●●●サイモン・バーチ

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2004.08.24

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テーマ：レンタル映画(818)

カテゴリ：アメリカ映画

「僕は神の道具なんだ」

１９５２年、メイン州グレイブズタウンに
ひとりの赤ん坊が生まれた。
小さな小さな赤ん坊だったので、
医者は彼が長くは持たないだろうと判断し、
両親は彼を見捨ててしまった。
サイモン・バーチ
12歳だが身長は100cmにも満たない。
友人のジョーは自分の自転車に
手作りのサイドカーをつけ
サイモンを乗せて走っていた。
60年代くらいの美しい自然。
野山を駆けめぐり澄んだ水の池で潜水をする。
サイモンもだが
ジョーは私生児の子として
苛められていた。
だが清冽なる自然と友情が、
二人を健やかな心をもった少年に育んでいた。

ジョン・アーヴィングの原作、
「オーエンのために祈りを」を元に、
マーク・スティーヴン・ジョンソンが初監督。
そして脚本も手がけている。
凛とした生き方を見せる親子には
ジョーにジョゼフ・マゼロ
レベッカはアシュレイ・ジャット。
サイモン・バーチ役の
イアン・マイケル・スミスは堂々の演技。
冒頭とラスト、ナレーションは
大人になったジョーの役で
ジム・キャリーが演じている。

その手で産み落とされた箱庭に
人間は決められた時間を生きているのか。
それとも箱庭の作り手はどこにもいないのか。
サイモン・バーチという少年を産み落とし、
彼が野球の試合にて打った奇跡的なホームランボールが
親友ジョーの母、レベッカの命を奪い、
それはサイモンをも深い哀しみに追い落とす。
そしてジョーの本当の父親は
彼が受け入れることの出来ない男だったのだ。
神の箱庭に住まう人間に
降り注ぐ不幸を
誰も救うことが出来ない。
だから悲劇の最中にいる者たちは
神などいないと吠えるしかない。

二人の少年は
容易に世界には受け入れられなかった。
野球の試合ではストライクゾーンが狭いからと
チャンスに代打に出されていたし、
学校で演じる劇では
赤ん坊のキリストの役しかなかった。
だが彼らは健やかな心を持っていた。
可愛い女の子に恋をしキスしたくなるサイモン。
そしてジョーとともに野を駆けめぐり自然と戯れ、
水に潜り息をとめたりして遊んでいた。
そう煌めく日差しに輝く、
美しい水面に身体を馴染ませて、
潜水の記録を伸ばして遊んでいた。

「ボクが君たちを助ける」
日曜学校のキャンプのバスが事故に遭う。
サイモンの必死の形相は
そのときこそ自分が何者か悟っていた。
最後に残った年少の子供を助けることは
小さなサイモンにしかできない。
ジョーではなく、
他の大人でもなく。
そうサイモンはジョーの父親を知る。
レベッカが隠したのは父が教会の牧師だったから。
その発見もまたサイモンが
サイモンだったから見つけられたこと。
その人がその人だったから。
その人だからできたこと。

「僕の小さな身体に意味があっただろう?」

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