●●●新選組！～生命より重きもの

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2004.09.26

テーマ：新撰組！(305)

カテゴリ：テレビ番組作品

生命、命、一人の男の命、
それが一冊の本の代わりに散る。
五十両というお金の代わりに散る。
新選組のために散る。

河合耆三郎は自分の腹に刃を入れた。。
谷三十郎の介錯は失敗、
急ぎ反応したのは沖田総司である
斎藤一は腰を浮かせたが
目前に死が迫った青年の方が速い。
ただこの二人が最も知っているだけで、
もはや新選組に死は蔓延していた。
見届ける者たちの目には涙が浮かび、
原田佐之助は子供のようにおまさの横で泣いている。
片づけをする島田魁は空に向かい号泣していた。
土方歳三でさえ蔓延する死に
一人で耐えきれず勇の助けを
乞うているように見えた。

近藤勇は長州に対する訊問使である
大目付、永井尚志に同行し広島藩へ。
そのまま長州へ乗り込む覚悟を持っていた。
松平容保ともども平和的解決が彼の望みではある。
巨大な焚き火をした芹沢鴨を諫め、
相撲の小野川部屋相手の騒動にも自ら乗り込み、
事なきを得た勇の真っ直ぐな方法は
もう通用しなくなっていた。
争いは起きる。
争いは。
争いで多くの生命が失われるのに、
生命より重いものがズッシリ腰を据え、
勇の正攻法は時代遅れになってゆく。

坂本龍馬はまだ逃げる。
中岡慎太郎とともに生き延びようと懸命だ。
捨助が寺田屋を離れてしまった。
彼がいると騒々しくて周囲は迷惑ではあるが、
彼がいなくなると悲劇がよく起こる。
かつで佐久間象山も彼が離れたスキに
襲われてはいなかったか。

松原忠司の最期。
葛山武八郎の最期。
斎藤一はうなされていた。

山南敬助の最期。
土方歳三は呪縛から逃れられない。
新選組も逃れられない。
近藤勇でさえも。

河合耆三郎の最期。
飛脚が鈴を鳴らしやってくる。
だがお金では彼の命は取り戻せない。
兵学の本でも、新選組でも。

命よりも重きものはないはずである。
だが争いはいつまでも止まらない。

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