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SP 野望篇 オリジナル・サウンドトラック 映画の話 チームリーダー尾形(堤真一)の、耳を疑うような発言に疑心をぬぐい切れない井上(岡田准一)は、表面的には平和な姿をしている日常の中に、特殊能力で脅威の存在と四六時中シンクロしていた。そんなある日、六本木で大規模テロ事件が勃発(ぼっぱつ)。テロリストの魔手は笹本(真木よう子)ら第四係のメンバーにも向けられていた。 映画の感想 私はオリジナルとなるドラマは見たことありません。その為に登場人物のキャラクター設定やバックボーン、人間関係など一切不明です。誤解している部分があったらごめんなさい。まぁ、それを抜きにしても中々楽しめる、硬派なアクション映画と言ったところだ。出演者のアクションは「素晴らしいの」の一言であり、特に主人公を演じた岡田准一はスタントマンも真っ青なアクションを堂々と演じきり、彼が本作にかけている勢いが伺える。 以下ネタばれ注意 オープニングは正に今、自分が歩いて横切った広場で、映画を見ている映画館がある六本木ヒルズアリーナで爆弾テロ事件が勃発する。大観衆の中にいかにも怪しい奴を登場させフェイントをかけてから本丸の登場だ。SPたちが警戒する中、傘型の爆弾をステージに登壇するターゲット目掛けて投げつけ爆破させると言う、テロリストのかなり乱暴な計画が実行され六本木ヒルズアリーナは大爆破されてしまう。「うわぁ~、大変だ!」とオープニング早々ヒビってしまうが、これが岡田准一演じる井上の予知能力って事らしく、「ニコラス・ケイジ主演『NEXT ネクスト』と同じじゃん」と一人突っ込みを入れている暇も無く、犯人とSPの壮絶な追跡劇が始まる。 犯人とSPの追跡劇は基本的に走りによる追跡劇だ。走って逃げる犯人を追う井上は道路を横切り、普通に車にはねられたり、車の上を走ったりで、彼の身体能力を引き出したアクションシーンは驚きの連続である。仕舞には大型トラックの荷台で犯人と一対一のさしの勝負を繰り広げたりで、オープニングの15分位はえらくテンションが上がり、日本製アクション映画のクオリティを大幅に向上させている。追跡劇のコースは六本木ヒルズから地下鉄麻布十番まで、映像を見ながらどんなコースを辿っているか確認しようとしたが判別できず。 ドラマ中盤は井上と堤真一演じる尾形との確執やら、香川照之演じる胡散臭い議員の話やら、SPと公安警察の確執など、映画初見の者にかなり判り辛い話が続く。井上が頻繁に頭痛の様な痛みに苦しんでいる描写も出てくるが良くわからない。本作は基本的にドラマを見ている観客向けに作られているようで、細かいディティールの説明は無いのが難点であろう。まぁ、そんな不満も後半、北朝鮮問題で緊急に国会に召集された官房長官をSPが警護して送り届けると言うエピソードで帳消ししてくれる。 官房長官自宅付近から執拗に襲撃してくるテロリスト集団とSPの壮絶な戦いは中々良く出来ている。SPは拳銃を持っているのに最終手段にならないと拳銃を使わない。基本は警棒を使い接近戦で対象相手をねじ伏せる肉弾戦を繰り広げる。SPとテロとの互角な勝負の第一波に続き、路上での第二波攻撃ではSP役の真木よう子まで男テロリスト相手にリアルファィトを繰り広げるのにも驚いた。第三波攻撃ではハリウッドからスタッフを招いて作り出した「あっと、驚く」VFX映像も見れて面白い。それにしても、第一波~第三波まで、あれだけの騒ぎを起こしているのに警察が一切出てこないのはちょっと疑問だ。 映画は2部構成の為か、テロリストの黒幕は判らずじまいで幕を閉じてしまうが、映画を見た満足度は高い。初見の者でもこれだけ楽しめたのだからテレビシリーズを見てきたコアなファンの方にはたまらない作品になっている事だろう、第二部「革命篇」も楽しみである。 映画「SP野望篇」関連商品 映画「SP 野望篇」オフィシャル・ビジュアル・ブック
2010.10.28
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毎年、非常に忙しい一週間がやってきた。23日に開幕した「第23回東京国際映画祭」を見るために毎日、自宅と会場になるTOHOシネマズ六本木ヒルズを往復している。 諸事情がありましてレビューは掲載出来なくなりました、申し訳ございません。
2010.10.25
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試写会の主権はTBSラジオさん、954情報キャスターの白井京子さんの前説があっての上映だ。客入りは満席、観客はほぼ女性ばかり、小さなお子さんも来場している。 【ポイント10倍】送料無料!!映画 雷桜 オリジナル・サウンドトラックサントラ【smtb-u】 映画の話 母の愛を知らずに育った、徳川将軍・秀斉の十七男、清水斉道(岡田将生)。心の病にかかった斉道は、静養のため瀬田村へ向かうことに。道中、瀬田山の中腹で、落雷に撃たれたイチョウの根元に桜が芽をつけた奇妙な巨木、雷桜の下で、斉道は雷(蒼井優)と呼ばれる自由奔放な娘と運命の出会いを果たす。 映画の感想 同日昼間にスティーブン・セガール新作映画試写を見て、私のハードルが思いっきり下がった状態で見た為か、中々良い、結構好きな作品だ。監督は私の嫌いな作品「余命1ヶ月の花嫁」の廣木隆一なので初めから諦めていたのも良かったのかもしれない。キャスティングが「悪人」「おにいちゃんのハナビ」とかぶりまくりなのが可笑しい。特に「悪人」と2本立てで見ると非常に面白いと思う。 以下ネタばれ注意 オープニングでの雷の登場シーンは思いっきり宮崎駿監督「もののけ姫」を実写化した様な映像で面白い。村人から“天狗”と呼ばれている雷に追いかけられるのが高良健吾と柄本佑だ。彼らの出演シーンはオープニングのみでほとんどカメオ出演の様な扱いだ。その後、猟師の様な衣装姿の蒼井優演じる雷が被っていた帽子を脱ぐと、フワッとウェーブの掛かった長い髪の毛が露出するシャンプーのCMみたいな描写も、まるっきり宮崎駿監督が大好きな演出を真似ている。って言うか、あんな江戸時代にツヤツヤ、サラサラのウェーブの掛かった髪の毛は違和感がバリバリである。本作の宣伝文句は「日本版『ロミオとジュリエット』」だそうだ。