全416件 (416件中 251-300件目)
鑑賞日:2012年9月8日(土)15:00開演入場料:¥3,000 E席4階【主催】(財)日本オペラ振興会藤原歌劇団公演ベッリーニ作曲歌劇「夢遊病の女」 LA SONNAMNULA(イタリア語/字幕付)会場:新国立劇場オペラパレス公演監督:岡山廣幸指 揮:園田隆一郎演 出:岩田達宗合 唱:藤原歌劇団合唱部管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出 演:アミーナ :高橋薫子エルヴィーノ :小山陽二郎ロドルフォ伯爵:妻屋秀和テレーザ :森山京子リーザ :関真理子アレッスィオ :和下田大典公証人 :藤原海考感 想: ベッリーニの作品は日本での公演は少なく、その中でも有名な「夢遊病の女」のタイトルロールを高橋薫子が歌うとのことで今年一番楽しみにしていたオペラを観に初台の新国立へ出掛けた。 今回演出は原作通りの設定で、第1幕1場と第2幕2場スイスの山村(水車小屋と旅館)、第1幕2場旅館の一室、第2幕1場森の小道をセットと背景でそのまま表現されており解りやす。ただ夜の場面で懐中電灯をそのまま使っていたのはその照明の効果を狙ったものと思うが、せっかくならランプにして欲しい。場面毎で全て舞台装置が異なるため場面転換は幕を閉め空白の時間が生じたのは致し方なしか。 オケはダイナミックも大きく演奏されていたが全体的に遅めで重めの印象。場面転換含め途中で止まる所が多く、もう少しテンポ良くてもと思ったがベッリーニならこの程度か。 この日の一番は何と言ってもタイトルロールの高橋薫子。本役のオペラとしての歌唱は初めてとのことだが、冒頭から最後まで、装飾音符の一音一音まで完璧に、丁寧に歌えており素晴らしい。本役の設定に合わせて若々しい明るい響きで歌っている所も流石。特に最後の夢遊状態でエルヴィーノへの純粋な想いを歌う所は、無伴奏から始まり、優しく、高音部分もピアノのまま歌い上げる。それでも劇場中の空気を震わせ4階席の当方の鼓膜まで共振させる。 ナタリー・デセイのウィーンやMET公演の映像を見た時も思ったのだが、ここをフォルテで歌ってしまうと夢遊状態でなくなり、純粋な想いが伝わらないのだ。ストーリー上茶番的な設定を素晴らしい恋愛物語だと思わせるかがこの部分の歌唱に掛かっている。 そこまで考え尽くされた歌唱であり、十分な準備の跡がうかがえる。これが聞けただけで大満足。 ロドルフォ伯爵役の妻屋秀和とテレーザ役の森山京子は新国立でもよく登場するベテランで流石安定した歌唱と演技。 エルヴィーノ役の小山陽二郎は第1幕どうなるかと思ったが、高音が多い役を最後まで歌え日本人テノールとしては頑張ったでしょう。 高橋薫子のアミーナが今回1回の公演で終わってしまうのは余りに勿体無い。再演を期待したい。 なお客席にNHKテレビカメラが入っており後日TV放送がありそうと思ったら既に予定掲載ずみで、『10/29(月)0時~NHK-BSプレミアム』そちらも今から楽しみだ。End
2012.09.08
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鑑賞日:2012年9月2日(日)13:30開演入場料:¥1,500 (自由席)【主催】名古屋ブラームスリングシンフォニカ名古屋ブラームスリングシンフォニカ第3回演奏会会場:愛知県芸術劇場コンサートホール出演指揮:山上純司ヴァイオリン:木野雅之合唱:四日市シンフォニックコーラス カンタービレくわな管弦楽:名古屋ブラームスリングシンフォニカ曲目~オール・ブラームス・プログラム~運命の女神の歌 ヴァイオリン協奏曲 ニ長調交響曲第3番 ヘ長調感想 週末愛知で過ごすことになり、ブラームス専門のアマチュアオケの演奏会を見つけ、残暑の中サカエ地下街の味噌カツ丼で腹ごしらえをして、愛知県芸術劇場へ。 管は標準の2管編成だが弦は14-12-10-10-6と多め。1曲目「運命の女神の歌」は2階席から合唱が入るのだが、アマチュアコンサートでは良い所をだけを聴くようにしているので、コメントは省略。 2曲目は日フィルのソロコンマス木野雅之が入ってのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリンソロは流石に素晴らしく技巧も完璧。オケもソロに合わせバランス良く、出すところは出してブラームスの音楽を感じる。フルートやオーボエソロもヴァイオリンソロにぴったり合わせ上手い。これを聞けただけでチケット代の元は取れた気分に。 休憩を挟んで、3曲目は交響曲第3番。各楽章とも主題が強調され良く聞こえる。有名な第3楽章のテーマは各楽器に上手く受け継がれ重なり聞こえてくる。弱音部でバラツキはあるものの、ここまでブラームスの音楽が表現出来れば大したもの。 最近出来たアマチュアオケは上手い若手メンバーが集まった所が多く楽しめる。このオケも2009年が第1回演奏会でブラームス交響曲を2番→1番→3番と進めて来たようなので次回は4番か?また機会があれば聞きに行きたい。End
2012.09.02
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鑑賞日:2012年8月6日(日)14:00開演入場料:¥4,000 1階1列【主 催】横浜市栄区民文化センター・リリスホールSuper Trio 3℃ at Lilis 2012会場:リリスホール出演:ヴァイオリン+笛:石田 泰尚チェロ :金子 鈴太郎ピアノ+カホン :清塚 信也曲目:<第1部>ドヴォルザーク ピアノ三重奏曲 第4番 ホ短調 作品90「ドゥムキー」<第2部>メンデルスゾーン ピアノ三重奏曲 第1番 ニ短調 作品49ガーシュウィン ラプソディ・イン・ブルー 清塚信也編曲<アンコール>モーツァルト トルコ行進曲感想: 山の神のご希望で3ヶ月前の発売日早朝から並んでチケットを確保したSuperTrio3℃のコンサートを聞きに猛暑の中、本郷台駅側のリリスホールまで出掛けた。 SuperTrio3℃はヴァイオリン石田”オレ”様にチェロ金子鈴太郎、ピアノ清塚信也が加わったピアノトリオ。当方は今回初めて聴くが、昨年山の神とコンサートへ行った友人はピアニストがカッコいいとの印象だったらしい。 清塚信也と言えばのだめカンタービレのドラマのピアノ演奏で有名になり、2007年の神奈川フィルの第九演奏会でベートーヴェン「合唱幻想曲」のピアノ演奏を舞台上(合唱なので)で聞いており、そのやわらかなタッチにベートーヴェンでなくショパンだなあと思った記憶有り。 今回は昼、夜の2回公演にかかわらず本当の満席で9割以上が女性。石田”オレ”様に加え清塚信也ファンも多いためか。 通常の会場アナウンスのあと3人が登場するが、石田”オレ”様がなんと丸坊主。元々両サイドは角刈りだったので、全体を刈ったと言うことか。これで上下黒の服装でサングラスの出で立ちなので、クラシック演奏者には全く見えず、街で出会えば近づきたく無い人達に見えてしまう。 1曲目はドヴォルザーク「ドゥムキー」。通常のソナタ形式でなく独立した6楽章を集めた組曲となっており、ドヴォルザークらしい民族音楽や舞踊の旋律が聞こえる。早い部分も完璧に合わせ流石。 休憩を挟み冒頭に3人のMCが入った後、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲。こちらはピアノのパッセージが凄いが完璧に弾きこなす。これまでにも何度か演奏して来た曲らしく3人の息もピッタリで素晴らしいパフォーマンス。 一度舞台袖に引いて、椅子や譜面台の位置を変更。再登場すると、清塚信也が四角い木製の箱を持って登場。以前TV番組で見た記憶がある座りながら叩いて音を出す打楽器で、フラメンコ等に使われる「カホン」と言うもの。 3曲目はガーシュウィンのラプソディ・イン・ブルーを清塚信也が編曲したもの。冒頭のクラリネットのグリッサンドはチェロで演奏するがピッタリとハマって上手い。原曲の色々な楽器を3人のテクニックで表現し、盛り上がった所でカホンのパーカッションが入り更にヒートアップ。ジャズ的なテンポの揺らしもよく合っている。編曲もサマータイムやアイ・ガット・リスムの旋律も登場し、最後にラプソディ・イン・ブルーに戻る大変楽しい構成の曲になっている。 何度かカーテンコールが入ったあとアンコールは「トルコ行進曲」をアレンジしたもの。途中で石田”オレ”様がズボンのポケットから鳥の形をした子供用の笛を取り出し演奏、最後は速弾きで盛り上がりジャンプが入って終演。 通常のクラシック演奏にはハマらない、ジャズとも違う、多様な室内楽となっており、あっと言う間の2時間。これまでにない新しい音楽を感じることが出来た。 但し1列目の鑑賞は聴く方も緊張して疲れるので、次回は後ろの方で聞きたいが・・・。End
2012.08.05
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鑑賞日:2012年7月14日(土)14:00開演入場料:\5,000 D席(5階L2列)【主催】(財)東京二期会二期会創立60周年記念公演東京二期会オペラ劇場マスカーニ作曲歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」(全1幕:イタリア語上演/字幕付)レオンカヴァッロ作曲歌劇「パリアッチ(道化師)」(全2幕:イタリア語上演/字幕付)会場:東京文化会館 大ホール指揮:パオロ・カリニャーニ演出:田尾下 哲装置:幹子 S.マックアダムス衣裳:小栗菜代子照明:沢田祐二合唱指揮:佐藤 宏演出助手:家田 淳舞台監督:村田健輔公演監督:多田羅迪夫合唱:二期会合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出 演:カヴァレリア・ルスティカーナ サントゥッツァ:清水華澄 トゥリッドゥ:大澤一彰 ルチア:池田香織 アルフィオ:松本 進 ローラ:澤村翔子パリアッチ(道化師) カニオ:片寄純也 ネッダ:高橋絵理 トニオ:上江隼人 ベッペ:与儀 巧 シルヴィオ:与那城 敬 感 想: カヴァレリアと道化師のヴェリズモ・オペラの公演。清水華澄さんの歌声を楽しみに三連休初日、真夏日の中、上野の東京文化会館まで出かけた。 息を切らせて階段を登っていつもの5階席へ。舞台は既に幕が開き、十数席の椅子がランダムに置かれている。左右の壁は斜めになり前後の間に隙間があり、2部道化師の最後まで使われる。 指揮者登場で前奏曲が始まると子供達が出てきて、座った後に椅子を片付けてしまう。物語は演奏前から続いていると言ったところか? カヴァレリアは衣装は原作19世紀シチリアの設定だが、椅子、机、絨毯程度の道具のみで、合唱団の動きと照明で、教会や酒場を表現。最期の決闘は酒場の長机の上で行い、切られた所で長机を回転させ、サントゥッツァがすがり付いて幕と分かりやすい。 道化師の方は1960年台のテレビ局との設定。劇団が飛行機のタラップから降りて来たり、ベッペがエレキギターを掛けエルビス・プレスリーの衣装で登場したりと面白い。最期はテレビ局舞台上で斬り合って3人が倒れ、観客席からトニオが「喜劇は終わりだ」と言って幕。 演出の田尾下哲は2000年から欧州、新国立のオペラ初め、ミュージカルも演出で活躍中。東大建築学科卒業とのことでTVスタジオの観客席は舞台ギリギリのサイズで回転させており確かに建築的か。 演奏の方は、2部ともどんどん音楽が進む中で、強弱は大きく、またテンポも的確に変化させ、東フィルとは思えない演奏。欧州で売れっ子の指揮者カリニャーニの功績が大きいのでしょう。 歌手の中では、カヴァレリアのサントゥッツァ役の清水華澄と道化師のネッダ役の高橋絵理が存在感のある歌声で演技含め素晴らしい。テノールも高音が多いのだが、トゥリッドゥ役の大澤一彰、カニオ役の片寄純也とも日本人としては良く歌えていた。その他の歌手も出来が良く、オーディションで選んだだけのことはある。合唱も演技含め良かった。 オケ、歌手、演出が揃い、料金分以上に楽しむことが出来た。 東京二期会は11月に大隅智佳子、清水華澄が揃って出演する「メデア」が予定されており、今から楽しみだ。End
2012.07.14
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鑑賞日:2012年6月22日(金)18:45開演入場料:¥4,500 A席(2階16列)主催:中部日本放送・名古屋市第35回名古屋国際音楽祭スウェーデン放送合唱団演奏会会場:愛知県芸術劇場コンサートホール音楽監督/指揮:ペーター・ダイクストラ曲目:<第1部>ヤーッコ・マントゥヤルヴィ:「天体の組曲」から“太陽”、“北極星”武満徹:「うた」より“さくら”、“島へ”クロード・ドビュッシー:シャルル・ドルレアンの3つの歌ヒューゴ・アルヴェーン:「夕べ」「乙女は輪になって踊る」 ~休憩20分~<第2部>セルゲイ・ラフマニノフ:「晩祷」作品37より第1曲~第9曲<アンコール>ヤン・サンドストレム:「ヘラジカの歌」武満徹:「うた」より“さくら”ヒューゴ・アルヴェーン:「乙女は輪になって踊る」 感想: 合唱の神様エリック・エリクソンが指揮し、カラヤン指揮ベルリン・フィルとの録音も多く残っているスウェーデン放送合唱団の来日公演が名古屋であるとのことで発売前からチケットを予約。仕事を定時に切り上げ、栄の愛知県芸術劇場へ出かけた。 客席は3階席に空きが多く見られるものの、1、2階はぼ埋まり8割り程度の入りで名古屋地位域のクラシックコンサートとしては多い方。 舞台上には2段に山台が組まれ、椅子が置かれている。今回全てアカペラ演奏のため、ピアノも置かれていない。会場が暗くなり、ステージ上が明るくなって、合唱団登場。 前列が女性(上手アルト8人、下手ソプラノ8人)、後列が男性(上手テノール8人、下手バス8人)。指揮者登場で、音出しは女性が声で出しているよう。 1曲目のマントゥヤルヴィの「天体の組曲」は5拍子で面白い曲。微妙な和音も完璧で素晴らしい。 次の武満「さくら」は冒頭のA~、U~、M~の部分だけでその美しさ、バランス、ダイナミックに圧倒される。 第2部は下手からソプラノ、アルト、テノール、バスのオーソドックスな並び。バスが1人増えている。曲目は先月LFJのカペラ・サンクトペテルブルクでも聞いたラフマニノフの「晩祷」。サンクトペテルブルク程の迫力はないものの、バランスは素晴らしく、各パートの音色も揃っている。ソロも上手く(特にアルト)、どんな曲でも歌える一流合唱団であることがよく分かる。 アンコールの1曲目は、鳥の鳴き声から始まり楽しませる。「乙女は輪になって踊る」は、更に楽しく表現された。また今日が日本公演の最終日のため、今回で退団する団員2名への花束贈呈もあり。 ぜひ次回は管弦楽付きのコンサートも聞いてみたい。End
2012.06.22
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鑑賞日:2012年5月31日(木)18:45開演入場料:¥3,000 (自由席)【主 催】中部フィルハーモニー交響楽団中部フィルハーモニー交響楽団 小牧特別演奏会池辺晋一郎の名曲コンサート会場:小牧市市民会館ホール出演指揮・お話:池辺晋一郎管弦楽:中部フィルハーモニー交響楽団コンサートマスター:稲庭達曲目第1部 モーツァルト:歌劇「後宮からの逃走」序曲 ベートーヴェン:劇音楽「エグモント」序曲 ロッシーニ:歌劇「絹のはしご」序曲 ニコライ:喜歌劇「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲第2部 武満徹:「3つの映画音楽」 ホセトーラス、黒い雨、他人の顔 映画音楽集/池辺晋一郎編曲:「雨に唄えば」「トゥナイト」「南太平洋メドレー」「劒岳・点の記」 池辺晋一郎:「独眼竜政宗」「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」「影武者」アンコール 池辺晋一郎:「元禄繚乱」感想 地元中部フィルの演奏会は会社経由でチケット販売が回ってきたので自由席を購入したが、ウィークディのため仕事が伸び、市民会館到着は約30分遅れ。 既に第1部最後の曲が始まっており、直ぐに休憩。第2部はゆっくり聞けた。 第2部の最初は武満徹の映画音楽で弦楽での演奏。なかなか凝った曲のためか演奏に少々バラツキを感じてしまう。プロの指揮者ではないので致し方なしか。 その後は池辺晋一郎自身の編曲、作曲した曲中心の演奏。こちらはダイナミックやテンポの揺れも表現され、作曲者自身での指揮効果でしょう。全体の中では「南太平洋メドレー」がメリハリのある編曲で一番楽しめた。 曲間のMCはお得意の駄洒落連発で会場を沸かせていた。 コンマスヴァイオリンやトランペット等のソロも中々良かった。 残念だったのは指定席でも4,000円と安価にもかかわらず会場の入りで約半分程度。ウィークディで池辺晋一郎では首都圏ではそれなりに集客が期待出るが、小牧では難しいのでは。 また開演前、休憩時間のドリンクサービスはなく、何か飲むには外の自販機で購入するしかなくこの当たりも改善して欲しいところ。End
2012.05.31
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鑑賞日:2012年5月19日(土)18:00開演入場料:¥4,500 (自由席・食事付き)【主 催】オリコーヒーソプラノ・マリンバ・ピアノの夕べ会場:オリコーヒー上志段味店(名古屋守山区)出演:ソプラノ:高橋薫子マリンバ:石田まり子ピアノ :天石佐保子曲目:ソプラノ+ピアノ 歌劇「フィガロの結婚」より”恋とはどんなものかしら” 歌劇「ジャンニ・スキッキ」より ”私のお父さん” ロッシーニ作曲 「赤ちゃんの歌」 童謡 「七つの子」、「揺籠の歌」マリンバ+ピアノ 剣の舞 チャルダッシュソプラノ(ボーカライズ)+マリンバ+ピアノ 星に願いを他感想: ブログでコンサート情報を知って、電話で予約。曇り空の夕方出掛けた。名古屋、愛知県は車社会なので会場の喫茶店も国道沿い。電車、バスを乗り継いで15分前には到着したつもりが、既にコンサートは始まっていた。 お店の半分のスペースに椅子を並べ、約50人の観客。小学生位から杖をついた人まで幅広い年齢層で皆さん音楽に集中して静に聴かれている。 今回は「ソプラノ・マリンバ・ピアノの夕べ」と題し、色々な組み合わせでの演奏。高橋薫子さんの歌声は本日も素晴らしく店中に響き渡る声量で美しい歌声を楽しめた。 石田まり子さんのマリンバもマレットの色々な部分を使い、面白い音を出されチャルダッシュでは回転しながらの演奏と観客を楽しませてくれる。 天石佐保子さんのピアノはアンサンブルが上手く、独奏も良かった。 あっという間の1時間半で、終了後はコンサートと反対のスペースでスープ、パスタやピザの食事となり、その際に店長へ遅れたことを告げるとなんと一番前の席へ案内され、アンコールの「星に願いを」と冒頭聴けなかった”恋とはどんなものかしら”を聴かせて頂け、その後も高橋薫子さんとお話が出来、嬉しい体験をすることに。 通常のコンサートは味わえない体験ができ、美味しい料理とコーヒーも頂け楽しい時間を過ごすことが出来た。また機会があれば、少々遠いが出掛けて行きたい。End
