読書の部屋からこんにちは!

読書の部屋からこんにちは!

2007.11.18
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カテゴリ: 小説
気持ちをことばで表そうとして、ことばの迷路に迷い込むことってありませんか?
気持ちや心を言葉に置き換えようとすることに無理があるのかもしれませんが、あれこれ言葉を尽くして説明するうちに、どんどん真実から離れていってしまう。
相手には思うことの十分の一も伝わらない。もどかしくて、自分の表現力のなさにもがっかりするのだけど、相手の鈍感さのせいとも思い、腹もたつ・・・

主人公の有子と松村の関係って、こういうことなんじゃないかと思いながら、ちょっと身近に感じながら読みました。
この二人の混沌とした恋愛が、戦前の上海を舞台にした有子の大伯父の恋愛とクロスしながら、物語が進みます。いつもの桐野夏生さんらしく、力強く引っ張られながら読みました。
一方的に関係を絶ち上海に留学した有子を追いかけて、医師である松村は上海に飛ぶのですが、ちょうどその短い休暇中に、まだまだ持つはずと診断していた患者が二人も急死します。
二人の関係の展開が、不吉なものになる予兆として、これほど不気味なものはありません。
有子はほんとうに娼婦になったのかはっきりしないまま、ラストは大伯父の見た幻と松村の見た夢が重なり、ちょっと不気味な幻想の世界のまま終わってしまいました。

おもしろかったとは思うけど、あまりに混沌としていて、もう少し決着をつけてほしかったなと思いました。



玉蘭という花は、この本の表紙のような花なんでしょうか。
甘く濃厚な香りが、読んでいる間中漂っているような感じがしました。





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Last updated  2007.11.18 21:37:42
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