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A氏: そういえば、 司馬遼太郎 も日本の近代の 明治維新前後 を書いたものは多いが、中国の歴史小説となると、やはり「 項羽と劉邦 」という古代で、近代のものがないね。
私
: 浅田次郎
の小説は「 鉄道員・ぽっぽや
」などのジャンルのものもあるが、中国の歴史小説は 清朝末期以降のものが中心
で、長編の「 蒼穹の昴
」、中篇の「 珍妃の井戸
」、最近完成した長編の「 中原の虹
」と3つあるね。
「 蒼穹の昴
」も文庫本になっているが、長編なので4巻になっている。
俺は単行本のときに買ったので、 厚い上下2巻
だ。
1997年に買っているので、十年間ほど、「 積読
」だったね。
それで読もうと思ったが、長編なのでなかなか進まない。
たまたま、ブックオフで浅田次郎コーナーを見たら「 珍妃の井戸
」があったので、これなら一気に読めると思い、 順序が逆
だがこちらを先に読んだね。
A氏
: ウィキペディア
(Wikipedia)で「 珍妃
」を検索すると、 1900年に24歳で死亡
とあり、「 清の皇帝光緒帝に最も寵愛された妃
」とあるね。
正妻ではなかったが、 浅田次郎
の小説によるとすでに 光緒帝
は西欧のキリスト教的な一夫一妻の考えを持ち、珍妃を一重に愛していた
という。
この「 光緒帝
」をさらに ウィキペディア
で検索すると大変な人生を送った皇帝だということが分かったね。
「 三国志
」よりも国際的で波乱万丈かもしれない。
清朝13代目の皇帝
で1871年に生まれ、 3歳で即位
、だから伯母 西太后
が実権を握る。
私
:日本では 廃藩置県
が 1871
年だから、すでに 日本は明治維新の真っ只中
だね。
清はすでに 1840年の アヘン戦争
、 1856年の アロー戦争
、 1851年の 太平天国の乱
と イギリス
、 フランス
にメチャクチャに侵略される。
ロシア
も 1858年から1860年
にかけて アイグン条約
、 北京条約
で 清の北辺地域
を獲得し出す。
A氏 : 光緒帝 が即位したのが 1875年 でそれ以来も、 琉球 を失い、 清仏戦争 で ベトナム を失い、 日清戦争 で 朝鮮への影響力 を失うね。
私
: 日清戦争
が 1894,5年
だから、 光緒帝は成長して20歳代半ばとなる
。
浅田次郎
の小説によると 光緒帝は英明な人
だったそうで、この 清
のふがいなさに危機感を覚え、 西太后
の傀儡から脱しようと日本の明治維新を参考に、 1898年
、 議会政治
など 清の近代化
をしようとする。
これを「 変法運動
」という。
そして陸軍の指揮官だった 袁世凱
の力を借りて、 クーデター
を計画するが、 袁世凱
が 西太后
側にリークしたため、 変法派官僚の大粛清が行われ、光緒帝は幽閉
される。
「 珍妃
」も別に幽閉される。
これを「 戊辰の政変
」というね。
ウィキペディアに詳しく書いているが、しかし、これは 袁世凱のリークではないという説
を 浅田次郎
はとっているようだね。
A氏
:その 光緒帝
が
幽閉中に「 義和団の乱
」が起き、 西太后
の列強に対する 宣戦布告
で 列強8カ国
(英、米、伊、仏、独、露、日、豪)が 北京、紫禁城を占領
する。
強奪の限りを尽くす。
西太后
は 西安まで逃亡
し、結局、最終的に膨大な賠償金を払うことで終わるね。
私
: 西太后
が 西安
に逃亡するときに、「 珍妃
」を殺し、 紫禁城
の井戸
に投げ込むということでこの小説のタイトルの「 珍妃の井戸
」となっている。
この小説は 義和団事件の4年後の設定
で、すでに西太后は北京に戻っているが、 光緒帝は幽閉
のままだね。
ウィキペディアなどにある通説では「 珍妃
」を殺害したのは 西太后の指示
であるとしているが、この 浅田次郎の小説は違った推理
をしているね。
「 珍妃
」を 殺害した真の犯人は誰か
、という大きな歴史を舞台にした ミステリーサスペンス
になっているね。
だから、 ネタ
はばらせないね。
実によく近代史の資料を調べた小説で、列強に侵略されていく清王朝システムの末期の状況がよくわかるね。
この小説は 1904年
頃の話だが、この年、 日露戦争
が始まる。
このとき、 29歳の馬賊・張作霖
は ロシアスパイ
として活躍するが、日本軍につかまり捕虜となる。
しかし、 児玉参謀
に見込まれ、 日本スパイに転進
する。
浅田次郎
の中国近代史小説の 最新長編作
「 中原の虹
」4巻は、その 張作霖
が主人公になるようだね。
まあ、その前に「 珍妃の井戸
」と時代の順序が逆になったが「 蒼穹の昴
」に挑戦しよう。
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