星とカワセミ好きのブログ

2022.12.26
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カテゴリ: 国内旅行(関西)
2022年12月4日、神戸・北野の山手八番館を見学しました。

塔状の家屋が3つ連なる珍しいチューダー様式(15世紀イギリスのチューダー朝に栄えた建築様式)が特徴的な館です。

印象的な展示物は、座って願うと叶うという「サターンの椅子」と、ウィリアム・ホガーズ(英 1697年ー1764年)の代表作の一つ「娼婦一代記」の6編です。

「娼婦一代記」の6編は、それぞれ緻密に版画で表現されており、じっくり見ました。

***(神戸・北野異人館に関するブログですが、一旦休止し、続きは2023年1月に書き始めたいと思います。)


↓ 山手八番館。












↑ 山手八番館(旧サンセン邸・明治後期築)
塔状の家屋が3つ連なる珍しいチューダー様式(15世紀イギリスのチューダー朝に栄えた建築様式)が特徴的な館です。
館内にはロダン、ブールデル、ベルナールの三大巨匠の傑作やルノワール晩年の希少なブロンズ作品が集います。
さらに、ピカソに影響を与えたアフリカのマコンデの彫刻、仏教の源流地ガンダーラ、タイの古い仏像なども加わり、立体造形のオンパレードです。
壁面を飾るのは、レンブランド、デューラーら近世を代表する画家たちの版画、イギリスの風刺画家ホーガースのドラマ仕立ての連作版画です。
立体や平面における”かたちの美”の多様な展開、美術史を彩る大物作家の作品をお楽しみください。



↑ サターンの椅子(サートゥルヌスの椅子)
一見、不気味な彫刻に飾られたこの椅子はローマ神話の農耕神サターン(サートゥルヌス・ギリシャ神話ではクロノス)の椅子と呼ばれています。
豊穣をもたらす神の名に因み「願い事が実り叶う椅子」と伝えられています。
向かって右側が女性用、左側が男性用とされ、座ってお願い事をすると叶うといわれています。


↑ サターンの椅子(向かって右側が女性用、左側が男性用)。


↑ 男性用の椅子に座って、家族の健康を祈った。







↑ ウィリアム・ホガーズ(英 1697年ー1764年)の代表作の一つ「娼婦一代記」の6編。


↑ 娼婦一代記  1731年制作
ウィリアム・ホガーズ(英 1697年ー1764年)の代表作の一つ「娼婦一代記」は、娼婦モルの波乱にとんだ生涯を、6枚の版画に描いています。彼女の周囲の人物に実在の人物が割り振られていることもあります。
また、画面の隣に配置された、さり気ない小道具に、運命的な意味を持たせるなど、全編に皮肉と風刺に満ちた独特の暗示的世界を展開しています。
ホガースの絵は「観るよりも読め」と言われている所以です。

①【第一幕】

↑ 第1幕。
可愛い田舎娘モル・ハックアバウトは、針子の仕事を探して、乗合馬車で大都会ロンドンにやって来ました。
そこでは、女郎屋の女将がモルを言葉巧みにかどかわそうとしています。その様子を戸口で窺っているのは娼婦の仲介人です。
世間知らずのモルは、いとも簡単に都会の毒牙に掛かってしまいそうです。
馬車内の他の娘たちは、自分たちにも魔の手が迫っていることなど知る由もありません。
馬車を引く田舎の市況(黒服)ですが、自分の栄達を求める推薦状のことで頭がいっぱいです。さて、初心な田舎娘たちの運命は如何に!?
登場人物の若さと老い、立派な身なりと卑しい顔、紳士然とした物腰と好色な流し目、ホガースの作品はそんな対比に皮肉と風刺を効かせています。


②【第2幕】

↑ 第2幕
モルは裕福なユダヤ人の情婦になっています。ところが、この場面では間男との浮気がばれそうになったので、指を鳴らしテーブルをひっくり返して旦那の注意を逸らしている間に、間男は驚く女中の前を通って逃げようとしています。
モルの贅沢や浪費、不貞の数々はこの絵を見れば一目瞭然。彼女の娼婦としての地位は、風前の燈火です。
テーブルから落ちて壊れるディーカップが、彼女の将来を暗示しています。


③ 【第3幕】

↑ 第3幕
妾宅を追われたモルは、ドゥルーリー・レーンのうらぶれた小屋に住む一介の娼婦に身をやつしています。
これまでの贅沢三昧から一変、うらぶれましたが、自由を得て楽観的です。
壁には刑罰を受ける身になりながら、最後にはどんでん返しで生還した「乞食オペラ」の登場人物、追剥マクピースと国教会の聖職者にして弁論家のヘンリー・サチェヴェレルの絵が掛けられています。
そんなある日、悪名高い売春取締官ジョンが部下を従えて、彼女を連行しにやって来ました。ところがジョンは、彼女の色香に欲情を感じ、入り口でためらいを見せています。


④【第4幕】

第4幕
娼婦モルはブライドウェル監獄に収監され、他の売春受刑者と並んで、絞首刑用の麻縄を撚っています。彼女は依然として身なりも良く、健康そうですが、既に不吉な影が忍び寄っています。
彼女の後ろで、彼女の首すじ辺りを服をつまみニッと笑っている意地悪そうな娼婦が、彼女の未来を予見させます。
また、右下の下女は看守の目を盗みモルの靴をくすねています。


⑤【第5幕】

↑ 第5幕
ここで話は一気にモルの臨終の場面へと移ります。
彼女は女中に看取られ、梅毒が原因であの世へ旅立ちます。その場に立ち会った2人の藪医者は、モルの死に際にも、其々の薬効について口論しています。その間にも、別の女中は衣装箱から死装束を選り分けています。
しかし、モルの傍らでは彼女の幼子が無邪気に遊んでいます。


⑥【第6幕】

↑ 第6幕
人々が棺の周りを囲んで喪に服している場面です。棺の札からモルは1731年9月2日逝去、享年23歳でした。
ところが、ほとんどの会葬者に哀悼の念を見ることが出来ません。
浮かれた顔の女、女に現を抜かしブランデーをこぼす牧師、不謹慎は牧師に眉をひそめる女中、女郎屋の女将は上りが減ることを嘆き、奥の鏡では身繕いする娼婦、棺の前ではモルの遺児が遊んでいます。
画面中央、棺のモルに目を落とし、我が身の明日を悟る娼婦に、唯一救われる気がします。












↑ マコンデの彫刻
マコンデは東アフリカのタンザニアに住む民族。木彫りは数百年の伝統があり、その特異な造形はピカソら多くの美術家たちに影響を与えた。








↑ ガンダーラの仏像と浮彫。
ガンダーラは、パキスタン北西部の古い地方。
2,3世紀頃、ギリシャ文化とインド宗教が溶け合い、独特の仏教美術が栄えた。
その主流が仏像で厳格な写実を基調にしている。
西洋人のような彫りの深い端正な表情、紙は波状、ひだのある衣をまとっているのが特徴。
岩石の平面に掘られた浮彫も、ガンダーラに多い。
仏陀の生涯の事績が、ドラマチックに活写されている。









↓ 2階の部屋。




↓ 2階からの景色。














↑ カフェテラス ティファニーの休日。





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最終更新日  2023.01.08 23:26:30
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