りゅうちゃんミストラル

りゅうちゃんミストラル

2008.12.10
XML
カテゴリ: 読書
山本文緒「プラナリア」を読んだ。
99年の直木賞受賞作だ。



この作品は、20台半ばの女性が主人公。
彼女は若くして乳がんになった。
手術し、再発も今のところ心配ない。
しかし乳房は失われた。
定期的にホルモン注射をしているため、薬の後遺症がある。
気分が悪くなり、吐き気もする。

彼女はこうした状況で将来に希望が持てない。
大学生の彼氏には、がんについて「終わったこと」と言われる。
家族からも同じように言われている。
ひねくれていて、「生まれ変わったらプラナリアがいい」と言う彼女。

そんな彼女に救いの手を差し伸べる人がいる。
入院中に知り合った女性だ。甘納豆屋の雇われ店長をしている。
自分の店で働かないかと主人公を誘う。

週に4日働くことにした主人公。
だが些細なことから主人公は無断欠勤。
「がんのことはもう言うな」と釘をさす彼氏の前でがんの話をする。

前向きになれない彼女を批判するのは簡単なこと。
しかし、自分が同じ状況になったら果たして前向きになれるか。
人というのはそんなに強いものなのか。
それを考えてしまう。

誰もが持っている人間の負の部分。
それを現代的に描いたことが、この作品だ。

医者は患者を診断し、治療する。
この主人公のように手術して再発を防げばそれで役目は終わり。
「2時間待ちの5分診療」も現実に大病院ではあること。

では、その後のことはどうなんだろう。
「主人公は病気がなくてもこんな性格だったに違いない」と言うこともできる。
ただ、それでは済まない部分を私は考えてしまう。

山本文緒は「恋愛中毒」も評価されている。
次に読む本の候補に入れるべきかも。


バナーにクリック願います。

ブログランキング・にほんブログ村へ

***トラックバックはテーマに関係するもののみどうぞ。
その場合リンクは必要とはしません。
意見があればメッセージでどうぞ。
ただし荒らしと挨拶できない人はお断りです。
今のところメッセージは全て読んでいます。








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.01.24 15:08:04


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

りゅうちゃんミストラル

りゅうちゃんミストラル

バックナンバー

2024.11
2024.10
2024.09
2024.08
2024.07
2024.06
2024.05
2024.04
2024.03
2024.02

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: