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私
:この 知的街道
も現代に近づいてきたが、現代を歴史的に捉えて、新書版にまとめることは難しいだろうね。
どんどん、社会は変化していくからね。
特にグローバル化が激しい。
A氏 :君のこの知的街道は、 シリーズ の 1巻 、 2巻 、 3巻 、 4巻 、 5巻 、 6巻 、 7巻 、 8巻 と続いたね。
私 : 8月30日の選挙による民主党の政権交代 は、長い間、続いた自民党政治に終止符を打った 戦後史の一大問題 だが、当然、この本はそれを予測していないね。
A氏 :そこに 現代史のむずかしさ があるね。
私
:この本は、 高度成長が後半に入る1970年代
からはじまる。
まず、 1971年の
ニクソンショック
でここから 円高
が始まる。
1973年 オイルショック
。
これで日本は 低成長時代
に入るが、 工業製品の品質競争力は向上
を続けるね。
1980年後半から土地の高騰
が始まり、 バブルが到来
。
それが 1990年頃から崩壊
して、「 失われた10年
」となる。
2001年に 小泉内閣
発足。
そして イラク戦争
が始まる 2003年
ごろまでの30年間位を扱っているね。
A氏 : 高度成長時代 同様に、俺たちがその真っ只中に生きていた時代だね。
私:
だから、ことさら新しい知識はなかった。
ただ、俺が知的興味を持ったのは、この戦後から高度成長を経て、現在に至る間を簡単にどのようにまとめるかだね。
著者は、「 敗戦後から高度成長期までの1945年から1970年代前半」
を「 戦後社会
」、「 1970年代後半から現在まで」を
「 ポスト戦後社会
」と分けているね。
そして、この 2つの社会 の 時代意識の特徴 を 「戦後社会」は「夢の時代」 、 「ポスト戦後社会」は「虚構の時代」 と言っているね。
A氏 :たしかに、戦後は ソニー 、 ホンダ に代表されるように、 アメリカの技術に追いつき、アメリカの中流層の生活に追いつくという「夢」 があったね。
私
:それが テレビ
でアメリカを追い越し、ついで 自動車
まで追いつく。
そのため、技術を誇った アメリカの民間の製造業は崩壊
していく。
アメリカは元気がなくなる。
A氏
:アメリカは レーガン時代
に 市場原理主義
を導入するね。
技術的には IT分野
、そして次に 金融資本の活動に生きる道を模索
する。
そして勢いを盛り返す。
1991年、 ソ連が崩壊
する。
グローバル時代
に入る。
私
:日本も「 失われた10年
」を解決するために、 民営化と規制緩和
を行う。
これは実は 中曽根政権から始まっており、それが小泉政権につながっている
。
A氏 : 「戦後社会 」と「 ポスト戦後社会 」との違いで、大きな特徴は、 格差拡大 だろうね。
私
: 高度成長時代
には、会社も成長するから、ポストも増える。
当時、 松下電器が仕事別賃金制度を導入
するということで、話を聞きに行ったことがある。
聴衆から、「 課長のポスト数が決まっているから、問題ではないか
」と質問があったが、講師をしていた人事部長が「 どんどん、会社は伸びていて、課長のポストも増えているから心配ない」
と平然と答えていたね。
A氏: それが、 約30年後 には 松下もリストラの嵐 が吹き荒れたね。
私
:「 虚構の時代
」となったね。
そして、 高度成長の負の部分
である 核家族化、都市化、郊外化、公害問題
などを受け継ぐことになった。
高度成長は「 日本的なもの」を破壊してきた面
もあるね。
著者は 、「『日本史』がもはや不可能になる時代を生きている
」と最後にまとめているね。
A氏: 今度の 政権交代 は「 虚構の時代」の閉塞感 に対する 国民の叛乱 かね。
私
: 後世の人
は 2009年の変化
をどのように評価するだろうかね。
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