まぁ、私の主観だと「ロミオとジュリエット」をベースに、インディアンとイギリス人の恋を描いた「ポカホンタス」とか、色々なドラマを江戸時代に置き換えて描いているようだ。 庄屋の娘として生まれた遊(後の雷)は赤ん坊の時に、陰謀により時任三郎演じる理右衛門に連れ去られ殺されるはずだったが、桜の木におちた雷によって救われる、理右衛門が雷によって神から啓示を受けたと言う設定らしい。対する岡田将生演じる斉道は幼少期に母親に捨てられ、心の病を抱え悶々と日々を過ごし、押えられない感情が爆発すると刀を振り回し乱心を繰り返すが、興奮しすぎると気絶してしまう若者である。まぁ、斉道の幼少期はちょこっと斉道の夢として描かれるが、もう少しじっくりと描いて欲しかった。そんな二人が雷がテリトリーとする山で出会い惹かれあうと言うシンプルな物語は非常に判りやすい。 本作の見所は若い二人の恋愛話となるが、先にも書いたとおりに二人を取り巻くキャスティングが面白い。斉道を幼少期から世話してきた御用人・榎戸には「悪人」で岡田将生と敵対する関係だった柄本明なのだから笑ってしまう。柄本明は「桜田門外ノ変」に引き続き武士役だ。本作での彼の演技の見所は何と言っても、乱心しまくりの殿を制するために、自らの身を挺して切腹するシーンだろう。約1分位の切腹シーンは柄本明の役者魂を感じ取れる素晴らしいシーンである。そして、雷(遊)の母親が宮崎美子だ。「悪人」での柄本明の妻役を筆頭に、「君が踊る、夏」、「おにいちゃんのハナビ」で主人公の母親役を連続して演じている。それから斉道のお付となる助次郎を演じた小出恵介は相変わらず良い演技をしている、彼は「風が強く吹いている」など裏方に回った役を演じると上手い。 主役の岡田将生、蒼井優ももちろん良い。特に蒼井は男言葉でしゃべる野生児を上手く演じている。彼女が大声でがなるシーンは若干台詞が聞き取りづらかったが熱演である。とてもシンプルなストーリーで無駄を省いた視点も中々良い。時代劇に現代風のポピュラー音楽の使い方は賛否があると思うが、あれはあれでアンバランスの妙を感じた。捻りの効いたエンディングも心地よく、お涙頂戴シーンをダラダラと描かず、俯瞰のショットで素早くフェードアウトさせた事で余韻が残り映画を好印象にしてくれた。 映画「雷桜」関連商品 雷桜 雷桜 映画『雷桜』とのコラボレーションストラップ!【COBE COBE】映画『雷桜』xコービーストラップセット
2010.10.18
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客入りは8割ほど、客年齢高め、試写会の主権は講談社さんだ。 今回久しぶりに一ツ橋ホールを訪れたのだが、東京の試写会場で2番目にボロかった一ツ橋ホールが客席と床とスクリーンをリニューアルしていた。客席は東商ホールと同じイスに変わり、スクリーンも新しいものに張替えられ高さも少し上に上がり前の人の頭も気にならなくなった。 【送料無料】桜田門外ノ変オリジナルサウンドトラック 【CD】 映画の話 水戸藩士の下級武士の家に長男として生まれ、30歳のときに迎えた12歳年下の妻・ふさ(長谷川京子)や長男の誠一郎(加藤清史郎)と共に穏やかな暮らしを送っていた関鉄之介(大沢たかお)。しかし、藩主父子が井伊大老(伊武雅刀)の専断により処罰されたという急報が、彼の日常に影響を及ぼし始める。 映画の感想 私は様々な媒体で「好きな映画は?」と書く場所があると決まって書く作品がある。それが本作の佐藤純彌監督が75年に演出した東映作品「新幹線大爆破」だ。この映画は私が子供映画以外で初めて映画館で見た劇映画だ。佐藤監督は翌年には大映作品「君よ憤怒の河を渉れ」、続き、角川作品「人間の証明」、角川作品「野生の証明」とハイクオリティなエンタメ作品を連続で打ち出し、92年「おろしや国酔夢譚」まで大作を安定したクオリティで描いてきた。しかし、94年「超能力者 未知への旅人」、97年「北京原人 Who are you?」と言う2本の問題作を残し長い沈黙に入ってしまった。その佐藤監督が華麗なる復活を遂げるのが05年「男たちの大和/YAMATO」だ。 さて前置きが長くなりましたが本作です。佐藤監督にとって初の長編時代劇と言う事で期待をしたが駄目でした。私は原作を未読の為に比較できないが構成が良くない。まず物語冒頭に井伊直弼暗殺を描き、何故この様な状況になったかを回想シーンを多様して観客に説明するのだが、現在と過去が行き来し過ぎて歴史に疎い私は混乱してしまった。その上、異常に多い登場人物の整理も大変だ。テロップを多用した説明も非常に観客に不親切であり、日本人が見てもこんなに混乱してしまうのだから外国の観客が見たら訳判らない作品になってしまうだろう。 また公開次期も悪い。丁度、多くの観客はエンタメ時代劇「十三人の刺客」を楽しんだ後に本作に挑む訳になると思うが、本作は非常に堅苦しく作風も生真面目過ぎて活劇として楽しめない。佐藤監督独特の荒唐無稽な演出が完全に封印されてしまい持味が出ていない。それでも何とか佐藤監督らしさを映画を見ながら探していると似ている作品があった。それが先に書いた「新幹線大爆破」だ。独断で政府をやりくりする大老を暗殺した実行犯たちの逃亡劇が本作のポイントとなっている訳だが、「新幹線大爆破」も事件を起こした実行犯たちの葛藤にスポットが当てられていた。そんな全く接点のなさそうな作品であるが似た描写が随所にあった。 以下ネタばれ注意 まず、井伊直弼襲撃後に斬り捨てられた直弼の護衛たちの死体を回収される中、襲撃犯の死体は地面に引きづられ無残な状態をさらす。その姿を仲間の襲撃犯が野次馬に混ざって涙しながら見つめている描写があったが、これは佐藤監督得意の演出だ。「新幹線大爆破」でも実行犯の無残な死を必ず主犯格を演じた高倉健の目線で描いていた。同じ様に回想シーンの使い方も「新幹線大爆破」を思い出した。実行犯が新幹線に爆弾を仕掛けた犯行の理由付けは、全て現在進行形の事件と並行してフラッシュバックを使いながら観客に説明していた。しかし、その手法は「新幹線大爆破」では成功しているが、本作では失敗している様に感じる。 本作の場合はちゃんと時系列通りに物語を描き、何故実行犯達がこの様な襲撃事件を起こしたのかを観客にキッチリと説明した上で襲撃事件を描くべきである。「十三人の刺客」の成功はちゃんと暴君となってしまった者の悪行を徹底して描いた事で、観客の情が素直に刺客たちに感情移入出来たが、本作の構成ではまったく感情移入できない。