超長寿社会がやってきたいま、かつてはとんでもなく珍しいと思われていた90歳、100歳になる人が増えている。自分がそんな年齢になると想像できないあなたにもやってくる超高齢生活の現実とは。
「90歳なんてね、気がついたらなってたんですよ。こりゃ、なろうと思ってなれるもんじゃないだろうね」
世田谷区に住む96歳の男性はこう笑った。1917(大正6)年生まれで、「女優の山田五十鈴と同じ年の生まれですよ」。
「戦争はね、地獄でしたよ。本当に運だね、この年まで生き長らえてきたのは。
病気だって、そりゃ若いうちは人並みにしましたけど、年とってから寝込むような病気はしてないんだ。これもたまたまだね」
好物は「ビフテキ」。ビーフステーキだ。最寄り駅の近くにある洋食レストランがお気に入り。車椅子を使うことも増えたが、杖をつけば店への往復も自分の足で歩ける。いまでも調子がよければビフテキ一人前をきちんと食べるという。
「食べきれるかって? ごちそうを残すような人間は、長生きできませんよ(笑)」
90歳、100歳。かつては超長寿と思われていた年齢だが、いまやそう珍しくないものになっている。
政府の人口推計によれば、日本の90歳以上の人口は152万8000人(平成24年10月1日現在)。総人口の約1・2%だ。
さらに100歳以上の人口は5万1000人。総人口比は約0・04%で、単純計算では新幹線で2本に1人、100歳以上の人が乗っているのとほぼ同じ割合になる。そして今後はこの割合が増加していくことは確実なのだ。
人口の変化が経済・社会に与える影響について研究を重ねている政策研究大学院大学名誉教授の松谷明彦氏はこう語る。
「50年後には、女性の平均寿命は90歳を超えるでしょうし、男性も90年以上生きる人が相当な割合に達する時代が到来します」
国立社会保障・人口問題研究所の推計(平成24年1月)では、30年後の2043年には90代の人口が568万1000人。100歳以上の人口に至っては49万1000人というから、現在のほぼ10倍だ。
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