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2024.01.21
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萬作德用鏡 その3

苗代の事 、凡一年の作は出来不出来も、苗を育てるにあり。其年の氣候の惡しきは論に及ばず、苗所を換えす、同し所へ蒔付る事大なる損なり。毎年苗場を換える時は、苗太りて其根繁きものなり。
肥に進み根付よき故、旱にも水損にも能こたゆるなり。然し苗所を年々換ること貧しき人には成し難し。左れども其年にて高取の百姓小前百姓に苗所を貸してやるべし。借る人は申合せて借置き、其代にかした人の苗所をも能く守り、鳥獸の荒らさむように代り代りに守るべし。斯の如くにすれば人力も費へず、方々利潤なることともなるべし。是等のことは村長なと心得べし。然し苗所は毎年冬の頃、雨少き乾きたる時能耕すべし。土くれ稲株なと細かに碎き、雨水を含まぬように畦となし置、春の頃照り續き乾く時を待ち、蒔時に至り平らかにならし水入べし。常には苗ふみとめるを踏むは悪しきなり。扨籾薄く蒔べし。生ひ立よくて穗早く出るなり。
旱の節水の便悪敷田は、植る苗を畑に蒔付くべし。畑に生立るは水を好む故なり。田へ移る時速かに根さす故、旱にも傷み少なき物なり、是れ畑に育ち水なきに狎れたる故なり。畑に育ちて苗の時草生る物なり。蒔く時は土を碎き灰を混せ籾みへざる程かくべし。扨肥しを懸べし、籾見えんようにすれば鳥抔の荒らすことなし。兎に角畑にて苗を育て試むべし。

菌の事 、は其品多き事なり。國所によりて様々の勝手あれは詳しくは云ひ難し。鹽氣は肥しの元と知るべし。鹽けなきものは肥しのきき惡しきと知るべし。灰は何處にても菌に用ひるものなれども、灰は火の粕にて水氣を吸上る物故、畑の菌とす。米麥の糠は土を緩める物なり、の堅く締りたる所へ菌に用ゆべし。畑に作りたる物に旱り續きで水を懸ける事あり、日中には懸べからず曇りたる日か又は日暮にかくべし。是等は人の知りたる事なれども、水肥を懸るも右に同じ。朝早く懸るも惡し。扨鹽氣は陰なるものなり、土も陰なるものなり、陰と陰とのみなる故土を養ふ成り、人の鹽氣を以て身を養ふも腹の中のゆへ陰鹽氣が養ひとなるなり。されはとて鹽氣過ては養ひとならず、人にも鹽か過ては甘くは食へられぬなり。扨又萬の物生なる中は陽にして火に即する故、腐りては陰にして水に即す。人も生きてゐる内は暖かにして火に即し、死すれば冷めたくなるて水に即し、腐りては水となるなり、此陰陽の道理をよく辨ゆる時は、作物は總て陽の火にそくし、菌が都て陰の水にぞくする故、陰陽和合して養育といふことも判るなり。右の如くなれは腐りたる物は何によらず菌となる故、菌に使ふ物は、能く腐りたるものなり。川に有て腐りたる物も菌に使ふべし。鹽漬けにして腐りたる物等取捨べからず、菌に用ゆべし。めたしの茎や葉付はあしきもあれど、根の養には却つてよき物なり。干鰯の鹽氣過ぎたるは菌にして利き道惡しきなり、是は如何にとなれば鰯を干す時、日の照らざりし故なり、腐らまじとて少し鹽をしたる故、持前の鹽氣よりは強くなりたる故、鰯の精氣ゆるみてきき道惡しきなり。干鰯を求むる時、能々心付べき事なり。





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最終更新日  2024.01.21 15:14:59
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