それから先にも書いたがテロップに頼りすぎているのも良くない。例えば、映画の最後に襲撃実行犯達が捉えられ刑の執行寸前まで描かれているがその後が無い。全てテロップで名前と年齢と執行された刑が記されているだけで踏みとどまっている。ここは刑の執行を描く必要は無いが刑が執行され、ござが掛けられた状態みたいな死体を写すだけでも、高い志で襲撃を行った有志たちの道半ばで命を散らした運命を知り観客の情に訴えられたと思う。 本作は当時の桜田門を再現した見事なオープンセットと言う一点豪華主義に走り、今時、挿絵を使った説明やフラットなライティングなどバランスの悪い金の使い方は否めない。佐藤監督も前作「男たちの大和/YAMATO」で精根尽きてしまったのだろう。監督のファンとして実に不甲斐無い仕上がりにガックリである。 映画「桜田門外ノ変」関連商品 桜田門外ノ変(上巻) 桜田門外ノ変(下巻) 【送料無料】 DVD/邦画/新幹線大爆破 (期間限定生産/廉価版)/DCTD-2090
2010.09.29
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客入りは女性客を中心に20名弱くらい。 映画の話 ある男性からプロポーズを受けた幼なじみ・瑠璃(相武紗季)の伝言を聞いたイタリア料理のシェフ・武(塚本高史)は、長年の思いを伝えようとした瞬間、ピアニスト・槙原佑樹(眞木大輔)が起こしたアクシデントで命を落としてしまう。しかし、奇跡的に助かった佑樹が取り戻した記憶は武のもので、佑樹は瑠璃が慣れ親しんでいる武の料理を鮮やかに作ってみせる。 映画の感想 何とも安直なタイトルで見る気が失せるが、ちょっと意外なファンタジーの入ったラブドラマとして少し楽しめる。映画を見始めるとテロップには「恋も仕事も腹八分目」製作委員会だったかフィルムパートナーズと表記されている。違和感を持つ名称はエンドロール後にも表記されている。その事から推測すると、映画完成時のタイトルは「恋も仕事も腹八分目」で完成したが、何らかの事情でタイトルを変えざる得なかった。その事情を考えると、丁度同時期公開で3つの言葉を組み合わせた似たタイトルとなるジュリア・ロバーツ主演「食べて、祈って、恋をして」と被ってしまったからだと推測する。それにしても何でこんな安直なタイトルにしてしまったのだろうか?映画は一見、レストランを舞台にした単純なラブドラマかと思っていたが、ちょっとひねりが効いていた。主役も相武紗季と塚本高史かと思ったらEXILEパフォーマーの“マキダイ”こと眞木大輔だった。 以下ネタばれ注意 映画は塚本高史演じるイタリア料理店のシェフ・武が、長年好きだった相武紗季演じる幼馴染の瑠璃の結婚を知り、彼女に思いを伝えようと向かった先でビルの屋上から落ちてきたマキダイ演じる佑樹とぶつかり命を落としてしまう。落下してきた佑樹は奇跡的に助かるが、記憶をなくした上に武の記憶を受け継いでしまう、と言ったちょっとひねりのあるストーリーに興味が出る。それにしても最近の塚本高史はこんな役ばかりだ。これから公開の「恋愛戯曲~私と恋におちてください~」では主人公を演じた椎名桔平の当て馬的な役だったし、「ラブコメ」でも香里奈の元彼役で主人公のライバルだったりで、こんな短い間に彼の同じような出演作品を3本も見てしまった。 ファンの方には申し訳ないが主役を演じたマキダイの演技は、お世辞にも上手いとは言え無いもので人物の雰囲気で演技をしている感じだ。そんなマキダイ効果で「NECKネック」ではダメダメだった相武紗季の演技が上手く見えてしまう不思議な現象が起こってしまった。作り手もマキダイだけでは駄目かと感じたのか、彼の父親役にはなんと北大路欣也を投入している。何も知らずに見ていた私は北大路欣也が出てきた時には驚いてしまった。良くこんな大物を引っ張り出したものだ。北大路欣也が演じるのは著名な音楽家役でピアノ演奏シーンも披露している。まぁ、北大路欣也の演技は相変わらず素晴らしいものの、彼ではまったく音楽家に見えないのが難点だ。私の希望では野村芳太郎監督「砂の器」で天才音楽家を演じた加藤剛が演じていたら楽屋落ち的で面白いと思ってしまった。 映画は武の記憶を受け継いだ佑樹が、武と同じ料理を作ってしまったり、瑠璃との大切な思い出を語ってしまったりで、外見は武を殺して仕舞った佑樹なのに、中身は武の男が目の前に現れ取り乱す瑠璃の心の葛藤が本作のポイントであろう。同じように自分の記憶の中に他人の記憶が混在してしまった佑樹の葛藤も見所であるが、マキダイの表面的な演技ではどうも映画を見ていて心が動かない。本作は役を演じているマキダイがマキダイ本人にしか見えないのが一番の失敗の様に感じる。映画は佑樹の存在に戸惑いを感じながら結婚の道に進む瑠璃と、病気を患いながら前向きに歩こうとする佑樹が描かれる。まぁ、本作はテレビドラマかVシネマの様な作品で出演者のファン以外の方には強いてお勧めはしない、DVDにでもなったら見てあげてください。 映画「恋するナポリタン~世界で一番おいしい愛され方~」関連商品 Eternal First Love ~映画「恋するナポリタン」サウンドトラック 無類の強さを誇る最高のサムライ シリーズ第二弾!エグザムライ 戦国 リアルフィギュア MAKIDAI マキダイ 【中古】【DVD】渋谷区円山町をもっと好きになる。 BLUE featuring 眞木大輔邦画 送料無料!!【DVD】きみに届く声/眞木大輔 マキ ダイスケ【smtb-TD】【saitama】【smtb-k】【w3】 【送料無料】白夜 スペシャル・エディション/眞木大輔[DVD]【返品種別A】【smtb-k】【w2】
2010.09.22
