読書の部屋からこんにちは!

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2007.02.18
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カテゴリ: エッセイ
小泉武夫さんは本職は醸造学の先生ですが、自称「食の冒険家」だそうです。
私が彼をはじめて知ったのは、NHKの「ようこそ先輩」という番組でした。

造り酒屋に生まれた彼は、小さい頃から食の好奇心が人一倍強く、
野山でとかげや蛇をつかまえては、生で食べてたとか。
この本にも、高校生のときに、家で飼っていた鶏を狭いところに閉じ込めて、朝夕餌をたらふく食べさせて、自家製フォアグラに挑戦したという話が出てきます。
ぶくぶくに肥えた鶏を解体してみたけど、体中がすべて黄色い脂肪だらけで、目的の肝臓も肥大部分は脂肪だけ。
という、笑える結果だったそうですけど、その好奇心と実行力には驚きますね。

NHKの番組では、小学校の教室に世界でいちばん臭い発酵食品の缶詰なるものを持ち込み、
(名前は忘れましたが、確か北欧の食べ物でした。)
子どもたちにエプロン、三角巾、マスクをつけさせ、教室の窓を全開にして準備万端、缶詰を開けたのでした。
缶詰の中身はよく発酵していて、缶切りをつきたてた途端にプッシュ~とガスが噴出。
子どもたちは逃げ回ってワーワーキャーキャー大騒ぎ。
小泉氏がおいしそうに口に入れると、勇敢な子どもたちも寄ってきて、口に入れる子もいましたよ。
そんな光景を、なぜ私がよく覚えているかというと、小泉氏がほんとうにうれしそうにしている様子がとても魅力的で、いっぺんにファンになってしまったから。
子どもたちよりも目がきらきらしていて、ほんとうに「食」が好きなんだなあと思いました。



この本 「奇食珍食」 は、世界中の思いがけない食べ物の話が満載です。
だけど、ただ単に見世物のようにゲテモノを食べて蛮勇を競うとか、
絶滅の危機に瀕するまで傲慢に食べ尽くすとか、そういうものは一切出てきません。
純粋に文化としての食を追及したものばかりです。
そりゃもう、気持ち悪いものやゲゲッと驚く食材がたくさん出てきますけど、
考えてみれば、私たち日本人が大好きなタコやイカだって、よその国の人から見れば信じられないくらい気持ち悪い食材ですよね。
まさしく「食の冒険家」小泉さんは世界中の珍奇な食べ物を実際に食べて(ここがすごい)
文化について人間について分かりやすく説明してくれています。
「食」だけじゃなくて人間も好きなんだなと思わせる、楽しい本でした。





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Last updated  2007.02.18 16:00:12
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