読書の部屋からこんにちは!

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2007.09.24
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カテゴリ: 小説
怖い小説って、けっこうありますね。
最近読んだ中では、 「ぼっけえ、きょうてえ」 とか 「リカ」 とか。この「火の粉」も、相当怖かったですよ。



主人公の勲は、自分が裁判長を勤める裁判で、被告人武内を無罪として冤罪から助けます。数年の後、武内は偶然、勲の隣家に住むようになり、老親の介護に明け暮れる勲の妻を親身に助けるようになります。
武内が隣家に引っ越してきたあたりから、彼の親切で親しみやすい態度が細かく描写されているのですが、そこになんともいえない不安な空気が漂っているのです。何も具体的なことは書かれていないけれど、いつか必ず良くないことが起こりそうな、読んでいて怖くていたたまれないような不安感・・・この不安感は、ずうっと終盤まで続きます。


物語は主人公の勲はあまり出てこなくて、嫁の雪見が中心になります。この雪見さん、ぶっきらぼうでいかにも現代的な若いお嫁さんなんだけど、姑ともうまくいってるし、おばあちゃんの介護も嫌がらずにしているし、とてもいいお嫁さんなんです。小説の中ではちょっと辛い立場にたってしまう雪見さんですが、心の中で雪見さんの幸せを祈りながら読みました。
結末には触れませんが、子どもの手を握って勲に振ってみせる雪見さんの笑顔で幕が下りるので、やっぱりこれはハッピーエンドって言ってもいいのかな。


勲の家族が災難に見舞われるのはいろんな理由があるかもしれないけど、一番大きな要因は一家のお父さんである勲が、仕事ばかりが大切で家庭のことを何も知ろうとしなかったことにあると思います。立派な裁判官で世間からは尊敬されるような人かもしれないけど、家庭人としては完全に失格なんですよ。そこらへんは、読んでいて歯がゆかったです。ちょっと旧式のお父さんだけど、今もたくさんいるんじゃないかな。こんなお父さん。





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Last updated  2007.09.24 21:35:18
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