厚生労働省は30日、中国で2009年ごろから発生しているダニ媒介性の新感染症が、国内で初めて確認されたと発表した。患者は山口県の成人で、昨年秋に死亡した。患者に最近の海外渡航歴はなく、日本国内でウイルスに感染したとみられる。原因ウイルスを媒介するマダニは日本でも全国に分布しており、厚労省では「全国どこでも発生し得る感染症と考えられる」として注意を呼び掛けている。
感染症は「重症熱性血小板減少症候群」で、09年以降に中国で報告され、11年に原因ウイルス「SFTSウイルス」が初めて特定された。また、米国でも似たウイルスによる症例が報告されている。今回の山口県の症例は、中国で見つかったウイルスとほぼ同じという。
主な症状は発熱、倦怠感、食欲低下、消化器症状、リンパ節の腫れ、出血で、致死率は10%を超える。治療法は対症療法に限られる。
厚労省によると、予防には、マダニが主に生息する草むらや藪などに入る時には長袖、長ズボンを着用するなど肌の露出を少なくすることや、屋外活動後にはマダニにかまれていないか確認することが重要。特にマダニの活動が盛んな春から秋にかけては要注意という。
厚労省では、▽吸血中のマダニに気付いたら、できるだけ病院で処置してもらう▽マダニにかまれた後に発熱などの症状があれば病院を受診する-ことを呼び掛けている。
■医療機関に情報提供を依頼
厚労省は同日付で、この感染症が疑われる患者を診察したら情報提供するよう、医療機関に依頼することを求める通知を都道府県などに出した。
情報提供を求める患者の要件は、「38度以上の発熱と消化器症状を呈し、血液検査所見で血小板減少、白血球減少、血清酵素の上昇が見られ、集中治療を要したか、死亡した」で、ほかの原因が明らかな場合は除く。【高崎慎也】
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