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2023.12.26
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カテゴリ: 報徳記を読む
鷲山恭平著「報徳開拓者 安居院義道」の現代語訳復刻版クラウドファンディング

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【4】先生日光祭田の荒蕪を開き百姓安撫の命を受け巡村開業す

先生幼(えう)より老(らう)に至るまで己を棄(すて)て、萬民(ばんみん)の困苦(こんく)を除き之を安んじ、貧邑(ひんいふ)衰國(すゐこく)を再興する所の良法實業(じつげふ)、一世の間(あひだ)諸州(しょしう)大徳(たいとく)を慕ひ教へを受け、其の良法を行ふもの枚擧(まいきよ)すべからず。
徳化(とくくわ)の及ぶ所大略左(さ)の如し。
伊豆(いづ)駿河(するが)相模(さがみ)甲斐(かひ)遠江(とほとうみ)武蔵(むさし)下總(しもふさ)上野(かうづけ)下野(しもづけ)常陸(ひたち)陸奥(むつ)惣(そう)じて十一ヶ國(こく)に及べり。
尤(もつと)も國々(くにぐに)により仕法の大小は異なり、或(あるひ)は一國(こく)中に數郡(すうぐん)數邑(すういふ)の仕法あり。
一邑(いふ)の仕法あり。
一家の仕法あり。
手を下す所限りありと雖も、人民(じんみん)の其(そ)の徳を慕ひ私(ひそ)かに法(のつと)り、其の道を行ふものに至りては、豫(あらかじ)め其の數(すう)を擧(あ)ぐること能はず。
初め小田原候の命に由(よ)り、野州に至る時に、一家を廢(はい)し萬家(まんか)を安(やす)んぜんと心を定めたりし誠心(せいしん)空しからず、仕法の徳澤(とくたく)に依(よ)つて、艱苦を免れ、永安の道を得たるもの幾萬家(いくまんか)なることを知らず。

弘化(こうくわ)元辰年(ぐわんたつとし)幕府日光祭田(さいでん)の廢蕪(はいぶ)を起し、窮民を安んずるの策を命じ玉ふに由り、良法の條々(でいでう)微細に書記(しょき)して之を奏(そう)す。
後(のち)眞岡縣令(まおかけんれい)の屬吏(ぞくり)となり實業(じつげふ)を以て數(すう)ヶ村の衰廢(すいはい)を擧(あ)ぐ。
言行(げんかう)共に合(がつ)し、彌々(いよいよ)良法なることを試み、嘉永(かえい)六丑年(うしとし)先生(せんせい)を江都(かうと)に召して命じ玉ふ。
其(そ)の文(ぶん)に曰く、
日光御神領(ごしんりやう)村村(むらむら)荒地(かうち)起返(おこしかへし)難村舊復(きうふく)の仕法取扱(とりあつかひ)仰付(おおせつけらる)間(あひだ)見込通(みこみとほり)御料(ごれう)私領(しりやう)手廣(てびろ)に取行(とりおこなひ)申可(まうすべく)候(さふらふ)  との命也(なり)。
先生謹(つつし)みて命を拝し、退きて此の大業(たいげふ)を成就し、上下(じやうげ)の大幸(たいかう)を開き、萬代不朽(ばんだいふきう)の規則を立て、大いに富國(ふこく)安民(あんみん)の大道を行ひ、上(かみ)國恩(こくおん)を報じ下(しも)萬民(ばんみん)を安(やす)んぜんとし、沈黙數日(すうじつ)彌々(いよいよ)開業の順序を慮(おもんぱか)り、門下を招き教誨(けうくわい)して曰く、
今是(こ)の如く命令を受くると雖も、我(われ)老體(らうたい)にして大業(たいげふ)の成功甚だ難(かた)し。
二三子(し)志(し)を勵(はげ)まし此の方法の基本を確立し、永行(えいかう)の道を盡(つく)すべし
 と教示(けうし)す。
門下皆曰く、
謹(つつしみ)て命を聞けり
且(かつ)曰く
先生先年六十巻の書を献ずるより斯(こゝ)に年あり、
今開業の命を受け玉ふ事、他(た)なし。
至誠の貫通する所なり。
速かに彼(か)の地に至り仁術を布(し)き、萬民(ばんみん)永安の道を行ひ衆心(しゆうしん)を安んじ玉へ。
某等(それがしら)惟(たゞ)開業の後(おく)れんことを恐(おそ)るゝなり。
先生曰く、
天地間(かん)萬物(ばんぶつ)共に其(そ)の時あり。
其の時を得ずんば一物(もつ)をもなすべからず。
況(いはん)や大業をや。
我が進退其の時を以てす。
何ぞ其(そ)の時を誤ることを爲(な)んや
 と云(い)ふて自若(じじやく)たり。





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最終更新日  2023.12.26 00:00:19


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