2012.05.19
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既に今年の結果が報告されていますのでこれまでの比較表に追加。年 回期間テーマ来場者数 フォーラム 全体チケット 販売数 有料/無料 公演数2005年 第1回4/29 -5/1ベートーヴェン と仲間たち306千人 324千人109千枚120/209 2006年 第2回5/3 -5/6モーツァルトと 仲間たち490千人 695千人160千枚145/377 2007年 第3回5/2 -5/6民族の ハーモニー660千人 1,060千人200千枚181/4732008年 第4回 5/2 -5/6シューベルトと ウィーン640千人 1,004千人182千枚221/5292009年 第5回5/3 -5/5バッハと ヨーロッパ411千人 711千人137千枚168/4192010年 第6回5/2 -5/4ショパンの 宇宙420千人 808千人141千枚175/3582011年 第7回5/3 -5/5とどけ!音楽の力 広がれ!音楽の輪 タイタンたち146千人 ・・・・人45千枚90/1752012年 第8回5/3 -5/5サクル・リュス ロシアの祭典360千人 460千人123千枚159/192 来場者数は震災後の昨年よりは増えたものの、第1回目よりやや多い程度。 天候も影響したかと思うが、無料コンサート数が少なく、フォーラム全体の来場者が少ない。ロシア音楽では盛り上がりが少ないのか。それでもクラシックのイベントとしては日本最大でしょう。 来年はフランスとスペインとのことで、今年よりは増えるかも。 それから、本場ナントのようにコンサート生録音CD,ファイルの購入を出来るようにして欲しいのだが。End
2012.05.16
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今日は朝から天気も良く、プログラム発表時から楽しみにしていたラフマニノフの詩曲「鐘」を聴きに東京国際フォーラムへ出掛けた。公演No.314鑑賞日:2012年05月05日(土・祝)16:30開演入場料:2,500円(S席11列目下手側)会 場:東京国際フォーラム ホールA曲目・出演:●ラフマニノフ:「晩祷」op.37より 第1番、第6番、第12番 合唱)カペラ・サンクトペテルブルク 指揮)ヴラディスラフ・チェルヌチェンコ●ラフマニノフ:詩曲「鐘」op.35 ソプラノ)ヤーナ・イヴァニロヴァ テノール)スタニスラフ・レオンティエフ バリトン)パヴェル・バランスキー 合 唱)カペラ・サンクトペテルブルク 管弦楽)ウラル・フィルハーモニー管弦楽団 指 揮)ドミトリー・リス感想: 1階席はほぼ満席。開演時間となり合唱団登場。今日は男声上手、女声下手に別れ3列各10名ずつで合計約60名で整列。指揮者登場し、音叉を使いハミングで音出し、合唱団もハミングで音取り。 アカペラで「晩祷」から1、6、12番を演奏。美しい響きがある曲で途中のバスソロもよく響く。プログラムにも50年埋もれていた曲を指揮者が取り上げ再評価されたとあるように、歌い慣れているようで、5/3も全曲演奏の公演もあり、Aホールにも係わらず素晴らしい演奏を聴くことが出来た。 指揮者が退場すると、管弦楽が入場。ハープ、ピアノ、チェレスタ、ティンパニ、鉄琴、そして鐘もある。ソリストと指揮者が登場。 ラフマニノフの詩曲「鐘」はフィギュアスケートの浅田真央が使った前奏曲嬰ハ短調とは全く違う曲でエドガー・アラン・ポーの詩をロシア詩人のコンスタンチン・バリモントがロシア語に訳したものに曲が付けられている。 4つの楽章からなり、第1楽章「銀の鐘」が若さの輝きを歌い、第2楽章「黄金の鐘」が聖なる婚礼に鳴り響き、第3楽章「真鍮の警鐘」が激動の騒乱を告げ、第4楽章「鉄の鐘」が弔いの悲しみを告げる。前半と後半で曲想が大きく異なる。 第1、2楽章はラベルを思わせるように華やかな演奏だが、第3、4楽章は暗く重い曲で最後はバリトンソロで棺の中で平穏が訪れる。 素晴らしい演奏になったのは合唱の力が大きかったと思う。このように日本では滅多に聴くことが出来ない曲を楽しむことが出来るのもLFJの良さでしょう。 来年はフランス、スペインとのことで、フォーレの歌曲やビゼーのオペラが聴けそうで楽しみだ。End
2012.05.05
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今年で8回目のLFJのテーマは『サクル・リュス/ロシアの祭典』。初日はあいにくの大雨で、交通機関が止まったり遅れたりと大変。幸い当方が乗車した電車は遅れなく、山の神とともに開演30分前に東京国際フォーラムへ到着。 雨の影響で午前中は地上広場キオスクコンサートは中止で人出も少ない。 例年より当日買える公演も多く、やはりロシア音楽は欧州中央と比較しポピュラーではないのか。 まずはルネ・マルタン氏一押しでもある「カペラ・サンクトペテルブルク」の公演へ。公演No.121鑑賞日:2012年05月03日(木・祝)10:45開演入場料:2,500円(S席6列目下手側)会 場:東京国際フォーラム ホールB7出演:合唱)カペラ・サンクトペテルブルク指揮)ヴラディスラフ・チェルヌチェンコ曲目: ボルトニャンスキー:合唱協奏曲第3番 《主よ、御力により帝は楽しまん》 アルハンゲルスキー:幸いなるかな チェスノコフ:我が祈りが叶わんことを、神は我らと共に ロシア民謡:ああ、我が広き草原よ 民謡組曲 カリンカ 栄えある湖、聖なるバイカル 広い草原の上空には感想: 当日券も残っており大雨の影響で空席が多いかと思ったが、開演時間には満席に。会場が暗くなり、合唱団登場。男性は黒のシャツとズボン、女性は白のワンピースでほぼ交互に2列で並び約60人。整列した所で白髪の大柄な指揮者登場。 ステージ両奥にはにはオルガンとピアノが置かれていたが使わず、指揮者が最初のフレーズを小声のファルセットで歌って音出し。 まずは1曲目からその音量と厚みに圧倒される。当方30年以上の合唱経験でこれまで聞いたことがない合唱。これだけの音量ならバランスが崩れそうなものだが低音パートが安定しており最後まで聞けた。発声と言うよりノド自身が強い印象。 出だしなど一部ずれを感じる所があったが、音楽演奏に全く不向きな残響ゼロのB7ホールでの圧倒的音量で気にならない。 各曲でソロやソリストが入るが、皆さん上手い。特に3曲目のアルトソロはその細身の体型とは異なる正に男声の歌声で素晴らいい。日本人にはいないでしょう。 ロシア民謡のバスソロの低音はさすがロシア。 アカペラでのロシア宗教曲と民謡の演奏はあっと言う間の45分。 もっと残響のあるホールで聞きたかった。もし教会で聞ければきっと音楽の世界観が変わるだろう。 ホールを出ても雨は降り続いており、地上のネオ屋台はパスし隣の東京ビルTOKIAのBUONO!でパスタランチ。 国際フォーラムへ戻って展示ホールキオスクでイズミノーツ(千代田区立和泉小学校ビッグバンド・クラブ)のジャス演奏を聞いて、グッズの買い物。公式CDとチェブラーシカグッズを購入しホールAへ。公演No.113鑑賞日:2012年05月03日(木・祝)14:30開演入場料:3,000円(S席17列目中央)会 場:東京国際フォーラム ホールA出演:ピアノ)アレクセイ・ヴォロディン管弦楽)シンフォニア・ヴァルソヴィア指 揮)ジャン=ジャック・カントロフ曲目: チャイコフスキー:序曲、花のワルツ(「くるみ割り人形」 op.71aより) ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番 ト短調 op.40感想: 管弦楽とラフマニノフのピアノ協奏曲が聞きたいと本公演を購入。 シンフォニア・ヴァルソヴィアはLFJ常連でこれまでに聞いたこともあり、今回も安定した演奏で「くるみ割り人形」を楽しめた。 ラフマニノフのピアノ協奏曲は2番、3番はコンサートでも聞いたことがあるが4番は初めて。アレクセイ・ヴォロディンは30才代だが上手い演奏で、スクリーンに映し出されるその指使いが素晴らしい。ただ後半の盛り上がった部分では管弦楽に消されピアノが聞こえず残念。これはピアニストの所為ではなくホールAではあまりに広すぎることが原因でしょう。 今年も楽しめたLFJ。最終日の5/5には一番の楽しみであるラフマニノフ詩曲「鐘」を聞きに行く予定。End
2012.05.03
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鑑賞日:2012年4月7日(土)14:00開演入場料:\9,000 B席(4階R3列)【主催】中部日本放送/名古屋市第35回名古屋国際音楽祭錦織健プロデュース・オペラVol.5ロッシーニ作曲歌劇「セビリアの理髪師」(イタリア語/字幕付)会場:愛知県芸術劇場大ホール音楽監督/指揮:現田茂夫演 出:十川 稔管弦楽:ロイヤルメトロポリタン管弦楽団合 唱:ラガッツィチェンバロ:服部容子出 演:ロジーナ:森 麻季フィガロ:堀内康雄アルマヴィーヴァ伯爵:錦織 健バルトロ:志村文彦ドン・バジリオ:池田直樹ベルタ :武部 薫フィオレッロ:金子 宏隊 長 :妹尾寿佳感 想: テノール歌手錦織健が自らプロデュースするオペラ公演の第5弾。首都圏だけでなく地方含めた11カ所12公演となっており本日の名古屋公演が千秋楽。ようやく桜が咲き始めた春模様の中、栄の愛知県芸術劇場へ出掛けた。 客席は1、2階はほぼ満席、3~5階は約半分で全体としては7割程度の入りで、名古屋地区としては良い方でしょう。 チューニ後客電が消え、スポットと伴に指揮者登場。現田茂夫は相変わらず若々しい。序曲は管弦楽の人数のためか音が薄く感じたが、テンポは良くそれなりに盛り上がった。 幕が開くと、正面に階段、その上に窓、左右は建物の壁になっている。第2場バルトロ家の部屋では、窓が移動し、壁の入口にドアがついて、照明を変えることでそのまま屋内に早変わりし、上手く出来ている。 今回出演者はベテラン揃いで、皆さん演技が上手い。特にフィガロ役堀内康雄は、ヴェルディのシリアスバリトン役が多く、フィガロ役はどうかと思っていたが、重すぎない声で軽快にこなす。「私は町の何でも屋」「金を見れば知恵がわく」も演技含め素晴らし。ロジーナ役森麻季と伯爵役錦織健は、声量は大きく無いものの、高音が良く通り十分に聞こえる。バルトロ役志村文彦、バジリオ役池田直樹も歌声含めた演技が上手く、重唱もバランス良く盛り上がった。 このようなハイレベルのオペラを日本全国で公演するのは、この錦織健プロデュースしかなく、今後もぜひ続けて欲しい。 End
2012.04.07
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鑑賞日:2012年3月31日(土)18:00開演入場料:¥8,000 1階(17列)JACCS PRESENTS 山下達郎Performance 2011-2012会場:神奈川県民ホール・大ホール演奏ボーカル、ギター:山下達郎ギター: 佐橋佳幸ベース: 伊藤広規キーボード:難波弘之、柴田俊文サックス: 宮里陽太ドラム: 小笠原拓海コーラス: 国分友里恵、佐々木久美、三谷泰弘感想 2月の名古屋公演に続いて、FC枠で入手した横浜公演チケットを持って、ホール近くのローマステーションのイタメシで腹ごしらえし、山の神と山下公園沿いの県民ホールへ。 FC枠なので17列目中央でステージがよく見える。5分押しでメンバー、そして山下達郎が登場し、コンサート開始。 曲目も頭に入っており、音楽に集中して聞ける。達朗の歌声は絶好調で、名古屋より安定して低音まで出ていた。 観客の方はいつものクラッカーもタイミング良く、「ライブ47回目おめでとう」の横断幕があったりとノリが良い。 アカペラでは1曲多く演奏。オペラ演奏もあるホールなので生声も良く聞こえる。 ロングアンコールで、終演は10時近くになっていた。アンコールを歌い終わった達朗は、今回も客席を繁々と眺めながら退場。 来年は「還暦ライブだ」といつもの台詞で、ファンは期待せずに待つことに。End
2012.03.31
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鑑賞日:2012年3月24日(土)14:00開演入場料:¥3,000 3階(14列)【主催】神奈川県民ホール、びわ湖ホール、東京二期会、 京都市音楽芸術文化振興財団、 神奈川フィルハーモニー管弦楽団神奈川県民ホール・びわ湖ホール・東京二期会・京都市交響楽団・神奈川フィルハーモニー管弦楽団共同制作公演ワーグナー作曲歌劇「タンホイザー」(ドレスデン版)(ドイツ語/字幕付)会場:神奈川県民ホール・大ホール指 揮 :沼尻竜典演 出 :ミヒャエル・ハンペ舞台装置・映像デザイン: ギュンター・シュナイダー=ジームセン、 ジェームス・ムルダー、 アレクサンダー・シュナイダー=ジームセン衣裳デザイン:ウォルター・マホーニー照 明 :マリー・バレット 音 響 :小野隆浩舞台監督 :八木清市タンホイザー舞台装置製作: サンディエゴ・オペラ・シーニック・スタジオ合 唱 :びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団管弦楽 :神奈川フィルハーモニー管弦楽団コンサートミストレス:鈴木裕子出 演ヘルマン :大澤 建タンホイザー:水口 聡エリーザベト:佐々木典子ヴェーヌス :並河寿美ヴォルフラム:大島幾雄ヴァルター :岡田尚之ハインリヒ :大野光彦ビテロルフ :加賀清孝ラインマル :鹿野由之 牧 童 :福永修子4人の小姓 :岩川亮子、栗原未和、田中千佳子、本田華奈子感 想 昨年は震災の影響で中止となったびわ湖ホールと神奈川県民ホール共同開催のオペラ公演。今年はワーグナー「タンホイザー」で指揮者、歌手、オケ含め全て日本人の公演となっており、どの程度ワーグナーの音楽を表現出来るか楽しみに霧雨が降る山下公園沿いの神奈川県民ホールまで出掛けた。 客席はほぼ満席。客席が暗転となり、指揮者登場。ドラゴン沼尻の大きな振りに導かれオケピットからは神奈川フィルならではの美しい弦の響きがホール中に響き渡る。序曲を聴いただけでも来て良かったと感じる。木管は安定しており、金管も音量に多少物足りなさを感じるも、バンダ含め最後まで崩れることなく、演奏を聴けた。神奈川フィルのオペラ演奏はもっと有って良いと思う。 今回演出はサンディエゴ・オペラをそのまま持って来たらしく、衣装含めオーソドックスな演出。幕が開くと斜幕で舞台上は煙に囲まれ、その中にライトを浴びてヴェーヌとスタンホイザーが登場。白い衣装の男女のダンサーが踊り、異界ヴェーヌスベルクを表している。城近くの谷に戻った場面では、山道や樹木が映像と組み合わされ上手く表現されている。 2幕ヴァルトブルク城は中央がU字門で上部に回廊があり左右は城壁。その中央の入口から王、エリーザベト、騎士達が登場。歌合戦の場面では上部回廊にトランペットのバンダが登場し盛り上がる。 3幕は1幕後半の城近くの谷だが、タンホイザーの呼びかけでヴェーヌスが現れる場面では、再び煙幕に囲まれ異界ヴェーヌスベルクとなりスムーズな移行で上手い演出。 歌手は二期会ベテランが多く安心して聞けた。タイトルロール、タンホイザー役の水口聡は最後まで破綻することなく歌えており、日本人としては中々の出来と言えるでしょう。女性陣の二人は高音が良く出ており流石です。この日の一番はヴォルフラム役の大島幾雄。大声で押すのでなく、深見のあるバリトンの声で良く響いていた。また牧童役の福永修子は若く光るようなソプラノの美声で今後の活躍が楽しみ。 そしてなんと言っても合唱が素晴らしい。最初のヴェーヌスベルクでの女性合唱の裏歌は美しく、歌合戦の大行進曲は迫力満点、そして巡礼の合唱の男声合唱は音量、響きとも素晴らしかった。 3階最後列での鑑賞だったが、料金以上に楽しむことが出来た。来年はヴェルディ生誕200年記念で「椿姫」が既に予定されており、配役含め今から楽しみ。End
2012.03.24
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鑑賞日:2012年3月17日(土)14:00開演入場料:¥5,670 C席2階(2列)【主 催】新国立劇場新国立劇場2011/2012シーズン公演リヒャルト・ワーグナー歌劇「さまよえるオランダ人」(全3幕:ドイツ語上演/字幕付)会場:新国立劇場オペラ劇場指 揮:トマーシュ・ネトピル演 出:マティアス・フォン・シュテークマン美 術:堀尾幸男衣 裳:ひびのこづえ 照 明:磯野 睦合 唱:新国立劇場合唱団管弦楽:東京交響楽団出演:ダーラント:ディオゲネス・ランデス ゼンタ: ジェニファー・ウィルソンエリック: トミスラフ・ムツェック マリー: 竹本節子 舵 手: 望月哲也オランダ人:エフゲニー・ニキティン感想: 2007年のプレミエ公演を観たので行くつもりはなかったのだが、バイエルン来日公演でエフゲニー・ニキティンの歌声を聞き今回新国立のタイトルロールを歌うとのことでチケットを入手。雨模様の中、初台まで出掛けた。 新宿から京王新線に1駅乗って、初台駅ホームが見えた所で急停車。既に開演20分程前で若干焦ったが、車両のドアランプを点検し5分程度で再開、10分前にはホール座席へ。 演出は分かっていたので、音楽に集中。 指揮者はプラハ国立歌劇場の音楽監督で30代のトマーシュ・ネトピル。序曲から軽快なテンポでダイナミックも大きく、ワーグナーの音楽を表現出来たと思う。ただオケの方は金管で音が外れたり、テンポがずれた所が少々あって残念。 歌手は総じてよく声が出ており、オケにかき消されること無く良かった。オランダ人役エフゲニー・ニキティンは大声ではないが深い歌声であり、3幕の独唱部分は素晴らしく、容姿もピッタリ。 ゼンタ役ジェニファー・ウィルソンも高音も難なくこなしよく歌えていたが、物語に夢見る少女とはかけ離れたたくましい容姿で本役には違和感あり。 本公演の一番は合唱。オランダ船との歌合戦は迫力満点。合唱団公演は第九だけでなく、N響とのデュリュフレ、ヴェルディのレクイエム公演も予定されており実力、人気があるようで。 次週は神奈川県民ホールで同じワーグナーの「タンホイザー」を鑑賞予定。指揮、歌手全て日本人の公演となっており、怖さ半分/期待半分で楽しみに。End
2012.03.17
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前夜3/10BSジャパン坂本龍一の復興支援チャリティーコンサート放送。 ゲストは大貫妙子、邦楽作曲・笙演奏の東野珠実、フリージャズの大友良英、細野晴臣と多彩。大貫妙子はアルバムUTAUから「赤とんぼ」「a life」。「赤とんぼ」は一音毎のコード進行がユニークで、クラシック歌曲同様にライブ独特テンポの揺れも加わり、ポピュラーな元歌から更なる音楽の広がりを感じさせ流石教授。復興支援チャリティーとして鎮魂や励ましを強要する音楽でなく、ジャンルを超えた素晴らしいレベルの音楽を発信するところが教授らしい。 3/11愛知県小牧市で市主催チャリティーコンサートがあり合唱参加。数回事前合唱練習でレコーディングもあり。アンコール曲はAndrea Bocelli「Canto Della Terra」上のGまであって大変。入場料無料で当日は募金チャリティーグッズ、東北物産を販売。主催事務方の皆さんへ感謝。TV放送の被災現地中継から改めて自然の脅威を感じると共に復興の遅さに政治のリーダーシップの無さを再認識。End
