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Ryu-chan6708

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2018.01.24
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カテゴリ: カテゴリ未分類

:まず、 米歴史家・ジャーナリスト・ コリン・ウッダード 氏は、 前提 として、 米国は日本のような意味での一つの国ではなく 公共政策、宗教と国家の関係、政府の役割などをめぐって、根本的に考えが異なる複数の「ネーション(国)」の集まりだ ということで、論旨を展開している。

祖先は異なるグループとして米国に渡り、それぞれ特徴のある「ネーション」を形成 し、 ルーツの違いが今日の違いにつながっている という。

A 北東部のニューイングランド に「ヤンキーダム」を創設 したのは、 聖書を最高の権威と考え、厳格な信仰生活を強調し、完全な社会を作ることを使命 と考え、 地域の共同体を大事にしたカルバン主義者

同時期にバージニア州に入植したのは、英国で内戦を戦って敗れた国王派 で、 彼らは英国と同じような貴族社会を「タイドウォーター」に築こうとした

カルバン主義者と同じ英国 から来たにもかかわらず、 全く違う社会を作った。

:一方、 南東部の「深南部」には英領バルバドスで過酷な奴隷制度の上にプランテーションを築いた農園主の子孫が進出 し、 同様の奴隷社会を持ち込む。

厳しい生存競争を生き抜いた自分たち勝者が全てを支配できるとの考え を持っていた。

米国政治 は常に、こ の「ヤンキーダム」と「深南部」の「二大ネーション」がほかの「ネーション」と同盟を結んで競い合う構図 で、 「州」ではなく、「ネーション」の違いに注目してみると米国社会をよく理解できる ウッダード はいう。

A トランプ大統領の誕生 もこの視点から読み解くことができ、 「ネーション」ごとの投票動向は前回選挙と変わっていない。

「ヤンキーダム」を中心とする勢力は民主党のクリントン氏、「深南部」中心の勢力はトランプ氏

ただ 、「ヤンキーダム」と、さまざまな国から移民を受け入れ、最もアメリカ的な「ミッドランド」での民主党 のリードが大きく減り、これらの地域の激戦州が軒並みトランプ氏に振れた。

その理由 は、 トランプ氏以外の共和党の立候補予定者は自由放任主義を唱え、減税し、政府の役割を減らせばより自由が得られると唱えた が、 トランプ氏は反対に保護主義 、政府の経済への介入を主張 し、 「ヤンキーダム」などの特に地方の共同体主義者の共感を得た

 すなわち、 トランプ氏の勝利の要因 「ネーション」の視点からみると、これを超え、広げた支持 にあった。

A :ところが、 トランプ氏は大統領になってから、こうした主張をことごとくほご にしていて、 富裕層に有利な減税を推進し、公共投資や医療保険改革は進んでおらず 、守るのは壁を作るとかそんなことばかりなので、 「ヤンキーダム」や「ミッドランド」が次の選挙でどう動くか見ものだ ウッダード はいう。

:次に、 米大統領史研究家のロバート・ダレク 氏は、 第45代大統領のトランプ 氏は、 歴代でも異例で、適格性に疑問がある としている。

大統領や政府というものがいかに機能 しているか、 外交 はどのように執り行うべきか、 外国首脳に対する話の仕方 とは、 米国の歴史 はなど、 これらことごとくにおいてトランプ氏は自分がいかに無知かをさらけ出している という。

例えば、 北朝鮮への対応 も、 本来は駆け引きを駆使し、様々な対話のチャンネルを使うものだが、相手を畏怖させる言葉を発してばかりいる のは、 米国大統領にふさわしい振る舞いではない という。

A 同じ核ミサイル危機 でも ケネディ大統領(第35代、1961~63年) 外交でキューバ危機を乗り切り ミサイル撤去に応じたソ連を侮辱しないよう側近に命じた

ところが、 トランプ氏は北朝鮮のリーダーを「小さなロケットマン」呼ばわり。意味なく怒らせるのは外交ではない ダレク氏は指摘 する。

アイゼンハワー大統領(第34代、53~61年) 朝鮮戦争の膠着時に、中国に核兵器を用いるかもしれないとのメッセージをひそかに送り 交渉のテーブル につかせた。

強気に出る時も水面下に徹すべき で、 トランプ氏にはそれがない ダレク 氏はいう。

A 予測不可能なトランプ 氏を、 マッドマン・セオリー (何をするかわからないと相手に思わせる手法)で知られる ニクソン大統領(第37代、69~74年) になぞらえる見方もあるが、 72年に訪中して世界を驚かせたニクソン大統領 は、 水面下で立ち回り、騒々しい好戦的な対応より「静かな外交」の方がはるかに有効だった という。

大統領たるものメディアに度量をもって対応 し、関係を築く必要があり、歴代大統領はみなメディアとの問題を抱えていたが、 トランプ氏がメディアを国民の敵のようにいうのは、米社会を支える報道の自由 への脅迫

適格性に疑問符がつけられた大統領はハーディング大統領(第29代、1921~23年)以来 だが、 ハーディングは好戦的ではなかった という。

A トランプ氏が新たなメディアを通じて市民とつながろうとしている点は特筆 できる。

フランクリン・ルーズベルト大統領(第32代、33~45年) ラジオ、ケネディ大統領がテレビ を効果的に駆使したように、 トランプ氏はツイッター を使いこなしている。

大統領には国をどう率いていくかの大構想が必要 で、 F・ルーズベルト大統領は「ニューディール」、レーガン大統領 (第40代、81~89年)は 「レーガン革命」

トランプ 氏は「 米国を再び偉大に 」だろうが、「 ニューフロンティア」を掲げて「人を月に送る」と約束したケネディ大統領 のように、 具体的な目標がほしい ダレク 氏はいう。

大恐慌で国民を幻滅させたフーバー大統領(第31代、29~33年)の後にはF・ルーズベルト大統領 が、 年をとったアイゼンハワー大統領の後には若いケネディ大統領が選ばれた。

米国政治は振り子 、次は若くダイナミックな大統領になるだろうと、ダレク氏は楽観的だ という。

米国経済は今、好調なだけに、国民のトランプ氏への評価はどうなるだろう か、






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Last updated  2018.01.24 16:36:51
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