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客入りはほぼ満席、客年齢は高い。今回は「yahoo!映画」ユーザーレビュアーとして招かれました。 十三人の刺客 オリジナル・サウンドトラック 映画の話 幕府の権力をわが物にするため、罪なき民衆に不条理な殺りくを繰り返す暴君・松平斉韶(稲垣吾郎)を暗殺するため、島田新左衛門(役所広司)の下に13人の刺客が集結する。斉韶のもとには新左衛門のかつての同門・鬼頭半兵衛(市村正親)ら総勢300人超の武士が鉄壁の布陣を敷いていたが、新左衛門には秘策があった。 映画の感想 素晴らしい作品だ。ある意味、三池崇史監督の到達点といえる作品だ。三池監督が時代劇を演出するのは02年の「SABU~さぶ~」以来なのかな?映画を見る前は些か不安があったが、映画が幕を開けて直ぐに、その不安は吹き飛ぶ位にしっかりと腰をすえた世界観に、あっという間に映画の世界に引き込まれた。ただ、本作は注意が必要だ。映画にはタイトル以外のスタッフ&キャストのテロップが出ないので、事前にキャストの名前は把握した方が良いだろう。御馴染みの俳優達が大挙して出演しているが、男優はまげに揃いの着物姿だったり、女優も眉毛なしの白塗りだったりで、誰が誰だか判り辛いのが難点だ。私の様に予備知識なしで映画を見る観客には、エンドロールを見て後から「あ~っ、あの人が演じていたんだ・・・」と判る次第である。オリジナル版は未見です。 以下ネタばれ注意 映画は暴君となった藩主に対して抗議の自殺をする家老の姿が映し出される。ただごとでは無い状況を観客にアピールする力強い幕開けだ。暴君となった藩主・松平斉韶を演じるのはSMAPの稲垣吾郎だ。映画冒頭では稲垣と気づかない位の傍若無人ぶりが凄い。よく稲垣がこの汚れ役を引き受け演じきったものだ。映画はしばらく薄暗い屋敷の中で斉韶が行った悪行が次々と明かされ観客は凍りつく、斉韶の徹底した悪行を見せ付ける監督の演出が冴える。このままでは国存亡関わると幕府から隠密に斉韶の暗殺が役所広司演じる島田に命じられる。 島田が斉韶暗殺の為に刺客が集められるが、この辺の件は黒澤明監督「七人の侍」や、そのリメイクとなるアメリカ映画「荒野の七人」と共通するもので、島田が丁度「七人の侍」の志村喬あり、「荒野の七人」のユル・ブリンナーの様な役回りだ。刺客でフィーチャーされるのが剣術の腕が長けた浪人を演じた伊原剛志だ。ジャパンアクションクラブ出身の伊原にとって本作の浪人役は“水を得た魚”的な役柄で、大柄の体に切れの良い殺陣が決まる。そして「クローズZERO」シリーズに引き続き三池作品で主役を張るのが島田の甥を演じた山田孝之だ。彼を筆頭にこれからの日本映画を担う若手が刺客として出演している。高岡蒼甫、石垣拓磨、波岡一喜らに加え、途中参入してくる山の民を演じた伊勢谷友介が異彩を放ちまくるキャラを演じている。彼のキャラは本作の中で一番三池作品らしいキャラで、彼の存在が緊張する物語の中でガス抜きとなる。 刺客集めに続いて、斉韶の道中で帰国に立ち寄ると思われる落合宿を丸ごと買い叩き、要塞化して罠を仕込み斉韶暗殺計画が実行されるクライマックスの50分が凄まじい。宿屋に着いて、まず斉韶の側近・半兵衛が下見に行くと女子供が日常生活を送るのどかな日常が目に入るが、それは島田が仕掛けたトリックだ。まんまと島田の罠にはまった斉韶とその部下たちは要塞と化した落合宿に足を踏み入れてしまう。この島田が仕掛けたトリックは本作でも秀逸なシーンで、嵐の前の静けさを上手く現した描写であり三池監督のセンスが光る。 13人の刺客に対して敵は300人超の戦は、鳥肌が立ち、目頭が熱くなる位に大迫力の連続である。橋の爆破に始まり、宿屋の爆破、火のついた牛の暴走、刺客たちは宿屋の屋根から弓矢で敵を狙い撃ちにして次々と侍を仕留めてゆく。刺客側圧倒的有利と思われた戦は、斉韶にもてあそばれ四肢と舌を切り落とされた女性が書いた「みなごろし」の文字を合図に刀を使った剣劇に変わり、多勢に無勢状態の刺客の劣勢状態に陥り、土と泥と血まみれの刺客たちは体力の限界となり次々と命を落とす。 刺客の死に様も様々だ。切り殺される者、刺し殺される者、爆死など刺客一人一人の死に様が丁寧に描かれる中、伊原剛志の死に様は壮絶だ。刀を失い道に落ちていた石を拾い相手を撲殺する描写が、死に際になった仲間の刺客の視線で描かれる。地面に横たわる刺客の視線を再現する為にカメラも横に倒れローアングルから対象者を捉える。横長のシネスコスクリーンを横向きに撮影したフィルムは丁度70年代東映実録ヤクザ物を見るようであり、オマージュかもしれない。オマージュと言えば東映時代劇や実録ヤクザものに数々出演してきた松方弘樹も素晴らしい殺陣を披露している。やはり本作は東宝作品であるが三池監督の中には昔見た東映作品のDNAが受け継がれているのだろう。 壮絶なラストまで緊張の糸は一瞬も途切れない。最後の最後にあの人が生きていたのは腑に落ちないが、時代劇が苦手な私が見てもエキサイティングな描写の連続には素直に拍手を送りたい。90年代からビデオ作品を中心に活動していた三池監督が、数々のメジャー作品を監督している内にここまで凄い作品を監督する人物になっていたとは正直驚いた。本作は万人にお勧めできるエンタメ作品に仕上がっているし、映画ファンであれば見て損は無い作品である。 映画「十三人の刺客」関連商品 十三人の刺客 十三人の刺客 十三人の刺客
2010.09.20
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試写会の客入りは7~8割くらい。小さなお子さんからお年寄りまで幅広い年齢層の観客だ。 【送料無料】 CD/小西香葉&近藤由紀夫(MOKA☆)/「おにいちゃんのハナビ」オリジナル・サウンドトラック/PG-1010 映画の話 病弱な16歳の華(谷村美月)の療養のため、新潟県の小さな町に5年前に引っ越してきた須藤一家。毎年、世界一の花火が打ち上げられる“片貝花火まつり”の日、急性白血病による半年間の入院生活を終えた華は、兄の太郎(高良健吾)が自室に引きこもっていることを知り、町の成人会に参加させようとする。 映画の感想 本作は私の苦手な“難病もの”となる作品であり、展開もとてもベタである。しかし、その直球ぶりが素直に心に入り久々にポロ泣きしてしまった。実話を基にした物語であるそうだが、出来ればチラシも予告編も何も見ない先入観無しの方が楽しめる作品だと思う。監督は数多くのテレビドラマを演出してきた国本雅広監督の劇場作品デビュー作になる。国本監督の演出は基本的に直球なのだが、突然大胆なボールを投げたり、変化球を投げたりで、観客の心をつかむのが実に上手い。多分テレビドラマで培った確かな演出力なのだろう。 以下ネタばれ注意 映画はオープニングから大胆な演出で幕を開ける。谷村美月演じる華が入院していた病院から退院する所から始まるのだが、元気そうな華がタクシーに乗った途端に被っていたカツラを脱ぎ捨て丸坊主頭をさらす。