2012.03.11
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鑑賞日:2012年3月3日(土)14:00開演入場料:\2,000 F席(5階R2列)【主催】(財)日本オペラ振興会文化芸術振興費補助金2012都民芸術フェスティバル参加公演藤原歌劇団公演モーツァルト作曲歌劇「フィガロの結婚」(イタリア語/字幕付)会場:東京文化会館大ホール公演監督:岡山廣幸指 揮:アルベルト・ゼッダ演 出:マルコ・ガンディーニ合 唱:藤原歌劇団合唱部管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出 演:アルマヴィーヴァ:須藤 慎吾伯爵夫人: 砂川 涼子フィガロ: 久保田 真澄スザンナ: 川越 塔子ケルビーノ: 向野 由美子マルチェッリーナ:牧野 真由美バルトロ: 三浦 克次バジリオ: 小山 陽二郎ドン・クルツィオ:青柳 明バルバリーナ: 小田 切一恵アントニオ: 坂本 伸司農民の女:種田 尚子、山邊 聖美感 想: 藤原歌劇団として2回目の公演となる「フィガロの結婚」。昨年の「セリビアの理髪師」の続きとして上演。当方としては先週の名音大公演と2週連続となったが、ゼッダの指揮を楽しみに少し暖かくなったひな祭りの日、上野まで出掛けた。 指揮者登場で序曲が始まったが、管も安定、軽やかに強弱も大きく表現され流石。 幕が開くと舞台奥に壁があり手前側に仕切りがあり、廊下や別の部屋、衣装部屋になったりする。また場面転換では幕を下さず、上から壁が降りてきてその裏で道具の入れ替えを行うのだが、その壁が3分の2で、3分の1が空間として残るので舞台の連続性が保たれている。衣装もオーソドックスで、演出はカーテンコールでも拍手を受けていた。 歌手は皆さん揃っており、安心して聞ける。特に重唱はバランスが良く、気を配っていることがよく分かる。 フィナーレもどんどん大きくすることが多いが、途中pしてからfへ向かうように丁寧に歌われていた。 スザンナ役の川越塔子は最初?と思ったが、高音になると素晴らしい声が聞こえてきた。伯爵夫人役の砂川涼子は高音が美しかったが若いこともあり伯爵夫人の風格少々不足。伯爵役の須藤慎吾もまだ若いはずだが、演技含め風格が感じられ良かった。フィガロ役の久保田真澄も演技含め満足。 オケもfでも爆発することなく良くコントロールされており、指揮者の功績でしょう。 80歳も超えているゼッダだが、足腰しっかりとカーテンコールにも登場し、本日一番の拍手を受けていた。 先週に引き続いての「フィガロ」だが、やっぱりモーツァルトだったとの印象。モーツァルトはキラキラ星にしろ交響曲にしろ、オペラにしろ、誰が演奏してもモーツアルトの音楽が最初に感じられる。やはり無二の天才なのでしょう。End
2012.03.03
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鑑賞日:2012年2月26日(日)14:00開演入場料:\1,000 自由席(3階R3)【主催】名古屋音楽大学名古屋音楽大学第28回オペラ公演モーツァルト作曲 歌劇「フィガロの結婚」(イタリア語/字幕付、レチタティーヴォ/日本語)会場:愛知県芸術劇場大ホール指 揮:松尾葉子演 出:たかべしげこ舞台監督:太田けんじ美 術:大地優作衣 装:下斗米雪子照 明:石原福雄音 響:山田真久管弦楽:名古屋音楽大学オペラオーケストラコンサートマスター:後藤龍伸チェンバロ:中野振一郎合唱:名古屋音楽大学オペラ合唱団出 演伯 爵 :又吉秀和伯爵夫人:基村昌代スザンナ:内田恵美子フィガロ:酒井一樹ケルビーノ:日比野景マルチェリーナ:山本みよ子バルトロ:松下雅人バジリオ/クルツィオ:荒川裕介バルバリーナ:鬼頭愛アントニオ:吉田裕太花 娘 :五百田真実花 娘 :福井友加里マ ヤ :近江志穂ホ セ :山本徹也感 想 今週末愛知で過ごすこととなり、丁度名古屋音大のオペラ公演を見つけ、まだ寒空の中、栄地下街の味噌カツ丼で腹ごなしをした後、愛知芸術劇場大ホールへ。 1、2階が指定席、3階より上が自由席となっており、4・5階席はほとんど入っていないものの、1~3階は8割程度入っており、名古屋としては集客は良い方でしょう。 管弦楽、合唱は学生で、歌手は、卒業生や地元のプロ中心の構成。 指揮者登場で序曲が始まるが、破綻させないぎりぎりの範囲でテンポを早めていて、それなりに聞かせる。 演出は、先の名古屋二期会「天国と地獄」でも演出の”たかべしげこ”で、場面毎にセットを変え、ダンスや仮装があったり、花火の映像、効果音を入れたりと本格的。 3幕から4幕に変わるところで一度、斜幕が上がり掛けて突然落ち、マルチェリーナのレチタティーヴォが『困難は女性同士で協力して云々』と歌い再び斜幕が上がったので、これも演出だったようで、かなり驚かされた。 また今回レチタティーヴォが日本語だったが、現代的な面白い台詞も入れられており、イタリア語だけよりストーリーが分かりやすくなった印象。 歌手は、伯爵夫人役の基村昌代とスザンナ役の内田恵美子が良く通る声で、二人の重唱含め良かった。男声陣はバルトロ役の松下雅人以外は声が響かず、多くの重唱もバランスが良くなかったのは残念。伯爵とフィガロはもっと声が出ないと辛い。 管弦楽は一部管で危ないところもあったが、指揮者が遅くなりそうな所をぐいぐい引っ張っていた印象で流石経験豊かな松尾葉子。 入場料分は十分に楽しめたが、今回もバルバリーナが無くしたピンを探すアリアで携帯電話の呼び出しが鳴りだしぶち壊しに。観客側の問題ではあるが、注意のアナウンスを増やして欲しい(先日の新国立では案内係が携帯に×マークを書いたイラストを持って客席を回っていた)。 名古屋近郊には、名古屋音楽大学他に愛知県立芸術大学、名古屋芸術大学等があり、機会があれば聞きに行きたい。End
2012.02.26
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鑑賞日:2012年2月19日(日)14:00開演入場料:¥5,670 C席2階(3列)【主 催】新国立劇場新国立劇場2011/2012シーズン公演松村禎三作曲歌劇「沈黙」(全2幕:日本語上演/字幕付)会場:新国立劇場中劇場指 揮:下野竜也 演 出:宮田慶子美 術:池田ともゆき衣 裳:半田悦子照 明:川口雅弘合 唱:新国立劇場合唱団、世田谷ジュニア合唱団管弦楽:東京交響楽団出演:ロドリゴ:小餅谷哲男フェレイラ:久保和範ヴァリニャーノ:成田博之キチジロー:星野 淳モキチ:経種廉彦オハル:高橋薫子おまつ:与田朝子少 年:山下牧子感想: 遠藤周作の原作は学生時代に読んで、余りのテーマの重さに読み返せないでいた印象深い作品。オペラとしては初めての鑑賞。 新国立劇場へ着くと中劇場ホワイエには『沈黙』関連資料の他、踏み絵を含む「長崎の教会とキリスト教関連遺産」の展示が行われていた。 今回は中劇場のため、ピアノと電子ピアノはオケピットに入りきらず両脇の黒い囲いの中。ティンパニを除く打楽器類は別室からの中継らしい。 指揮者登場の後、音楽が始まると直ぐに幕が開き、賛美歌と「キチジロー」の連呼の合唱がぶつかり合う現代音楽で、すでに混沌とした結末を予感させる音楽。 舞台は大きな十字架と凹凸のある段が回り舞台で位置を変え、照明や背面の映像を加え、海岸、村、丘、奉行所等を上手く表現。 前日鑑賞「ナブッコ」のほぼ棒立ちの演出とは全く異なり、歌の内容に合わせて細かい動きが沢山ありミュージカルを思わせる。今回の演出が演劇芸術監督の宮田慶子のためでしょう。 歌手は皆さん熱演で、本作品にかける意気込みが伝わってくる。その中でもオハル役の高橋薫子の歌声は素晴らしく、思わず涙が溢れてくる。だからこそ2幕モキチが息絶える場面の高橋の美しいPの歌が終わるやいなや入った「ブラボー」の野太い声は全くの興ざめで、腹立たしく叩き出したくなった。 キチジロー役の星野淳は歌声は勿論、演技、動作が演劇舞台俳優並に上手く、流石でした。 今回ホールが中劇場だったため、日本語の歌詞がよく聞こえ、一部のセリフもニアンス含めよく届いた。これがオペラ劇場なら聞き取りにくくなるため、オケスペースを無理しても中劇場を選んだのは正解だったでしょう。 合唱は場面毎に裏歌含め重要な役割を担っていたが、不協和音も多い中、よく歌えておりオペラ全体を支えていた印象。児童合唱も場面にピッタリの歌声で良かった。 オケは一部怪しい音が聞こえたものの、作品全体を良く表現出来ていたと思う。 エンディング最後のオケの弱音と共に幕が降りるやいなや盛大な拍手と「ブラボー」の大合唱は、作品の内容が内容だけにあと数十秒静寂を入れてからにして欲しかった。 日本創作オペラは今回のように素晴らしい作品も多くあるが「夕鶴」等の一部を除き公演、再演が殆ど無い状況。新国立の次シーズンは創作委嘱作品「夜叉ヶ池」が予定されており、今から楽しみである。End
2012.02.19
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鑑賞日:2012年2月18日(土)14:00開演入場料:¥6,000 4階(L3列)【主催】(財)東京二期会、(社)日本演奏連盟東京二期会オペラ劇場2012都民芸術フェスティバル参加公演J.ヴェルディ作曲 歌劇「ナブッコ」(イタリア語/字幕付)会場:東京文化会館大ホール指 揮:アンドレア・バッティストーニ演 出:ダニエレ・アバド演出補:ボリス・ステッカ美術・衣裳:ルイージ・ペレーゴ照 明:ヴァレリオ・アルフィエーリ合唱指揮:佐藤 宏合 唱:二期会合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出 演ナブッコ: 青山 貴イズマエーレ:今尾 滋ザッカーリア:斉木健詞アビガイッレ:岡田昌子フェネーナ: 清水華澄アンナ: 日隈典子アブダッロ: 大久保 憲ベルの司祭長:倉本晋児 感 想 合唱「行け、我が思いよ」が有名なナブッコ。前日は雪がちらつき、まだまだ寒さが続く冬の寒空の中、上野へ出掛けた。 座席は4階左側3列目だったが、前席の方の座高が低く、乗り出すこともなかったので、欠けること無く舞台が見れたのは幸い。 客席暗転となりオケのチューニングの後、スポットライトを浴びて指揮者登場。今回イタリアのパルマ王立劇場との提携公演とのこともあり、指揮者はパルマ劇場首席客演指揮者でもあるバッティストーニ。年齢は24歳で細身長身で女性に人気が出そう。 序曲は、早めのテンポだが旋律に合わせてメリハリを付けて、なかなか聴かせる。 舞台は王宮の壁が舞台全体に置かれ、周り舞台で斜めにすることで遠近感を出している。王宮内の場面ではこの壁面の3ヶ所が開き、中央は階段、両隣は張り出しとなり、照明を使って更に立体感を出している。 歌手は今回二期会でオーディションを行い決めたとのことで、皆よく歌えている印象。その中でもタイトルロールの青山貴とフェネーナ役の清水華澄が良かった。清水はメゾ・ソプラノとのことだが、高音部分も多く、アビガイッレ役の岡田昌子より高音が響いていた。名古屋のコンサートへは都合で行けず聞き逃したが、7月の東京二期会カバレリアには出演とのことでチケット確保済みで楽しみ。 合唱は素晴らしく、とくに「行け、我が思いよ」はエンディングのカデンツァがピッタリと決まり何時までも続くようで拍手の後アンコールとなった。この曲はイタリア第2の国家と言われ、当時オーストリア支配下にあったイタリア人と重なり熱狂的に迎えられたとの話はプログラムの解説では時代がずれており、後に加えられた逸話らしいとのこと。 オケは東フィルの割には軽めだがスピーディーな演奏で最後まで緩むこと無く楽しむことが出来た。若手指揮者の功績で、今後名前が出てきそう。 前夜の懇親会のため体調悪く、音楽に集中出来なく残念だった。オペラは観客側も体調管理が大切だと再認識させられた。End
2012.02.18
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鑑賞日:2012年2月2日(木)18:30開演入場料:¥8,000 1階(29列)JACCS PRESENTS 山下達郎Performance 2011-2012会場:名古屋国際会議場センチュリーホール演奏ボーカル、ギター:山下達郎ギター: 佐橋佳幸ベース: 伊藤広規キーボード:難波弘之、柴田俊文サックス: 宮里陽太ドラム: 小笠原拓海コーラス:国分友里恵、佐々木久美、三谷泰弘感想 3シーズン連続での山下達郎のコンサート。永年のファンにとっては奇跡的な出来事であるが、名古屋公演の先行予約でチケットを入手出来たので、定時に会社を飛び出し昨日からの雪が残って凍っている歩道を滑らないように急いで名古屋センチュリーホールへ出掛けた。 開演時間から6分程遅れてホールへ到着。どうせ3時間以上の長丁場なので多少遅れてもと思ったが、係員に案内してもらい座席に着くと丁度オープニング前のアカペラテープが流れて、メンバー登場する所でグッドタイミング。 ギターの音と共に照明が点灯すると、アメリカの街をイメージした今回も素敵なセット。 今回の選曲は、シュガーベイブから新譜アルバムまで、ヒット曲もあればマイナー曲もあり万遍な曲目が並ぶ。MCで「山下達郎コンサート初めての方は?」との問いかけに3割程度の手が上がり、初めての観客には達郎の音楽を知る上で分かりやすい選曲だと言える。 今回当方にとってのベスト演奏は新譜アルバムの中の「俺の空」。勿論CDとは異なる編曲、アドリブが入り、佐橋佳幸とのツインギターはカックイイ! バックメンバーはサックスが宮里陽太に変更になった以外、前回と同じ。宮里陽太は29歳のジャズミュージシャンとのことだが、ソプラノ、テナー、アルト・サックスを使い分け、アドリブも上手い。多少遠慮気味な所も聞かれたが、これから良くなって行くでしょう。 その他、アカペラでは生声で歌い始めたりと前回より更に演奏にバリエーションが増え、楽しませてくれる。本人曰く「ガラパゴス」と言った、いつもの曲で生声、拡声器、終わらないエンディング、クラッカーなどの定番演奏もあり、常連ファンも楽しめる。声の方も最後まで絶好調で、これも連続でライブを行なっているためでしょう。 アンコール3曲までの3時間半ノンストップのライブで、ホールを出て時計を見れば10時を回っている。帰りのお客の顔も皆さん少し楽しそうに見える。最後の一言も昨年の震災も踏まえ、前回より更に力がこもっていた。 今回のツアーは全国64回公演。明後日が誕生日で59歳、来年は還暦とのことで60回公演か、声が出なくなるまで続ける、ライブハウスでも演奏したい、ライブアルバム、竹内まりやの新譜も出したいとやりたいことは沢山なようで。 当方としては、オーケストラ演奏で「SEASON'S GREETINGS」の曲や竹内まりやとの共演をぜひ聞きたいのだが。 前回同様、ファンの方はいつもの台詞と苦笑しながら、次回コンサートと新譜アルバムを気長に待つことに・・・。End
2012.02.02
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鑑賞日:2012年1月14日(土)10:00開演入場料:¥3,500 F列【配給】松竹METライブビューイング2011-2012グノー作曲歌劇「ファウスト」(フランス語/字幕付/全5幕)会場:ミッドランドスクエアシネマ・スクリーン3指揮:ヤニック・ネゼ=セガン演出:デス・マッカナフ合唱:メトロポリタン歌劇場合唱団管弦楽:メトロポリタン歌劇場管弦楽団出演:ファウスト:ヨナス・カウフマンメフィストテレス:ルネ・パーペマルグリット:マリーナ・ポプラフスカヤヴァレンティン:ラッセル・ブローンシーベル:ミシェル・ロズィエ解説・インタビュアー:ジョイス・ディドナート(MET上演日 2011年12月10日) 感想: METライブビューイングは最初の頃に歌舞伎座で行われた「魔笛」以来、観る機会が無かったのだが名古屋で過ごす今週末に丁度上演があり、カウフマンがタイトルロールなので、朝から名古屋駅側の映画館ミッドランドスクエアシネマへ出掛けた。 このビルは2007年新しく建てられ、47階中5階までが商業施設でルイ・ヴィトン、ディオール、カルティエ等の高級ブランドやトヨタの事務所が入っており、その5階に映画館がある。 映画館の対応も行き届いており、両隣が空いている席を取ってくれた。観客は少ないだろうと予想したが130定員のスクリーンに60~70人はおり、女性客が多いのはカウフマン目当てか。 最新の劇場なので座席はゆったりとしており、荷物掛けやドリンクホルダもあり快適。オペラ劇場の何時もの安い席では、前の観客が乗り出すと舞台が半分見えなく不愉快な気分になるのだが、大きなスクリーンで字幕も直ぐ下に表示され座り心地の良い座席でゆったりと観られる。 音響も歪むことなく、自宅のTVで観るよりはるかに臨場感を感じられ、途中ホール内が明るくなって休憩が2回入るが、スクリーンにはMETの観客席が映り休憩終了までの時間も表示され、カーテンコールもあり、正にMETに居るように思わせる。 いつものMETライブビューイング同様に冒頭に作品紹介があり、途中にインタビューも入る。 今回の演出は2つの世界大戦の間の時期で、ファウスト博士は原爆研究者との設定。途中で白衣を着た研究者達が舞台設定したり、合唱で登場したりするが、意味不明。そのためかカーテンコールでは、演出家のみブーイングが出ていた。 主役3人の歌は流石。カウフマンは好調で、去年のローエングリーンでぜひ生の声を聞きたかった。ただ途中のインタビューで、イタリア語、ドイツ語、スペイン語圏で上映される話しは出てきたが、日本他アジアのことは一言も出てこず眼中にはないのでしょう。 ルネ・パーペもメフィストテレス役10回目とのことで、落ち着いた深見のある悪魔だった。 マルグリット役マリーナ・ポプラフスカヤは、声は素晴らしいのだが、エラの張った顔が最後まで気になってしまった(個人的な趣味でスミマセン)。 ライブビューイングは、よりルックスが重要なようで、この後はネトレプコのマノン、デセイの椿姫が予定されている。End
2012.01.14
