りゅうちゃんミストラル

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2007.06.12

ドラマ「ＥＲ」に見る中絶と宗教

テーマ：どんなテレビを見ました？(79790)

カテゴリ：ドラマ

シカゴの病院を舞台としたドラマ、 ＥＲ緊急救命室 。

１１日にＢＳ２で放送された第１２シリーズ、「今でなければ」（第２５６話）。
アメリカ特有の 妊娠中絶 と宗教について触れていた。
（この記事はネタバレあり）

１５歳の少女が原因不明の腹痛を訴えて来院。
尿検査の結果妊娠していることがわかる。

彼女の家は敬虔なカトリックだった。
このため、両親に事実を伝えることを少女は悩む。
話を聞いた両親は出産を決める。
中絶は彼らにとって神に背く行為だからだ。

後でわかったことだが少女はパーティーで酒に酔った上、レイプされた。
担当したレジデントのアビーは妊娠していた。
子の父親は同僚でＥＲ部長になったばかりのルカ・コバッチュ。
アビーもまた中絶するかどうか悩んでいた。
目の前にいる患者がどうしても自分とオーバーラップしてしまう。

私は正直に思う。
レイプされた少女は同情すべき点がある。
しかし中年の域に達した医師二人はどうして避妊しなかったのか？
妊娠してから悩むのは１０代のすることだ。
（もちろん１０代なら無計画な妊娠が許されるわけではない。念のため）

結局この少女に流産を促す処置をするルカ。
彼はかつて祖国の内戦で家族を失った過去がある。
それ以来、彼は神との対話を拒否した。
だがそんなルカも神からは離れられない。
以前、この件では以下の記事を書いた。

ドラマ「ＥＲ１０」の第二話は最高の出来だった！感動した！

今回も少女に聖書を暗証して聞かせた。
やはりルカにはキリスト教が必要だった。

そしてアビーは出産を決意する。
かつて結婚生活に失敗し、アルコール依存症になった彼女。
出産に悩むのは理解できなくもない。
何度も書くが、悩む前に避妊すればよかったのに。

アメリカは宗教と中絶が深く関係している。
中絶を認めるか否か。
これが争点となり大統領選挙や最高裁判事の任命に大きく影響する国。
日本人からは考えられない。

選挙争点としての妊娠中絶問題

現実にアメリカでは中絶に対する意見が大きく分かれる。
中絶を権利とする「プロチョイス」。
そして中絶禁止を訴える「プロライフ」。

◎プロチョイスとプロライフ

中絶は合法、でも……

両者の対立は深く、議論に決着がつく日は来ないかもしれない。
議論だけでなく中絶した医師が射殺されるなどの事件まで起きている。

文字通り　命がけの妊娠中絶

中絶の権利を認めるか否かで問題となった裁判もあった。
有名なのは ロー対ウェイド事件 。
この裁判については今でも議論が絶えない。

確かに胎児には何も責任がない。
だから基本的に中絶はすべきではない。
それは私にも理解できる。

だが前述の少女のようにレイプされた場合。
それでも出産しなければならないのか？

人工中絶について思うこと

胎児に先天的な障害があるとわかった場合。
それでも出産すべきか。

私は思う。
レイプや病気、そして母体の危険がある場合。
中絶は止むを得ないのではないか。
だがその一方で 「基本的に中絶は殺人に等しい」 という認識が必要だ。
無計画な妊娠で殺される胎児のことを不憫に思う。
この世には殺されなくていい胎児が多く存在する。

追記　

今回のＥＲは、他にも気になることがあった。

診療部長となったケリーは足が不自由だった上、ケガでＥＲに運ばれる。
ルカは理学療法（保存的治療）改善した例があると言う。
だが、ケリー本人は人口股関節置換術の必要があると判断した。

レイはロサンゼルスでの音楽活動にチャンスを求める。
長期の休暇を許可するようケリーを説得するレイ。
だが、ケリーはケガでベッドの上。機嫌がいいわけがない。
逆に退職を宣言されてしまう。
バンドのメンバーに拒否され、レイは行く場所がない。
しかし何といってもこの回の主要テーマは宗教と中絶。
重いテーマなので、他の話題がかすんでしまう。

次回、ニーラと結婚したガラントが戦場のイラクに戻るらしい。
予告を見るとそうとしか解釈できない。
詳しくは来週の放送を待つ。

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↑「知っていればおこらなかった妊娠中絶の悲劇」は中絶の現実を如実に表現している。

＊あの日のこと、思い出せるだけ＊

青い空のかなたに