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2005.12.25
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夢を見ずにおやすみ
鷺沢萠『夢を見ずにおやすみ』
~講談社文庫~

「今日も未明に電話は鳴った」父親のガールフレンド、ハマジュンから、未明に何度も電話がくる。父親と喧嘩して。会いたい、話したい。うっとうしく感じている和広だが、本当にハマジュンと父親の関係がやばくなってきたと思われた頃、職場であるデパートの靴コーナーにハナジュンが来たときは慌てて、彼女の話を聞くことにする。バカで、でもカワイソーなところもある。そう彼女のことをとらえていた和広だが、考え方をあらためていくことになる。
「あなたが一番好きなもの」かつて、自分に夫と別れるように迫ってきた女-当時、夫の浮気相手だった女、真梨子から電話がかかってきた。結婚することになった。結婚相手に会ってもらえないだろうか。真梨子の言葉は、信代には意味が分からなかった。そうする義理もない。しかし同じ頃、夫と息子との関係の中でいらいらもたまっていたことも重なり、信代は、「面倒くさい」という気持ちにも関わらず、真梨子に会いに行くことになる。
「夢を見ずにおやすみ」高橋淳子は、結婚式会場でエレクトーンを演奏する仕事をしていた。そんな彼女の姿は雑誌でも紹介されたのだが、それを見たという、今は亡き父が生前関わっていた女からとつぜん電話がかかってきた。こちらも疲れているのに、ゆっくり休ませてくれない夫。仕事の方でも嫌なことが重なった。淳子は、自分でもそうする理由がわからないまま、彼女に会いに行く。

 数年ぶりの再読です。独立した短編集と思い込んでいたのですが、登場人物は重複しています。
上の内容紹介でも多少意識しましたが、「できればあまり接したくない人物からの電話」「自分でもうまく理由付けできないままその相手と会う」という点で共通しています。
 なんというか、周りの人間をバカだと思い、不満を感じ、自分もがんばっているのにどうしてこんな思いをしなくては、という不条理(でもないか)な思いにとらわれている人々が主人公で、でも自分がバカだと思ったり不満を抱いている相手も、実はがんばっているし、(それがバカげたことかもしれないにしても)夢中になって取り組んでいることがある、ということかな、と。
 最初の話は和広さんが主人公ですが、後の二編は夫をもつ女性が主人公で、より類似性を感じました。洗い物などの家事、夫への不満、というところにそれを感じました。
 …短いし、さーっと読めると思って読んだのですが、どうもモヤモヤした感覚が残ります。それぞれの終わり方は、決して暗いものではないのですが、物語の中での「暗さ」にいちいち反応してしまうので(それは物語を読む中で自分の中に見つける「暗さ」でもあります)、どうも…。





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Last updated  2005.12.25 10:12:39
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のぽねこ @ シモンさんへ コメントありがとうございます。 久々の再…
シモン@ Re:石田かおり『化粧せずには生きられない人間の歴史』(12/23) 年の瀬に、興味深い新書のご紹介有難うご…
のぽねこ @ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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