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鑑賞日:2012年1月8日(日)15:00開演入場料:¥3,000 自由席(2階2列)【主 催】中部フィルハーモニー交響楽団ニューイヤーコンサート~音楽の福袋~in 小牧会場:小牧市市民会館ホール出演:指 揮:堀俊輔ソプラノ:下垣真希ヴァイオリン:辻彩奈コンサートミストレス:矢口十誌子管弦楽:中部フィルハーモニー交響楽団 曲目:第1部 モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」K.492序曲 メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64第2部 J.シュトラウス2世/喜歌劇「こうもり」序曲 レハール/喜歌劇「メリーウィドウ」より”ヴィリアの歌” ジーツィンスキー/ウィーンわが夢の町 J.シュトラウス2世/ポルカ「狩り」 古関裕而/長崎の鐘 (抽選会) J.シュトラウス2世/ワルツ「美しき青きドナウ」アンコール J.シュランメル/行進曲「ウィーンはウィーン」 レハール/メリーウィドウワルツ J.シュトラウス/ラデツキー行進曲感想: 引越後一番早く聞きたかった地元オーケストラ「中部フィルハーモニー交響楽団」の演奏をようやく聞けることになり、冬の晴れ間の中自宅から歩いて5分の小牧市民会館へ出掛けた。 開演のチャイムの後、楽団員が登場。若い女性が多く、バイオリンの男性は1人だけ。色取り取りのドレスで華やか。指揮者登場で「フィガロの結婚」序曲。早い演奏で弦は中々上手いが、管(特にホルン)は少々不安定気味。 2曲目は辻彩奈登場でメンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルト。辻彩奈は14歳の中学2年生だが、既に神奈川フィルとの演奏会にも出演している。まあ学生では上手いレベルかなと思っていたが、驚きの美しい音色。特に第1楽章の演奏は素晴らしく、これだけで入場料の元は取れた気分に。プログラムを見るとヴァイオリンは貸与を受けている1840年プレッセンダとのこと。 15分の休憩を挟んで第2部はシュトラウス中心にニューイヤーの選曲。指揮者はお得意のヘルベルト・フォン・ホリヤンのかつらで自らのMCも入り楽しい演奏に。 ソプラノでマイクのPAが入ったのは驚き。 途中抽選会があったり、アンコールで客席も歌ったりと首都圏のニューイヤーとは一風変わった趣向もあり楽しめた。アンコール最後はお約束のラデツキーで盛り上がりお開きに。 残念だったのは客席(定員1334名)が半分程度だったこと。MCでも言っていたが日本全国約30のオーケストラがあるが、楽団平均年齢が一番若く、一番人口が少ない地域らしい。 まだHPにも来年シーズンの予定が掲載されておらず運営面も心配だが、地元のオーケストラなので出来るだけ聞きに行くようにしたい。End
2012.01.08
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鑑賞日:2011年12月04日(日)14:00開演入場料:¥4,000 E席4階(4RA列)【主 催】(財)びわ湖ホールびわ湖ホール/東京二期会/ライン・ドイツ・オペラ共同制作公演沼尻竜典オペラセレクションモーツァルト作曲歌劇「ドン・ジョヴァンニ」(全2幕:イタリア語上演/字幕付)会場;びわ湖ホール 大ホール 指揮:沼尻竜典演出:カロリーネ・グルーバー合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル、二期会合唱団管弦楽:トウキョウ・モーツァルトプレーヤーズ出演:ドン・ジョヴァンニ:黒田 博騎士長 :長谷川 顯ドンナ・アンナ:増田のり子ドン・オッターヴィオ:望月哲也ドンナ・エルヴィーラ:佐々木典子レポレッロ :久保和範マゼット :北川辰彦ツェルリーナ :嘉目真木子感想: 一度行ってみたかったびわ湖ホールで東京二期会公演「ドン・ジョヴァンニ」がそのまま公演されるとのことで、はるばる滋賀のびわ湖ホールまで出かけた。大津駅から徒歩約15分、琵琶湖沿岸に立つ白い美しいホールでロビーからのびわ湖の眺めも素晴らしい。 ホール内のレストランはあいにく予約で満席だったので、隣のなぎさ公園内のカフェで琵琶湖を眺めながらの1時間ほどゆったりと食事をし、落ち着いた気分でいつもの天井桟敷の4階席へ。 ホールに入ると既に斜幕に岩場に人が立ちその側に女神(ヴィーナス?)が横たわる絵画が写されている。客席が暗くなり指揮者が登場。雷鳴とドアをたたく音が繰り返され、幕が開くと執事がドアを開け若い男女が部屋に入ってくる。そこで序曲が始まり、食事のもてなしを受ける。男性はチェック柄セーターにめがねをかけ、女性はピンクの膝上ワンピースにハンドバッグで現代風。 序曲が終わると執事が歌い出しレポレッロと判る。ドン・ジョヴァンニ、ドンナ・アンナ、ドン・オッターヴィオの方は中世貴族の服装で登場し歌うのだが、若い男女もそのまま舞台で動き回る。村人達が登場の場面で若い男女が歌い出し、ツェルリーナとマゼットと判る。幕内は全て同じセットで行われ、後の扉から人が出入りするだけ。その分音楽は途切れることなく続けられ、抽象的な演出となっている。 ドン・ジョヴァンニに迫られると、直ぐに服が脱がされ下着姿が多いのだが、今回の出演女性は皆さんスタイルが良くその当たりも織り込み済みなのでしょう。全体的にエロティックで胸に触ったり、ラブシーンも多く、欧州女性演出家のためか。 2幕最後の晩餐の場面でも全員が舞台に登場し、動いている。食事は女性との意味。地獄落ちではドン・ジョヴァンニは2段になっている舞台の下側の暗闇に落ちただけで、しばらくすると舞台後に登場し動き回る。無料プログラムの演出家コメントにあるように「また創造され、この遊びは最初から始まり、終わることはなく続けられる」との意味なのでしょう。 歌手は流石二期会の主力メンバーで皆さん声が素晴らしい。ただレポレッロも深見のあるバリトンでドン・ジョヴァンニより聞こえてしまうところは、バランスが良くないか。 若干歌とずれて聞こえるところもあったが、最後までゆるみ無く音楽が奏でられ、歌手も含め指揮者が掌握していることがよく分かる演奏だった。演出、歌手、管弦楽とバランス良く、レベルの高いモーツァルト・オペラを観ることが出来た。 ホールは音響は良く、4階席でも良く聞こえて来る。東京二期会公演の日生劇場より良かったでしょう。 来年3月には沼尻竜典指揮で神奈川県民ホール、東京二期会との「タンホイザー」が予定されており今から楽しみだ。End
2011.12.04
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鑑賞日:2011年11月26日(土)14:00開演入場料:¥3,780 D席3階(R3列)【主 催】新国立劇場新国立劇場2011/2012シーズン公演ドヴォルザーク作曲歌劇「ルサルカ」(全3幕:チェコ語上演/字幕付)会場:新国立劇場オペラ劇場指 揮:ヤロスラフ・キズリンク演 出:ポール・カラン美術・衣裳:ケヴィン・ナイト照 明:デイヴィッド・ジャック合 唱:新国立劇場合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出演:ルサルカ:オルガ・グリャコヴァ イェジババ(魔法使い):ビルギット・レンメルト 王 子:ペーター・ベルガー ヴォドニク(水の精):ミッシャ・シェロミアンスキー 外国の公女:ブリギッテ・ピンター 森 番:井ノ上 了吏 料理人の少年:加納悦子 第一の森の精:安藤赴美子 第二の森の精:池田香織 第三の森の精:清水華澄 狩 人:照屋 睦感想: 「新世界より」で有名なドヴォルザークのオペラ「ルサルカ」の公演、余り日本で上演されないこともあり、今回ノルウェー国立オペラ・バレエからのプロダクション・レンタルとのことで演出も楽しみに、初冬の天候の中、初台まで出掛けた。 指揮者登場、序曲が始まると幕が上がり、家の中のセットが登場。ベッドには女性がぬいぐるみと遊び、隣の部屋のテーブルには父親と思われる男が座っている。女性が立ち上がり鏡の前に立つと、白い煙と共にその中に引きこまれ、家のセットは舞台地下へ下がり、舞台奥から3方の壁に木々が描かれたセットが前に出てきて第1幕。 2、3幕とも基本的に同じセットを使い、テーブルや倒れた樹木などが入る程度で、あとは照明を使って、森、水の中、城の中を表現。月も映像を使って鮮やかに浮かび上がらせており、すでに新国立のHPには写真が掲載されているので百聞は一見にしかずで。 最後はセットが下がり再び家の中が登場し、女性がベッドから起き上がることで、全ては少女の夢の中の出来事と言っているのだが、音楽や物語から受けた重みからは違和感が残った。 音楽はワーグナー的で、登場人物に合わせたライトモチーフが用いられ、途切れなく音楽が続く。ただ旋律はアリア「月に寄せる歌」に代表されるように美しく、抒情的なスラブ民謡を思わせる明るめのメロディーが多く聞こえてくる。 歌手は総じて大音量の管弦楽の中からもよく聞こえてくる。タイトルロールのルサルカ役オルガ・グリャコヴァは、最初は音程をずり上げ気味で「月に寄せる歌」もサラリと流れこんなものかと思ったが、幕が進むに連れてどんどん声が出てきて、最後は劇場中響く声で、鼓膜が震え、素晴らしかった。 王子役ペーター・ベルガーは明るいテノーラルな声でも、よく聞こえてきた。ヴォドニク役ミッシャ・シェロミアンスキーも「かわいそうなルサルカ」を表情豊かに歌い存在感があった。日本人の中では森の妖精の3重唱が演技含め良かった。 管弦楽は若干危ない所もあったが、ワーグナー風のドヴォルザーク音楽をよく表現出来ていたと思う。 新国立劇場は既に来シーズンの演目が一部発表され、その中にゼッフィレッリの豪華演出「アイーダ」の再演が予定されており、今から楽しみ。End
2011.11.26
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鑑賞日:2011年11月12日(土)18:00開演入場料:¥2,500 2階(L列)【主催】宗次ホール第2回 四季の日コンサート 会場:宗次ホール出演:大谷 康子 四季の日ストリングス曲目:モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジークより 第1楽章アラード:椿姫ファンタジーより 乾杯の歌ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 「 和声と創意への試み」作品8より「四季」 ~アンコール~モンティ:チャルダッシュ感想: 愛知で過ごすことになった週末、何か良いコンサートは無いかと当日朝に探し始め大谷康子の名前に目が止まり、演目はヴィヴァルディ「四季」なのでホールに電話し当日券ありとのことで、栄の宗次ホールまで秋晴れの中出かけた。 宗次(むねつぐ)ホールはカレーハウスCoCo壱番屋の創業者である宗次徳次氏が名古屋の中心地「栄」でいつでもクラシック音楽を気軽に聴けるようにと2007年3月に建てた、全310席のクラシック音楽専用のコンサートホール。 HPのコンサートカレンダーにあるように、ほぼ毎日クラシックの演奏会が開かれている。 平日夜だけでなく、ランチタイムやティータイムコンサートがあるのも映画と同じように気軽に聴いてとのホール側の考えなのでしょう。 ホールは床が石造り、壁や天井は白のコンクリートで良く響く設計。舞台は低く客席と一体感がある。また座席がゆったりと座りやすく、前との幅も十分にあり座ったままで前を通ることが可能。2階席の手すり上部はガラス張りで舞台が良く見える。ホール入口の扉付近には、「ご自由にお使い下さい」と毛布が置かれていたりと、観客の気持ちが良く考えられたホールで居心地が大変良い。 開演のブザーと伴に四季の日ストリングスのメンバーが登場。Vn6人、Va2人、Vc2人、Cbs1名、チェンバロ1人の編成で名フィル、中部フィルの他、音大大学院生も入っている。 続いて大谷康子が登場し、直ぐにナハトムジークが演奏される。大変澄んだ心地よい響き。大谷康子のMCが入り2曲目は椿姫ファンタジーより「乾杯の歌」。池辺晋一郎アレンジとのこと。ダイナミックが大きく面白い編曲。 大谷康子は名古屋出身で宗次徳次氏とも知り合い、何度か宗次ホールで演奏したとのこと。 そして3曲目はメインの「四季」。今度は舞台中央に譜面台が置かれ、大谷康子が立ったままの演奏で全体を引っ張る。早弾きは流石。曲毎の強弱も有り、表現豊かな演奏になった。 拍手は鳴り止まず、アンコールが始まったが、大谷康子は登場せずこのままストリングスメンバーで演奏かと思った所で客席後の扉から演奏しながら登場。客席中にグァルネリの美音が響く。そして早弾きのところで舞台へ。客席を楽しませる演出はベテラン心得たもの。 本日のコンサート名の「四季の日」とは宗次徳次氏の結婚記念日で妻との交際時にヴィヴァルディ「四季」を良く聞きぞのレコードをプレゼントしたことから日本記念日協会に申請し昨年認定されたとのことで、今年がその2回目に当たるとのこと。まあどうでも良いのだがこのように聴き心地の良いホールで素晴らしい演奏を手頃な料金で聞けるのは嬉しい訳で。 名古屋に素敵なクラシックホールを見つけ、また機会があれば是非訪れたい。 End
2011.11.12
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鑑賞日:2011年10月29日(土)13:30開演入場料:¥2,000 2階(L1列)【主催】(財)愛知県文化振興事業団/ 愛知芸術文化センターaafコンサートシリーズ音の楽園“The Three by One” vol.2part1 シェイクスピアとオペラ会場:愛知県芸術劇場コンサートホール出演:ソプラノ:中嶋彰子テノール:樋口達哉ピアノ、ナビゲーター:服部容子曲目:ヴェルディ)オペラ『マクベス』より“ああ、父の手は”(マクダフ)“消えてしまえ、呪わしいこの染みよ”( マクベス夫人)ヴェルディ)オペラ『ファルスタッフ』より“喜びの歌は愛しい人の唇から出て”(ファントン)ヴェルディ)オペラ『オテロ』より「柳の歌」(デズデモーナ) ~休憩~グノー)オペラ『ロメオとジュリエット』より“ああ、陽よ昇れ!”(ロメオ)“おお、神聖な夜”(二重唱)プロコフィエフ)『ロメオとジュリエット』ピアノのための10の小品より 第4曲「少女ジュリエット」 第6曲「モンタギュー家とキャプレット家」ニコライ)オペラ『ウィンザーの陽気な女房たち』より“さぁ早くここに”(フルート夫人)バーンスタイン)『ウエスト・サイド・ストーリー』より“マリア”(トニー)“トゥナイト”(トニー、マリア) ~アンコール~レハール)オペレッタ『メリー・ウィドウ』より“唇を閉じて”(二重唱)感想: 人気がある歌手が揃い、料金も手頃なので、ホール見学を兼ねて秋晴れの中、栄まで出かけた。 今回の「aaf音の楽園」は来年3月「マクベス」(演奏会形式)に向けての3回シリーズで、本日はPart1「シェイクスピアとオペラ」と題して、オペラのアリア中心の選曲。 まずは樋口達哉と服部容子が登場し、1曲目マクベスから“ああ、父の手は”を熱唱。 ここで服部容子のナレーションでシェイクスピアとマクベスの紹介があり、ピアノの前奏の後に中嶋彰子が登場し、“消えてしまえ、呪わしいこの染みよ”を歌うのだが、ピアノ伴奏が素晴らしく、客席は息を潜めた状態となり、舞台上は狂乱の場面となった。 中嶋彰子の声はドラマチコではなくリリコなのだが、けして軽く感じることなく、情緒たっぷりで凄みを感じさせる歌声。続く「オテロ」の“柳の歌”も素晴らしく、鼓膜が震えた。 前半はヴェルディのイタリア語でまとめ、後半はグノーのフランス語、ピアノ演奏を挟んでドイツ語、そしてバーンスタインの米語と世界一周、バラエティに富んだ構成で楽しむことが出来た。 歌手も交互に歌い、途中で休憩、ピアノ演奏が入り、十分に喉を休めることが出来、万全の歌声が聞けたのでしょう。この当たりもよく配慮されている。 一番素晴らしかったのは、服部容子のピアノであり、コレペティトゥアやプロンプターをしているだけあって、オペラの曲の内容に詳しく、歌手との息もピッタリで、オペラの場面が目の前に浮かんでくるような演奏だった。 ホールの響きも良く、料金の2倍以上は楽しめた印象。 一つ残念だったのは、演奏中に携帯電話の着信音が2、3回鳴ったこと。特に2曲目の前奏で曲が盛り上がって、暗闇から登場した中嶋彰子がさあ歌うぞと思った瞬間に携帯着信メロディがホールに鳴り響き、それまで作り上げた緊張感がぶち壊しに・・・。 Part2は来年1/21「オペラと魔女」と題し、清水華澄が登場とのことで、思わず帰りがけにチケットを確保。今から楽しみである。End
2011.10.29
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鑑賞日:2011年10月10日(月・祝)15:00開演入場料:¥12,000 5階(R2列)【主催】(財)日本舞台芸術振興会 日本経済新聞社バイエルン国立歌劇場来日公演R.シュトラウス作曲 歌劇「ナクソス島のアリアドネ」(ドイツ語/字幕付,プロローグ付1幕)会場:東京文化会館大ホール指 揮:ケント・ナガノ演 出:ロバート・カーセン管弦楽:バイエルン国立管弦楽団 出 演 執事長:ヨハネス・クラマ 音楽教師:マーティン・ガントナー 作曲家:アリス・クート バッカス/テノール歌手:ロバート・ディーン・スミス 士官:ケネス・ロバーソン 舞踊教師:トーマス・ブロンデル かつら師:ペーター・マザラン 下僕:タレク・ナズミ ツェルビネッタ:ダニエラ・ファリー アリアドネ/プリマドンナ:アドリエンヌ・ピエチョンカ ハルレキン:ニコライ・ボルチェフ スカラムッチョ:ウルリヒ・レス トルファディン:スティーヴン・ヒュームズ ブリゲッラ:ジェフリー・ベーレンス 水の精:中村恵理 木の精:オッカ・フォン・ダメラウ 山びこ:アンナ・ヴィロフランスキー 感 想 バイエルン歌劇場も本日が来日最終公演に当たり、カーセンの演出とR.シュトラウスの音楽を楽しみに薄曇りの秋天の中、上野まで出掛けた。 開演の10分前になり幕が開き、舞台上は、黒い床の上に3方向鏡とバレエ練習バーに囲まれ、ラップトップのピアノに合わせてダンサー達がレッスンを始めている。 開演のアナウンスやチャイムが入り、講師の開け声と共に序曲がスタート。この時点で観客は既にプロローグの舞台準備場面に引き入れられおり、上手い演出だ。 序曲が終わると、客電がついて客席側から執事長が登場。舞台上は鏡がバラバラに置かれ、その間を縫って、順番に出演者が登場。 場面毎に客電が明るくなってホール全体が使われ、観客がそのままオペラの中に参加している気分にさせるところも上手い。 作曲家役アリス・クートが良く通るソプラノで素晴らしい。オペラと喜劇を同時上演することになり、衣装ハンガーが出てきて出演者達は衣装を投げながら着替え始め、プロローグは幕。 舞台に残った作曲家はオケピット前に座り、1幕オペラを観ているとの位置づけ。幕が上がると左右、奥、床も黒になり、アリアドネが登場。妖精が登場し励ます3重唱が良い。ツェルビネッタ役ダニエラ・ファリーが登場し道化達と歌い始めると、舞台は一変に華やかに。黒の衣装だが、ピアノから取り出して履いた赤いハイヒールが色っぽい。そしてコロラトゥーラが入ったアリアを歌い上げるが、大きくはないがよく通る響きのある声で道化達を誘惑。容姿、演技含め、客席(特に男性)の方も全て虜にしたようで。 ツェルビネッタ達が去ると、舞台奥が開き白い光が差し込み、バッカス登場。妖精たちはオケピットで歌い、舞台上はアリアドネと2人だけになり、2重唱となると奥面が白幕となって後ろからライトが眩しく光り愛が蘇って神の世界に誘われ幕。アリアドネ役アドリエンヌ・ピエチョンカは美しいソプラノの声で神々しい印象となった。 休憩無しの正味2時間の公演だったが一度も退屈、緩むことなく、R.シュトラウスの音楽に浸ることが出来た。 歌手は主役だけでなく全てが揃っており、役との印象もピッタリで声量も十分。 管弦楽はオケピットにピアノ、オルガン2台が入り、少ないかと思ったが大音量で聞こえて来る。強弱、うねりがあり、歌ともピッタリでR.シュトラウスの華麗な音楽を十分表現出来ていたと思う。指揮者の功績も大きいのでしょう。 本日が来日千秋楽公演だったため、カーテンコールでは「成功おめでとう」、「ありがとうございました」の看板が降りてきて、「友好関係がつづきますように」との横断幕が掲げられ、オケメンバーも舞台に登場し、盛大な拍手を受けていた。 演出、歌手、管弦楽が全て揃ってのオペラとなり、R.シュトラウスはドイツの劇場公演で聴くものだと、改めて思った公演だった。End
