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森の声@ Re[3]:「体験格差」(子どもの育ちに必要な体験について)(11/04) めげぞうさんへ >これからどうなって行…

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森の声

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2024.10.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類
今、テレビで「手を使わないで履ける靴」のCMがしょっちゅう流れています。
それは、現代人の「手を使わないで靴が履けるなんて便利だ、嬉しい」という感性に沿って開発された靴なんでしょう。

現代社会は「手を使わなくて便利」「歩かなくて便利」「しゃがまなくて便利」「自分の感覚で感じなくて便利」「自分の頭で考えなくて便利」「自分のからだを使わなくて便利」「待たなくて便利」という価値観や感性に支配されています。

そして企業はその価値観や感性に従って商品を開発し、そしてその願いを叶えるような商品が続々と開発されています。

まだ実用化はしていませんが、SF映画のように脳に直接記憶を埋め込む研究をしている人までいます。それが可能になったら「勉強する必要」もなくなって便利になります。わざわざ毎日学校に行って時間を奪われ、心と、からだを拘束されなくても、簡単に知識を得ることが出来るのですから。

そして、多くの人がその流れを「社会の進歩だ」と言って歓迎しています。その流れの中で最初に書いた「手を使わないで履ける靴」も「こんなすごいものが出来たよ」と宣伝しているのです。

でも、「何かを得れば、その代償として何かを失う」というのは世の常なんです。とくにそれが欲望に基づく欲求の場合は、その代償は大きいです。

映画マトリクスのように、「頭を使わなくても頭が良くなるような方法」や、「感覚を使って色々な活動をしなくても感覚が育つような方法」や、「からだを使ってトレーニングしなくても色々なことが出来るからだを育てることが出来る方法」や、「様々な体験を通して心を育てるようなことをしなくても簡単に心が育つような方法」が発明されても、それで「めでたしめでたし」にはならないのです。

なぜならその代償として、「学ぶ楽しさ」「体験する楽しさ」「成長する楽しさ」「生きる楽しさ」また、「自分の頭を使って考える楽しさ」、「自分の感覚を使って感じる楽しさ」、「自分のからだを使って色々なことをやる楽しさ」が失われてしまうからです。

人は「努力の結果」として知識や能力を得るから人間として成長することが出来るのです。また「成長すること」が喜びにつながるのです。努力せずに結果だけ得られても人間としての成長にはつながらないのです。また、その能力の使い道も分からないでしょう。

また最大の問題として、「簡単で便利な生活は、子どもの能動性の育ち」を阻害してしまうということです。能動性を働かせる必要がない生活をしていたら、能動性が育つわけがないのです。

その結果、どんなに素晴らしい肉体と運動神経を得ても、それを使おうとはしないでしょう。「からだを使ってやりたいこと」がないのですから。私がブルースリーと同じ身体能力を得ても、ブルースリーのように生きたいとは思いません。戦うこと自体に興味がないのですから。

どんなにいっぱい知識を得ても、自分の趣味や興味に従って自分で努力して得た知識ではないので、使い道も価値も分かりません。

中でも「成長する楽しさ」が失われてしまうのは、大きな問題になってくるでしょう。
高機能なコンピューターが内蔵されたパワースーツのようなものを身にまとって「何でもできる万能人間」になったとしても、能動性が失われてしまったら「何にも出来ない無能な人間」と同じなんです。

問題は無能な人は何にも出来ませんが、この万能な人は何でもできるので、心が欲望に支配されてしまったら社会に対する危険度がマックスになってしまうということです。

まだそういう技術は実現されていませんからそれほど心配する必要はありませんが、そういう方向を目指して社会は動き、科学者が色々な研究をしているのは事実です。

その流れの中で、「学ぶ喜び、考える喜び、からだを動かす喜び、感覚を働かせる喜び、成長する喜び、仲間と遊ぶ喜び、手と頭を使って工夫する喜びを知らない子ども」が大量生産されています。その結果、「能動性を失った子ども達」が増えています。

でも、多くの大人たちが心配しているのは「学校に行っているかどうか」、「ちゃんと勉強しているか」、「成績はどうか」、「お母さんや先生の言うことをちゃんと聞くか」というようなことばかりです。
そして子ども達が退屈しないように様々な「刺激のあるもの」や「色々なことが簡単に出来るような便利なもの」を与えています。





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Last updated  2024.10.12 07:58:57
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