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さて2010年12月の発売以来、今や日本人の国民病とまで言われる「ドライアイ」の治療を革命的に進歩させた参天製薬の名薬、ジクアス点眼液。 このジクアス点眼液は従来型のヒアルロン酸の点眼薬(商品名で言うとヒアレインやティアバランス)よりも明らかに効果が強い、目の表面の傷を改善する力が高い、ドライアイ分野では15年振りの待望の大型新薬だったわけですが、発売後の売上高の順調な伸長(現在年間75億円)がジクアスが非凡なお薬であったことを明白に証明しています。 ところで ジクアス はその薬理作用上、目の細胞からの水分とムチンという物質の分泌を促進するので、点眼後に目を潤す効果が強いお薬です。そのため多くの方が苦しんでいる [ソフトコンタクトレンズ装用中の目の渇き] に抜群な効果を発揮する のですが、残念ながら今まではソフトコンタクトレンズの上からは「原則として」点眼することが出来ませんでした。 それはジクアスが防腐剤としてベンザルコニウム塩化物というものを使用していたからです。このベンザルコニウム塩化物(我々の業界では「塩ベコ(えんべこ)」と略す)は非常に防腐剤としての効力が強い反面、角膜(くろめ)の表面を荒らしたり、ソフトコンタクトレンズを劣化させたりするという副作用があったのです。ただこの塩ベコを使わずに目薬を作るのには非常に高い技術力と費用が必要なので、特に安いジェネリック医薬品には大量で高濃度の塩ベコがべっとりと含まれているのが実情です。 さて今回ジクアス点眼液は製品改良により、 この悪の元凶である「塩ベコ」を取り除くことに成功 しました。 それによって、 ソフトコンタクトレンズの上からも安全に点眼が出来るようになりました。 ジクアス×ソフトコンタクトレンズのコラボレーションは非常に目が潤いますので、コンタクトレンズ使用中のドライアイ患者様にとっての大きな福音と思います。 素晴らしい製品改良 ですね。 我々眼科専門医が世界トップレベルの眼科医療を提供できているのは、この参天製薬に代表される日本の点眼薬メーカーの高い技術力に負うところが大きい のです。本当に感謝・感謝ですね。
2015.12.21
細菌性の結膜炎などの治療に使う抗菌剤の目薬というものがあります。 この上の写真の参天製薬のクラビット点眼液(ニューキノロン系という系統の抗菌剤)が売上ダントツナンバーワンの代表選手ですが、他にも千寿製薬のガチフロ点眼液 日本アルコン社のベガモックス点眼液 も売上上位に位置しています。 ただ我々の業界ではクラビット点眼液があまりもメジャーな存在であるためでしょうか? ほとんどの目薬はその真似をして ピンク色の外観 をしています。 ところで人間というのは年を取ると目が乾いて常にしょぼしょぼしたり、慢性的にめやにが出たりします。そしてこのクラビット点眼液に代表されるニューキノロン系の点眼剤は「めやに止め」として抜群な効果を発揮するので患者様から、 あのピンクの目薬が欲しい。 と御指名で処方をお願いされることが非常に多くあります。 眼科専門医的には、この手の抗菌剤というのは明白な臨床症状があるときのみにごく短期間に限って使用するものであり、気軽にカジュアルに処方するという類の目薬ではありません。何故かと言うと、 普段から常用していると本当に細菌性の結膜炎になったときに目の中のバイキンが凶暴化・耐性化してしまっていて効かなくなりますし、そもそも健康な状態の眼には全く必要のない ものだからです。 そのため不必要と判断した場合には、「めやにも出ていませんし、目はとても綺麗ですからいりませんよ。」と説明するのですが、 「いや、めやには本当はいっぱい出ます。今、たまたま出ていないだけです。だからピンクのを下さい。」 と頑張られる患者様が多くいらっしゃいます。 押し問答の末になんとか納得して頂いて帰宅された後にも、 「ウチのおばあさんが、先生がピンクの目薬をくれなかったと言って泣いている。どうしても処方して欲しい。」 と電話がかかってきたりすることもありますし、私が断っても、代わりにかかりつけの内科医の先生におねだりしてちゃっかり処方して貰って、秘密で毎日しっかりと点している方もいらっしゃいます。(笑) この クラビット点眼液に代表される抗菌点眼剤に対する患者様の精神的な依存度と言うものは本当に凄い ものがあります。 その理由はやはり、 「点すと目の調子が良くなる」という確かな実感が患者様にある からでしょう。もしかすると、この 魔法のピンクの小瓶 には何か、 我々眼科専門医が未だに気付いていない不思議な力 があるのかもしれないですね。
2015.12.02
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