こんな驚きの描写で華が難病である事を観客は知る凄い演出だ。そして、タクシーを運転しているのが大杉蓮で、ただの運転手役かと思って観ていると、タクシーが華の自宅に到着すると、大杉蓮は華の父親だと判る。ほんの短いシーンで2つも仕掛けが施されている大胆な演出が上手い。大杉蓮のタクシー運転手役は北野武監督「TAKESHI’S」以来になるのかな? 本作は華の白血病だけの話かと思ったら、自宅には高良健吾演じるひきこもりの兄・太郎が居て、本作は太郎と華の二人の物語なのだと判る。まぁ、それにしても白血病の娘とひきこもりの息子を持った家族は大変な物で父と母は朝から晩まで働きづめである。母を演じるのは「悪人」「君が踊る、夏」でも母親役だった宮崎美子だ。彼女はまだ独身なのにすっかり母親役が板についてしまった。 ひきこもり生活ですっかり両親から見限られてしまいネガティブになった太郎の心を開くのが華だ。ポジティブな華は、太郎が華の部屋と通じる引き戸の前に壁を作るように置いた本棚を丸ごとぶっ倒す、華が兄の心の壁をぶち壊す事をイメージ化した象徴的な凄いシーンだ。更に華は兄を外に引っ張り出す為に、自宅で偽装火事まで引き起こし兄を外に連れ出す。監督の大胆な演出が可笑しく実に気持ちよい。そして華は太郎に無理やり新聞配達のバイトをさせて社会復帰を導いてゆく。この新聞配達のシーンが良い。無表情で伏し目がちな太郎の顔が、華と一緒に新聞を配るうちに良い表情がドンドン出てくる。顔なじみのおばあちゃんと仲良くなったりで太郎の心が解放されてゆく過程が丁寧に描かれる。 私は本作を見ていてふと、クリント・イーストウッド監督「グラントリノ」を思い出した。妻を亡くし心を閉ざしてしまった老人が隣家に住む姉弟により心が解放されてゆく。そう、本作は高良健吾版「グラントリノ」状態である。もう、とにかく高良健吾のひきこもり演技が上手い。相手と目線を合わせずオドオドとした青年が、ギクシャクとしながらも一歩づつ前に進む姿を見ていると自然に目頭が熱くなってくる、「グラントリノ」を見た時と同じ状態である。本作には地方ならではの閉鎖的な人間関係も描かれる。成人式を迎える兄を華は地元の成人会に入れようとするが、一部のメンバーが引っ越してきたよそ者を快く受け入れようとしない。地方の難しい人間関係を真正面から取り組んだ描写が後々の展開に効いてくる。 もう、後半はただ、ただ涙である。見た方は判ると思うが“あのメール”は反則だ。クライマックス前の両親の驚きの行動から美しい花火大会、そして天国から華の贈り物とツボを得た直球演出がバンバンと決まる。一番泣けたのはずっと感情を表に出さなかった父親が、最後に太郎を心から受け入れた瞬間は大杉蓮の演技と相まって涙のピークとなった。映画を見る前は「どうせ、駄目な映画だろう」と先入観があったが、映画を見た後は「いい映画を観た」に変わっていた、これはお勧めな作品である。 映画「おにいちゃんのハナビ」関連商品 おにいちゃんのハナビ
2010.09.17
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当日は鑑賞料金が¥1000の“TOHOシネマズデイ”と言うことで「混んでるかな?」と思っていたが、蓋を開ければ私が見た644席のスクリーン7には平日昼間のせいか60~70名くらいと閑散としたものだった。 【27%OFF】★【初回予約のみ】スペシャルDVD付き!(外付け)[Blu-ray](初回仕様) バイオハザードIV アフターライフ ブルーレイ&DVDセット 映画の話 ウイルス感染のまん延で世界は荒廃し、人間は滅びつつあった。そんな中、生き残りの人間を探して世界中を旅するアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)は、ロサンゼルスの刑務所に隠れて生き残る人間たちを見つける。彼らを刑務所から脱出させるため、アリスはアンデッドとの闘いに挑む。 映画の感想 本作をシリーズ1作目の監督でミラ・ジョヴォヴィッチの旦那ポール・W・S・アンダーソンが再び監督する、と言うことで期待をしてみたが面白いのはオープニングの東京と、その地下にあるアンブレラ社だけで、その後はかなり単調な展開だ。その上、ロスの刑務所に行ってからは何処かで見たようなデジャヴな映像と展開にテンションが上がらない。 以下ネタばれ注意 オープニングの中島美嘉が感染者として登場する渋谷のスクランブル交差点のシーンと、アリスのクローン達がアンブレラ社を急襲するアクションや銃撃戦は文句のつけようの無いクオリティに思わず頬も緩みぱなしでテンションも急激に上がる。続く、東京の核爆発~飛行機で脱出したウェスカーとアリスが富士山に激突までは本当に素晴らしい。映像も「ここぞっ!」と言うときに使われるスローモーションが映像に緩急が付き映画的なカタルシスを感じる。しかし、本作の勢いもここまでで急激に物語は失速してしまう。 映画は月日が流れ、アリスが生存者が居るとラジオ放送されているアラスカ「アルカディア」にセスナ機で目指す辺りから急激に勢いがなくなってしまう。ラジオから生存者情報がラジオから流れている設定は「アイ・アム・レジェンド」と酷似している。アラスカに到着するものの誰も生存者はおらず、同じように放送を聴いた生存者が乗ってきたと思われる数十機のセスナ機があるだけで落胆するアリスであったが、3作目で一緒に戦ったクレアが胸に変な物を取り付けられた記憶喪失状態で発見する。彼女をセスナに乗せてロスに戻るがロスの街全体がアンデッドに支配されていた。 本作はホラー的な要素は低くアンデッド(ゾンビ)目当てに見に行くと肩透かしを喰らってしまう。アンデッドはあくまでもドラマの背景に成り下がってしまい、登場人物達からもアンデッドに噛まれる恐怖感があまり無いように感じるのが難点であり、要塞化した刑務所では外的から襲来を防ぐ事が出来る安心感が生まれてしまうのも駄目だ。ロスの刑務所に逃げ込み生存者と合流するアリスの姿は何処かザック・スナイダー監督「ドーン・オブ・ザ・デッド」の構図に似ている。アンデッドに建物を包囲され逃げ道を失った生存者が目指す逃げ道が港に浮かぶ「アルカディア」と言う大型船であり、双眼鏡で大型船に逃げる方法を模索している姿も「ドーン・オブ・ザ・デッド」で向かいの建物に逃げる方法を考えている登場人物達の姿に似ている。