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2008年08月22日
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テーマ: Jazz(1969)
カテゴリ: JAZZ(Far North )
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時の流れは常に一定です。
方向もね。過去から未来へ向かって、見えないけれど止まることなく静かに流れて行きます。
でも、人の心の中や日常の中では、個人の主観が絡んで逆戻ったり、捻れたり、、遅くなったり、速くなったり、、時に止まってしまうことすらありますよね。
ダリでは無いけれど、人の内側にある時計はとても柔らかで変幻自在な気がします。
カチカチ音をたてて刻まれる時の流れとは違う。。
乱視の入った眼鏡をのぞいた時のように、広角レンズをのぞいた時のように、、ゆがんだりしてるけれど、
自分の興味があるものが大きく広がってたりする、、時間の感覚ですよね。

1秒前、1時間前、一ヶ月前、一年前、十年前、、生まれる前。。
現実には戻ってくることの無い時間だけれども、心の中では巻き戻すことができますよね。
あの日、あの時。。心の柔らかな時計の針をゆるゆる戻してみましょう。。

1993年の8月、、15年前の夏、、あなたは何をしてましたか?
私は人生で一番忙しい、、五年間の最後の一年だった気がいたします。
朝から晩まで、動き回っていて、寝た時間すら覚えてないような。。(笑)
そして、私は、この十五年もの大切な時間を、ただ歳をとってしまっただけだけれど、、
このアルバムに出てくる二人は、このアルバムをスタートに、それぞれ、スウェーデンから世界に飛翔することになります。そして、2008年の現在も、未来に向かって充実した音楽の旅を続ける約束がされたはずなのです。

でも、男性のほうは、、 Esbjorn Svenssonは、、2008年の6月16日にアクアダイビング中の事故で亡くなってしまいました。。

このアルバムが出ているTouche Musicって言うレーベルの私のイメージは、わりと保守的でオーソドックス、、親しみやすい感じがありましたので、最初は「え~、ここからリーナ・ニーベリとエスビョルン・スベンソンのデュオがでてるの?」って、意外な、、感じでした。
でも、聴いてみて、、そして調べてみて納得したのですが、これは、リーナのデビュー盤、そして、スベンソンもe.s.t.としての初めてのアルバムを出す少し前の録音だったようです。
リーナは、そのあと私の好きなピアニスト二人とアルバムを出しています。アンダーシュパーソンとヤコブカールソン。デュオやドラムレスのシンプルなアルバムを出しています。これもお薦め。

さて、、二人とも、個性的な独自な側面を押し出したアルバムをこのあと出したりするわけですが、ここでは、シンプルに、、素直に、、この時点で持っている個性とセンスを表現している気がいたします。
以後オリジナルにこだわったアルバムも多いリーナだけれど、レノン&マッカートニーの名曲なんかも入ってます。タイトル曲は、彼女のオリジナル。
しかし、デビューアルバムのタイトルが「Close」、って、言うのもね。。
スベンソンと二人での名義のアルバムも2曲あります。
スタンダードやミュージシャンの曲を14曲。

リリカルでブリリアントな!スベンソンのピアノに導かれ、はじまるLittle Unhappy Boy。
コケティッシュな二人の絡みも楽しく、若い二人の親しい
インテンポになってからの、リーナのスィンギィーな歌いっぷりも既に貫禄ものです。
タイトル曲Close。しんみりと、、想いの溢れる曲。
好きなYou've Changedに雰囲気が似てるナ、、、。。
言葉も、メロディーも一緒に彼女の想いをはこびます。
スベンソンのピアノは、ダイナミクスの表現が見事だなぁ、、って、思う。
ピアノだけど、、ちゃんと呟くのだもの。。
優しいピアノと、柔らかな軽いスキャットではじまったのが、Here, There And Everywhere。
おぉ。。二人の自然で素直なやり取りが、とってもフレッシュ!
ポップで、かわいいスベンソンです。

悲しみが静かに込められたピアノのフレーズ。。最初の1音でそれがわかるんですよ。。
はじまったのは、Never Let Me Go。エモーショナルに歌い上げる。。
大人の愛は、涙は見せないのが、決まり。
私だったら、こんな風に素敵なピアノが付き添ってくれたら泣かないナ。
スベンソンのソロは、リーナの歌と同じように素晴らしい表現力だと思います。
ブルーベックのIn Your Own Sweet Way。ジャィーで小粋な仕上がりに。。
アカペラではじまるバーリンのYou Can Have Himもシンプル。。

二人の名前が並ぶWaitingは、バラード調の静かな曲。
待つこと、、誰かを待つとき、、何かを待つとき、、あなたは何を想いますか?

モンクのRuby My Dearね。ちょっと、モンクライクに飛び跳ねるスベンソンもリーナもなんだか可愛い。
呟くようにはじまった.I Wish I Didn't Love You Soは、次第に感情がほとばしる。。
クールでちょっとひねった感じのスベンソンはダンディ。
ブラックフィーリングタップリに、ちょっと迫力ある凄みが聴けるのがYou Let My Love Grow Cold。
Spring Can Really Hang You Up The Mostは、再び語りかけるように。
躍動感のある力強いピアノと戯れるようにI Hadn't Anyone 'Til You。
優しく、、May I Come In。

終演は、再び二人の名前が並ぶWaltz For The Lonely Ones。
タイトルは、、ちょっと凄いけど、、あきらめにも似た明るさが漂うのですよね。
人は最後は独りだけど、それは悲しいことでは無いはずです。。
静かな時間が流れます。
二人ともダイヤの原石、って、感じなのかなぁ。。
でも、原石でもダイヤなだけあるわけで、あちこちで素敵な輝きを放っていました。

彼の時間は、本当に止まってしまった。
私たちは、過去の彼の演奏を聴くことはできても、未来の彼の演奏を聴くことはできなくなってしまったのです。
それはどうすることもできませんね。
15年前の彼もとても素敵なピアニストでした。

1.Little Unhappy Boy
2.Close
3.Here, There And Everywhere
4.Never Let Me Go
5.In Your Own Sweet Way
6.You Can Have Him
7.Waiting
8.Ruby My Dear
9.I Wish I Didn't Love You So
10.You Let My Love Grow Cold
11.Spring Can Really Hang You Up The Most
12.I Hadn't Anyone 'Til You
13.May I Come In
14.Waltz For The Lonely Ones

Lina Nyberg (vo)
Esbjorn Svensson (p)

巡り合わせというか、、タイミングって、、言うのは、、恐ろしいもので、Esbjorn Svenssonの凄さは認めていたものの、、なんだか、自分の中で消化できない方向に進んでるようで、、あまり熱心な追いかけはありませんでした。
今年の夏のはじまる前に Love Is Real / Ulf Wakenius を聴きながら、ウルフの素直な感情表現もあって、スベンソンの持っている本来の魅力に、、なんだか、気がついた気がしていたのです。
そして、遅まきながら、、新しいアルバムを聴くぞ!って、感じだったのですが。。
それから、2週間くらいで死んじゃったのです。
もちろん、個人的な接点無ければ、今まで追っかけしてたワケでも無いのですが、、
ほんと、驚いてしまいました。。
いろんな方が追悼に、いろいろなアルバムをかけていたけど、文字にできるほど彼をききこんで無いのですよねぇ。。

Touche MusicのHP に飛んでみてくださいね。
1から3の曲が聴ける。それから、テキストブックの文章も載ってます。

夏も終わりに近づいてきましたネ。
秋は良いことが沢山ありますように。
では、退散♪





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最終更新日  2008年08月22日 18時37分17秒
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