読書の部屋からこんにちは!

読書の部屋からこんにちは!

2009.04.24
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カテゴリ: エッセイ
娘がうつ病になったとき、うつ病について何も知らなかった私は、まず書店に行って、うつ病に関する本を何冊も買いました。
精神科医とかカウンセラーとか、プロが書いた本ばかりでした。
難しい言葉ばっかりで読みにくく、実感のないものがほとんどでした。
あるいは、毎日早起きしろとか、外を歩けとか、何を食べろとか、日記をつけろとか、極端なハウツー本みたいなのもありました。
うつ病の人なら分かると思うけど、調子の悪いときにそんなこと絶対にできないよねえ。それができたら、うつ病じゃないよ。
結局本はすべて何の役にも立たず、後になって捨ててしまいました。

次に私は、インターネットやブログに頼り始めました。
私が開いたうつ病のブログには、たくさんのうつ病の人が訪れてくださり、さまざまな体験談や励ましの言葉をくださって、感激しました。うつ病はまじめでいい人がかかる病気と聞いたことがあるけれど、まさにそのとおりでした。
が、当時は今ほどうつ病が多くなかったのか、ブログそのものが少なかったのか、うつ病本人の書いたものたくさんありましたが、それを看病する家族の書いたものはほとんどありませんでした。
うつ病は本人もつらいでしょうが、それを見ている家族も、それはそれはつらいものです。
おまけに「励ましてはいけない」というのは鉄則ですから、言葉にもものすごく注意を払っていました。「よくなったら遊びにいこうね」「早くよくなってね」そういう優しい言葉に反応して刃物に手が伸びるのですから、家族の中で言動に気をつけるのはもちろんのこと、遊びに来てくれる友達の言葉にもびくびくしていました。
真っ暗い部屋のすみっこで涙だけをぽたぽた流していた娘。
ただ抱きしめて、いっしょに泣くことしかできなかった私。
ほんとうに無力な私でした。

うつ病の子供を持つお母さんは、日々子供にどう接しているんだろう。
それが、当時の私のいちばん知りたかったことです。けれど結局、そういう情報はほとんど得ることができませんでした。


この本「その後のツレがうつになりまして」は、あの頃私が知りたくて知りたくて、探し回っていた情報がぎっしり詰まった、ほんとうに価値のある本です。
あの頃この本を手にしていたら・・・・そう思いながら、書店で一気に立ち読みし、全部読んだのに買ってきて、その日のうちにもう一度読みました。
前作の「ツレうつ」が、夫婦の闘病記だとしたら、この「その後のツレうつ」は、二人がうつ病のために何をしてきたのかをまとめたものです。
目次をちょっとご紹介すると、

○うつになってわかったこと
○うつになって、あきらめたこと
○こんなときどうする?

こういうことをやってきた。けど、それでよかったの?
ついついやっちゃった。これだけはやっちゃだめよ。
そういう素人の視線で書かれているので、患者本人と家族が何をするべきかを(もちろん全員が同じとは思わないけれど)知りたいと思っている人には、何より役に立ちます。
家族だけじゃなくて、会社の上司さんなんかも読むといいですよ。


ただし、この本。普通の人が読むにはとてもいい本ですが、うつ病の人によってはちょっとつらくなるかも。
実際、娘も「ツレうつ」を読んで調子を落とし、しばらく立ち直れませんでした。
つらくなったら、すぐやめて、休憩してね。








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Last updated  2009.04.25 05:41:14
コメント(12) | コメントを書く


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ばぐらさんにありがとう!  
プックミ  さん
私も娘が適応障害で自傷の激しかった頃ばぐらさんのブログに出会って本当に救われました。
自分を傷つける娘を見ていることの辛さ・いつか「死」を選ぶのではないかという恐怖・・・そばにいる家族だって本当に辛いよね。
弱い私は自身もうつになってしまいましたが、あの時話を聞いてもらえたことでどれだけ救われたか。
心からありがとうを言わせてください。 (2009.04.25 06:05:12)

私も読んだよ~  
かのこ.  さん
楽しく読んでいたはずが、読み終わったら、一気にどよ~んとなってしまって、
危ない危ない・・・と、売ってしまった本です。
一緒に過ごす家族にとっては、参考になることがたくさん書いてありましたね。
あぁ、私って、こんな風に見られてたのかとか思ったりしました。

(2009.04.25 07:17:01)

Re:「その後のツレがうつになりまして」 細川貂々(04/24)  
かつきねえ  さん
私も、いっしょには暮らしていませんが、妹がうつ病なんですよ。自分自身がうつ病とは対極の、いい加減なお気楽人間なので、妹の病気のことは10年つきあってもよくわからない、というのが正直な感想です。
この本、読んでみますね!
(2009.04.25 08:37:36)

Re:「その後のツレがうつになりまして」 細川貂々(04/24)   
ミシェル・デマルケ さん
会社の上司、あるいは会社の健康管理スタッフ
が読むといいんですね。メモっておきます。

かつては(3年間くらいか)、後者と関わり
ある職場にいたんですが、結局、うつ病にな
って悩んでいる人の苦しみ、そういう人がい
る職場の人たちの戸惑い・偏見・誤解を緩和
したり取り除いたりは出来ず仕舞いでし
た・・・。

