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私
: 俺の孫
が スポーツクラブ
で水泳をはじめてから、そろそろ、 半年以上
になるのかな。
ビート板なしで、 バタ足で進む段階
まで来たようだ。
ところが、最近、「 水泳をやめたい
」と言い出した。
A氏 :嫌いになったのかね。
私
:最近、 インストラクターが別の人の日
があり、 そのインストラクターの教え方が高圧的
だったのが、 カチン
と来たらしい。
しかし、その後、 いいインストラクター
に変わり、 おもい直したとのことだ
。
先日は、いよいよ、 呼吸をしないで、クロールを泳ぐ ところまで、来たらしい。
A氏:
それは良かったね。
気のあった先生とのめぐりあいが、学科の好き嫌いを決める
のと似ているね。
私
:しかし、今の子どもは、 何かを学ぶにはカネさえ出せば、ちゃんとシステム化されたコース
があるね。
俺なんか、 小学校は戦時中
だし、 虚弱児
だったから、 泳げなかったね
。
当時は、 小学校にプールなんてないのが普通
だからね。
皆、川遊びで泳ぎを覚えた。
俺の兄
は 健康優良児
だから、水泳の選手もしていた。
A氏 :ということは、君は中学で泳げるようになったの?
私
:それが面白いんだよ。
中学生
になって、夏休みになったとき、 俺は一念発起して、水泳を覚えることにした
。
本を買って、読みながら、 一人で毎日、プールに通った。
とりあえず、 平泳ぎから練習
した。
大分、泳げるようになった。
A氏 : 独習 だね。
私
: 自己流
だが、泳ぎ方は、一応、 テキストの理論通りだね
。
論語
ではないが「 学びてときにこれを習う
」だね。
愉快だったのは、 夏休みが終り、クラス対抗の水泳大会
があったときのことだ。
俺の育った都市には、 1校だけ、市営プールに近い小学校
があり、そこの生徒は水泳がよくできた。
その中で 小学校時代から平泳ぎの早いB君
がいた。
だから、 中学1年生の百メートルの平泳ぎレースは、B君の優勝は確定的
だった。
中学1年は6クラス
あった。
B君
は、別のクラスなので、俺のクラスからは誰を出そうかとなって、夏休みに熱心にプール通いをしていた 俺が対抗馬に選ばれた。
俺のクラスの誰もが、俺が勝つことを当てにしていなかったが、 頭数をそろえるために俺が選ばれた。
A氏: 結果はどうだったね。
私
: 50メートルプール
に B君と俺を含めた
6人
が飛び込んだ。
飛び込んで俺が頭を水からあげたら、5人が前にいた。
要するに ビリ
だね。
ひと夏のにわか仕込みの水泳だから、 飛び込みは下手
だね。
百メートルの平泳ぎだから、50メートルでターン がある。 ターンしたら、 俺の前にはB君だけになった 。
A氏 :ということは、 君は往きの50メートルで2位 にあがったということか。
私
:平泳ぎは、腕をかいて、息をするとき、 耳が水上
に出る。
そのときに、 観衆のどよめきが聞こえる。
腕を伸ばして、水をけるときは、 耳は水の下
になるから、 観衆の歓声は聞こえない
。
その繰り返しだね。
A氏 : ビリでスタートした君がどんどん、1位を追いかけるという意外な展開 に、観衆は沸いたようだね。
私
: 帰りの50メートル
でB君を追い抜き、 俺が1位でゴール。
まさに、大逆転の大穴だった。
本で勉強はしたが
自己流の勝利
だね。
俺の人生で、これほど劇的な体験はないね。
今のシステム化した子どもの世界 では、考えられないシーンだし、 得られない感動 だね。
後に就職したときも、 高度成長
だから、先輩も少ないし、自己流で立ち向かうしかなかったが、 自己流のデメリットを防止するためによく本を読んだね
。
どちらの社会がいいのか悪いのか分からないがね。
今のシステム化した社会
では、やはり、 格差というか階層は固定化
されるだろうね。