■土日祝祭日でも閑散としている住宅展示場
住宅業界を長らく取材してきた筆者が「これは奇妙だな」と感じ続けてきたものがある。住宅展示場(総合住宅展示場)のビジネスモデルだ。
長く「夢のマイホーム」実現のための場所として認知されてきたものだが、近年はとにかく人の姿を見かけない。取材に回っていての実感として平日はともかく、土日祝祭日も閑散としていることが多い。そこに出展しているハウスメーカーなどの住宅事業者、運営会社にとって、経営の重荷にならないのかと感じてしまう。このビジネスモデルは今、いったい、どうなっているのだろうか。
住宅事業者はモデルハウスの出展に多額のコストをかけている。消費者に新たな住まいと暮らしへの夢や希望をもってもらえるように、その多くは過剰なほど大きく、内外装や設備も豪華なものとなっている。
モデルハウスの建築費用は、地方や郊外の一般的な建物の場合なら数千万円。都内の中心部といった利便性が高い場所なら1億円を軽く超えるケースもある。このほかに経費として、さまざまなコストも発生する。
たとえば、出展料、営業担当者などのスタッフの人件費、光熱費、維持管理費などだ。合計すると、モデルハウス1棟あたりの年間運営コストが億単位になる場合もある。
にもかかわらず、実情としてはゴールデンウィークや新春など、年間数回ある来場が活発な時期を除いて、見学者が少ない状況が続いている。
理由は大きく2つあると考えられる。
1つ目は新築住宅需要の縮小だ。住宅需要の目安となる新設住宅着工は、ピーク時に160万~170万戸の高水準で推移したが、2016年には約97万戸にまで縮減している。
ただし、これには集合住宅や賃貸住宅が含まれ、実際には住宅展示場がメインターゲットとする「持家」(注文住宅)の動向を見たほうがいいだろう。その持家は、全体よりも減少の度合いが大きい。1996年に新設着工は60万戸を超えていたが、2016年には半減以下の同29万戸強となっている。つまり、それだけ住宅展示場へのニーズが減っている。
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