無力でした(会社って必要最小限のこと
しかしないなぁと思い知った、っという
絶望感も時々感じたりも・・)。

ばぐらさんのブログで救われたとおっしゃ
る方もいるんだから、周囲の人たち、関係
者の人たちも、やっぱり何かしらの行動を
起こすべき、ジタバタでもいいから前に向
かおうとしなければならない・・ってこと
なんでしょうね。
もちろん正しい知識を得る努力は絶対忘れ
ずに。
(2009.04.26 08:36:49)

Re:ばぐらさんにありがとう!(04/24)  
ぱぐら2  さん
プックミさん

いえいえ、私のほうこそブックミさんには心から感謝しています。
ブックミさんに出会えて、ほんとうによかった。
うつ病の人の家族どうしが、助け合うことの必要性を強く感じます。

私とブックミさん。うちの娘とブックミさんのお嬢さん。
みんな揃って元気で幸せになりたい。それが私たち共通の願いですね。 (2009.04.26 08:40:55)

Re:私も読んだよ~(04/24)  
ぱぐら2  さん
かのこ.さん
>楽しく読んでいたはずが、読み終わったら、一気にどよ~んとなってしまって、
>危ない危ない・・・と、売ってしまった本です。

そうだったんですね。
ほんとに心の病気の人は、すべてに注意深くならなきゃいけないんですね。でもかのこちゃんのように、自分の周りのものを、自分で取捨選択できるようになるってたいしたものです。
何も知らない人には理解されにくいってところが、心の病気のつらさだと思います。 (2009.04.26 08:45:53)

Re[1]:「その後のツレがうつになりまして」 細川貂々(04/24)  
ぱぐら2  さん
かつきねえさん
>私も、いっしょには暮らしていませんが、妹がうつ病なんですよ。自分自身がうつ病とは対極の、いい加減なお気楽人間なので、妹の病気のことは10年つきあってもよくわからない、というのが正直な感想です。

そうだったんですか。
ほんとにこの病気は、難しいです。症状の出かたも十人十色のようですし、まわりの接し方が大きく影響するってところも怖いです。
妹さん、早く良くなられるといいですね。 (2009.04.26 08:48:08)

Re[1]:「その後のツレがうつになりまして」 細川貂々(04/24)  
ぱぐら2  さん
ミシェル・デマルケさん
心の病気って、健康な人からはほんとに理解されにくいんですよね。それだけに不用意な発言が多くて、病状を悪化させることも多いのです。
精神科に通ってるというだけで、ずいぶんひどいことを言われたこともありました。

今は「プチうつ」だとか言って、逃げの材料にされている風潮(と私には思える)もあるし、ますます理解されにくいだろうなあ。
でもほんとうはこの病気は、怖い病気です。
周囲の人には、まずどんな病気なのかを知ってほしいと思います。 (2009.04.26 08:57:20)

「その後のツレがうつになりまして」   
たこはは さん
うちにも、この本はありますよ♪

確かに本人が辛い時には読めませんね。
娘もどん底の時には読めませんでした。
少し安定した時に読んで
うん、うん、分かる・・・
って言いながら読んでいました。

文字ばっかりの本よりも
読みやすかったようです。
もちろん家族もこの本で随分救われました。

この本の影響を受けてか
娘は今、マンガで自伝を描いてます。
いつか本として出版したい
なんて言えるようになりました。

また、はぐらさんのブログに寄らせてもらいます♪ (2009.04.27 17:12:23)

Re:「その後のツレがうつになりまして」(04/24)  
ぱぐら2  さん
たこははさん
>この本の影響を受けてか
>娘は今、マンガで自伝を描いてます。
>いつか本として出版したい
>なんて言えるようになりました。

いつかこうしたいという願いが持てるのは、それが何であってもすばらしいことですね。
娘のカウンセラーも、やりたいと思うことは何でもやらせましょうって、優柔不断な私をそっと後押ししてくれています。
自伝、出来上がるのが楽しみですね。
また遊びに来てね~! (2009.04.28 06:38:23)

Re:「その後のツレがうつになりまして」 細川貂々(04/24)  
alex99  さん


突然、大学を退学して日本に来ました
聞いてみると
鬱と神経症を併発したとか
哲学専攻という、私と同じ真面目体質が (笑) 災いしたのかも知れません

今はかなり回復しています(と私は希望的に思っています)

私はいつもジョークばかり言っている人間なんで、私といるとリラックスするようです

(2009.05.01 03:30:59)

Re[1]:「その後のツレがうつになりまして」 細川貂々(04/24)  
ぱぐら2  さん
alex99さん
ようこそ、おいでくださいました。コメントいただけて、とてもうれしいです。
ばあチャルさん経由で、ときどき寄せていただいて はいましたが、私のようなお気楽読書とは違う世界の方というような気がしておりました。

>私はいつもジョークばかり言っている人間なんで、私といるとリラックスするようです

血のつながった親子でも、相性というのはあるみたいですね。特に母娘の関係は、難しいもののようです。
私自身、娘よりも息子とのほうが緊張感もなく、気楽に言いたいことを言い合っています。 (2009.05.01 19:05:28)

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