しかし装甲車で脱出する方法はあまりにも「ドーン・オブ・ザ・デッド」に似てしまうと作り手も判断したのか、これは却下され地下の下水からボートに乗って逃げる案になっている。 それから、アリスたちの前に立ちふさがる頭巾を被り巨大斧を振り回す大男・処刑マジニも「サイレントヒル」にも同じようなキャラクターが出てきた。似ていると言えば、口から四つに割れるもう一つの口が出てくるマジニや、体が真っ二つに割れる犬・アジュレなんかを見ると、ジョン・カーペンター監督「遊星からの物体X」でSFXを担当したロブ・ボッティンがアナログ技術で作り出したギミックに良く似ていて、何か映画全体が過去のゾンビやモンスター映画の手垢の付いたギミックを焼きまわしをしているように感じた。 まぁ、映像の見せ方は非常に上手くケレンミのあるスローモーションの使い方は近年の作品の中でも指折りな事は確かで、アリスが飛びながらクルクル回ったり“ライダーキック”みたいなのがあったりで作り手のアイディアは秀逸だ。ラストの船の中の白い空間でのウェスカーとの戦いは、まるで「マトリックス」を見るようで笑ってしまったが、これはこれでご愛嬌だ。それにしてもゲームを原作として、ここまで成功した作品は珍しい訳で、興行もすこぶる良いようなのでジョヴォヴィッチ&アンダーソン夫妻のライフワークとして、これからも夫婦でシリーズの続投を願いたいと思わせる作品だった。 映画「バイオハザード4 アフターライフ」関連商品 ★光沢があります★[初版・映画ポスター] バイオハザード4 アフターライフ (RESIDENT EVIL: AFTERLIFE) [ADV-DS glossy] 【23%OFF!】バイオハザード 【Blu-ray disc 専用】 Bungee Price Blu-ray 洋画バイオハザードII アポカリプス 【BLU-RAY DISC】 Bungee Price Blu-ray 洋画バイオハザード III 【BLU-RAY DISC】
2010.09.14
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「GTFトーキョーシネマショー2010」にて鑑賞。客入りは満席だ、客席に座れない人も居たみたいだ。 【27%OFF】[Blu-ray] エクスペンダブルズ 映画の話 バーニー(シルヴェスター・スタローン)は、傭兵(ようへい)軍団のリーダーとして精鋭たちを束ねている。彼はナイフの達人リー(ジェイソン・ステイサム)や、マーシャルアーツの天才ヤン(ジェット・リー)らと共に危険な任務を遂行してきた。ある日バーニーは、とある依頼人(ブルース・ウィリス)から教会に呼び出され……。 映画の感想 超メガトン級の肉弾アクションの連続に大満足であり、80~90年代アクション映画ファンにとってはお祭のような作品である。まぁ、それにしてもよくもこんな凄い面子が揃ったものだ。スタローンの人脈の広さと昔共演した仲間を大事にする彼ならではの人柄を感じる。特に「ロッキー」シリーズをほぼリアルタイムで見てきた者として、「ロッキー4」で敵役ドラコを演じたドルフ・ラングレンの出演は嬉しい。 スタローンと言う人物は殆ど自分が主演作と言う作品しかなく、この手のアンサンブルキャスト作品は珍しい。映画を見る前はどうせスタローンの「俺が、俺が」的な作品かと思っていたが、そういう部分もある物の、見事に各スター級キャストにそれぞれ見せ場をバランス良く配分している。特に近年アクションスターとして頭角を現しまくりのジェイソン・ステイサムがスタローンの相棒リー役で大活躍だ。スタローンが彼の存在を素直にリスペクトし、作品に大々的にフィーチャーしている。ステイサム・ファンの方も必見な作品だ。 以下ネタばれ注意 映画はオープニングから度肝を抜くアクション&スプラッター演出でスタローンのやる気と観客へのサービスを感じる。特に血や肉片が吹き飛ぶスプラッター演出は、スタローンの前作「ランボー4 最後の戦場」でも度肝を抜くスプラッターシーンに驚いたが、今回は娯楽大作と言うことで漫画の様にサラリとスプラッター演出を入れてくる。CGの進歩も影響しているのだろう。映画の話は「ランボー」シリーズのチーム版と言った所で、話は至ってシンプルな話で観客はひたすら肉弾アクションを楽しめばよい。 スタローン演じる傭兵集団リーダーのバーニーに任務を依頼するのはブルース・ウィリス演じるMr.チャーチだ。スタローンとウィリスのツーショットだけでアクション映画ファンとして歓喜してしまうが、そこに更にアーノルド・シュワルツェネガーまで加わり奇跡のスリーショットには鳥肌が立ってしまった。80~90年代にアクション映画を盛り上げ、切磋琢磨したライバル同士が一つのスクリーンで顔を揃え、お互いのバックボーンを想像される台詞の応酬には目頭まで熱くなってくる。反面、あまりの凄い共演シーンに「これって、合成なんじゃないの?」と疑いだしてしまう始末である。ほんの2~3分の奇跡スリーショットは本作の目玉シーンだ。 映画はMr.チャーチの以来に基づき、早速バーニーは相棒のリーを伴い下見の為に、貨物プロペラ機で傭兵部隊が支配する南アメリカに潜入する。ここからの展開は「ランボー」シリーズに良く似ている。案内人の女性と共に町や村を偵察中に軍に見つかり、傭兵相手に大乱闘を繰り広げ命からがら島から逃げ出すが、案内人の女性を置いてきてしまう。普通の映画であれば、ここで島からプロペラ機で脱出して終わりだが本作はもう一歩踏み込む。バーニーとリーは“死の飛行”と名付けた作戦を実行する。貨物機を装ったプロペラ機の先端には銃座が装備されていて、貨物機先端から体を半分剥き出した状態のジェイソン・ステイサムが(多分)ノースタントで銃座に座り、島に引き返し港まで追いかけてきた傭兵軍団に銃撃を食らわし、閉めには貨物機から油をまき港の桟橋まるごと大爆破という一大スペクタクルシーンにしびれる。 島の偵察から帰ってくれば、敵に寝返り狂ったラングレン演じるガナーがバーニー達を襲い、街中で凄まじいカーチェイスを繰り広げる。スタローンにとって「コブラ」以来のカーチェイスになるのだろう。カーチェイスが終われば、まさかのラングレンとジェット・リーの格闘一騎打ちが見られ、私のアドレナリンが大放出してしまう。