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私 : 小熊 氏は、まず、 福祉の専門家である大沢真理・宮本太郎・武川正吾が座談会内容 をとりあげている。
ここでの 武川正吾氏の福祉に関する5年ごとの意識調査の結果を紹介 している。
それによると 2000年には55%、2010年には7割近くが、税は高くても福祉が充実した「高福祉高負担 」を支持 していたが、 問題は、「高福祉高負担 」の支持者が、「比較的所得の高い人、負担を余(あま)り感じていない人」だったこと だ。
支持が多いのは「高所得男性と高齢者」で、「低所得者、身体労働者、生産労働者、若年層」は支持が相対的に低かった。
A 氏 :普通なら 「低所得層」が福祉の充実を支持 し、「 高所得層」が福祉の負担を嫌うものだ が、 調査結果は意外にも逆 だね。
これが この「論壇時評」の見出しの「 福祉の逆説」 だね。
私 :「 高福祉高負担」 とは、負担は重くなるけれど、そのぶん見返りも大きくなること 。
いまの日本の福祉が 、 所得の高い人から税や社会保険 料を多めにとり、所得の低い人に重点的に給付する制度だったら、所得の低い人は「高福祉高負担」を支持するだろうが、日本の制度はそうなっていない と 小熊氏は指摘 する。
A 氏 : その座談会の大沢真理 氏によれば、 日本の税・社会保障制度はOECD 諸国の中でも最も累進度が低く、とくに社会保険料は、低所得の人ほど相対的に負担が重い 。
自営業や非正規雇用の人に多い国民健康保険や年金の一号被保険者の保険料 は、 「低所得者の当初所得の100%を超えてしまう状況」 まであり、 また所得が高い傾向がある正社員と専業主婦の世帯は、年金や税控除の面で有利。
私 :さらに、 大沢 氏によると、 今の制度は、豊かな層の方が得るものが多く 、「 低所得層は、負担は相対的に重く、受け取るものは相対的にもかなり貧弱」 。
非正規雇用のひとり親家庭 などは、「 政府が所得再分配 することによって却って貧困が深まってしまう層もいる 」という。
A 氏 :「 貧しい人が福祉の充実を支持していないという状況 」は、 選挙にも表れる 。
政治学者の西澤由隆 氏は、 1993年から2010年の国政選挙のパネル調査データを解析し、階層別の政治意識を検証 したが、それによると、 所得が下位30%の層 は 「福祉よりも減税」を求め、 むしろ 高所得層の方が「増税しても福祉充実」を望んでおり 、そもそも 下位30%の層は、福祉を政党選択の基準としていなかった という。
西澤 氏は、 欧米型の「低所得層は福祉充実をうたう政党を支持するはず」 という、 日本の経済学者・政治学者が想定する「前提」 と、 日本の有権者の意識は「真逆だ」 という。
私 :そのうえ 近年では、社会全体が余裕を失い 、 これまで「高福祉高負担」を支持していた高所得層まで、そこから離れ始め 、 武川氏の調査 によると、 2010年には7割近くあった「高福祉高負担」への支持 は、 15年には00年の水準である5割台 まで下がり、 かわって「低福祉低負担」への支持が上昇した という。
A 氏 : 小熊 氏は、もともと 日本の福祉は、貧しい人の支持を得ておらず 、そのうえ近年は、社会全体が余裕を失うなかで、 ますます福祉への支持が失われ、格差が拡大しているのだとまとめている。
そして、人々は 格差と貧困を肯定しているわけではなく 、 彼らが不信の目をむけているのは、福祉そのものではなく、本当に必要な人に恩恵がまわっていない現在の制度 。
まず「制度の歪み」を正すことが先決 だろうという。
私:「制度の歪み」 を正すには、 正確な現状認識をもたらす報道が必要 。
例として、 小熊 氏は、 小林美希氏の保育園の調査 をとりあげている。
そこでは、 保育士の待遇が悪いことを問題視 し、 東京23区内の私立 認可保育所 の財務諸表 を調べ、 「園長、事務長、用務員」の人件費率が異様に高い保育所、その保育所での活動以外に収入や補助金が転用されている保育所をリスト化した。
この 調査報道 は、 23区だけで約85億円の公費が「本業」に使われていないこと、各種の歪みを是正すれば現在の補助金額でも保育士の待遇改善が可能なことを示している。
A 氏 :働いて 税や社会保険 料 を納めれば、それだけいいことがあるというような「 働いたら報われる」という実感が持てる制度への改革が急務だ と 大沢 氏はいう。
小熊 氏は、 それは福祉だけでなく、日本の政治や社会への信頼そのものを取り戻す道だ という。
私 :それにしても、どうして、 日本には欧米にないこういう「制度の歪み」が生まれた のかね。
その論評がほしかった ね。
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