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2009年10月08日
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カテゴリ: 素敵なメッセージ

今日、マイミクさんに紹介して頂いたお話『ニングルの森』

倉本聰さんの原作で、児童書が発売されていますが、
ネット上で全部のお話を読むことができます。

こちらから、全部読めます ので
ぜひ、ぜひ読んでみてくださいね。

ニングルとは、北海道の森の中に住んでいると言われている
体長10数センチの先住民族。
人間より寿命は長く、平均200年以上生きるそう。

お話は、森の奥深くに住むニングルたちから見た
おかしな生き物、人間のことが
大自然の息吹とともに語られています。

これは、その中の第5話から



「人間はどうも、個人で土地を持つらしい」

 長がポツンと云ったので、洞の中はしんとしずまりました。
 誰かがゴクンと唾をのんだ音がしました。
 外は全く音がありません。
 十一月の末から、ニングルたちの棲むこの深い森は
 すっかり雪に閉ざされています。

「土地を持つって、どうやって持つんだ」
「?」
「土地は重いぞ。木も生えとるし。とても一人で持てるもんでない」

 若いニングルが真剣に聞いたので、長はクシャッと顔をこすりました。
「その持つでない。所有する。つまり自分の持ちものにするちゅうことだ」
「」
「たとえばお前は服を持っとる。鉈も持っとる。はきものも持っとる。
それはお前の持ちものだ。同じように人間は、
自分のものとして土地を持ちものにするらしい」

「」
 洞の中は再びしんとしました。

「一寸きくがな」
 中年のニングルが長にききました。
「土地を持つちゅうことはどの位の広さを持つちゅうことかな。
木の葉一枚分ぐらいの広さかな」
「いやいやそんな小さなもんでない。歩いて十歩分。
わしらの足なら百歩分。もっと広いのになると三日ぐらいかけても歩ききれんような
どでかい土地を持ってるもんもおるそうな。
人間の約束ではこの地球の土地は、全部誰かの持ちものじゃ。
わしらの住んどるこの森だって、恐らく誰か持ち主がおる」
「!!」

洞の中の空気は、今度こそピシッと凍りついてしまいました。
 みんなの吐く息も凍りついています。
 焚火の炎も凍りついています。
 土地を誰かが個人的に所有する。ニングルたちはそんなこと、
 夢にも考えたことがなかったのです。

ここで一寸だけ解説しますと、インディアンとかイヌイットとか、
先住民といわれる人々には、元々土地を所有するという思想がありませんでした。
ニングルはそもそも先住民ですから、彼らと全く同じ考えです。

 突然みんなが一斉に、けたたましい声を上げ始めました。

「この森の持ち主って、そんな奴がおるンか!」
「だってわしらは何百年も、ずっとこの森に暮してきておる!」
「何百年でない!何千年もだ!」
「そうだ!じいさんのじいさんの、そのじいさんのじいさんの、
そのまたじいさんのじいさんの、その上のじいさんのじいさんの」
「そのまたじいさんのじいさんの」
「待て待て!」
「その上のじいさんのじいさんの」
「一寸待てってば!」
「そのまたじいさんのじいさんの」
「落ち着け!みんなで一斉にわめくな!わしはただ」

 長が突然激しく咳こんで、体を二つに折り曲げたので
 みんなはあわてて反省して黙り、水を汲むもの、背中をさするもの、
 高齢者介護に猛然と走りました。

 ニングル社会に於ける高齢者介護は命令されなくたって徹底しており、
 おこたるものなんて誰一人おりません。
 何故って年寄りは何でも知っており、
 自分らよりずっと世間を見て来ており、
 うそれだけで尊敬するわけで、
 年寄りを大事にしないものなんて絶対にいてはいけないし、
 現実にそんなものどこにもいないのです。
 何たって実際ここにいる長は、その歳が今年で二百八十三才です。

 外の森では風もないのに、トド松の枝からつもっていた雪が落ち、
 あたりにサァッと白い粉を散らしました。
 洞の中ではようやく何とか長の咳こみがおさまったようです。
 誰かがくべた新しい薪が、焚火の上でバチバチ音をたて始めました。

「一寸おたずねしてよろしいかな」

 長の発作が又おこらぬよう、その顔色を心配しながら、
初老のニングルがおずおずと聞きました。

「土地が持ちものだということは、その上にあるものが全部その人のものだということなのかな」

 しゃべると又発作がおこりそうなので、長は胸を抑え、黙っています。

「たとえばこの森の持ち主がおるとして、
ここに生えとる木は全部、そうするとその人の持ちものなのかな」

「」
 苦し気に顔をゆがめたまま、長がコクンとうなずきました。

「土もその人の持ちものかな」
「」
 長は今度はうなずきません。
「苔もその人の持ちものかな?」
「」
 長のみけんのしわがクイッと深くなりました。
 長はどうやら考えこんだようです。
「鳥もその人の持ちものかな?」
「」
「鹿もその人の持ちものかな?」
「」
 固唾をのんでニングルたちは、二人の顔をじっと見ています。
「熊もその人の持ちものかな?」
「」
「リスもかな?」
「」
「蜂もかな?」
「」
「クワガタもかな?」
「」
「木の実もかな?」
「」
 長の首が段々かたむいて来ています。
 長も段々判らなくなってきているのです。
「するとその木の実を黙って喰べとるわしらは泥棒をしとるちゅうことになるがな」
「」
 長の顔が少し赤くなって来ました。
「それは持ち主に断わらんでいいのかな?」
「」
「わしらだけじゃない、この森の中の花や実を喰って生きとる熊や鳥や虫たちも、
みんな泥棒ちゅうことになるぞ」
「」

 長の顔がどんどん赤くなって来ました。
 ニングルたちはドキドキしています。これは咳きこむ前兆だからです。

「大体熊や小鳥や虫は、自分がその人の持ちものだちゅうことを、
きっと知らされてないと思うぞ。それを知ったら腰を抜かすぞ」

 今や長の顔は赤を通りこし、殆ど紫に変色しています。その時です。
 若くて一寸軽率なニングルが、すっとんきょうな声でかん高く叫んだのです。

「ヤアヤアそうするとわしらの命も本当はその人の持ちものなのか!!」

 発作寸前の苦しみに耐えながら、長は懸命に考えておりました。
 そんなことあって良いわけがない!
 土地を所有するなンて、そりゃあんた無茶じゃ!



今や、人間は、大地や地球の自然のみならず、 月でさえも販売 しています。
なんと愚かな生き物なんでしょうね。

大地も木々も月も命も、誰のものでもないのに。

(「アミ小さな宇宙人」にも進化をとげた星では、
「所有」という概念がないことが書かれてありましたね)

森を破壊し、たくさんの動物や虫の命を奪い
「リュウコウ」という名のもとで、本来は必要のない物を
作っては捨て、毎日、時間、いえ時計に追われて暮らしている人間たちを
ニングルたちは、不思議に思うと同時にとても哀れに感じます。
そして、自分たちの命の木が倒されてもなお、
人間の幸せのために祈るのです。

このお話は「未来の子供たちへの童話」とされていますが
大人たちこそ、これを読む必要があるのでしょう。

ニングルの視点を持って、私たちの生き方を見直してみることは
これから本当に人間らしい暖かな社会へと変化していくために
大切なことですよね。

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最終更新日  2009年10月09日 09時55分20秒
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