2011.10.11
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鑑賞日:2011年10月1日(土)17:30開演入場料:7,000円 3階(4列)【主催】(社)名古屋二期会 (財)愛知県文化振興事業団 愛知芸術文化センター名古屋二期会2011年度オペラ定期公演愛知県文化振興事業団第291回公演オッフェンバック作曲喜歌劇「天国と地獄」(日本語公演、全四幕)会場:愛知県芸術劇場大ホール 指 揮:曽我大介演 出:たかべしげこ管弦楽:名古屋二期会オペラ管弦楽団合 唱:名古屋二期会合唱団バレエ:三代真史ジャズ舞踊団バンダ:愛知県立旭野高等学校音楽部 出 演 ユーリディス(オルフェウスの妻):水谷 映美オルフェウス(音楽院長):鈴木 俊也ジュピター(神々の王):奥村 晃平プルート(アリステウスに化けている):西本 佑世間(一般世間):矢内 淑子ジュノン(ジュピターの妻):今橋 満里子キューピット(恋の神):北野 実果ダイアナ(狩猟の女神):大久保 幽香ヴィーナス(愛と美の神):安藤 岐恵モルフェウス(眠りの神):伊藤 沙織里マルス(軍神):堀内 紀長マーキュリー(神々の使い):森口 紀代美ハンス・スティックス(元アルカディアの王子):灰塚 弘バッカス(酒の神):水谷 和樹ポリスマン:鬼頭 愛、野網 ともみ、湯本 美穂、福井 友加里、杉浦 愛、原 綾美感 想 名古屋にも二期会があり、オペラ公演があるとのことで秋晴れの中、栄の愛知県芸術劇場へ出かけた。 愛知芸術劇場は地下鉄栄駅の側、バスターミナルのオアシス21に隣接して建てられており、交通の便が良い。施設内には2,500席大ホール、1,800席コンサートホール、330席小ホールがあり、同じ建屋に愛知県美術館もある大規模なもの。 オペラが行われる大ホールは、馬蹄型では無いものの、3~5階席が舞台を囲むように配置され、今回の3階席からも舞台が近く感じられる。座席もゆったりして観やすい劇場だ。 ベルが鳴り場内暗くなり、チューニングの後、スポットライトで指揮者登場。 序曲は、管が若干危うかったが、木管、弦は安定しており全体的にまとまって期待が持てる演奏。 幕が開くと、中央が階段で左右が建物の壁と入り口になっている。その入口上部には上手に「アリステウス・はちみつ製造所」、下手は「オルフェウス・音楽学校」の看板が掛けられている。中央には花壇が置かれ、後の空の背景の前には板に書かれた羊が左右から動き、さながら屋内テーマパークの様。 庶民が登場するが、男声6人が「国会議員」のタスキをかけて、投票の依頼をする。そこへ世間が登場し「一向にビジョンを示せない」となじられる。 ユーリディス、オルフェウス、アリステウス(プルート)が登場。それなりに歌えているが、プルート役西本佑は声が軽すぎ、若いためか台詞、演技も今一で地獄の大王にはとても見えない。 2幕はほぼ同じ配置だが、階段は白色になり、左右の壁が太陽など描かれ天国を表す。 ここで女神達が順番に登場するが、バラツキ大。ダイアナ役の大久保幽香は、良く響くソプラノの声で抜きん出ていた。全体が歌う場面でも聞こえて来る。モルフェウス役の伊藤沙織里も良かった。その他は、管弦楽に消されてほとんど聞こえて来ない人もあり。 ジュピター役の奥村晃平は流石に重みのある声で演技含め、神々の王の貫禄が出ていた。 神々が地獄への旅へ出発する場面では、回り舞台で実物大の蒸気機関車が登場し、バンダも乗って汽笛が鳴り面白い。バンダは高校生の吹奏楽の様だが、なかなか上手い。 3幕は、丸い塔の部屋とその間に階段がつながって立体迷路のよう。回り舞台で、場面転換がスムーズ。ジュピターの蝿の変身は、着ぐるみで羽が動き、目の部分が赤く点滅し良く出来ている。 4幕フィナーレのカンカンはジャンプやバク転もあり踊りが素晴らしい。盛り上がって幕。 拍手と伴に天国と地獄が演奏され、指揮者が客席に向かって拍手を誘い、フィナーレ部分のアンコール。その後のカーテンコールでも間奏曲が演奏されサービス満点。 全体的には演出が良く楽しめた。管弦楽は名古屋二期会オペラ管弦楽団となっており、名古屋近郊のプロや音大出身のアマチュアが集まっているようだが、最後までバランス良く、後半テンポが上がって来て良かった。指揮者の曽我大介の功績が大きかったのでしょう。 2007年東京二期会公演の感想でも書いたが、今回も歌詞が良く聞き取れない。何を唄っているか全く判らない人もあり。ぜひ次回は字幕も入れて欲しい。 歌手の方は、主役含めバラツキが大きいのには驚き。主役級はもう少しそろえて欲しかった。 残念ながら客席は半分程度。今回チケットは劇場プレイガイドでB席を購入したが、ぴあではS、A席のみの扱い。一番安いC席はどこで買えるのか?売り切れのためかと思うも4、5階も空席が半分以上あった。 無料のプログラムの名誉会長の挨拶にも「財政的支援も容易でなく、多くの方々のご支援やご助力を切望」と書かれており、施設は良くても名古屋でオペラ公演を行うのはなかなか大変な様で。End
2011.10.01
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鑑賞日:2011年9月25日(日)15:00開演入場料:\12,000 3階(C13列)【主催】(財)日本舞台芸術振興会/ 日本経済新聞社バイエルン国立歌劇場来日公演R.ワーグナーニ作曲 歌劇「ローエングリーン」(ドイツ語/字幕付,全3幕)会場:NHKホール指 揮:ケント・ナガノ演 出:リチャード・ジョーンズ合 唱:バイエルン国立歌劇場合唱団管弦楽:バイエルン国立管弦楽団 出 演 ハインリッヒ王:クリスティン・ジークムントソンローエングリン:ヨハン・ボータエルザ :エミリー・マギーテルラムント伯爵:エフゲニー・ニキーチンオルトルート :ワルトラウト・マイヤー王の伝令 :マーティン・ガントナー 感 想 NHK-BSで昨年観たMET「トスカ」以来、ぜひカウフマンの生の声を聞きたいとチケットを入手したが、手術を理由にキャンセル。先のMET来日公演にも来なかったので予想していたが・・・。代役はヘンデンテノールの一人であるヨハン・ボータが早々に決まり、「100人来日拒否」の新聞記事も出たが、ドイツ歌劇場によるワーグナー演奏を楽しみにNHKホールへ出かけた。 開場の15時30分に合わせて到着したが、実際の開場は15分早めていたようで。ロビーはドイツ国旗色の布で飾られ、トランペットのファンファーレも行われ華やかな気分に。 座席に着くと既に幕が開いており、舞台中央に製図板に向かう一人の人物が立っている(その後の演出からはエルザと思われる)。 ベルの後客席が暗くなり、チューニングの後、前奏曲が直ぐに始まる(指揮者は事前にオケピットに入って待っていたようで)。長い長いクレッシェンドで盛り上がるが、金管が爆発音にならないのは、全体を通じた演奏でも同様。 前奏曲が終わると舞台上部から左右に扉が付いた壁が降りてくる。舞台上手にはプール監視員やテニスの審判が使う様な高椅子に王の伝令が座り歌いだすと前のカメラにより舞台上部2つの丸いスクリーンに白黒で顔が写し出される。TV放送のイメージ? 途中で壁が上がると、レンガが積まれ家を立てているシーンとなる。この後も同様で進むに従って家の建築が進み、3幕で完成。そしてエルザが素性を問い詰め二人の生活が終わった場面で火が付けられる(と言っても、箱と、手前の床部分が少し燃える程度)。 プログラムによればエルザが夢見る『愛する家族と穏やかに暮らす愛の巣』が家として象徴されているとのことだが、現実的過ぎて今一ピンと来ない印象。 本日が「ローエングリーン」来日初日だったためか、2幕で伝令がカメラに映らない等トラブルが見られたが次回は良くなるでしょう。 歌手は総じて良かった。代役のローエングリン役ヨハン・ボータはよく通る高音で5分以上と長いため省略されることが多い3幕「グラール語り」も最後まできっちりと歌えていたのは流石。ただドラム缶の様な容姿のため、1幕で「白鳥に乗った美しい姿」と歌われた後の登場ではどうしても違和感が(プログラムに写真が掲載されているカウフマンならピッタリなのですが)。 女性陣二人も声質が役に合っており演技含め良かった。 特に代役となったテルラムント伯爵役エフゲニー・ニキーチンと王の伝令役マーティン・ガントナーの声が素晴らしかった。エフゲニー・ニキーチンは来年「さまよえるオランダ人」タイトルロールでバイロイトへ出演とのことで、来年3月の新国立劇場のチケットも購入。 合唱は、1、2幕ではばらついて聞こえていたが、3幕最後は素晴らしい音量と迫力。これは3幕最後が壁の前での歌唱で壁が反響板となったためで、1、2幕は舞台上部、奥に反響した音が聞こえ、ずれたように聞こえたと推定され、ホールの構造上の問題でしょう。 オーケストラは、終始途切れることなく、最後まで細かい音楽表現が出来ていたと思う。特に3幕の王登場の場面でのトランペットのファンファーレは、上手テラス4人、下手2人のバンダで華やかで良かった。 今回のバイエルン公演は「ナクソス島のアリアドネ」も購入済みで、こちらは演出がロバート・カーセンで主な出演者も変更ないため、今から楽しみ。End
2011.09.25
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鑑賞日:2011年9月9日(金)18:30開演入場料:\6,000 4階(L7列)【主催】(財)日本オペラ振興会藤原歌劇団公演ロッシーニ作曲 歌劇「セビリャの理髪師」(全2幕イタリア語/字幕付)会場:新国立劇場オペラパレス公演監督:岡山廣幸指 揮:アルベルト・ゼッダ演 出:松本 重孝合 唱:藤原歌劇団合唱部管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 出 演 アルマヴィーヴァ伯爵:アントニーノ・シラグーザロジーナ:高橋 薫子フィガロ:谷 友博バルトロ:三浦 克次ドン・バジーリオ:彭 康亮ベルタ :牧野 真由美フィオレッロ:押川 浩士隊 長 :羽渕 浩樹 感 想 9月に入っても来日キャンセルが続いているようで、フローレンス、カウフマンも来ない。ボローニャは直前なので代役を立てるの大変だろう。 約1年前にシラグーザと高橋薫子、指揮がゼッダとの案内を見てからずっと楽しみしていた公演。日本オペラ振興会のHPで音楽練習の様子が伝えられシラグーザやゼッダが来日していることを確認し一安心。 ウィークディだがどうにか仕事を調整し、開演前に東京・初台へ。 オケピットにはチェンバロでなくフォルトピアノが置かれ、岡山廣幸公演監督の事前説明で、今回はより当時の音を再現すべく、フォルテピアノにしたとのこと。 開演時間、場内が暗くなりチューニングの後、ゼッダ登場。指揮者譜面台には楽譜はなく、全曲暗譜で序曲がスタート。 小気味よいテンポに強弱が付けられ、気分が高まってくる。 幕が開くと、舞台上は白っぽい板台で高くなっており、その中央に噴水が設置。両サイドは建物の壁になっている。 街の楽士達の合唱に続いて伯爵役シラグーザ登場し「空はほほえみ」のアリア。けして強くは歌っていないが十分に聞こえる。これを聞けただけでも元が取れた気分に。 続いてフィガロ役谷友博が「街の何でも屋」を歌うが、こちらは重くやたらでかい声。楽しく歌う場面でもあり、もっと軽い声の方が良いのでは。 そしてシラグーザがギター片手にアリア「私の名を知りたければ」を歌うのだが、更に声はPになっているが、4階席まで飛んで来る。一目惚れのロジーナへの想いが伝わってくる。 間奏の間斜幕が降り、斜幕が上がると、噴水の代わりに椅子や机等が置かれバルトロ家のサロンへ早変わり。無駄な間が無く、音楽が連続で流れ緊張感が持続出来ており良い演出。 ロジーナ役高橋薫子が「今の歌声は」を歌うが、細かい装飾音符も丁寧に歌い流石。高音部では鼓膜が震えた。こちらも窓から見えた若者を想う若い女性の想いが表情含め伝わってくる。 そして1幕フィナーレの6重唱は、バランス良く楽しい。 2幕もシラグーザと高橋薫子の歌声に引き込まれどんどん進んでいく。ベルタ役牧野真由美のアリアも良かった。 2幕フィナーレ伯爵「逆らうのはやめろ」はシラグーザの美声爆発で、ブラボーの歓声と拍手が数分間鳴り止まず(残念ながらアンコールは無かったですが)。 フィナーレでは男性合唱含め全員で歌う中、女性は二人だけだが、十分に聞こえて来た。 カーテンコールも何度も繰り返され、特にシラグーザへの拍手が盛大。 やはり主役歌手が揃うと、オペラブッファは更に楽しい。時計を見たら既に22時近くで3時間近い公演にも係わらず、あっという間に終わってしまった印象。 オケもテンポが緩まず、盛り上がりもバランス良く、いつもの東フィルとは思えない演奏。指揮者の功績も大きかったのでしょう。 劇場がはけて、帰る観客も皆さん笑顔。やっぱり劇場に出掛けないと素晴らしい音楽は感じられないことを改めて認識出来た。End
2011.09.09
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6、7月と仕事、居住が変わったため落ち着かず2ヶ月間生のオーケストラの音を聴けてなく、そろそろ禁断症状が出てきたため、本日はセントラル愛知交響楽団を聞きに、名古屋中心にあるしらかわホールまで出かけた。 名古屋地区にはプロのオーケストラが、名古屋フィル、セントラル愛知、中部フィル(準会員)の3つある。 セントラル愛知は83年にナゴヤシティ管弦楽団として2番目に発足、97年にセントラル愛知交響楽団と名称変更し、本日のしらかわホールをホームグラウンドにしている。鑑賞日:2011年8月6日(土)14:00開演入場料:自由席2,000円(2F正面最前列)【主 催】セントラル愛知交響楽団まるごとしらかわの日~セントラルの夏~会場:三井住友海上しらかわホール【第2部ピアノとの出会いvol.3】 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番 Pf.朝井大 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 Pf.戸谷誠子 ショパン:ピアノ協奏曲第1番 Pf.朝井大指揮:古谷誠一管弦楽:セントラル愛知交響楽団 本日は「まるごとしらかわの日~セントラルの夏~」と称して、第1部は「こどものためのコンサート」ピンクパンサーや動物たちの謝肉祭等、どうぶつにちなんだプログラム、第2部は「ピアノとの出会い」としてピアノコンチェルト3曲の特色あるプログラムになっており、その第2部を聞きに行った。 しらかわホールは定員約700席、2階席までの典型的なボックス形式。指定席は1階中央付近だったので2階前列を狙って当日券の自由席を購入、30分並んで開場、無事2階席中央最前列を確保。700席とは首都圏プロオケ使用のホールと比べ1/2~1/3の規模で地域の公会堂レベル。ここを中心だと運営は大変だろうと思ってしまう。 オケ登場のあとピアノコンチェルトなのでピアノからチューニング。年齢は全体的に若そうで、女性が6~7割。指揮者とピアニスト登場。指揮棒が振り下ろされると、美しくふくよかな弦の音が耳に飛び込んでくる。ホール天井が高く、そこから跳ね返った音が2階席に伝わってくるので座席選びは正解か。 1曲目はベートーヴェン「ピアノ協奏曲第1番」なので、管弦楽がしばらく続いたあと、ピアノが入ってくるが、流れるような演奏で耳に心地よい。第三楽章はリズミカルなロンドで、飛び跳ねている印象が表現され、中々楽しい。 曲の解説が5分ほど入ったあと、ピアニストが変わり協奏曲第5番「皇帝」。戸谷誠子は少々ゴツゴツしているが大変力強い演奏。同じベートーヴェンのコンチェルトでも演奏者によって大きく違って聞こえるのは、ピアノの表現力であり、難しい所なのでしょう。 15分の休憩の後、朝井大が再登場し、ショパンの第1番。先程の演奏と同じく流れるような演奏で経歴を見てもショパンがお得意のようで、最後まで心地よく聞くことが出来た。難解な部分をさりげなく弾けてしまう所が素晴らしいのでしょう。 休憩を入れて2時間半。コンパクトなホールであったことも影響し、ピアノコンチェルトを満喫することが出来た。ただ、お客の入りが6~7割弱程度だったのが残念。トヨタ他自動車関連メーカが木金休みで土日出勤の影響もあるのか。中部地区でのクラシック公演はなかなか大変そうである。End
2011.08.06
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5月末の地元合唱団「第九」演奏会は無事に終わり、東日本大震災のへの義援金支援も多くの皆様に募金頂いた。また被災されたお客様から直接「第九の演奏で復興に向けて勇気づけられた」との言葉も頂き、数々の問題を乗り越え開催して良かったと思うことが出来た。もう一つ個人的に印象的だったのは、今回の演奏会が地元合唱団への最後の本番出演となったこと。6月仕事の関係で愛知県小牧市へ単心赴任となり引っ越し、引き継ぎで忙しくしていると、ブログの書き込みも出来ずあっと言う間に6月も末に。ぴあ等で検索しても中部地区のクラシック音楽の演奏会は、極端に少ない。今週末は荷物の引き取り等があったため、小牧で過ごすことになり、近くの公民館に行くと丁度クラシックコンサートのチラシがあり、プッチーニのアリアもあるとのことで出かけた。鑑賞日:2011年6月26日(日)14:00開演入場料:無料(整理券不要)【主 催】小牧市教育委員会ポルタメント小牧第87回サンデーコンサートクラシックコンサート会場:東部市民センター講堂第1部 オーボエとホルンの魅力<オーボエ:山中裕美 ピアノ:山中レイ子>セレナーデ/シューベルト風笛/大島みちるオーボエ協奏曲第1番/モーツァルト 他<ホルン:加藤恵三、ピアノ:新屋千夏>夢路より/フォスターオー・ソレ・ミオ/カプア荒城の月/滝廉太郎 他第2部 プッチーニのヒロインたち<ソプラノ:谷定直美 ピアノ:向井佳美>「ラ・ボエーム」より”私の名はミミ”「蝶々婦人」より”ある晴れた日に”他<ソプラノ:野村桂子 ピアノ:河口文子>「ジャンニ・スキッキ」より”お父様お願い”「ラ・ボエーム」より”私が町を歩くとき””告別の歌”「トスカ」より”歌に生き、恋に生き”他 第1部はオーボエとホルンの演奏でお馴染みの曲がほとんどで演奏も耳に心地よく楽しむことが出来た。途中で楽器の紹介が入りリートだけで演奏したり、ホースを使ったりと子供達にも判るようになっている。「のだめ」で有名になったモーツァルトのオーボエ協奏曲はやっぱり楽しく、改めて曲の素晴らしさを認識できた。 第2部はベテランと若手のソプラノでプッチーニのアリア。プッチーニはメロディーが美しいためそれなりに聞けるのだが、ベテランの方はビブラートと音程が気になってしまった。若手の方は弱音の発声が美しく、ミミの”告別の歌”が素晴らしい。プッチーニよりモーツァルトの方が合うような気がした。 観客の方は、600人の客席に150人程度と少々寂しい。Tシャツ・サンダル・首にタオル掛けの人や小さな子供が途中でぐずり出したり、演奏途中に老人ホームの車椅子の方が入って来たりと首都圏ではあまりお目にかかれない状況だが、無料・整理券不要では致し方ないか。 この「ポルタメント小牧」は小牧市教育委員会が中心となって運営しているようであり行政も積極的。 なんと言っても人口15万の都市にプロのオーケストラ「中部フィルハーモニー交響楽団」があるのだ。 これからも機会を見つけて地元のクラシック音楽を楽しんで行きたい。End