他にも友人の女を殴ったバカ男への制裁を加えるジェイソン・ステイサムのシングル・アクションや、自殺する女を助けられなかったミッキー・ローク演じるトゥールの独白など、スタローン監督はちゃんと各キャストに美味しいシーンを用意している所がよい。 クライマックスには依頼された任務と共に、島に残した案内人の女性を救出する為に再びバーニーは仲間を引き連れ島に潜入する。しかし私が本作で唯一の不満点がある。島には傭兵軍隊が最大限の警備状態の中、プロペラ機で乗りつけたバーニー達がどの様に島に潜入したのかが描かれず、いきなり島中に潜入してしまっている。まぁ、そんな事は忘れさせる大スペクタクルなクライマックスは手放しで拍手を送りたい。肉弾戦、銃撃戦、ナイフ対決、大爆破、宮殿の崩壊などアクションシーンの出血大サービスには脳内が麻痺してくる。 本作で注目すべきもう一人の人物がいる。敵ボスキャラのモンローを演じたエリック・ロバーツだ。人気女優ジュリア・ロバーツの実兄でありながら、光り輝く妹とは対照的に地味な俳優活動を歩んできた実力派だ。スタローンとは「スペシャリスト」で敵役を演じて以来の共演となる。本作は他のアクション映画に比べると正直かなり大味であるが、アクション映画ファンに向けたお祭映画である事は確かだ。ここまでアクションを徹底して見せられれば満腹状態だ、面白かった。 映画「エクスペンダブルズ」関連商品 ★豪華キャスト★[初版・映画ポスター] エクスペンダブルズ (シルべスター・スタローン) [REG-DS] ★どのアクションスターが好き!?★[初版・映画ポスター] エクスペンダブルズ (THE EXPENDABLES) [B-SS] ★アクション俳優総出演!★[初版・映画ポスター] エクスペンダブルズ (THE EXPENDABLES) [ADV-DS]
2010.09.04
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今回はyahoo!映画ユーザーレビュアーとして試写会に招かれました。客入りは女性客を中心に9割くらい。 【送料無料】久石譲 / 悪人 【CD】 映画の話 若い女性保険外交員の殺人事件。ある金持ちの大学生に疑いがかけられるが、捜査を進めるうちに土木作業員、清水祐一(妻夫木聡)が真犯人として浮上してくる。しかし、祐一はたまたま出会った光代(深津絵里)を車に乗せ、警察の目から逃れるように転々とする。そして、次第に二人は強く惹(ひ)かれ合うようになり……。 映画の感想 これは酷い。犯罪加害者と被害者を平等に描かず、映画は完全に加害者側に肩入れをして、加害者を美化し、被害者を悪者にする構図を作り出す倫理観が許せない。論点も犯罪を愛にすり替え犯罪と向き合おうとしない姿勢が気に入らない。題材も非常によく、出演者の演技も皆上手い、何でこんな映画になってしまったのだろうか?2時間19分の上映時間がここまで居心地の悪い作品も珍しい。私は原作を未読の為に、映画が原作のどの部分をピックアップして、どの部分を切り捨てたのかが不明であるが、映画を見るだけだと加害者と被害者の描写バランスが非常に悪い。 映画の幕開けは非常に良い。闇夜に獲物を物色するかのごとく車の運転者目線の車載カメラが不気味であり、低いエンジン音をうならせ闇夜に白く浮かび上がるスポーツタイプのスカイラインを見ていると、古い東宝映画「ヘアピンサーカス」(72年)に登場するトヨタ2000GTを思い出してしまう。映画はしばし加害者と被害者の日常が描かれ、映画の軸となる事件へと向かう。 以下ネタばれ注意 まず、本作のスタートラインが出会い系サイトで出会った男女と言う、実も蓋も無い登場人物に感情移入出来ないのが駄目だ。その為に満島ひかり演じる被害者が自業自得の様に描かれているのに違和感を持った。事件の趣旨としては70年代に起こった“大久保清事件”を思い出してしまった。スポーツカーを乗り回し、芸術家を装いナンパした女性をレイプした後に殺害遺棄した事件と似ている。特に被害者が加害者に向けて「私の知り合いには弁護士がいる、レイプされたと訴えてやる」と言う発言に加害者が激高して殺害に至る辺りは大久保清事件とよく似ている。しかし、本作は殺害した被害者を遺棄するシーンが無い。とても重要なシーンであり、加害者の心理を掘り下げるのには絶好のシーンであると思うのだが、本作は一環して加害者を美化しているので、この手の汚れ演技を妻夫木聡に演じさせていないのは致命傷だろう。 本作は加害者を美化する為に悪者を用意する必要があった。その悪者が岡田将生演じる金持ち大学生だ。女を物の様に扱い気に入らなければ山道に捨ててしまう極悪男に仕立て上げ、自分が事件の発端を作ったのに被害者家族を笑い飛ばす、今時の若者像代表の様に描かれているのにも違和感を持った。大体、本作の警察も何をやっているのだろう?被害者の父親にも叱咤されていたが、逃亡した指名手配犯を捕まえようとしている気配も見えない。警察がどの様にして加害者にたどり着いたのかも描かれず、たまたま加害者の自宅に掛かってきた電話で犯人と確信したという描写だけでは納得できない。ちゃんと事件を追う警察の動きも克明に描く必要があったと思う。 事件にたかる報道の描き方も釈然としない。何故か報道は加害者側だけに集まっていたが、本来ワイドショーを見ていると必ず被害者側にもマスコミが殺到しているはずである。しかし本作は加害者側だけに集まり、さも、罪の無い加害者祖母をマスコミがいじめているように描き、マスコミを悪者にして加害者家族を良い者にしようとしてる構図が透けて見えてくる。仕舞いにはバスの運転手までも「ばぁちゃんは悪くない」なんて言い出す始末である。完全に映画が加害者家族側を美化しているようにしか見えない。更に映画は「祖母も被害者だ」と言わんばかりに、松尾スズキ演じる詐欺師が行う催眠商法詐欺被害者として取って付けたようなエピソードを挿入してるが話の顛末は無い。 映画は徹底して加害者と出会い系サイトで知りあった深津絵里演じる光代の逃避行に焦点が絞られる訳であるが、光代と言う女もかなりヤバイキャラである。自首しようとする加害者を引き止めたり、一度は警察に保護されたのに脱走して加害者の元に戻ったりで、事件をドンドン悪い方向に導いた張本人なのに「愛の力がそうさせたんだ」と言う美化演出も気に入らない。大体、光代が一度妹の元に電話を掛けると、妹が「お姉ちゃんが失踪して大変な事になっている」と電話口で発言しているが、そのシーン描写が必要である。同じように加害者の母も実家に戻り祖母に「息子のせいで迷惑している」見たいな台詞があったが、加害者の母が迷惑と思ったシーンも描くべきである。本作は台詞で言って誤魔化すシーンが多く、台詞が絵空事の様になってしまっているのが駄目だ。加害者と光代の濃厚なSEXシーンに時間を費やすのであれば、こういった細かいディティールを描けば映画として深みが出ると思う。 まぁ、散々駄目だしをしたが、ひとつだけ好きなシーンがある。加害者が光代に犯行を打ち明けるシーンで、活きたままさばかれテーブルに出されたイカの刺身の目玉にカメラが寄り、事件当夜の回想に移るシーンは秀逸だ。刺身になっても動いていてるイカの姿を見た加害者が生への執着を感じたのだろう。私はたまたま本作を見る前日に、犯罪被害者家族の加害者に対する終わり無き憎しみを描いた力作「ヘヴンズストーリー」を見てしまったのがまずかったのだろう。本作の加害者と光代の愛だの恋だの訳の判らない理由をつけた逃避行にはウンザリしてしまった。良い題材だけに着眼点を変える事で力作になったテーマだっただけに、真摯に事件と向き合わない本作の姿勢には異論を唱えたい。 映画「悪人」関連商品 悪人(上)価格:567円(税込、送料別) 悪人(下)価格:567円(税込、送料別) 妻夫木聡が悪人だったあの2ヶ月価格:1,418円(税込、送料別)
2010.09.01
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お盆休みのチネ4には40~50名位の客入りだ。アンジェリーナ・ジョリー主演作にしてはかなり寂しい客入りだ。客層は大人しか見に来ていない、若者たちはアンジーに興味が無いのかも? ソルト Blu-ray & DVDセット【Blu-ray Disc Video】 映画の話 CIAエージェントのイヴリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、何者かの陰謀によってロシアスパイの嫌疑をかけられてしまう。逃走を図ったソルトはCIAの追跡をかわしながら、自らの容疑を晴らすべく、たった独りで真相究明に乗り出すが……。 映画の感想 これは面白い、予備知識無しで見たのが良かったのだろう。オープニングの北朝鮮のシーンから何か凄い展開になりそうな予感を覚える。それにしても本作の脚本はいつ書かれたのだろうか?北朝鮮は「007 ダイ・アナザー・デイ」でも極悪非道に描かれていたが、本作でもいきなり捕まえた主人公ソルトを拷問している。しかし、映画だからあんな物であるが、実際の拷問はもっと凄まじい拷問であるはずだ。とりあえず北朝鮮はとてもタイムリーな設定である。 以下ネタばれ注意 しかし本編のメインとなる悪役はロシアである。う~ん、何か随分と古い設定の様であるが、そんな固定観念を吹っ飛ばすくらいに本作は勢いがある。CIAに捕えられたスパイの取調べ途中から、ソルトにロシアの二重スパイ容疑が掛けられ、ここから先はほぼノンストップで走り続ける。それにしてもソルト自身は何処まで自分がロシアのスパイと意識していたのだろうか?映画冒頭はどう見てもソルトに二重スパイを思わせる要素が無いが、いざ自分が窮地に陥ると完全に戦闘モードにスイッチが入ってしまい大暴れである。 多分、ソルトのロシアスパイとしての戦闘モードのスイッチは取調べをしていたロシアスパイ・オルロフの発言の中に、何らかの暗号が含まれていたのだろう。往年のスパイ映画でチャールズ・ブロソン主演「テレフォン」でも、洗脳されたスパイが電話の指令でテロ行為を行うという作品があったし、近作だと「スター・ウォーズEP3 シスの復讐」の中でも、クローン兵に秘密裏に刷り込まれた暗号“オーダー66”が発令されクローン兵は全て帝国に寝返ってしまうと言った描写があった。本作でのロシアスパイ・オルロフの発言の中に同じような暗号が含まれていたようだ。 ここから先はソルトの逃亡劇が続く。私は正直アンジーは苦手な女優であるが、ここまで切れの良いアクションを見せられると感服せざるえない。彼女は「トゥームレイダー」シリーズでも凄かったが、オートバイを乗りこなせると言うのはアクション女優として非常にポイントが高い。ソルトの得意技は接近戦と爆弾作りと言うことで、映画の中でも接近戦やら爆弾攻撃などソルトが子供の頃から洗脳され続けた技が炸裂し、映画を見ていてアドレナリンが大放出してしまう。多分、このアイディアは本作の脚本を担当した「リベリオン」「ウルトラヴァイオレット」の監督カート・ウィマーのセンスが上手く作品に融合したのだろう。 CIAの追跡をかわし、ロシア大統領暗殺の任務を成功したソルトに次のスイッチが入るのが、彼女の夫マイクを目の前でロシアスパイに殺された事で、次なるスイッチが入ったのだろう。自分の先生に当たるオルロフと子供の頃に一緒にスパイに洗脳された兄弟スパイ丸ごとぶっ殺し、ソルトはアッと驚く最終任務を決行する。 監督はフィリップ・ノイスだ。全盛期は「パトリオットゲーム」「今そこにある危機」と言ったジャック・ライアンシリーズを監督し、花形監督となったノイス監督であったが、近年は何故かメインステージから遠ざかり人間ドラマを描いていた。しかし、ノイス監督の手腕は落ちぶれていなかった。かなり破天荒な物語であるが、スター女優アンジェリーナ・ジョリーと言う逸材とのコンビネーションで全盛期と変わらぬテンションの作品を作り上げてしまった事に驚いた。 そして本作にはもう一人アメリカ映画を支えてきた重鎮が参加している。それは編集を担当したスチュワート・ベアードだ。「オーメン」の編集で頭角を現し、「スーパーマン」「リーサル・ウェポン」シリーズと言ったリチャード・ドナー監督作品の多くを編集をし、96年には「エグゼクティブ・デシジョン」、98年に「追跡者」を監督した逸材だ。アクション映画編集を知り尽くしたベアードならではのテンポが本作の勢いを作り出したのだろう、面白かった。 映画「ソルト」関連商品 ★セクシーな黒髪アンジー!★[初版・映画ポスター] ソルト (アンジェリーナ・ジョリー) [REG-DS] ★黒髪のアンジー!★[初版・映画ポスター] ソルト (SALT / アンジェリーナ・ジョリー) [ADV-DS]
2010.08.22
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