●●●新選組！～始まりと終わりの間

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2004.10.10

テーマ：新撰組！(305)

カテゴリ：テレビ番組作品

「未来のあるおまえがうらやましい」

佐々木只三郎はいつも、
「現実」を携え近藤勇の前に現れる。
1866年は激動の年、まさしく転機となる。
十四代将軍家茂に継いで孝明天皇の死。
十五代将軍慶喜は
自ら出陣するといっていた
長州征伐を取りやめてしまった。

新しい年を迎えていたというのに、
沖田総司の顔色は芳しくない。

近藤勇は34才。
伊東甲子太郎の弁に言いくるめられていた。
納得したようにクビを縦に振っていたのは
もうこれ以上、無駄な死を避けるため。
完璧な新選組脱退の理由に、
策を弄せず認める姿に、
人間としての成長が描かれていた。
伊東甲子太郎はやっと
自分の人生を歩むべく勝負に出た。
「すべては思いのままだ」
新選組から御陵衛士へ。
属するのではなく自らの王国づくりへ。

終わりがくれば次は始まり。
その連続が「生」というもの。

「未来のあるおまえがうらやましい」

沖田総司は藤堂平助を見送る。
平助を未来へ見送る。
言葉の裏に真実を隠して。
聞かなくて平助にはわかっていたから、
新選組に残りたい気持ちを押さえて
旅立ち決心をしていた。

だが未来が輝かしいばかりではない。
土方歳三にとっては
新選組に終わりなどありえない。
永倉新八とともに伊東に乞われた斎藤一を、
スパイとして御陵衛士へ送り込む。
伊東一派の未来は
油小路で幕を閉じるのだ。
次の新年を迎えることなく、
藤堂平助も逝く。

平助だけは守ろうとした歳三。
伊東のために働けと表向きは言いながら、
いつでも戻ってこいと本音で勇は言っていたのだ。

始まりと終わりの間
次は終わりか始まりか。
そこに居る者には誰にもわからない。

追記：
今回は印象的なセリフが多く、
大きな事件はないまでも非常に印象的な、
ワタシ的に優れた回だと思いました。
言葉そのものも良かったですが、
立場の差も明確になってきて
表情に別の感情も読みとれます。
誤解を招くような表現ですが「愉しかった」です。

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