2011.06.26
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震災の影響で当初スケジュールを大幅に変更し開催されたLFJ2011が終了。早々に公式結果発表が出たので、これまでの比較表に追加。年 回期間テーマ来場者数 フォーラム 全体チケット 販売数 有料/無料 公演数2005年 第1回4/29 -5/1ベートーヴェン と仲間たち306千人 324千人109千枚120/209 2006年 第2回5/3 -5/6モーツァルトと 仲間たち490千人 695千人160千枚145/377 2007年 第3回5/2 -5/6民族の ハーモニー660千人 1,060千人200千枚181/4732008年 第4回 5/2 -5/6シューベルトと ウィーン640千人 1,004千人182千枚221/5292009年 第5回5/3 -5/5バッハと ヨーロッパ411千人 711千人137千枚168/4192010年 第6回5/2 -5/4ショパンの 宇宙420千人 808千人141千枚175/3582011年 第7回5/3 -5/5とどけ!音楽の力 広がれ!音楽の輪 タイタンたち146千人 ・・・・人45千枚90/175 来場者数は今回東京国際フォーラム館内分しか掲載されていないが、5/3に参加した印象通りに昨年の1/3の結果。有料公演数が半分だが、有料チケット販売数が1/3以下で、5,000人収容のホールAが使えなかった影響がそのまま出ている。 地下展示場での企業ブースやグッズ売り場もなく、有料コンサートでの1枚もののプログラムも無し。また生放送は5/4NHK-FMのみでTV録画も無かったようで。 規模縮小で少々寂しい印象も受けたが、直前の余震や福島原発レベル7引き上げの混乱の中で開催は、主催関係者は寝る暇無く、さぞ大変だったと想像される。 当初予定コンサート中止分の払い戻しの手数料対応で不満も出ているようだが、特定記録郵便で送り郵便振替での支払いと手間がかかるが手数料含んだ返金手段を設けたことも評価したい。 とにもかくにも来年も続くとのことで、公式ブログではルネ・マルタンから「ロシアをテーマ」との話しも出たようで。チャイコ、ラフマニノフ、プロコフィエフの協奏曲やロシア5人組もいるし楽しみだ。 ただ合唱関係となるとロシア民謡やダッタン人、森の歌程度しか思い浮かばず、はたしてコルボ&ローザンヌは来るのか?ボーチェス8は? またあれこれ思い浮かべて楽しんで待ちたい。End
2011.05.08
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鑑賞日:2011年5月3日(火)18:30開演入場料:¥2,000 (D列)ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2011D-15fヴォーチェス8会場:東京国際フォーラム・ホールD7曲目:ブラームス:われらの父は汝に望む(「祭典と記念の格言」 op.109 より 第1番)ブラームス:気高き神はいずこ(「祭典と記念の格言」 op.109 より 第3番)ブラームス:なにゆえに、光が悩み苦しむ人に与えられたのか(「2つのモテット」 op.74 より 第1番)レーガー:アニュス・デイ(「8つの宗教的小品」 op.138 より 第6番)レーガー:われらみな唯一なる神を信ず(「8つの宗教的小品」 op.138 より 第8番)ブルックナー:モテット「この場所は神が作り給う」WAB23ブルックナー:モテット「正しい者の口は知恵を語り」WAB30ブラームス:強き盾にて武装する人、その城を守らば(「祭典と記念の格言」 op.109 より 第2番)アンコールブラームスの子守唄トットロ感想: ヴォーチェス8は初めて聞く名前で、女性2名、男性6名のイギリス出身。ウェストミンスター寺院聖歌隊出身者により結成され、ゴリツィア国際合唱コンクール優勝とのこと。イギリスのア・カペラグループとしては、キングズシンガーズが有名だが、あちらは男声合唱でカウンターテナーが最高音部を歌うのだが、女性が入るとどうなるか興味を持って聞いた。 こちらはドイツ語、ラテン語の歌のため1枚紙の訳詞が配られた。 舞台上のライトがついて8人登場するが、背の高さがバラバラ。ブラームス2曲を続けて演奏するがアカペラなのにダイナミックが大きい。カウンターテナーの欠点は音量が出ないため弱音主体となってしまうのだが、女性が歌うため迫力有る音量が出せる。その分バランスが少し取れていない部分も感じられたが、8人とは思えない大きな声量が会場中に響きわたり、これまでの宗教曲とは違った印象を持てた。 特に背に高いバス男性の声が素晴らしく、全体を支えていた。女性2人も音域が広く、上下入れ替わって歌っていた。 曲の間のMCはメンバー自身がローマ字を書いた紙を読んで日本語で紹介し、サービス精神も旺盛。 アンコールは打って変わって、ブラームスの子守唄を編曲し、各楽器を声で表現。マンハッタントランスファーのクラシック版か。マイクを使わずに、肉声のみでバランスを取って演奏するのはかなり難しいはず。 もう1曲は「となりのトトロ」から「トトロのテーマ」の『トットロ』を繰り返し歌うのだが、今度はヴォイスパーカッションまで入り楽しく、会場からは手拍子と、『トットロ』の大合唱となり大盛り上がりとなった。マイクを使わないでのボイスパーカッションもかなり難しいはずだが、バランス良く演奏できていた。 音楽の根源である声を使った演奏も色々なアプローチがあり、現代でも変化して行くことを改めて認識できた、サービス一杯の楽しい演奏だった。 ぜひ来年も来てもらい、生の演奏を聞きたい。End
2011.05.03
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3月震災後にフレンズの先行発売でチケットを確保したが、4月中旬の余震や福島原発のレベル7発表で4/15突然全てご破算。出演者、ホールを縮小して4/22プログラム発表、再度チケット発売となりフレンズ先行発売でクリックしたはずが、抽選日に未登録状態と判明。 コルボ&ローザンヌも来ないし今年はやめようかと思ったが、一般販売初日4/27昼休みにチケット無事確保出来たので、今年も参加することに。 LFJ2011本公演初日5/3小雨模様の中、山の神と東京国際フォーラムまで出かけた。 まずガラス棟に入ると、いつもの大きなイラストの垂れ幕が全くない。 地下展示ホールには、無料コンサートの舞台と椅子のみで、企業ブースやグッズ売り場、スナック販売所も無し。 ネオ屋台でイタリア飯を購入し、椅子には座れなかったが、キオスク側の立ちテーブルで食べることが出来、お客は例年の1/3程度の印象。 地上広場とロビーギャラリーで種類が少ない中からグッズと記念CDを購入。地上広場での大モニターではコルボ&ローザンヌのドイツレクイエムの映像が少し流れたが、本家フランス・ナントのものか。 今回有料公演での合唱団演目は無く、唯一の声楽アンサンブルであるヴォーチェス8とオケ演目として時間が近い金聖響・兵庫芸術文化センター管弦楽団の2公演を鑑賞した。鑑賞日:2011年5月3日(火)16:45開演入場料:¥3,000 1階(7列)ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2011C-144 指揮:金聖響管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団ブルックナー作曲交響曲4番 変ホ長調「ロマンティック」会場:東京国際フォーラム・ホールC感想: 公演20分前に入場したが、まだリハーサル中とのことで10分ほど2階ロビーで待たされたが、これはLFJではいつものこと。ただ1枚紙のプログラムは今回無しとのことで、曲紹介や演奏者はどうせWebで検索すれば直ぐ出てくるのでまあ良いか。 兵庫芸術文化センターは阪神・淡路大震災からの文化復興のシンボルとして設立され、オペラ上演出来るホールを持ち、芸術監督佐渡裕のオーディジョンで選ばれた若手演奏家が兵庫芸術文化センター管弦楽団となっている。 コンマスはどこかで見た風貌だなと思ったが、Webで調べたところ、先日の新国立「ばらの騎士」でもコンマスを務めた新日フィルの崔文洙だった。 金聖響のタクトが振り下ろされると、美しい弦の響きが聞こえ上手い。大音量の管も乱れることなく、迫力がある。弱音の所では少しずれを感じたが、ブルックナーの美しいメロディーが奏でられ、第4楽章のラスト第1主題では大きな盛り上がりを感じられた。 強弱、メリハリが明確に演奏できており、兵庫芸術文化センターでのオペラ公演が売り切れる理由が判った気がした。新国立劇場も専用の管弦楽を持てればと思った次第。 アンコールは無く、続いてホールDへ。Continue
2011.05.03
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鑑賞日:2011年4月16日(土)14:00開演入場料:¥3,780 4階(R7列)【主 催】新国立劇場新国立劇場2010/2011シーズン公演リヒャルト・ワーグナー作曲歌劇「ばらの騎士」(ドイツ語/字幕付/全3幕)会場:新国立劇場オペラパレス指 揮:マンフレッド・マイヤーホーファー演 出:ジョナサン・ミラー美術・衣裳:イザベラ・バイウォーター照 明:磯野 睦合 唱:新国立劇場合唱団管弦楽:新日本フィルハーモニー交響楽団出 演:元帥夫人 :アンナ=カタリーナ・ベーンケオックス男爵 :フランツ・ハヴラタオクタヴィアン:井坂 惠ファーニナル :小林由樹 ゾフィー :安井陽子マリアンネ :黒澤明子ヴァルツァッキ:高橋 淳アンニーナ :加納悦子警 部 :長谷川 顯元帥夫人の執事:小貫岩夫ファーニナルの執事:経種廉彦公証人 :晴 雅彦料理屋の主人 :加茂下 稔テノール歌手 :水口 聡帽子屋 :國光ともこ動物商 :土崎 譲感 想: 震災の影響でオペラ公演中止が相次ぎ、当日11時頃の大きな余震でJR湘南新宿ラインが新宿止まりに変更になり遅れる中、初台へ出かけた。 指揮者登場に続き、序奏が始まるが、ダイナミズムも大きくゆったりとした演奏で一変にオペラに引き込まれた。この導入曲は、元帥夫人とオクタヴィアンの一夜の情事を描いており、これだけでわくわくした気分になれた。 幕が開くと元帥夫人の寝室が表れるが、舞台装置は2007年公演を見たので省略。今回右寄りの席だったので部屋に入る前の廊下の風景がよく見え、そこでの演技も楽しめた。同じオペラ公演でも座席の位置で印象が異なることを再確認。 今回海外からの出演者が来日不可となり、主役4人が変更。元帥夫人役アンナ=カタリーナ・ベーンケは声の表現力、演技も良かった。変更無く来日したオックス男爵役フランツ・ハヴラタは低音が良く響く声で、田舎中年貴族の演技がピッタリ。 カバーから出演となったオクタヴィアン役の井坂惠は声量が足らない。メゾの音域で低音も多く響かせるのは難しいのだが、オケも十分小さく演奏していたにも関わらず、かき消される所あり。2007年チューリッヒ劇場来日公演の同役カサロヴァと比べるのは無理があるか。 ゾフィー役の安井陽子は高音部が多いこともあり、声は届き、修道院を出たての世間ずれしていない娘役の演技が出来ていた。3幕最後の三重唱は井坂惠も頑張り、それなりに良く出来ていたと思う。 他の日本人出演者も演技、歌唱含めそれぞれ良く、日本ではレベルの高い公演と言えるでしょう。 この日の一番は何と言っても管弦楽。1幕ラストのバイオリンは消え入るようなPPを最後まで響かせ素晴らしい(コンマス崔文洙のソロか?)。 2幕のオックス男爵のワルツも、ウイーン風で思わず踊り出したくなる音楽、3幕ラストも歌手と一体となって全編でR.シュトラウスの音楽を表現出来ており、いつもの東フィルや東響の爆発音ではなく、新日本フィルらしい繊細さを実感できた。 本来なら常任指揮アルミンクが振る予定だったが、来日出来ず心配していたが、新国立HP「ゲネプロ無事終了!」にもあるように、代役のマンフレッド・マイヤーホーファーの功績も大きかったのでしょう。安易に日本人指揮者を選ばなかったのは尾高芸術監督の意向か。 また入場時の配布物の中に「ご観劇の際のお願い」と題した1枚紙が入れられ下記の記述あり。 『「バラの騎士」は各幕の最後の一音まで精緻に作られています。・・・ 拍手は幕が下りてから・・・拍手は幕が下りきるまでお待ち頂き、 オーケストラの繊細な音もお聴き逃しなさいませぬよう、 最後の最後までお楽しみ下さい。』 このおかげでフライングブラボーもなく聞くことが出来た。できれば幕が下りて同時ではなく十数秒の静寂の間がほしかったが。 休憩2回含め4時間を超える公演だったが、ずっと音楽に引き込まれ楽しむことが出来た。この公演を行うには震災後大変な苦労があったかと思うが、音楽的レベルも高く、出演者、スタッフ皆さんの意気込みが感じられる公演となった。 次の新国立鑑賞は「蝶々婦人」はパスし、6月「コジ・ファン・トゥッテ」。原発の影響はまだまだ続く気配ではたして出演者は来日するのか?そう言えばコジはカバー歌手での公演もあったはずで、代役は立てやすいか。 等々それらを含め楽しんで待つことに。 End
2011.04.16
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東京・春・音楽祭「ローエングリン」は中止となり、代わりに出演予定だったオケと合唱で4/10「第九」チャリティーコンサートが開かれるとのこと。震災で公演途中に帰国してしまったフィレンツェ歌劇場で指揮を振っていたズービン・メータが再来日し指揮をする予定。 このページからリンクしている日本経済新聞インタビュー記事に、震災当日の状況と1991年湾岸戦争時のイスラエル・フィルを指揮した話が掲載されているが、過去に戦争や災害の逆境を経験し、それを克服して来た人のメッセージには本心からの祈りと励ます力が感じられる。 かつて母国ユーゴスラビアの内戦をくぐり抜けて来たストイコビッチが、先のサッカー・チャリティーマッチで監督を担う際のメッセージにも、おざなりでない強い力を感じた。Everything is difficult, but everything is possible. 中止だろうと予想していた新国立劇場「ばらの騎士」の方はハガキが届き、初日4/7のみを取りやめ、指揮者、出演者を変更し、残り5日公演で行うとのこと。 こちらは来日出来ない外国人歌手に変わり日本人歌手(カバーか?)が出演とのことで、今回新演出でなく再演だったことも功を奏したのでしょう。 この様な時期にオペラ公演を行うことに対し色々な考え方もあるだろうが、まずは純粋にR.シュトラウスの音楽を楽しんで来たいと思う。 地元合唱団の4/2練習は10月末まで夜間休館の施設に代わり、3/26利用出来た施設に空きがあり、停電中止により無事練習が出来た。実は5月末に地元ホールで「第九」演奏会を予定しており、管弦楽の練習も始まって大変な状況。 この時期演奏会を行うかは、アマチュアとしても大きな問題ではあるが、実施する方向で進めており、被災地復興に関して何かしらのつながりを持てないか模索中。End
2011.04.04
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先週の神奈川県民ホール「アイーダ」、新国立劇場「マノン・レスコー」に引き続き、東京・春・音楽祭「ローエングリン」も中止のメールが届いた。 指揮者、ソリストが海外メンバーのため、福島原発騒動で来日出来ないのが主な理由。自国の優秀な人材は危険な地域へ行かせないよう、ストップが掛かるのでしょう。 東京・春・音楽祭は中止にせず、HPには「主催者にとってなすべきことは、音楽芸術が持つ力を信じ、演奏会を開催し、ひとりでも多くの方々に、生きることの喜びを、蘇らせることではないかと考えます。」との鈴木幸一実行委員長(IIJ社長)のメッセージが表示される。 4/2マーラー「大地の歌」公演は中止し、代わりに読売日本交響楽団特別演奏会が被災者支援チャリティーで開かれる予定で、当初チケットそのままで入場出来る。このような急な変更は対応が大変だったろうが、主催者側の強い意志、リーダーシップを感じる。 ぜひ「ローエングリン」も日本人のカバーキャストで一部で良いので公演してもらえれば、差額はチャリティーと考え喜んで聴きに行くのだが。 新国立劇場「ばらの騎士」も公演が危ぶまれぜひ同様に開催をお願いしたいが、これまで通りのお役所的な仕事では・・・。 地元合唱団の方は利用施設の方針が変わり、前日に計画停電中止が決まれば利用出来るようになり3/26土曜日は練習が出来たが、4/2利用予定の別施設は10月末まで全て夜間休館に決定。両施設は500mも離れていないのに、どうしてこうも違ってくるのか? 休止中の火力発電所が順次立ち上がり、電力事情は日々改善されて来るので、公共施設はただ休館にするのではなく、現実的、臨機応変な対応を! 電力は余ってもほとんど貯めておけないのだが。End
2011.03.29
