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私 : 最近の大阪北部地震 で、 水道管が破損し、多くの世帯で断水 したが、 水道管の法定耐用年数 は40年なのにそれを超えた老朽管が3割くらいあった という。
何故、老朽化を放置したのかの原因追求 は直接言及はないが、 背景は 浦上拓也氏が詳しく説明 。
浦上 氏によると、 水道法では水道事業は、「原則として市町村が経営する」 とされていて、
現在の上水道の普及率は約98%。
水道が地方にも広がり、爆発的に普及したのは、戦後の高度経済成長期。
人口が増え、経済が成長すれば、需要が高まり収入が増え、安い水を供給でき、経営も順調。
A 氏:しかし、 人口が減るなか、水道事業は拡大期から「維持、管理」の時代 を迎えていて、 約50年後の人口は9千万人を下回ると推計されるが、厚労省は水需要が約4割減ると予測。
さらに、 水をあまり使わない、節水意識も高い高齢者の割合増 や、 トイレや洗面所、洗濯機なども節水型 となり、 水の需要を押し下げ ており、さらに、 最近は災害への備えもあり、病院や工場が敷地内で井戸を掘り、地下水を浄化して使うことも増えている 。
水道料金は基本料金と、使用量が増えるほど割高になる従量料金とで構成 されていて、 基本料金内に収まる世帯が増えれば、事業収入は加速度的に減り 、 水需要減で水道事業が数億円単位の減収となっている自治体 もある。
私 :一方で、 水道を維持するコストはかさみ 、 水道管の法定 耐用年数 は40年なので、1960年代後半から70年代にかけて水道整備が盛んだったころの水道管の減価償却期間は過ぎており、各地で漏水や破裂事故が多発し、地震のたびに事故が拡大 する。
厚労省によると、水道管(基幹部分)の耐震適合化率は、2016年度で4割未満。
更新と耐震化は緊急の課題だが資金は十分でない。
大阪の場合も資金難 だったのか。
水道管工事をする民間の技術者の高齢化も問題で、若者はこうした仕事を嫌い、後継ぎがおらず、人手不足で工事費も高くつく。
また、 多くの自治体では、経費削減のため、職員を減らしていて、首長が水道事業について理解がないと、水道部門の職員を削減したり、配置転換したりするので、現場をよく知り、経験豊かな職員が育たない。
地方自治体の水道事業者は1300余りあるが、とくに困難に直面しているのは、経営基盤の弱い地方の小さな自治体 で、 安全で安い水が供給されなくなれば、人口流出に拍車がかかり、自治体の存続にかかわる。
A 氏 : 浦上氏は、 市町村単位ではなく都道府県や、市町村が共同出資する 一部事務組合 (企業団)が水道事業の主体となるよう、水道法の改正 も必要だと 指摘 し、 このまま何もしなければ、水道事業は立ちゆかなくなり、次世代に負担を押しつけるわけにはいかないと危機を警告 する。
私 : 橋本淳司 氏も 大阪北部地震 で注目されたように、水道インフラは全国で老朽化していると、冒頭で指摘 している。
そして、 設備更新のための料金値上げも各地で相次いでいて、現在の設備をそのまま維持、更新すれば、利用者負担は際限なく増える という。
将来の水道料金の最新予測の推計では、全国の水道事業者の90%で2040年までに値上げが必要になり、4割では30%以上と大幅になり、中には3、4倍にはね上がり、20立方メートルあたり3千円台が、1万6千円と予測された地域 もある。
昭和時代の人口増に慣れ、さらなる人口増を見込んで建設した浄水場や管路は、結果的に過大投資。
対策として、以前よりも水道水を使わない時代 に応じて、 インフラの管理 を考える必要があり、 縮小社会に合わせた水道インフラの縮小、ダウンサイジングだ と、 橋本 氏はいう。
まずは 取水源 だが、 新たに利水目的のダムは必要ないし、老朽化したダムは順次廃止 。
浄水場などの設備も、不要なものは更新せずに廃止 。
A 氏 :安全で安い水道を維持するための 広域連携などの方策 はこれまで、 厚労省 が検討してきたが、そこへ 安倍政権の成長戦略として民営化方針が滑り込んできた。
施設所有権は自治体が持ち、運営権を民間企業に売却するコンセッション方式の導入 をめざしていて、 今国会には、この方式を促す水道法改正案が提出されている。
これについて、 橋本 氏は いくつか問題点を指摘 している。
まず、 真に課題を抱える小さな市町村では、民営化は解決策にならない。
また、 災害時に、民間企業の社員を設備の補修や点検にどこまで動員できるかも問題 。
私 : 事業運営が不透明になる心配 もあり、 民営化の優等生と言われてきた英国でも今年に入って、水道事業会社は巨額の利益をほとんどすべて経営陣への報酬や株主への配当に回し、税金を支払っていないと指摘 され、 英国 では 再公営化の議論 が起きている。
それでも、 日本でいまから民営化を促す のなら、 経営を透明化し、水道の私物化を防ぐ方策を併せて考えるべきだ と、 橋本 氏は 指摘 する。
水需要が減少し、維持費が増加する水道業に民営化は向くのだろうか 。