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私 : 山極寿一 氏は、 長い間、「細菌」は悪者扱いされ、「ばい菌」と言われて人間同士の差別やいじめにも使われてきた が、 実は彼らの多くは人間と「共生」、人間の健康を保つ仲間なのだ という。
とも言え、 人よりずっと前に誕生
し、 あらゆる場所に生息
していおり、 彼らを排除するのではなく、共生することを心がけないと、人は滅びてしまうだろう
という。
そのことをこの寄稿で知り 、俺は改めて「細菌」の重要性 を知ったよ。
A 氏 : テレビCM で、 洗浄剤など殺菌効果99%と宣伝 しているが、「 細菌」は悪者扱い だね。
私 : 人の腸内には1千種類以上の「腸内細菌」が約500兆~1千兆個も存在 し、 重さは約1・5キログラム にものぼり、これらの 「細菌」は病気を防ぐ働き をする。
抗生物質を用いて病気を治したはいいが、「共生細菌」を死滅 させてしまい、 かえって免疫能力が減退してしまう ことがある。
かつて 法定伝染病 といわれた「細菌」による感染症はほぼ消滅 し、 かわりにアトピー性皮膚炎 、花粉症 、小麦アレルギー 、1型糖尿病など、人の免疫系に関する病気や胃腸疾患が急増 。
体の病気だけではなく、 うつ病、強迫性障害などの心の病も蔓延 しており、 環境汚染や社会不安が増加 したせいだと考えられてきたが、 実は抗生物質や抗菌剤などの過度な使用により、「共生細菌」が減ったり、バランスを崩したりしたことも原因だ という証拠が次々に発見されているという。
A 氏 :それで、 こう した「21世紀病」は、20世紀の中盤に先進国で起こった薬剤による衛生環境の改善が、「腸内細菌」の量やバランスを大きく崩した結果だ と言われるわけだ。
私 :「 腸内細菌」 の 遺伝子 は約300万個以上 もあり、 人の遺伝子総数2万1千個の100倍以上。
人体はこれらの細菌の集合体で、人の遺伝子は「細菌」の遺伝子と協力しながら体を維持し、エネルギーの摂取や貯蔵を操作 し、 肥満や病気への抵抗性、脳の働きにも大きな影響を与える。
人の遺伝子と違い、単細胞生物である「細菌」の遺伝子は環境の変化に応じてめまぐるしく変化して問題に対処できるからこそ、人間は多様な環境で暮らせる。
その「共生関係」が崩れれば、人は健康状態を維持できなくなる。
同じ食事をとっているのに、同じ両親から生まれているのに、太り方に大きな差が出るのは、 すべて「腸内細菌」の環境の変化に関係がある という。
A 氏:面白いことに、 腸内の細菌を復活させるには、健常人の糞から直接細菌を移すのが効果的だ という。
ときどき ゴリラは仲間の糞を食べるのは、そういう理由があった のだという。
私 : 山極寿一 氏は、 ゴリラが専門の霊長類学者 だね。
赤ちゃんは胎児の間は無菌状態 で、 産道を通るときに細菌のシャワーを浴び、細菌との共生体としての道を歩み始める。
自然分娩と母乳保育は赤ちゃんに微生物 たちとの健全な関係を構築させ、正常な免疫系を発達させる助けとなる。
どういう「細菌叢」を構築すれば健康になれるのか、薬剤の投与や免疫系の疾患によって弱った「細菌叢」をどうしたら復活させられるのか、研究は始まったばかり。
A 氏 : 米国は早くも2008年に1億7千万ドルの予算を付け、「細菌叢」の解析 を始めた。
日本 はまだ個別の研究者が独自の手法で実施する段階で、 大規模プロジェクト には発展していないが、 やっと4月に製薬会社、食品会社、化粧品会社など19社が日本マイクロバイオームコンソーシアム(JMBC)を設立 し、まず大規模データベースの構築を目指し、学界と企業の情報交流や人材育成にも取り組んでいくという。
私 : われわれの「ばい菌」の見方も「細菌」から見直す ことからはじめないとね。