●●●新選組！～後始末のつけかた

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2004.05.30

テーマ：新撰組！(305)

カテゴリ：カテゴリ未分類

「あの人には策はいらない」
山南敬助はしきりに感心していた。
なかでも永倉が真っ先に反応する。
源さんは嬉しそうだし斉藤は納得していた。
勇は何ひとつ迷うことなく
事の次第を奉行所に届け
小野川親方に謝罪した。
熊川熊次郎の遺体の前で
手を合わしている。

「誠」の旗が出来上がる。
歳三にとってこの文字は勇そのもの。
人柄と試衛館と。

目の前に立ち塞がる壁がある。
田舎者め。田舎侍め。
それは力士の姿をして芹沢の前に現れ、
彼は刃を抜きそれを斬り捨てようとした。

勇は。
大坂奉行所の与力、内山彦次郎に
「田舎者」と呼ばわりされようとも、
もう慣れたと聞き流していた。
目の前の壁は高く分厚い。
だが勇は江戸を出るとき
母ふでとその壁と向き合い
受け流す方法をもう心得ている。

道を塞ぐ壁。
塞ぐ方が悪い自分は悪くない。
問題が起きるそれでも
自分は悪くない。

自分は悪くない。
そんなことはありえない。
どんなことが原因でも
どんな立派な理由があろうとも
責任の一旦は自分にもある。

仮病を使い時間をずらせたせいだと
責任ばかり感じる斉藤。
永倉は他の可能性もあったと彼を諫める。
もっと悪いことが起きていた可能性。
誰かのせいというわけではなく
責任の一旦は自分にもある。

勇がもし真っ直ぐ宿に戻っていれば。
だが彼は深雪太夫とともにいた。

策を弄さぬ勇を常に山南は気遣う。
それはそれで正しいことだ。
正攻法が常にうまくいくとは限らない。

小野川親方は勇に言う。
道を譲らぬ力士にも蔑みがあったと。
田舎者め。田舎侍め。
芹沢鴨のことも近藤勇のことも
何も知らないままの慢心。

自分の責任。
それをわからぬまま
後始末など出来ないのである。

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