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私
:この本では 南京虐殺
については特別なことは書いてないがその背景については詳しいね。
中国本土戦に召集された兵士は若い兵隊中心でなく、軍隊では 後備の未年者
といって 最も若い場合でも27、8才
だという。
当時の 陸軍省田中軍治課長
の 業務日誌
によれば「 軍紀粛正問題、軍紀頽廃の根元は招集兵にある
」と書き、「 軍紀風紀の現状は皇軍の重大汚点なり。強姦・略奪たえず。現に厳重に取締まりに努力しあるも部下の掌握不十分、未教育補充兵等に問題なおたえず
」とあるという。
私
:南京の城壁は 18メートル
もあるから、 城内からの撤退が難しい
という。
それが大将である 唐生智
は 撤退の時期と方法を誤り、15万人の中国兵が日本軍の包囲網を破って退却しようとしたが、悲惨な状態となる。
また、 中国兵は追いつめられると軍服を脱いで難民区に逃げ込む。
こういう心理には日本兵はいらだつ。
追撃戦
では、 捕虜の始末
に困る。
このような混乱を背景に南京事件はおきた
という。
それに 軍隊内のピンタによる思考停止、動物心理への訓練
があると俺は思うね。
A氏 :他の虐殺事件と重なって話が膨れ上がった話になった点もあるんだろうね。
私
: 中国戦線の実に4割が後備兵
で、それはそのまま 犯罪率の高さにそのまま直結
し、 既決犯の5割以上が後備兵
だったという。
1937年
中に動員された兵士は 93万人
で、そのうち 招集兵は59万4千人で現役兵の倍近かった
という。
戦争が続くと 帰還兵の戦争の話
が伝えられる。
略奪、強姦をほしいままにする話
が出て、 いったいこの戦争は何のためにやっているのかという疑問
が人々の間に出てくる。
そこで、 1938年11月3日
に 近衛内閣
が「 東亜新秩序」声明
を出す。
東京帝大
の 蝋山政道
教授は「 日本は目覚めていない中国の民族主義とそれにつけこむ西欧の帝国主義を共に軍事力で打倒する必要がある
」と戦争を正当化した。
ある 革新官僚
は「 東亜の、世界(国際資本主義及び共産主義的支配)に対する革命である
」と表現しているという。
A氏 :ところで 日本も中国も宣戦布告をしなかった のは何故だろう?
私
:それは 宣戦布告するとアメリカの中立法の適用を受ける恐れがあった
からだね。
戦争状態にあると認められた国には アメリカからの兵器、弾薬、軍用機材、一般の物資、原材料の輸入が禁止され、金融上の取引制限などの経済制裁と同様の力
をもっていたからだね。
A氏 :日中戦争は泥沼化するね。
私
: 1940年
、 近衛文麿
による 第二次近衛内閣
が成立する。
欧州で 第二次世界大戦
が始まっているのと連動して、 日中戦争を終わらせるための国民組織を作り、一国一党による議会政治で軍部を抑制しようとする意図
があった。
しかし、反対が多く、 大政翼賛会
に変えた。
これは国内的に政治勢力を再結集させることで、日中戦争を独自に解決する展望を自ら放棄することになった。
なお、この本では、 張作霖の爆死、上海事件の裏にスターリンの陰謀があるという説
にはふれていなかったね。
こうして、戦争は 中国からアジアへと拡大 する。 これはこのシリーズの次のテーマである「 アジア・太平洋戦争 」にバトンタッチだね。
「ポスト戦後社会」吉見俊哉著・シリーズ… 2009.09.01
「イスラムの怒り」内藤正典著・集英社新… 2009.08.24