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私
: 「弱者利権」批判の「弱者」には、「生活保護
」「沖縄」「LGBT
」「障害者」「ベビーカー
」なども含まれる。
批判の投稿者 たちは、 これらの人々が「立場の弱さを利用して権利を主張」している とみなし、「 在日特権」という言葉 はそうした認識を象徴するものだ。
ネット上の韓国・中国への侮蔑も「弱者利権」批判の延長 。
A 氏 : ネット上の中韓批判 は、 歴史修正主義やナショナリズムの問題というよりも、慰安婦問題、戦争責任、戦後補償、植民地支配について、韓中にいくら謝罪しても結局(第二次大戦時における弱者の立場を盾に取り賠償金をとろうとして)問題を蒸し返されるという意識 が 根底には強く横たわっている という。
その延長で、「弱者」の擁護者とみなされた新聞も「マスゴミ」などと侮蔑 され、 「嫌韓・嫌中」や「マスコミ批判」も、「弱者に対する強い苛立ち」から派生している という。
私 : 投稿者たち は、 「弱者」や「少数派」より、自分たちこそ優遇されるべきだという認識 に立ち、「 その人たちなりの公正さ」を主張して苛立っている のだという。
だがこうした 「弱者」「少数派」への苛立ちは、日本だけの現象ではない。
ドイツのザクセン州 は、 旧東独の炭鉱地帯 だったが、 東西統合後は経済的に停滞し、移民排斥運動への支持者が多い 。
彼らは自分たちこそ優遇されるべきなのに、少数派や「弱者」の方に目をむける新聞や政治家は許せないという心理 が、 難民への憎悪 となるという。
A 氏 : ドイツでは資産格差 が広がってはいるが、所得格差 は相対的に小さい。
日本のネット研究者 は、 過激な投稿をする人に、所得や学歴で顕著な特徴は見いだせず、彼らは、必ずしも経済的な「弱者」ではない。
私 : 中国の中流階級は、比較的リベラルな人々さえ、反体制派を軽蔑 していて、 何かしら非難する理由を見つけることで、悪いのは被害者であって、彼らを逮捕し、拷問し、牢屋に入れる人々は悪くない という。
しかし、 それは生き延びるための自己防衛であり、独裁主義に順応する1つの方法なのだ という。
不公正な世界を前にしたとき、人間は精神的な防衛機能 として、 世の中は公正だと思い込もうとし、他人の苦しみを正当化する理由 を探し、 自分は大丈夫だと根拠もなく安心 したくなる。
つまり、 現状を変えられない自分の無力を直視するよりも、今の秩序を公正なものとして受け入れ、秩序に抗議する側を非難する。
A 氏 : 中国、ドイツ、日本はそれぞれ事情が違う が、 急激に変動する現状に苛立ちながら、それを制御できない無力感を抱く人に、不寛容が蔓延する状況は共通する 。
ここでの決定要因は政治的・経済的な無力感と疎外感の程度で、必ずしも所得の多寡ではない ようだ。
私 :そして 世界各地では、無力感の反映としての「投票率低下」、少数派への不寛容、新たな権威主義が広がり、「民主体制の崩壊」と評する論者もいる。
A 氏 : 日本の低投票率 は、このブログの 「低い投票率、民意と隔たり 批判の棄権、結果左右せず 衆院選」 、 「投票率53.68% 戦後2番目の低さ 衆院選、小選挙区」 で、問題としてとりあげているね。
私 : ネット投稿者の「苛立ち」 では、 アメリカの14歳の女性が開発したシステム では、 SNSに人を傷つける言葉を投稿しようとすると、「本当に投稿しますか?」と表示されるというもの で、 実験したところ、93%が投稿をやめた という。
過激な少数者差別は目立ちはするが、実は極端な人々の所業で、専門家の研究では、ネットで過激な言辞をくりかえし発信している投稿者は約1%。
A 氏 : 内閣府の調査 では、 ヘイトスピーチには否定的な回答が大多数で、「ヘイトスピーチをされる側に問題がある」との回答は10・6%にすぎない。
訴訟などの法的対応を含め、拡大を止める余地 はあり、 大阪地裁は11月に、ネット上の中傷に損害賠償を命じた 。
私 : 小熊 氏は「『 無力感』と『苛立ち』を他者にぶつけても何も生まれない。逆にそれを制御する力を自覚することは、誰にとっても生きやすい社会を築く第一歩となる。新年は、そうした努力の始まりにしていきたい 」という。
来年に、何か変化を期待できるのだろうか 。