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東日本大震災により、本日公演の神奈川県民ホール「アイーダ」、来週の新国立劇場「マノン・レスコー」が相次ぎ中止が決定。高くてチケットは購入していなかったが、フィレンツェ歌劇場も2日間だけ公演して帰国してしまった。 「アイーダ」は神奈川県民ホール、びわ湖ホール、東京二期会、谷桃子バレエ団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団共同制作公演で、出演者は二期会だけでなく藤原歌劇団の主役級も選ばれ、指揮はドラゴン沼尻、演出はフランコ・ゼッフィレッリのアシスタントもした粟國淳で今日本でのオペラを行うにはトップクラスのメンバーが集まっている公演。 また学生券がS席でも¥2,000なので、部活で吹奏楽部の娘とその仲間の分もチケットを手配し、アイーダトランペットを聴かせることを楽しみにしていたのだが、本当に残念。オペラは多人数が関わっており、延期は不可能でしょう。 既に交通の混乱は収まり、土日は計画停電がない状況の中、何でもかんでも中止にするのはいかがなものか。 現状中止する方が、金銭以外のリスクは少ないでしょうが、これではクラシック音楽は日常生活に不要なものだと、自ら公言しているようなもの。 地震翌日、神奈川フィルハーモニー管弦楽団はみなとみらいホールで定期演奏会を開いた。よく演奏者を集められたことと思う。コンサート当日は演奏前に黙とうと募金を呼びかけ、チケットを購入し当日来場できなかったお客には返金も応じている。 このような状況だからこそ、どうにか演奏会を開き、音楽を人々に届けることが、より意味のあることではないだろうか。 毎週土曜日夜は地元の合唱団の練習があり、公共施設を練習場所として利用しているが、軒並み夜間は利用中止で練習の予定が立てられない。 電力は基本的に貯めておくことは出来ないので、不足しない土日にいくら節電しようともまったくの無駄なのだが。こちらも市民に対し、施設、勤務している職員も含め、無駄、税金の無駄遣いだと宣言しているのと同じだろう。 この時期、どうにかして演奏会を開こうとしている演奏家、ホール、夜間も施設を使わせようとしている団体かよく調べておき、今後応援していきたいと思う。End
2011.03.20
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鑑賞日:2011年3月5日(土)15:00開演入場料:¥2,000 5階(2列)【主催】(財)日本オペラ振興会・(社)日本演奏連盟2011都民芸術フェスティバル参加公演藤原歌劇団公演ドニゼッティ作曲 歌劇「ルチア」(イタリア語/字幕付)公演監督:岡山廣幸指 揮:園田隆一郎演 出:岩田達宗合 唱:藤原歌劇団合唱部管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出 演 ルチア:佐藤美枝子エドガルド:村上敏明エンリーコ:谷 友博ライモンド:彭 康亮アルトゥーロ:川久保博史アリーサ:牧野真由美ノルマンノ:所谷直生感 想 久々の藤原歌劇団公演で狂気の場が有名な「ランメルモールのルチア」を観に花粉が飛ぶ天候の中、上野まで出かけた。 幕が開くと更に幕(板)があり、両脇の板を残して中央の赤い部分が上がると後に向かって床が高く、狭くなっている台が舞台奥まであり遠近法そのもの。照明効果は入るが、第1部から第3部最後まで基本的に同じで、両脇の幕板が有ったり無かったり、床の台の両脇に黒いカーテンが入る程度。 休憩は途中1回で舞台装置が簡素な分、途切れず上演出来たのはメリットだが、同様に最近のオペラは世界的にどんどん舞台装置が簡略化される傾向で、寂しい思いだ。 衣装は兵士は濃いえんじ色の軍服、女性も黒を基調に暗めのドレス衣装に統一されている。ルチアの婚約の場面でも黒色のドレスで、オペラ全体に悲劇的な印象を与えていた。唯一狂乱の場だけは白のドレス(ガウン)で血しぶきが強調され、はっとさせられた。 歌手の方は、皆それなりに歌えていた印象。タイトルロールの佐藤美枝子は10年前にも同じ役を歌っているとのことで全体的に丁寧で、演技も良く出来ていおり、狂乱の場での微笑みには恐ろしさを感じた。ただ声量的には少々物足りなく、狂乱の場でも感動が少なかった。 ちなみにネットで検索してみると狂乱の場の動画ページがあり、世界的歌手と比較するとその差を感じてしまう。 エドガルド役の村上敏明も良く通る声で最後も良かったが、こちらも演技含めもう少しインパクトがほしい所。 合唱は音量があり、さすが藤原歌劇団との印象で素晴らしかった。 管弦楽も大きなミスはなく、良かった。特に狂乱の場でのフルートソロは歌手との息もぴったりで完璧でした。 全体的見れば日本ではレベルの高い公演で、ドニゼッティの音楽をそれなりに表現出来ており、チケット料金分は十分に楽しめたが、あと一歩物足りなさを感じたのは贅沢でしょうか。 藤原歌劇団公演は9月に「セリビアの理髪師」公演が予定され、シラグーザ&高橋薫子なのでこれはぜひとも聴きに行かなくては。End
2011.03.05
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鑑賞日:2011年1月30日(日)15:30開演入場料:¥3,000 自由席(K列)【主 催】高橋薫子後援会高橋薫子 ソプラノリサイタル会場:王子ホール出演ソプラノ:高橋 薫子ピアノ :河原 忠之曲目:<第1部>ベッリーニ作曲 「マリンコニーア」 「私の偶像である人よ」 「喜ばせてください」リスト作曲 「ペトラルカの3つのソネット」<第2部>ドニゼッティ作曲 オペラ「愛の妙薬」より”受け取ってちょうだい”ロッシーニ作曲 「赤ちゃんの歌」 「ゾラの歌」 「ロッシーニの別れ」 オペラ「タンクレディ」より”厳正なる神よ” <アンコール>アーン作曲「もし僕の詩に翼があったなら」J.S.バッハ作曲「あなたのそばに」BWV508中田喜直作曲「おやすみなさい」 感想: かつてオペラ舞台でご一緒させて頂いて(無論当方は民衆役の合唱だが)からぜひ一度ソロコンサートを聴いてみたいと思っていた高橋薫子のリサイタルがを鑑賞するため雪がちらつく寒空の中、銀座の王子ホールへ出かけた。 昨年10月の公演予定が延期となり、昨年末に藤原歌劇団のHPでチェケットが発売になったが1/5にはSoldOut。1/3のNHKニューイヤーオペラコンサート出演がPRになったのか。 開場15時の15分前にホール入り口に着いたが既に70~80人が並んでいる状況で、客席は空席が無い満席状態。 開演のベル音に続いて、ホールスタッフがスイッチを切った携帯電話を見せながら「携帯の電源をお切り下さい」との客席巡回が終わったあと、ステージ横の扉が開き、ピアニストと連れだって、上がラメが入り花びらをあしらった白のブラウスに、薄いベージュ色のスカートを着た高橋薫子が登場。 前半はベッリーニの歌曲を3曲。強弱が大きくドラマチックな演奏で、高音部も難なくこなし、歌曲と言うよりオペラのアリアを聴いている様。王子ホールは350人収容の小規模ホールのためその声量を予想して後方席を選んで座ったが、ホール全体に響き渡る歌声でピアノとのバランスを考えれば正解だった。 リスト作曲「3つのソネット」はプログラムに掲載されているように自ら訳詞をし、歌詞一言一言を大切にした上で、こちらもリストとは思えない劇的な表現。 前半終了した所でお隣の女性がその横に座っていた男性に「あなたのいびきがかなり大きいですよ」と注意され、その男性は後半戻って来ず(年配の女性は手厳しい)。 後半は、レース状の薄い水色のドレスで登場。髪をアップにし、耳元にイヤリングが光って美しさを引き立たせる。 まずはお得意の「愛の妙薬」より”受け取ってちょうだい”。アディーナになりきって恋人への思い、不安が見え隠れする感情を見事に歌声で表現。これを聴けただけでも今日来た価値あり。本役のオペラ公演をこれまでに2度聞きそびれており、次回は絶対に行きたい所。 そしてロッシーニの歌曲を3曲。「赤ちゃんの歌」はパパ、ママ、おしっこ、うんちとの歌詞があり、コミカルの中にも明るい歌声で表現力の広さに驚き。 最後はNHKニューイヤーオペラコンサートでも歌った「タンクレディ」より”厳正なる神よ”。ニューイヤーはTV鑑賞のためかそれ程感動を覚えなかったが、厳格で堂々とした歌声であり、やはり生演奏はこうも違うのかと思った次第。 ピアノ伴奏は有名歌手が必ずオファーする河原忠之で、けして歌手を邪魔することのない音量にもかかわらず、明確な音が聞こえて来る伴奏で、ズレなどは全くなく絶えず歌声を引き立たせている印象で流石。 アンコールでは日本語の「おやすみなさい」が歌詞もはっきりとして素晴らしく、もっと聞いていたい気分だった。 なお本リサイタルは後援会主催なのだが、その後援会主催は今回が最後と書かれており少々心配だが、長年続いていると色々状況が変わって来るのでしょう。 もう既に新国立劇場の来年オペラ公演の出演も決まっており、更なるご活躍を期待。End
2011.01.30
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鑑賞日:2011年1月23日(日)15:00開演入場料:¥2,000(全席自由)(ご招待)エウフォニア合唱団創立20年記念 第14回演奏会会場:セシオン杉並指 揮 :小崎雅弘ソプラノ:吉田恭子メゾソプラノ:清水華澄テノール:真野郁夫バリトン:佐野正一オルガン:新山恵理管弦楽 :エウフォニア室内管弦楽団合 唱 :エウフォニア合唱団第1部Inter natos mulierum K.72Sancta Maria,mater Dei K.273Missa brevis in G K.49第2部Requiem K.626 (バイアー版)感想: ブログ仲間のぴょんきちさんのご招待を受け、モーツァルトを聴きに新宿経由で東高円寺駅からセシオン杉並(高円寺地域区民センター)に山の神と出かけけた。 初めてのホールだが定員578人とコンパクトだが天井が高く、反響板もあり、客席もゆったりとして座り良くなかなか良いホール。客席奥面にはガラス越しの親子席もあり。 開演のブザーと伴に合唱団が登場、ソプラノ9人、アルト9人、テノール4人バス5人合計27人。続いて弦楽とオルガニストが登場。コンミスのチューニングの後、指揮者登場で2曲を演奏。 モーツァルトの若い頃の作品で、その明るい旋律にこちらの気分も明るくなって来る。バイオリンの音がそろっていて美しい。 続いてトロンボーン3人とソリスト4人が登場し、ミサを演奏。ソリストも皆さん声が出ていてバランスも良い。特にメゾの清水華澄は二期会や新国立のオペラでも聴いたこともあるが、深く豊かな声で素晴らしい。 15分の休憩の後、今度はトランペット、ファゴット、バスクラ、ティンパニも加わって、モツレク。 管も上手く、合唱も更に声が出てきた印象。プロでも緊張すると言うTuba mirumのトロンボーンソロも立派。 Confutatisのvoca meの女声のPは透明感があり、Lacrimosaでは思わず涙がこみ上げて来た。後半もレベルを維持したまま、立ちっぱなしで歌いきられたのは立派。 アンコールは指揮者のMCの後、1曲目Inter natos mulierumを再度演奏されたが合唱団の声が更に良く出ていたのは、緊張がほぐれた影響でしょう。 大変レベルの高い演奏でモーツァルトの音楽に浸ることが出来た。演奏された皆様がモーツァルトの音楽を大切にされていることが伝わってくる音楽だった。曲が進むのに従って、編成も増える所もよく考えられている。 この人数で運営されるのは大変だろうと想像するが、客席も8割以上の入りで、出来ればもっと多くのお客さんに聞いて貰えばと思ってしまった。 次回は杉並公会堂当たりで・・・。 ぴょんきちさんご苦労様でした。End
2011.01.23
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鑑賞日:2011年1月4日(火)14:00開演入場料:¥7,980 C席4階(1列)主 催:新国立劇場新国立劇場2010/2011シーズン公演リヒャルト・ワーグナー作曲楽劇「トリスタンとイゾルデ」(ドイツ語上演/字幕付)指 揮:大野 和士演 出:デイヴィッド・マクヴィカー 美術・衣裳:ロバート・ジョーンズ照 明:ポール・コンスタブル振 付:アンドリュー・ジョージ合 唱:新国立劇場合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出演トリスタン:ステファン・グールドマルケ王 :ギド・イェンティンスイゾルデ :イレーネ・テオリンクルヴェナール:ユッカ・ラジライネンメロート :星野 淳ブランゲーネ:エレナ・ツィトコーワ牧 童 :望月 哲也舵取り :成田 博之若い船乗りの声:吉田 浩之感想 年末年始のおとそ気分が抜けない中、大野和士指揮を期待して初台まで出かけた。 1幕前奏曲に合わせて幕が上がると、紗幕越しに月が水面から浮かび出て、上手から黒煙の中船首が表れる。斜幕が上がると甲板にイゾルデとブランゲーネが登場し、水夫の合唱(合唱は全て裏歌)の後にこれまでの経緯を歌い始める。船が回転し舞台全体に表れる所で木材がこすれる大きな音がしたのは、ハプニング? トリスタンとイゾルデが毒薬(実は愛の妙薬)を飲んだ辺りで月が赤く変わり、船がコーンウォールに到着すると水夫達が水面で水を掛け合う等、水を上手く使っている。 2幕マルケ王の城中は舞台上に幅1m程度の石橋が斜めに渡され、中央に柱が立てられている。ここでも舞台一面に水が張られている。石橋の上にはイゾルデがトリスタンを待っており、ブランゲーネのメロートが罠を仕掛けているとの忠告も聞かず、トリスタンが表れると30分近い「愛の二重唱」が始まる。と突然メロート他の従臣に連れられマルケ王が登場。マルケ王の苦悩の歌の後、トリスタンがメロートの剣に自ら身を投げ出し幕。 演出、舞台は、照明、煙、紗幕、水を上手く使い、違和感なく観ることが出来た。2幕の動きが無い舞台設定も場面と合っていて良かった。 歌手はトリスタン役ステファン・グールド、イゾルデ役イレーネ・テオリンとも管弦楽に埋もれることなく、4階席まで歌声が聞こえたのは流石。2幕「愛の二重唱」ではもう少し感情の抑揚が歌声で聴ければと思ったのは贅沢か。 管弦楽は、終始淀むことなくバランス良く演奏された印象で大野和士のコントロールを感じられた。2007年バレンボイム指揮リンデン来日公演よりは感動が薄く、2009年大野和士指揮リヨン歌劇場管弦楽団「ウェルテル」の際の管弦楽の圧倒感は感じられなかったが、限られた準備期間から考えれば良い方だったのでしょう。 これ以上を望むのなら、劇場付の指揮者、管弦楽が必要なのでは。 年末年始ですっかりオペラ鑑賞の体力が無くなり、鑑賞は2幕までで断念(2幕までと言っても休憩挟み既に4時間弱)。 ワーグナー作品を聴くには事前の体力準備が必要なことを改めて認識した公演だった。End
2011.01.04
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先日「熱狂の日フレンズ」からメールがあり2011年のテーマは「タイタンたち」。「タイタン」と聞くとマーラー交響曲第1番「巨人」を思い浮かべるが、対象の音楽家は『1850年頃から1950年頃にかけて活躍した、ブラームス、リスト(後期)、マーラー、リヒャルト・シュトラウス、ワーグナー、ブルックナー、シェーンベルクなど疾風怒濤の時代に活躍した後期ロマン派の作曲家を特集。』とのこと。やはり日本ではブラームスだけでは集客が難しいとの判断でしょうか。 ワーグナーやR.シュトラウスとなるとオペラ演奏はあるのか? 当時対立していたブラームス派とワーグナー派、反ユダヤ、ナチスの扱いは?と興味は尽きないところで楽しみ。 東京国際フォーラムでの開催は2011年5月3日(火・祝)~5月5日(木・祝)の3日間。 音楽祭と言えば2011SKF(サイトウ・キネン・フェスティバル松本)は2011年8月8日~8月28日の21日間で例年より10日ほど前倒しになっており、続いて9/2より上海、北京公演があるためらしい。 今後海外公演を積極的に進めるようで現在SKF名称変更のアンケート中。 12/14~18NYニューヨークのカーネギー・ホールが主催する日本芸術祭“JapanNYC”は小澤征爾が芸術監督を務め、サイトウ・キネン・オーケストラが出演。 この時期に「ブリテン/戦争レクイエム」を取り上げるのは小澤征爾らしく、日本での本格的な活動再開が楽しみ。 また10月にチケット会員になっている新国立歌劇場よりアンケートがあり、『オペラファンの裾野を拡げるとしたら、あなたならどんなことをしますか』との質問に対し、シルバーウィークに「新国立劇場オペラフェスティバル」の開催を提案。 新国立にある大中小の3つの劇場に加え、隣接の東京オペラシティホールにも大小2ホールあり、何れも東京国際フォーラムより遥に音響が優れている。 素晴らしい環境が揃っていると思うのだが、まあ財団法人のお役人運営ですので、実現は難しいでしょうが・・・。End
2010.12.11
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鑑賞日:2010年11月21日(日)14:00開演入場料:¥2,835 D席3階(L2列)【主 催】新国立劇場新国立劇場2010/2011シーズン公演ウンベルト・ジョルダーノ作曲歌劇「アンドレア・シェニエ」(イタリア語上演/字幕付) 会場:新国立劇場オペラ劇場指 揮:フレデリック・シャスラン演出・美術・照明:フィリップ・アルロー衣 裳:アンドレア・ウーマン合 唱:新国立劇場合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出演アンドレア・シェニエ:ミハイル・アガフォノフマッダレーナ:ノルマ・ファンティーニジェラール :アルベルト・ガザーレルーシェ :成田博之密 偵 :高橋 淳コワニー伯爵夫人:森山京子ベルシ :山下牧子マデロン :竹本節子マテュー :大久保 眞フレヴィル :萩原 潤修道院長 :加茂下 稔フーキエ・タンヴィル:小林由樹家令/シュミット:大澤 建感想: 日本では余り上演されない作品であり、2005年の再演とのことで、秋を飛び越して冬の冷え込みが続く中、少し暖かい日差しに恵まれて初台まで出かけた。 舞台上には幕の代わりに白のスクリーンが全面に張られ、音楽と伴に宮殿が映写される。そのスクリーンが左右に開くと、斜めの白い板が左右にあり、そこにも宮殿が映される。この後も、舞台上の斜めの板が回転し、照明と映像を使い、途切れることなく場面展開される(様子は新国立HP写真で)。 各幕終わりは幕の代わりに白い斜めの板が舞台上部から降りてくるが、ギロチンの象徴なのでしょう。 休憩は1回で、1幕と2幕、3幕と4幕の幕間は小太鼓の音に合わせ白いスクリーンにギロチンが映写された。また当時の絵画を意識した設定で2幕ではドラクロワの「民衆を率いる自由の女神」が表現されていた。3幕老婆(マデロン)が革命で戦死した子供の代わりに孫の少年を差し出す場面の後に、舞台中央に沢山の墓場の十字架が並んだ場面ではハットさせられた。白が基調の舞台で、衣装も白色が中心。よってフランス国旗より目立つ。 本作品が余り上演されない理由の一つとして、タイトルロールの歌声に高音、技巧が要求されるため、歌いきれる歌手が少ないことも上げられるが、シェニエ役ミハイル・アガフォノフは有名なアリア1幕「ある日、青空を眺めて」、4幕「五月の晴れた日のように」含め見事に歌い上げていたと思う。多少一本調子の様にも聞こえたが、これだけ輝かしい声で歌いきれれば十分でしょう。 マッダレーナ役ノルマ・ファンティーニは、新国立アイーダで表現豊かな声を覚えているが、ラストの二重唱含めボリューム的に少々大変な所も見受けられたが、P部分の表現は相変わらず素晴らしかった。ジェラール役アルベルト・ガザーレも3幕アリア「国を裏切る者」含め、存在感のある声だった。 日本人歌手もベテラン人で揃え抜けが無く、中でも老婆マデロン役竹本節子のアリアには思わず込み上げるものがあった。 管弦楽は東フィルのいつもの唐突な金管の爆発音はあったものの、全体としては淀むことなく、歌手との息も合っており、指揮者の功績と言えるでしょう。 今年のオペラ鑑賞はこれで終わり。新春の新国立、大野和士指揮「トリスタンとイゾルテ」が今から楽しみだ。End
