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Ryu-chan6708

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2018.08.20
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人間は近代以降、「知」を力にして自然を征服し、今、地球の歴史も変える段階に到達 し、 人間による新しい地質世代 「人新世(じんしんせい)」が世界の地質研究者の間で、提唱 されている。

今回の講座は福山市立大学准教授・桑田学 氏( 専門は経済思想史 )に聞いたもの。

 約1万1700年前から続く「完新世」が終わって、地球が「人類の時代」を意味する「新しい地質世代」に入った のではないかと、 世界の研究者の間で議論されていて、この「新しい地質世代」を「人新世」という。

従来、地層に含まれる化石や岩石から環境の変化を読み取って 地質年代 が区分された が、 人間の活動が小惑星衝突や火山の大噴火に匹敵するような恒久的な痕跡を残すほどになった。

  すなわち、 二酸化炭素(CO2)による大気組成の変化や、人工的なプラスチックやコンクリート、放射性物質などの地層への堆積だ

まだ承認されていないが、 国際的に地質学関連の学界で検討が進んでいる という。

A 「人新世」は、1784年、ワットが蒸気機関の実用化に成功した産業革命を象徴する年を起源とするいう意見があり、石炭燃焼の開始を起源 とし 、最近有力なのは、第2次世界大戦以降の人間活動の爆発的拡大期。

CO2濃度の上昇やオゾン層や生態系の破壊、海洋酸性化など様々な指標で急激な変化が起きている

素晴らしい時代のような響きがあるが、 2000年に最初に問題提起したのはオゾンホールの研究で知られ、ノーベル化学賞 も受けたパウル・クルッツェン氏で、気候が後戻りできないほど変質し、破滅的な災厄をもたらすという危機感がある という。

広島県は7月の西日本豪雨で大きな被害を受け、その後、被災地を含めて連日の酷暑が示す ように、 世界全体が気候の非常事態を迎えつつあるとの危機感 が広がっていて、 大気中の温度上昇が臨界点を越えれば、永久凍土の溶解や氷床崩壊が起きて 海流の循環が変わる恐れさえあり、様々な破滅的事態を連鎖的に引き起こしかねない と、 桑田 氏は 指摘 する。

こうした事態を招いたのは人間だったという反省の表れが「人新世」だという名称が生まれた面 もあるが、 単純には言い切れず、クルッツェン氏らは、成層圏に硫酸エーロゾルを散布して温暖化 を抑える研究の推進を求めている。

これは、微粒子が大気を覆って太陽光入射の反射率を高め、地球を冷却するという「気候工学」と呼ばれる人為的な気候改変技術の一つ。

上空20キロほどで飛行機から散布するだけなので、コストも安くすむと言われ、国際的なCO2削減がなかなか進まないなか、気候の非常事態に備えて、本格的に研究を進めるべきだという主張

A 意図的ではないにせよ、地球を大規模に改変してしまった力を持った人間の責任として、今後は地球の賢明な管理者になるんだ、科学技術がもたらした危機を、科学技術で解決するという発想 がある。

人間の自然破壊の歴史を根本的に反省するとき、注意しなければならないのは、「人新世」は「人類」と一般化 するが、 現在の状況の責任は、すべての人類が負うものでなく、西洋近代の資本主義の歴史と切り離せない と、桑田氏はいう。

その成長は非西洋世界を植民地化したことで成り立った。

資源や土地、労働力を、自国の外部から収奪してきた結果で、日本も収奪した側に含まれ、「人新世」を「人間由来」と語ることは、責任の所在を隠してしまう ので、 「人新世」を「資本新世」と呼ぶべきだとの意見 もあるという。

一方で、 自然に翻弄されるもろい人間の存在から脱することは進歩と刷り込まれてきて 、例えば、 火を使う人間の特性ゆえ、「人新世」に必然的に到達したのだ、と時に説明される。

一面、 自然に対する人間の圧倒的な勝利と素朴に言われるが、生存を可能にしてきた条件を、人間自身が踏み越えつつあることこそ、「人新世」が示す大事な点だ 桑田 氏はいう。

「人新世」の見方は、完全には制御できない自然が、生存を支えたり、脅かしたりすることを、改めて自覚する機会 でもあり 、気候工学のような技術まで検討されるのは人類の苦境の表れ だという。

今後、CO2が安定した水準に戻るには数百年から数千年かかるとされ、使用済み核燃料の保管期間は10万年と、途方もないタイムスケールで荒廃させた世界の中、決定的な気候変動や「地球史で6度目となる種の大量絶滅」の進行 に、 ただただおびえ続ける。

人間に待ち受けるのはそんな未来かもしれない 桑田 氏はいう。

「新世紀」を迎え、この世紀で人間は生き延びることができるのだろうか。

「新世紀」は人類滅亡の世紀となるのだろうか。






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Last updated  2018.08.20 17:54:49
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