余談「-ao」って何よ?

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Campeonato Brasileiro=ブラジル選手権には、
Brasileirão という通称があります。
"-ão"は文法用語では拡大接尾辞などと呼ばれ、
個人名をはじめとする、大抵の名詞にくっついて、
・大きい
・(態度が)デカイ
・可愛げがなく憎々しい
といった意味を込めるのに使われます。
Paulo → Paulão パウロ→「デカパウロ」「パウロの野郎」
Felipe → Felipão フェリピ → 「フェリピのおっさん」(元ブラジル代表監督で現ポルトガル代表監督のスコラーリ氏もこう呼ばれてます)
Gato → Gatão オスネコ(イケてる兄さん)→デカオスネコ(超イケてる兄さん)
さて、という流れからして、
brasileiro → brasileirão
つまり「ブラジル人 → 偉大なるブラジル人だ!」
という解説をしているサイトを見たことがありますが、
これには賛同しかねます。

まずもって、拡大辞によって「偉大な」という意味が込められることは稀です。
同じように、コリンチャンスの通称であるTimãoについて、
「誇りを持って『偉大なるチーム』と呼んでいる」という記述を見ることもありますが、
これまた、「どうだかなー」って感じです。
「誇り」「愛着」はもちろんあるでしょうが、「偉大な」って持ち上げるもんじゃないんです、きっと。「特攻野郎(Aチーム)」とかいうときの「野郎」って感覚が近いかもしれません。あるいは「すげー」とか?

話は戻って、Brasileirão。

元の形のCampeonato Brasileiro という名前。
見出し用にはこれでもOKなんですが、ポルトガル語の文章の中では、
o campeonato brasileiro と言うことになっています。
o は定冠詞であり、そしてポルトガル語では冠詞を代名詞的に使うことも可能なので(ピアーダMãe, só tem uma参照)、
続く文中では "o brasileiro" (見出しなどでは "o Brasileiro" で通じる)、場合によっては"o"という言い換えも可能です。

ここに到って、本来形容詞であるbrasileiroが、俄然名詞並みのデカイ顔をするようになってきます。
という「成り上がり」に乗じて、本来名詞に付くはずの拡大辞がくっついてしまったのが "o brasileirão"
そして、見出し用に定冠詞が省略されたのが "Brasileirão"
と、こんなアンバイです。
つまるところ、本来「大」なのは省略された"campeonato"というのがスジです。
「大選手権」「大ブラ」ってなところです。

にしても、なんで大事な「選手権」のほうが省略されるかというと、
ズバリ、色々な選手権があるから、でしょう。
例えば、Campeonatãoと言っても(そんな言い方はしませんが)、結局「どれ?どこのCampeonatão?Brasileiro? Paulista? Mineiro?」と疑問がふつふつと湧き出して、"Campeonatão Brasileiro"などと書かなければならなくなって、疲れる。通称にならないじゃーん。ということです。
わかりきっているほうから省略する。ズバリ、通称づくりのスジでしょう。

一方、"o brasileiro"と出てくると、誰かのように「ブラジル人?」という連想をされるかもしれない、それだったら、区別しやすいようにしようよという流れになることも、むべなるかな。

同じ流れで、
サンパウロ州選手権には Paulistão
ミナス・ジェライス州選手権には Mineirão
という通称があります。


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