2010.11.21
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鑑賞日:2010年10月31日(日)18:30開演入場料:¥4.000 S席1階(24列)主催:横浜みなとみらいホール神尾真由子&ミロスラフ・クルティシェフデュオリサイタル会場:横浜みなとみらいホール・大ホール演奏:ヴァイオリン:神尾真由子ピアノ:ミロスラフ・クルティシェフ曲目:<第1部>サン=サーンス :序奏とロンド・カプリチオーソOp.28チャイコフスキー:ワルツ・スケルツォOp.34チャイコフスキー:憂うつなセレナードOp.26ワックスマン :カルメン幻想曲<第2部>R.シュトラウス :ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調Op.18 <アンコール>クライスラー :愛の喜び エルガー :愛のあいさつ 感想: 2007年第13回チャイコフスキー国際コンクール優勝から3年、真由子ちゃんのソロコンサートが近くのMMホールであるとのことで、台風一過の日曜夕刻、来週のAPEC会議のため全国の警察官が集まり厳戒中のみなとみらいまで出かけた。 今回のコンサートは本日含め12回全国を回るツアーの2回目。11/7のサントリーホールに比べ、チケット代が約半額。ホール主催のためでもあるが、開演が18:30と午後別コンサートの後の空き時間に入れたことも影響していると思われる。チケットもS席完売、A席僅かの売れ行きで、観客も1階、2階は空き席ほとんど無く、舞台後のP席に空き席があった状況(当日券用か)。MMホールには同様設定の演奏会を増やしてほしい。 客電が落ちて、2人が登場。真由子ちゃんは上が濃い緑(灰色?)でラメが入り、下が薄緑色のドレス、クルティシェフ君は上下黒色のスーツ姿で両者落ち着いた印象。 1曲目はサン=サーンスは早弾きも多いが難なく演奏するも、「こんな音だったかな?」と思っていると、2曲目から真由子らしいヴァイオリンの音が出て来て、3曲目のチャイコ「セレナード」はピアノとの合わせも良く、劇的で良かった。 4曲目は正しくカルメンのハバネラの妖しさも表現され、素晴らしい。20分の休憩を挟んで、後半はR.シュトラウス「ヴァイオリン・ソナタ」。こちらも早引き、超高音、ダイナミックス何れも完璧でさすが。 クルティシェフ君は同じチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で1位無しの2位、既に多くのオーケストラとも共演しているようで、年齢25歳でほぼ同じ。全体的には柔らかい音であるが、独奏部分では強い音で主張もあり、25歳とは思えない。 但し、音楽全体としては、極端に言うと2人で「ガンガン弾いている」との印象で、R.シュトラウスの音楽が十分には表現出来ているかと言うと不足は感じる。もう少しテンポを揺らしたり、強弱を変えたりとか・・・。その部分は一朝一夕ではなく音楽経験の積み重ねが必要で、そうであれば経験豊かなピアノ伴奏者と組むのも一つの方法ではとも思った。 アンコール2曲はヴァイオリンのアンコールで良く取り上げられるクライスラーとエルガ-で、あらためて真由子ちゃんの天才ぶりを実感できた。 ツアー後半はベートーヴェンやブラームスが演奏されるようで、名曲を本番で弾き込むことで若い2人の更なる飛躍を期待したい。End
2010.10.31
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鑑賞日:2010年10月27日(水)18:30開演入場料:¥8,000 1階(18列38番)主催:TOKYO FMJACCS PRESENTS Performance 2010山下達郎会場:神奈川県民ホール 演奏ボーカル、ギター、キーボード:山下達郎ギター: 佐橋佳幸ベース: 伊藤広規キーボード:難波弘之、柴田俊文サックス: 土岐英史ドラム: 小笠原拓海コーラス:国分友里恵、佐々木久美、三谷泰弘感想 昨年6年振りの山下達郎のコンサートがあり、その際のブログに、『「コンサートツアーは毎年続けて行く、新譜アルバムも直ぐに出す」と言っていたが、ファンの方はいつもの台詞と苦笑しながら、次回のコンサートを気長に待つことに。』と書いたが、新譜アルバムの方は予想通り9/15発売が延期(時期も現在未定)。ツアーの方は(嬉しい方に)予想を裏切られ何と今年も全国で開催。本日は定時に職場を飛び出して、気温10℃寒空の中、山の神と伴に神奈川県民ホールへ。 今年デビュー35周年とのことでコンサートも当初35回が予定され、その最後が本日の神奈川県民ホールだったが、追加公演が後に3本入ったので当人曰く「なっんちゃって千秋楽」。 何時ものように1人アカペラのテープが流れ、メンバーが登場。リズムギターが鳴りスポットが達郎に当たってコンサートがスタート。昨年はヒット曲が中心だったが、今回はシングルカットされてないマイナーな曲も多く、シュガーベイブの当時のアレンジで聴けたのは稀少。1人アカペラは勿論のこと、1人コーラステープに合わせた演奏曲もあって、演奏内容も昨年より工夫されている。 昨年からバンドメンバーが固定され、また今年ツアー中の最後の方だったこともあり、バンド演奏全体が安定しており、安心して聴けた印象。ギターやサックスのアドリブ部分も完璧。またアンコール曲も2曲ほど多かったようで、終演は22:00をまわっていた。 舞台セットも良かったが、これ以上はネタバレなので省略(昨年同様本人の依頼もあり)。何より達郎のボーカルが昨年より更に良くなっており、開演18:30から3時間半歌い放しにも係わらず、アンコールで3オクターブ出す所は流石。 30年以上前の曲から現在の最新曲まで聴いても、全く違和感なく、音楽の一貫性を感じられる。また詩の内容が当初の恋愛や個人的なものから最近の社会、人生、人類的なものに変わって来ている所は年齢を積み重ねた影響からでしょう。最後の一言も達郎らしい。 客席は勿論満席で、立見もあり。年齢層は親に連れられて来た小学生から、60歳超え頭が禿げ上がった方まで幅広いが、後半は席を立って手拍子、何時もの曲でクラッカーを鳴らし、皆で達郎の音楽を楽しんでいることがよく判る。 今年は更に10年振りの竹内まりやコンサート等もあり、新譜アルバムはいつになるか?「コンサートは還暦まで毎年続け、来年はライブハウスで」とも言っていたが、昨年同様、ファンの方はいつもの台詞と苦笑しながら、次回アルバムとコンサートを気長に待つことに・・・。End
2010.10.27
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鑑賞日:2010年10月11日(月・祝)14:00開演入場料:¥4.725 D席4階(2列)【主 催】文化庁芸術祭執行委員会/新国立劇場新国立劇場・文化庁芸術祭主催公演リヒャルト・シュトラウス作曲歌劇「アラベッラ」(ドイツ語上演/字幕付) 会場:新国立劇場オペラ劇場指 揮:ウルフ・シルマー演出・美術・照明:フィリップ・アルロー衣 裳:森 英恵合 唱:新国立劇場合唱団管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団出演)ヴァルトナー伯爵:妻屋秀和アデライデ :竹本節子アラベッラ :ミヒャエラ・カウネズデンカ :アグネーテ・ムンク・ラスムッセンマンドリカ :トーマス・ヨハネス・マイヤーマッテオ :オリヴァー・リンゲルハーンエレメル伯爵 :望月哲也ドミニク伯爵 :萩原 潤ラモラル伯爵 :初鹿野 剛フィアッカミッリ:天羽明惠カルタ占い :与田朝子感想: R.シュトラウス作品の中でもあまり上演される機会が無い作品で、尾高体制での初演とのこともあり、秋晴れで夏日の気温の中、初台まで出かけた。今シーズンから4階席中央は4列ともC席となり、いつものD席は左右のみに減少しより見にくくなったのが残念。 4階席2列目の席に行くと、緑の4cm程の厚みの四角いクッションが置かれており、添付された紙には「第2列目の段差が前後の列に比べ低く、これを緩和するため用意した」と書かれていたので取りあえず座面の上に置いて鑑賞したが、かえってお尻が痛くなってしまった。更なる改善を望む。 赤い幕が左右に開き、続いて黒い幕が上部へ上がると、別室が3室もあるホテルの一室のリビングルームが表れ、白地の壁、床に青い色が付けられている。この青色の濃さが千差万別で、プログラムによると百種類を超える色を使っているとのこと。2幕は舞踏会会場の大きな階段が中央に、3幕はホテルのロビーで左側に階段と2階の客室のドアが作られている。3幕とも同じ色調で統一され、場面設定によって明るさが異なっていた。 衣装も白、灰色、黒色以外は青基調のドレス衣装が使われ、唯一ヨーデル歌手のフィアッカミッリのみが赤いドレスで違いが強調されていた(百聞は一見にしかずで新国立HP写真を参照)。 また2幕でアラベッラとマンドリカ、ズデンカとマッテオの2人だけで会話が交わされる場面は、舞台上に青色のレースの幕が引かれ、その幕の前で2人だけとなることで判りやすくしていた。ただ時代設定を1930年代大恐慌の頃にしたとのことだが、余りその時代設定を感じる場面はなく、原作19世紀末にしても良かったのでは。 管弦楽は「薔薇の騎士」同様にR.シュトラウスの連続し、次々と変わって行く音楽を上手く表現出来ており、指揮ウルフ・シルマーの功績と言えるが、fの爆発音は良いとして、pの表現が大きく繊細さが欠ける気がした。この当たりは東フィルでいつも感じる所。 歌手の方も同様で主役のアラベッラ役ミヒャエラ・カウネ、ズデンカ役アグネーテ・ムンク・ラスムッセン、マンドリカ役トーマス・ヨハネス・マイヤーはそれなりに良く歌えており、他の日本人歌手含め、バランスが良かったと思う。2幕のアラベッラとマンドリカが互いに愛の気持ちを打ち明け2重唱となる所や3幕アラベッラが泉の水が入ったグラスを持って階段を降り、誤解したマンドリカを許し、変わらぬ愛を打ち明ける場面など、思わず音楽の中に引き込まれた。 ただ「それなりに」と思ってしまうのは先月の英国ロイヤルオペラのネトレプコの歌声が耳に残っている影響でしょうがないか。トーマス・ヨハネス・マイヤーは前回新国立登場のヴォツェック様な出で立ちで、1人田舎貴族の雰囲気が出ていた。 全体的には、演出、舞台、衣装、管弦楽、歌手とも、抜けなくバランスが良い公演になっており、その当たりが尾高氏らしい所か。これからの公演にも期待したい。End
2010.10.11
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鑑賞日:2010年9月11日(土)15:00開演入場料:¥19,000 E席5階主催:日本経済新聞社、日本舞台芸術振興会英国ロイヤル・オペラ日本公演ジュール・マスネ作曲「マノン」(全5幕 フランス語上演/日本語字幕付) 会場:東京文化会館指 揮:アントニオ・パッパーノ演 出:ロラン・ペリー美 術:シャンタル・トーマス照 明:ジョエル・アダム合 唱:ロイヤル・オペラ合唱団管弦楽:ロイヤル・オペラハウス管弦楽団出演)マノン・レスコー:アンナ・ネトレプコ騎士デ・グリュー:マシュー・ポレンザーニレスコー :ラッセル・ブラウン伯爵デ・グリュー:ニコラ・クルジャルギヨー・ド・モンフォルテーヌ:ギ・ド・メイブレティニー :ウィリアム・シメルプセット :シモナ・ミハイジャヴォット :ルイーゼ・イネスロゼット :カイ・リューテル宿屋の主人 :リントン・ブラック感想) 地元所属合唱団の演奏会などあり、しばらくオペラ鑑賞は遠ざかっていたが、英国ロイヤル・オペラハウス18年ぶりの来日公演で、なんと言っても今一番売れているソプラノの一人であるアンナ・ネトレプコの生の声を聴きたくて、どうにか入手したE席チケットを手に残暑の中、上野へ出かけた。 さすが注目公演のため客席は本当の満席で1階席も空席を見つけることが出来ない状況で、5階席までビッシリ。 指揮者登場の後、軽快な序曲で幕が開く。第一幕はアミアンの宿屋で、城壁に囲まれた中に中庭があり右側に宿屋の入口がある。放蕩貴族のギヨーが友人のブレティニーと娼婦3人とを連れ城壁から中庭に階段を降りてくる。この娼婦がギヨーをからかうアカペラを歌うのだが、これがバランス良く上手い。軍人レスコーが従兄弟のマノンを待っていると、馬車到着するのだが、実際は荷物の固まりと沢山の乗客達が登場し、騒がしさを歌う。人々が居なくなるとマノンが残り、レスコーと対面した所で歌い始めるのだが、ここで既に耳は釘付け。低音から高音まで無理のない真っ直ぐな歌声で、16歳でまだ楽しんでいたいのに修道院に入れられる心境を歌う。灰色系の地味な服装なのに、輝いて見えてしまう。 突然騎士グリューが登場し、マノンを一目見るなり美しさに目を奪われ、修道院入りの話を聞くと、それを思いとどまらせて、二人でパリに行くことにマノンも同意。デ・グリュー役マシュー・ポレンザーニは柔らかいリリックなテノールであり、役に合っておりネトレプコとのデュエットもピッタリ。ギヨーの馬車を盗んでパリへ出発する所で幕。 第二幕はデ・グリューのパリのアパート。2階建てで部屋と階段だけが作られている。二人の愛情豊な暮らしの中にマノンを手に入れたいブレティニーと彼に買収されたレスコーが現れる。デ・グリューがレスコーに父親もマノンと結婚を許してもらうおうと手紙内容を説明している間に、マノンはブレティニーに「貧しい生活とおさらば、贅沢な暮らしを」と誘惑され別れを決意し「さよなら、この小さなテーブルよ」を歌うと、ずいぶん身勝手な思いなのに、納得させられてしまう。突然、父親の配下が現れ、デ・グリューを馬車で連れ去られてしまう。 第三幕第1場は祭りで賑わうレーヌ通り。手すりが付いた通りが上部、斜めと組み合わされ、背景には明るい街灯がつながっている。ギヨーが登場し、金に物を言わせて、オペラ座を呼んできてバレエを踊らさせマノンを誘惑する。バレエダンサーも背が高い美人揃いで華やか。マノンは群集を前に「町を歩けば」、「甘い愛に誘う声に従いましょう」を歌うが、ネトレプコは超高音も難なく歌いここでも群衆と同じくその歌声に思わず女王様と思ってしまう。ここでデ・グリューが神父になっていることを聴いたマノンは、オペラ座も断り教会へ。 第2場は教会の場面。数本の大きな石柱と信者が座る椅子が見え、下手にはデ・グリューの部屋。デ・グリューはマノンとの思いを断ち切るために神に仕えようとするが、思いは断ち切りがたく、「消え去れ、優しい幻影よ」を歌う。そこへマノンが登場し変わらぬ思いを伝えるが、耳を貸そうとしない。そしてマノンが「誘惑のアリア」を歌う。このアリアはアカペラから始まり、段々と楽器が増え、音も上がって行くが、無理に押す声ではなく、Pと同じ美しい歌声で自然に音量を上げて行く所は圧巻。これで迫れれば、神に仕えるデ・グリューもついに陥落しベッドの上で抱き合ってしまう。 残念ながら所用があり、当方の鑑賞はここで幕。オーケストラは統制が取れて、よどむ部分やはみ出す様な所もなく大変上品な演奏の印象で、そこが英国的なのでしょう。歌手も、主役二人以外もバランスが取れた歌声であり、合唱も振り付け含め良かった。演出も豪華絢爛とは言えないが、それなりに場面を再現しており、全体的に穴が無いところが引っ越し公演の良い所でしょう。 なんと言ってもネトレプコの歌声が素晴らしく、無理なストーリー展開もその歌声で思わず納得させられてしまう。5階席でも聴いても何度も鼓膜が震え、大きなホールでも全く影響なく歌えるのでしょう。 久々に素晴らしい歌声を堪能することが出来、これだからオペラ通いはやめられない。End
2010.09.11
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鑑賞日:2010年8月7日(土)14:00開演入場料:¥7,000 C席3階主催:兵庫県/兵庫県立芸術文化センター(制作)佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2010レナード・バーンスタイン作曲オペラ「キャンディード」(全2幕 英語上演/日本語字幕付) 会場:Bunkamuraオーチャードホール指 揮:佐渡 裕演 出:ロバート・カーセン合 唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団出演)ヴォルテール/パングロス博士:アレックス・ジェニングズキャンディード:ジェレミー・フィンチクネゴンデ:マーニー・ブレッケンリッジオールド・レディ:ビヴァリー・クライン大審問官 ほか:ボナヴェントゥラ・ボットーネパケット:ジェニ・バーンマクシミリアン:デヴィッド・アダム・ムーアカカンボ:ファーリン・ブラス感想: ベルリン・フィルの指揮も決まった佐渡裕がプロデュースのオペラ?とのことで盆休み初日、当方方本番間近の合唱練習スケジュールの合間に、真夏日の中、渋谷のオーチャードホールまで出かけた。 長い階段を登っていつもの3階席座席に座ると舞台上には回転式チャンネルの古いTV画面が舞台いっぱいに設置されている。軽快な序曲に合わせて、そのTV画面上に登場人物、スタッフのテロップが写される。TV画面の幕が開くと、ヴォルテール役アレックス・ジェニングズが物語の背景を説明し、そのまま早変わりでパングロス博士になり、キャンディード他4人の生徒へ「最善説」の講義を始める。 この後、戦争、大地震、新世界、黄金郷と波瀾万丈の物語の中、絞首刑、銃殺を受けるも5人は何度も復活、再会し、最後は畑を耕すと大合唱で幕。 はちゃめちゃな物語をそれなりに見られたのはロバート・カーセンの演出の力でしょう。初演50年記念で2006年パリ・シャトレ座を始め、ミラノ・スカラ座、ロンドン・ナショナルオペラでの公演をそのまま持って来たもので、舞台装置、ダンス、ビデオ映像など、すき無く計算されおり、良く出来ている。 一応オペラとなっているが、出演者は全員マイクを付けており、その点ではミュージカル。オーチャードホールは全くのデッドであり、また出演者は、オペラ、ミュージカル、演劇出身と色々であるため声量のバランスを取る意味からもPAを使うのは正解でしょう。 オケ、合唱は、大きな問題なく、軽快なテンポを崩さず演奏されていた。ロバート・カーセン演出の「キャンディード」を日本で観られたことがバーンスタインの弟子である佐渡裕の功績と言える公演だった。End
2010.08.07
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