●●●義経～覚悟を決めたら進むのみ

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2005.03.06

(8)

テーマ：『義経』(332)

カテゴリ：テレビ番組作品

不意を襲ってきた山賊を
見事に討ち取る遮那王。
父の形見の刀に、生温かい血がつく。
初めて人の命を奪ったのだ。
戸惑いを隠せないでいる。
だが、まだ彼には、
覚悟が足りない。

鞍馬寺より去ろうとする遮那王を
覚日律師たちが静かに呼び止める。
災いが降りかからぬようとの彼の気づかいを
知っていたという師の御坊。
形見の品をと思ったが、
再会という希望を遮那王に託す。
戦乱の世、命のやりとりが、
当然のように降りかかる源氏の御曹司。
何もかも不確実な世界では、
何が起こるのか予想がつかない。
予想がつかないからこそ。

喜三次は願いでる。
自分を家来にしてくれ、と。
京の都に居場所はなく、
だからこそ、恩ある人に仕えたい。
だからこそ、だ。
予想のつかない未来だからこそ。
武蔵坊弁慶は腹をくくっていた。
何があろうとも、遮那王の家来になると。
大陸との貿易に想いを馳せる船乗り、駿河三郎は
自分の夢の在処を見出していたかのよう。
山賊の一味だった伊勢三郎は
父から受け継いだ源氏への想いを
源氏の御曹司を前にあらん限りぶつけていた。
やっとめぐり逢えた自分の進む道、
手放すわけには行かないのだ。

熱い心を持つ者たちが、
遮那王の廻りを取り囲んでゆく。
源氏の御曹司との道行きは苦難の道のはず、
されど、彼らの気持ちは固く強い。
覚悟を決めて遮那王とともにいる。

もう進んでいるのだ。
初めて人を殺した遮那王は思い知る。
武蔵坊弁慶は人生の先達として青年に伝える。
奥州への道は覚悟を決めた道、
平家の敵になったということなのだ。
ならば、もう、進むしかない。

己れの道を。
覚悟を決めたのだから。

父が最期を迎えた尾張で、
烏帽子親もなく元服を迎えた遮那王
『亡き父もご照覧あれ。自らの手で烏帽子をいただきまする』
自らの境遇に悩み抜いた青年はやっと、
清々しい顔で新しい名を皆に示す。
九郎義経。
もう前に進むしかないのである。

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