●●●タイタンズを忘れない

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2004.07.08

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テーマ：レンタル映画(818)

カテゴリ：カテゴリ未分類

ヴァージニア州アレクサンドリア。
この保守的な町もアメリカの公民権運動とともに、
新たなる変革を求められる。
白人学校と黒人学校が統合する。
T・C・ウィリアムズ高校の開校。
同時に結成させたのは
アメリカンフットボールの「タイタンズ」
二つの学校の混成チームである。

「アメフト大好き！」
「アメフトがやりたいんだ！」

閉塞した状況をうち破るのは
アシスタントコーチの小さな娘シェリルと
カリフォルニアからやってきた
“サンシャイン”ロニー。
ブーンコーチの闘いやヨーストコーチの苦悩、
選手それぞれの葛藤も全部、
二人のシンプルで揺るぎない気持ちの前には
歯が立たないようにさえ見えた。

１９７１年。
過去の歴史にしてしまえるほど昔でもない。
だが都会がどれだけ進歩しようとも
ついていけない場合もある。
差別とは身内を守護する機能を持つ。
自分たちの側を優遇し
違いを認識すれば冷遇する。
具体的な例をあげるまでもない。
ヘッドコーチとして就任した
ハーマン・ブーンが物語っている。
町の誰もがビル・ヨーストを支持している。
大人たちのイザコザはそのまま
「タイタンズ」の中にも反映されていた。

「一つにならなければ、我々も、滅びる。
愛し合えとは、言わない。互いに敬意を持て。
きっと今よりも、人間らしくなれるはずだ。」
ゲディスバーグ（南北戦争の跡地）で
ブーンは選手たちに言った。
彼の闘いは「タイタンズ」だけではなかったはずだ。
厳しい練習で選手たちを鍛えようとする。
何もかも彼の心の反映のようであるが、
閉塞した状況をうち破る風穴にはあれない。

だがサンシャインは平気で、
同室の黒人ピーティーを白人専用のパブに連れて行く。
ピーティは辛い思いをすることのはなるが、
自分のルームメイトの
その名の通り
太陽のような明るさを感じていた。
彼の前では黒人も白人もない。
そして娘シェリルの力強い言葉に
ヨーストは心を動かされていく。
どうやったら勝つか作戦と勝手にたて、
「タイタンズ」のことだけ考えてる。
彼女の前では黒人も白人もない。

風穴を通り抜けて
アメリカンフットボールのフィールドに立つ選手たち。
彼らはもうブーンコーチの闘いを知っている。
南北戦争に散った若者の命のことも。
理屈ではなく。
サンシャインもシェリルにも
理屈など最初からなかった。

予定調和の映画ではあるが
骨太のテーマに心動かされてしまう。
ブーンコーチにデンゼル・ワシントン。
シェリル役のハイデン・パネティエーリが
ジェリー・ブラッカイマー映画の
計算された抜け目なさを和らげてくれるが、
それも計算かも知れない。

実話である。
１９７１年という時代を
歴史の彼方に追いやるのはまだ早い。
風穴から吹いてくる風を浴びれば
もっと世界は広がるのかも知れないのである。

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