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私 :この記事では 「タメ」という言葉 が重要な位置を占めているが、この意味が最初、ピンとこなかったね。
「タメ」の意味をネットで検索 すると、 「 溜(め)」「為」「ため」と3つ 出てくる。
「溜め」は「 ためておくこと。その場所。特に、こえだめ」 、 「為」は「利益となること。有利なこと。役に立つこと」 、 「ため」は相手と対等なこと とある。
A 氏 :この記事の出だしに、 ネタ一丁でテレビを席巻、彗星のように現れ、きれいに消える「一発芸人」、「一発屋」の例 をあげている。
その多くが 一時的なお笑い芸人 だから、 記事の「タメ」は 「 溜(め)」の意味 だね。
私 : ライターの佐野華英 氏は、 平成から世にあふれた一発芸 を「 背景説明なし。パッと見て、即笑える。せいぜい30秒」「ネオンサイン化した笑い 」だという。
いわば 「タメなき笑い」 だが、見渡せば、 「タメ」がないのはお笑いに限らず、20代以下の若者のコミュニケーションツールは、LINEの一人勝ちに終わりそう で、手元でひと呼吸おく手紙や電話どころか、 「もはやメールでさえ、まどろっこしい」 と 佐野 氏はいう。
A 氏:一橋大 教授の中北浩爾 氏も 「タメなき時代」を実感 していて、 教室が300人以上占める政治学の授業 で、 毎回、政治家らの発言に、学生のコメントを求める が、ある日、 元大阪市長 ・橋下徹のツイッターから作った題の「全会一致が決められない政治の元凶」 で 多数決こそ民主主義、という命題に感想を求めた。
中北 教授は、「 学生にマイクを回して見解を聞くんですが、8割方は多数決がいいと。少数の反対で決まらなくなることへの恐怖感がすごい 」という。
私 : 時間のかかる合意形成よりは、即断即決、即効性で、それこそが政治だという、転機は1994(平成6)年。
政治改革4法案を可決し、小選挙区制の始まり で、 過半数に至らない得票率でも、国会では改憲さえ発議可能な巨大与党を形成できる。
多くの政党が時間をかけて、合意点を手探りするという、そんな状況に、「決められない政治」と宣告 が下され、 2015年に安保法、17年に「共謀罪」法が「スピード感をもって」「決められ」たのは、だから、ある意味で制度設計通り 。
A 氏 : 中北教授 は、 自著 で、 (1)小選挙区制 ―二大政党制 ―即断即決の「競争デモクラシー」(2)比例代表制 ―穏健な多党制―時間をかけた合意形成の「参加デモクラシー」と、 分類している。
すなわち、 (1)は「タメ」なし民主主義 、 (2)は「タメ」のある民主主義 。
私 : 昨年、ベストセラーとなった千葉雅也氏(立命館大准教授)の「勉強の哲学」 は、異色で 、時間のかかる「かったるい」勉強の面白さ を伝え、 「現代のコミュニケーションは、善か悪か、敵か味方かと二元論 に単純化しがち。言葉に重層性や含みがない。アイロニーとユーモアが通じなくなっている 」「 分かりにくさ、『タメ』を大事にするがゆえ、『タメ』のない、分かりやすいコミュニケーションも追究する。そもそも勉強とは、自分のコミュニケーションの仕方が変わっていくということなんだから 」 という。
今 、 多数決 で、 賛否僅差で全体の方向が決まる例 が増えているね。
英国のEU離脱 、 最近のスペインのカタルーニャ独立も賛否が僅差 だが、 政治は多数派の一方的支配 になり、 「少数でない少数派」は無視 される。
「白か、黒か」、「右か、左か」の間のない決定 に 僅差の多数決 は、 民主主義的決定 なのだろうか。